リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2023.06.21

ClariSが21世紀のスーパーアイドルに!? Winkのカバー「淋しい熱帯魚」を完全再現!

ClariSが21世紀のスーパーアイドルに!? Winkのカバー「淋しい熱帯魚」を完全再現!

デビュー当初、「21世紀のWink」というコンセプトがあったClariSがついにWinkの名曲、「淋しい熱帯魚」をカバー。往年の歌番組をオマージュしたMVはYouTubeであっという間に120万回再生を記録し、従来のClariSファンだけでなく、世代を超えてバズっている。カップリングの「はいからさんが通る」も収録された今回のコンセプトEPのエピソードや、先日行われたスプリングライブの振り返りなど、今注目のトピックをClariSが語る。

INTERVIEW BY 冨田明宏 TEXT BY 金子光晴

「21世紀のWink」ClariSが「淋しい熱帯魚」をカバー!

――さて、今回は『淋しい熱帯魚』のお話を伺おうと思うのですが、それが初披露された場所という意味でも、先日の“ClariS SPRING LIVE 2023 ~Neo Sparkle~”を振り返ってもらおうかなと思います。バンド×ClariS×オーディエンスという幸福な空間が出来上がっていたと感じましたが、改めていかがでしたか?

クララ 今回は久しぶりに声出しOKのライブだったので、皆さんの熱量をすごく感じました。皆さんが声を出せなくてずっと我慢してきた感情が解放された感があって、今までの何倍にも声や気持ちが伝わってきて、自分自身も「(声出しのライブって)こうだったよなあ」というのを思い出しましたね。始まる前は「バンドの音に負けてしまわないかな」っていう気持ちもあったんですけど、ステージに立ってみるとバンドのメンバーが支えてくださって、自由にお客さんと楽しみながらパフォーマンスできたライブだったと感じてます。

カレン バンドサウンドを自分たちのステージでやっているのが想像できなかったし、楽曲のジャンル的に合うんだろうかという不安もあったんですけど、バンドの皆さんは本当にいい方たちばっかりで、「私たちのライブをどのようにアレンジすれば良くなるか」っていうことをずっと考え続けてくれているんですよ。それに、ClariSとしては映像演出がないステージも初めてだったので、いつもはストーリーや映像のことも考えて歌う感じだったんですけど、セットリストを組む段階から久々にみんなの声を聞けるから盛り上がる曲をいっぱい入れようって言っていて、純粋に自分が感じたままに歌えるのがすごく新鮮でした。終わった時の脱力感が、今までにない感じでしたね。

――今回のライブはZeppでやってきたライブの進化系という感じで、コンセプチュアルなコンサートとはまた違うもう一個の軸がものすごい強いものになったなという印象を受けました。

クララ 「バンドをライブハウスでの軸にできたらいいね」とは話していたんですけど、実際やってみて確信に変わった感じです。特に、カレンはリハの段階からすごく楽しそうで(笑)。私はカレンほどはじけるのが得意なタイプじゃないので(笑)、次はもっとかっこいい姿をお見せしたいなあっていう気持ちにもなりました。

――さて、ライブで初披露、初解禁された「淋しい熱帯魚」ですが、あの場で発表された時のリアクションはどう受け止めましたか?

クララ 衣装を着替えて、「淋しい熱帯魚」のイントロで出て行った時のどよめきが伝わってきました。でもこの曲って私たちは笑顔になれないじゃないですか。ちゃんと曲の世界観を伝えたかったので、皆さんの嬉しそうな顔を見ながら歌うのが大変だったんですけど(笑)。やっぱりこの楽曲はたくさん愛されてきたんだなというのを改めて実感できました。

カレン 情報解禁してすぐに歌うなんてことは今までなかったので、ファンの方も関係者の方にもサプライズだったと思います。元々、ClariSの結成当時のコンセプトに「21世紀のWink」というのがあったんですけど、「すごく合ってた」って言ってもらえてめちゃくちゃうれしくて、その時の気持ちは本当にスーパーアイドルでしたね(笑)。

――僕は「21世紀のWink」みたいな裏テーマをClariSが持っていたということは知っていましたし、時々お二人がインタビューの中でWinkについて言及したこともありましたよね。でも改めて実際にカバーをしたことに対する反響ってどうでした?

クララ コンセプト的に「21世紀のWink」っていうのを前面に出してデビュー当時やってたわけではないんですけど、レトロな楽曲もClariSとしてやってきたなかで、今回のカバーにも「違和感がない」という声が多かったです。私も今回はカバーなのにClariSの新曲ぐらいの気持ちで、違和感がないカバーでした。

――ClariSのこれまでの楽曲にもWinkやあの時代のアーティストに対するオマージュやリスペクトを感じる曲ってたくさんあったわけで、その延長線上にある曲のように感じられたという方も多かったんでしょうね。カレンちゃんは反響をどう受け止めましたか?

カレン やっぱり今まで私たちのことをアニメやゲームで知っていただく方が多かったのですが、今回のカバーは聴いてくださる層も一気に広がったなっていうのを実感しています。意外と私たち、皆さんがつぶやいてくださる感想や、YouTubeのコメントをしっかり見ているほうだと思うんですね。今回は特に「この方たちは知らなかったけど……」っていうコメントがすごく多かったです。

クララ 「初めてClariSを見ました」みたいなね。

カレン そうそう。そういう方々に評価いただいたのが嬉しかったのと同時に、今まで聴いてくださっていた方たちも「こういうのが合うと思っていたよ」って評価してくださってすごく嬉しい気持ちでいっぱいです。それに、反響という面では作詞をされた及川眠子さんに届いたりとか、振付をされた香瑠鼓さんに反応いただいたりですとか、そういった方たちにまで届くなんて、歌った時は思ってないわけですよ。だから、そういった面でもこの楽曲とWinkさんのすごさも感じました。

「マジメにふざけている」MVが120万回再生超え

――「淋しい熱帯魚」の動画は、アップから3週間でもう百数十万回再生されていて、反響と話題性の大きさがわかりますよね。改めて歌ってみていかがでしたか?

クララ 今まで聴いてきた楽曲ではあったんですけど、今ではない表現や、すごく耳に残る言葉がある楽曲ですね。すごく切ない感情が描かれた歌詞だと思うんですけど、あんまり感情を込めすぎて、抑揚をすごくつけて歌うのは合わないなと感じていました。私はどちらかというと切なく歌いたくなっちゃうタイプなので(笑)、Winkさんの歌もたくさん聴いて、切ないけど、切なさを出す方向性が今までのクララとは全然違うベクトルで歌いました。

カレン 歌詞の表現がもうロマンチックですよね。恋愛の楽曲ってその当時の女性を象徴していることが多いじゃないですか。この歌詞は「直接言いはしないけど、一歩引いて想っている」っていう感じがすごく切ないなって思うのと同時に、想像できるようでできないっていうところがちょっとあって……。というのも、歌詞だけ読むとすごく想像できるんですけど、「淋しい熱帯魚」っていうタイトルに持っていかれる部分があるんですね。海が舞台になっているわけでもなく、熱帯魚が出てくるわけでもないのに、このタイトルをつけた意味はなんだろうってすごく考えてしまって。海って広くて終わりが見えないからこそ、孤独に思うこともあるのかなって自分なりに理解しながら歌ったので、自分の中ではかなり大人っぽくできたっていう認識ではあります(笑)。メロディも歌詞も耳に残るからこそ、シンプルで色んな装飾をつけない方がすごく伝わる楽曲なのかなと感じながら歌いました。

――Winkにはどういう印象を持たれていますか?当時の映像とかもご覧になったと思いますけど。

クララ アイドルって今もそうですけど、すごくニコニコ楽しそうに歌っているイメージがあるじゃないですか。でもその中で、あまり笑顔を見せずに、大人っぽい楽曲を歌うのって、Winkさんにしか出せない世界観だったんだなあって思います。本当に唯一無二で、似ている人もいないし、似ている楽曲もないですよね。しかも10代でその雰囲気が醸し出せていて。今回、私たちがMVを撮影する時も、時代も年齢も違うし、デビュー当時の初々しさだったり、緊張感だったり、そういうものも全部含めた素敵なお二人になるのがすごく難しいなって感じました。

カレン 「Wink」という1つの時代を作ったアイドルだし、唯一無二の存在じゃないですか。今のアイドルってわりと会いやすいですけど、当時のアイドルって、もう会えたら奇跡みたいな。当時はSNSがあるわけじゃないので情報を手に入れるだけでも大変だったと思うし、手が届かないのが当時のアイドルの良さというところがあるので、そこにカリスマ性はすごく感じますね。

――それはClariSも似たものを抱かれているんじゃないかなとも思うんですよ。確かに存在してライブでも目の前にいるのに、「実在性」が希薄なところがあるなって。さて、先ほどもお話に出ましたMV。思いっきりふざけてますね(笑)。

カレン いえいえ!大マジメです!(笑)

――いや、マジメにふざけてるっていうね(笑)。オマージュされている「ザ・ベストテン」という番組は僕も子供の頃に観ていましたけど、なぜか新幹線の中で中森明菜が歌ってるみたいなことがあって!

カレン 私たちはその時代を見ていないので、「本当に?」って思いながらやってたんですけど(笑)。

――本当にあったんですよ。お二人の世代からすると、あれってとんでもない非日常じゃないですか。忙しすぎて、移動中の電車の中で歌っている様子を生中継されるなんて。

カレン そうですね。絶対に経験することのない非日常ですし、当時のアイドルの方のプロ根性にはリスペクトの気持ちでいっぱいでした。ただ、私たちはWinkさんの表情を研究してはいたんですけど、電車の最初のシーンで「収録に間に合わないことに対して少し申し訳なさそうな表情をしてください」というオーダーがあって、「普段から無表情なWinkさんの申し訳なさそうな表情ってどんな感じだろう」って、お互いに見合いながらやりました(笑)。

――あと、やっぱり時代性ってメイクとかヘアスタイルに出るんだなって改めて思いましたね。

カレン 確かに私たちも参考にさせていただいたんですけど、太めの濃い眉毛や、薄い前髪にソバージュとか。まさか人生でソバージュにするなんて思ってなかったです。お母さんの昔の写真でソバージュを知った世代だったので(笑)。

――映像のちょっとソフトフォーカスがかかったみたいな雰囲気も含めて、すごい再現度だと思います。

クララ 実際に公開された時にどんな声が返ってくるのか、やっぱり当時を見ていたわけではないので気になっていたんですけど、「真剣にふざけてる」ところが当時の番組を見ていた人たちにとっては懐かしく、楽しく見ていただけているって感想をたくさんいただいてうれしかったです。同じ年代の子たちにも「今じゃありえない」って80年代、90年代のアイドルのみなさんを改めて知るきっかけにもなってくれたらいいなって思っていたので、届いていて嬉しいですね。

――「SCRAMBLES ver.」のほうは当時の楽曲に今のテイストを取り入れたアレンジで、かなり斬新で素晴らしいと思いました。

クララ かっこ良くアレンジしていただいて。

カレン クールですね。想像をはるかに超えるアレンジにしてくださって、この楽曲ってこういう聴き方もできるの?みたいなアレンジでなので、リアレンジバージョンでもいつかお届けしたいなあっていうくらい2人ともお気に入りです。

次ページ:ClariSとファンにとって幸せな夏に

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP