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INTERVIEW

2023.06.26

悠木 碧が振り返る「シンフォギアライブ2020→2022」と立花 響とのシンクロ率MAXステージ!ライブ映像作品リリース記念インタビュー

悠木 碧が振り返る「シンフォギアライブ2020→2022」と立花 響とのシンクロ率MAXステージ!ライブ映像作品リリース記念インタビュー

TVアニメ第1期の放送から10年以上が経過した今も熱狂的な支持を集める『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズより、ライブ映像作品「シンフォギアライブ2020→2022」と、アプリゲームのキャラソン集『戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED キャラクターソングアルバム3』が、6月14日に同時リリースされた。そこで「リスアニ!」では今回、主人公の立花 響のキャストを務める声優・悠木 碧へのインタビューを企画。過去最大規模となったライブの思い出を中心に、『シンフォギア』シリーズと響への熱い想いを真っ直ぐにぶつけてもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

響とのシンクロ率MAXで臨んだライブを振り返る!

――“シンフォギアライブ2020→2022”の開催から半年ほどが経ちましたが、改めてどんなライブになりましたか?

悠木 碧 “シンフォギアライブ”は毎回、全力ですべてを出し尽くすからこそ、どのライブも詳しいことは案外覚えていないんですよね。思い返すと一瞬の夢の中にいたみたいな感じがするし、すごく昔のことのようにも思える。熱すぎて魂を燃やし尽くしちゃったのかもしれません(笑)。

――「夢の中にいたような感覚」というのは、もしかすると、立花 響としてステージに立っているからこその感覚なのかもしれないですね。

悠木 たしかにそうかもしれません。こんなにも没頭してキャラクターにシンクロできるライブはほかにないですし、響として立っているからこそ、自分の思考では後から追えないのかも、と感じることもあるので。いずれにしても、私にとってとて幸せな時間であることは間違いないです。

――当初の予定から2年越しの開催、しかも“シンフォギアライブ”としては過去最大規模となるベルーナドームでのライブということで、ステージに上がるまでにも特別な気持ちがあったのでは?

悠木 そうですね。作品的に言うとTVアニメのストーリーを最後まで観ていただいた方々に届けるライブだったので、延期になっても絶対にいつかやりたいと思い続けていて。でも、いざ開催できるとなったとき、それがアニメ(『戦姫絶唱シンフォギアXV』)の放送から2年後だったので、まだ皆さんに待ってもらえているのか不安でもあったんです。しかも(観客の)声出しもまだ難しい状況だったので、結構プレッシャーを感じていたんですけど、実際にステージに立ってみたら、声がなくても適合者(※シンフォギアファンの呼称)の皆さんの想いや熱量がちゃんと伝わってきて。「言葉がなくても歌で人が繋がる」という『シンフォギア』最大のテーマが、こんな形で実現されるとは思いもしなくて、そのことにすごく感動しました。

――悠木さんはライブの後半戦に登場。まずはTVシリーズ5期より「ALL LOVES BLAZING」、そしてTVシリーズ1期より「撃槍・ガングニール」を続けて歌われました。

悠木 今回は最新シリーズの曲と最初のシリーズの曲が続くセットリストになっていたので、この5期の間に響が得たものと失ったもの、普通の女の子だった彼女がなぜヒーローにならなければいけなかったのか、その成長物語をあの瞬間に感じてもらえたらと思ってステージに立ったと思うんですよね。ただ、ステージに立った瞬間、ゾーンに入るというか、楽曲がかかれば私が意識しなくてもその時の響になってしまうんですよね。それまで上手く歌えるようにさんざん練習してきても、壇上に立つと「そういうことではない」ということに気付かされると言いますか。

――というのは?

悠木 あの場で上手く歌おうと思った時点で私は負けだなと思っていて。響は世界を守るために、人を繋ぐために歌をうたっているので、それは上手い・下手とかじゃないはずなんです。上手く言えないんですが、私の見栄や保身がちょっとでも滲んだら、響の誠実な気持ちを穢すことになるじゃないですか。だからすべてを捨ててとにかく全力で、一生懸命にぶつかってました。そうなるともうアドレナリンと共に全部を出し切っちゃうので、みんなのペンライトがキラキラしていたこととか、心臓が痛いくらいバクバクしていたことくらいしか思い出せなくて。特に今回は爆走したので。

――そう、「撃槍・ガングニール」ではメインステージの端から端までダッシュしながらパフォーマンスされていました。

悠木 本当は「もう少し短い距離でもいいですよ」と言われていたんですけど、響が全力で戦っている感じをみんなにも体感してもらうために、ここは絶対に走ったほうがいいなと思って。よくファンの方が「音源よりもアニメの映像で楽曲を聴いたほうが熱い」とおっしゃってくださるんですね。それってアニメの“歌アフレコ”で録った歌のほうが、彼女の一生懸命さや躍動感が乗っているからだと思っていて。きっと適合者の皆さんは、ライブでそういう歌を聴きたいと思っているだろうから、私もパフォーマーとして保身に走ってはダメだと思うんです。みんな、立花 響という人間を観に来ているはずなので。だから……とにかく一生懸命なところを伝えようって。

――1番と2番の間で、響の名ゼリフ「最速で、最短で、まっすぐに、一直線に! 」をダッシュしながら叫んでいましたが、あのとき、まさに響がそこにいるように感じましたから。

悠木 あそこもセリフを言わないでしっかり息を吸っていれば、次の歌い出しをもう少しきっちり歌えたと思うんですけど。でも、「この人、ここでその無理する?」っていうのが響の良さじゃないですか。あれをやらないと、山をぶっ壊してK2の高さを変えちゃう人にはなれないなって(笑)。

――確かに(笑)。

悠木 作品を背負った舞台に立つ場合、ある種のロールプレイが必要で、そのバランスはどの程度がいいのかはいつも迷うところなんですけど、『シンフォギア』の場合は絶対に全力で体感できたほうが気持ちいいと思っていて。最初のライブ(“シンフォギアライブ2012”)のときはそんなことを考える余裕もなかったんですけど、その後に適合者の皆さんからいただいたファンレターや言葉を通じて、そういう部分を伸ばしていこうと思うことができたので、それはみんなに肯定してもらえたから見つけられた答えでもあるんです。いつもライブが終わった次の日は、めっちゃ後悔するくらい体が痛くなるんですけど(苦笑)、それくらいの覚悟がないとシンフォギアは纏えないと思うので。

――それらバトル曲に続いて、TVシリーズ5期のキャラソン「キミだけに」もライブ初披露されました。

悠木 響はアニメ本編内で穏やかな曲を歌うことはなかったので、その意味でもやっとギアを纏わずに歌うことができた気がして。ここまで長く付き合ってきたからこその、まだ知らない響の表情を見ることができて、歌いながらすごくグッときました。あとはこの曲を聴きたいと思ってくれる人がたくさんいたこともすごく嬉しくて。内容的には(小日向)未来(CV:井口裕香)に宛てた曲ですけど、未来に向けて真っ直ぐ歌うというよりは、響の今溢れてしまった気持ちをのびのびと歌っているイメージがあって。みんなのペンライトが星っぽく見えたりもしたし、ペンライトの色をオレンジ(※響のイメージカラー)だけでなく紫(※未来のイメージカラー)にしてくれている人もいたのが、めちゃくちゃエモかったんです。みんなも2人のこの先の幸せを願ってくれているのが伝わったし、その意味でもすごく多幸感に満ち溢れた、はじける幸せとはちょっと違う、こみ上げる幸せのある舞台でした。

――響らしい素直で真っ直ぐな歌声で、感情に訴えかけるものがありました。

悠木 響のソロ曲はこれが最後だったので、響の言いたいことを全部詰めなくちゃと思って、何の繕いもなく、本当に丸裸で歌っている感じでした。響がそうさせてくれるんですよね。「この子、今、自由に歌いたいよね」というのがわかって。歌が大好きな子なのに、戦うためにばかり歌ってきているから、この曲くらいはのびのび歌っていいよって、思って。

――ステージ上では本当に響とシンクロしているんですね。

悠木 もう10年以上一緒なので、私と響は未来や(風鳴)翼さんとは違う意味での相棒というか、多分一番近い感覚は、響のギアが私なんですよね。彼女たち装者の想いみたいなものを力に変えてぶつけるのが私たち声優の仕事だとするなら、「あっ、私たちってギアだったんだな」と。それが私の最近の見解です(笑)。

「響をみんなに会わせてあげたい気持ちになる」

――ソロ曲のあとは、コラボ曲を2曲連続で披露。まずはサンジェルマン(CV:寿 美菜子)との「花咲く勇気 Ver. Amalgam」を、前回の“シンフォギアライブ2018”に続いてサプライズで歌われました。

悠木 『シンフォギア』は王道のサプライズを含めみんなが求ているものに真摯に応えくれるし、この曲は大好きなので歌えて本当に嬉しかったです。あと、これはぜひ映像で確かめてほしいんですけど、私、誰かと一緒になった途端にめっちゃ安心しているんですよ。美菜子と一緒にステージに戻ってきたときの、あのドヤ感(笑)。でも、「響ってそういう子だよね」ということもすごく感じて。響自身、仲間といるときは強さが5割増ししてるんです。誰かと一緒に立てているときの安心感、「助けが来た!」っていう気持ちというか。

――悠木さんと寿さんは同年代で交流も深いですしね。

悠木 それもありますし、前回のライブで私が美菜子と歌いたいとお話して実現した「花咲く勇気」のコラボレーションが、その後、TVシリーズ5期のアニメ本編に組み込まれて、それを再びライブで再現するっていう逆輸入型のシンクロも嬉しくて。我々も前回とは取り組み方が変わりました。美菜子が今回用に振付やステージングのアイデアをたくさん出してくれたんです。私はそういうのがあまり得意ではないのでなかなかついていけないんですけど、そう言ってくれる気持ちが嬉しいから、なんとかついていこうと思って。そこも含めてサンジェルマンと響の関係っぽいなと思いましたし、彼女の助力で前回よりもパワーアップしたステージを見ていただけたんじゃないかと思います。

――さらにキャロル(CV:水瀬いのり)も加わって3人で披露されたのが、アプリゲーム「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」発のコラボ曲「聖剣のレクイエム」。リフター演出もあって熱い盛り上がりを見せました。

悠木 元々あの曲自体すごく好きだったし、手を取り合いたかった2人と生で歌えたこともあって、すごくエモかったです。(TVシリーズ第3期で)キャロルと手を取り合えなかったからこそ、その後のサンジェルマンさんたちとのやり取りがあったので、そこで響の歴史も感じてもらえるような作りになっていたのかなと思って。3人でリフターに乗ったんですけど、私はあんなに細いリフターに乗ったのは初めてで、しかも私のリフターだけ掴まれるところがフチしかなくて、一瞬だけ悠木 碧に戻って「怖っ!」てなってたのを覚えています(笑)。

――その後、ライブ本編のラストでは、風鳴 翼(CV:水樹奈々)、マリア(CV:日笠陽子)、月読 調(CV:南條愛乃)、暁 切歌(CV:茅野愛衣)が集結して「六花繚乱」を歌われて。やはりみんなで集まるとまた別の感慨深さがあったのでは?

悠木 そうですね。みんなで集まったときも本当に心強くて、とにかく気持ち良くて、楽しくて、幸せでした。みんなと一緒に歌えば歌うほど、みんなのことが大好きになっちゃうから。あとはやっぱりアニメ本編のことをたくさん思い出した気がします。響にはそれぞれの人たちと向きってきた歴史があるので、その1つ1つを思い出して、グッときたりしましたね。歌詞にも「私たち、こんなことがあって、今、手を取り合ってるよ」というのが詰まっているので。

――アンコールは、響、翼、マリア、調、切歌、キャロルの6人で「PERFECT SYMPHONY」、さらにキャロルの代わりに未来が加わって「Xtreme Vibes」「未来(あした)へのフリューゲル」という、TVシリーズの終盤戦を思い出させるセトリで締め括り。フロートに乗ってアリーナを巡る演出もありましたが、いかがでしたか?

悠木 あれは「楽しい」のほうが勝っちゃうから、本当に歌うどころじゃないですよね(笑)。適合者のみんなの近くに行けることはなかなかないから、響を適合者のみんなに会わせてあげたい気持ちになるというか、世界救っている彼女たちにこの熱量が直接伝わればいいなと思って、それを浴びに行く気持ちがあって。皆さん、声は出せないけど本当に一生懸命応援してくれてるじゃないですか。それが一番伝わってきた瞬間だったので、泣けちゃうって思いましたね。みんなに届けようと自分の中の何かを削って歌をぶつけているはずなのに、それを上回る回復があるというか、何なら逆にエネルギーが蓄えられてくので「あれ?疲れないぞ!」って思って(笑)。

――「Xtreme Vibes」の「絶唱」パートを歌う箇所では、装者全員がアリーナ席に背中を向けて歌う場面もありました。

悠木 あの絶唱する背中をみんなに見てもらう演出は、ヒーローの背中を見せる=あなたたちを守る、という覚悟を表現していたんですよね。それをあの場で絶唱と共に見てもらうことで、「私たち、これからも地球を守ります」っていう安心感を感じてもらえていたらと思いますし、そう思うと演出の1つ1つにもすごく愛情がこもっていたなって思います。

――そして今回の映像作品には、ライブの最後のMCで出演者の皆さんが語られていた熱い想いもしっかりと収録されています。悠木さんもグッとくることをお話されていて。

悠木 きっと思うままにしゃべっていたので、多分観返したら自分は恥ずかしいやつの可能性が高いんですけど(笑)。でも、このライブだけじゃなく、この10年の間に『シンフォギア』で体験させてもらってきたこと、みんなに色んなものをもらった感謝を素直に伝えなくちゃと思っていました。、「あなたたちのおかげで10年ここまでやってこれたよ」というのは、絶対伝えなきゃ、と。上手く言葉になってたかなぁ(笑)。

――個人的にはあのMCは、適合者の皆さんにぜひ観てほしいポイントの1つで。

悠木 嬉しい。MCって一番迷うんですよね。役者として伝えたいこともあるけど、ロールプレイングとして響を感じてほしい部分もあるので、どの塩梅で話せばいいのかっていうのがあって。でも、あの瞬間はほぼほぼ響というか、彼女のいい部分をいっぱいもらった私でしゃべれているから、ちょっと照れ臭いですけど、盤になっちゃったものはしょうがないので、ぜひ観てほしいです。

――ちなみにご自身のステージ以外で思い出に残っていることはありますか?

悠木 本番中は裏でバタバタと準備や移動をしていたりするので、案外観れていないところが多いんですけど、開幕の奈々さんのステージはみんなで裏の大きなモニターで応援しながら観ていて楽しかったです。奈々さんのライブはそのあとの翼さんのライブとも違う良さがあって、やっぱり“シンフォギアライブ”は奈々さんの声で始まるのが最高なんですよね。普段の奈々さんはお茶目でキュートな部分があって、実は癒し系な先輩なんですけど、直前の準備をされているときの奈々さんは戦う人の表情になっていて、めちゃくちゃかっこいいんです。その背中を見て、我々全員の気合いが入るところがあるので、やっぱり最強のリーダーなんですよね。

悠木 あと、ライブ本編とは関係ないんですけど、私たち演者は裏で移動するとき、バスに乗って会場をぐるっと回らないといけなくて。その移動中にみんなの声が響いてきたり、光が漏れているのが見えるのも実はすごくエモかったし、みんな衣装を着て移動しているので、完全にアニメで装者が飛行機とかに乗って現場に向かっているのと同じ状態なんですよね(笑)。キャストのみんなとも「こんなシーンありましたよね」みたいな話をしていました。

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