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2023.06.16

最後の単独公演にして最高の瞬間完全燃焼!“SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~”千秋楽をレポート!

最後の単独公演にして最高の瞬間完全燃焼!“SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~”千秋楽をレポート!

TVアニメ『マクロスΔ』の放送開始以来、足掛け8年にわたって進化・成長を遂げてきた戦術音楽ユニット“ワルキューレ”。地球での役目を一旦終えることになる彼女たちの単独ラストライブツアー“SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~”が、6月4日の千葉・幕張メッセ国際展示場1-3ホールにて遂にファイナルを迎えた。最後にして最高の瞬間完全燃焼で沸き上がった1日の模様をレポートする。

PHOTOGRAPHY BY 羽田誠、原田捺未、等々力菜里
TEXT BY 仲上佳克

泣いても笑ってもラストミッション! 千秋楽の幕が上がる

会場を埋め尽くした、約2万人の観客。その誰もが様々な想いを抱えて、この場所に集まっていた。ワルキューレのファイナルライブツアー、その千秋楽という名の運命の1日はライブビューイングを含めた数多の視線が見つめるなか、『マクロスΔ』主人公 ハヤテ・インメルマン(CV:内田雄馬)の影ナレで幕を開ける。「最後まで最高の風、吹かせような!」というハヤテの呼びかけにペンライトを持った手を掲げ、大きな声で応える観客たち。マスク着用という条件付きではあるが観客からの発声が解禁されたこのツアーで、これまでの5公演でもコロナ禍で失った時間を取り戻すかのようにファンはワルキューレへの声援を送り続けてきた。そのありったけの想いは、今この瞬間ステージの裏で待機しているメンバーにもきっと届いているに違いない。

そして荘厳な音楽が会場に鳴り響き、ステージにはハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの歌唱を担当するメロディー・チューバックが姿を見せる。その神秘的な歌声に圧倒されながらも、こうしてワルキューレのラストミッションに駆けつけてくれたという、そのことが何よりも嬉しかった。まさにラストミッションのオープニングを飾るにふさわしいスペシャルゲストによる「オーラ・サーラ ~光る風~」の歌唱が終わると、場内のスクリーンではハインツと入れ替わるようにしてワルキューレの5人が出撃する新作アニメーションが流される。作中に登場するマクロス艦を模した作りになっていたセットはまるでアニメの世界と地続きのようで、そこに美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の5人が姿を見せたときのアニメと現実が一体化したような感覚はこのツアーがワルキューレとして最後の単独ライブであるのと同時に、『マクロスΔ』の総決算であることを強く感じさせた。

5人が歌う最初のナンバーも、TVアニメの前期OPテーマである「一度だけの恋なら」。人によってワルキューレと出会った時期は異なるだろうが、初期から応援しているファンにとってはTVアニメがスタートした2016年春を思い出して懐かしい気持ちになれたのではないだろうか。1曲目が終わると、「泣いても笑ってもラストミッション!みんな、楽しむ準備はいいんかねー!?」というフレイアΔ鈴木みのりの叫びが響き渡り、「ルンがピカッと光ったら」に突入。ライブではセットリストの終盤にくることの多い印象のあるこの曲がいきなり2曲目に披露されたことで度肝を抜かれた人もいたかもしれないが、この後3曲目が「破滅の純情」、4曲目が「絶対零度θノヴァティック」と続いたことでわかる通り、ライブ冒頭のブロックはTVアニメのオープンエンドを飾った4曲で構成されていた。元気でキュートなフレイアΔ鈴木みのりと力強さのなかにも深みが増した美雲ΔJUNNAというグループをけん引した2人のエースボーカルと、彼女たちをハモりやダンスなどのパフォーマンスで支えるカナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の3人の力が合わさることで生まれるワルキューレならではの魅力。この4曲だけでもそれをたっぷりと堪能できる時間となっていたが、まだまだほんの序盤。ワルキューレのライブでは恒例のキャラクターとして喋るMCを挿んで、この後も強力な楽曲たちを畳みかけていく。

5人の歌声が複雑に絡み合う「チェンジ!!!!!」はダンスもフォーメーションも目まぐるしく入れ替わるが、表情の見せ方も含めて完璧にパフォーマンスしていたのはさすがの一言に尽きる。続く「唇の凍傷」ではメンバーがメインステージを飛び出し、トロッコで場内を移動。広い会場であるがゆえにどうしても後方の席のファンにはメンバーの姿が見えにくくなってしまうが、それでも5人はできるだけすべての席の近くに行って、1人でも多くのファンと目を合わせて歌おうとする。7曲目「いけないボーダーライン」はTVアニメの放送開始に先駆けて先行配信された、ワルキューレの原点とも言うべき1曲。イントロが流れるだけでも会場は最高潮に沸き上がり、メンバーがトロッコからステージに戻るまでの間奏のツインギターによるソロバトルも猛烈にかっこ良く、会場をさらに盛り上げていた。もはやこのライブで何回クライマックスが来るのかわからなくなるくらい会場が熱くなっていくなかで、このブロックを締め括ったのは「Walküre Attack!」。センターステージに集まった5人はスモークの中へと姿を消していった。

一瞬の静寂の後、スクリーンに流れる映像はTVアニメおよび『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』で最も印象深い場面の1つである、メッサー・イーレフェルトとカナメが言葉を交わすシーン。そのラストにはメッサー(CV:内山昂輝)による「歌ってくれ、カナメさん。歌ってくれ、ワルキューレ」という新録のセリフが追加され、その想いを受け取って歌うのはもちろん「AXIA~ダイスキでダイキライ~」。センターステージでスポットライトを浴びるカナメΔ安野希世乃と、彼女を囲むようにして花道の四方に分かれて歌う4人の姿がとても美しく、その歌声に誰もがじっと聴き入っていた。続く「GIRAFFE BLUES」を歌い終えると、メッサーの「ありがとう、カナメさん。ありがとう、ワルキューレ」というセリフが流れ、会場は温かい拍手に包まれた。

続けて流れる映像は『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』のワンシーン。この作品で初登場し、昨年行われたライブ『ワルキューレLIVE 2022~Walküre Reborn!~』でも強烈なインパクトを残したのがYami_Q_ray(ヤミキューレ)だ。ここからの時間はワルキューレに替わって、Yami_Q_rayが会場を占拠。その狼煙を上げよとばかりに闇雲ΔJUNNAの絶唱が響き渡る「Glow in the dark」で、あっという間に会場はYami_Q_rayに支配されてしまう。その後も「Diva in Abyss」「綺麗な花には毒がある」と、Yami_Q_rayはやりたい放題。ステージにベタっと座って歌ったり、あるいは寝そべってみたり……。カメラでアップになった瞬間に見せる小悪魔的な表情には何度もドキリとさせられた。3曲を歌い終えたところで満足したかのようにステージを後にするYami_Q_rayの5人。その後には再びハインツ/メロディー・チューバックが登場し、「ザルド・ヴァーサ! ~決意の風~」を披露。まさしく決意に満ちた歌声がYami_Q_rayによって変えられた会場の空気を浄化してくれるかのようで、観客は心から惜しみない拍手を送っていた。

ワルキューレが活躍する遠い未来へ向けて、しばしのお別れ――

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