INTERVIEW
2023.06.15
――ちなみに少々脱線するのですが、米内さんは男性アイドル役で出演されている作品もございます。そういった経験は、アイドルを立たせる側に回ったときに役立ちましたか?
米内 「自分が頑張らなきゃ」というマインドの、ベクトルが違うことを感じられたように思います。「自分が輝くために、自分が頑張る」というのと「周りを輝かせるために、自分が頑張る」では、やっぱり全然違うんですよね。なので、もしかしたら「自分がやらなきゃ!」という部分が強く出すぎずにすんだのは、アイドル役をやったことがあるからこそなのかもしれません。
――観る側としてもそのバランスがすごく心地良いと感じますし、きっとそういう方は第3芸能課のプロデューサーに共感するように思います。
米内 共感してもらえたら、と考えてやっているところはあるんですよ。どうしてもこれだけ前面に出てくると、ゲームをプレイしてくださっているプロデューサーさんたちにとっては「じゃあ自分の立ち位置ってどこなんだよ」となりかねないですから。なので、そこを差し置いても共感してもらえるようなキャラクター作りが、今回の課題の1つだったと思っていました。
――アニメを観ている世代の方で、いきなり上司からの無茶振りを受けたり、手柄を持っていかれたような方もいるでしょうし(笑)。
米内 あはは(笑)。この作品の面白いところの1つに、“大人との対比”があると思うんですね。そこは極端なくらいに脚色されてはいますけど(笑)、そういう共通点ってみんなを1つにしてくれるような部分ではあるので、その辺りも手伝ってくれているように感じています。ただ、ここまでちょっと悪く見えていたキャラクターも、ストーリーが進むほどに違って見える部分も出てきましたから。
――その片鱗が、第10話で少し見られましたよね。
米内 まさにそうなんですよ。第10話になると、今まで「ごめんな」と思って接してくれていた部分が協力に変わってきたり……そういうふうに少しずつ周りの人たちが心を動かされていることがすごく絶妙な描写で現れているので、第3芸能課のみんなを通じて、「アイドルって、みんなを変えるんだな」というところがとても良く表現されていたように思います。
――そんなアイドルたちの魅力については、アニメの最速放送翌日に配信される「U149の夜ふかし★放送部」で、毎回本編でフィーチャーされるアイドル役のキャストの方をゲストに招いて語られていますね。
米内 どのキャストさんのお話からも担当するアイドルへの愛が溢れていましたし、逆にアイドルに対する向き合い方や演じるうえでのアプローチの仕方が違うことを感じられたのは、とても面白かったですね。ただ、実はその愛が特に前面に出てくるコーナー「愛を語ろう!今週のアイドル」は、元々はちょっと違う形式でお届けする予定だったんですよ。
――そうだったんですか!?
米内 はい。それを、最初の企画会議のときに「世のプロデューサーさんが求めているものって、こっち側なんじゃないかな?」とお話させてもらって、今の形に落ち着かせてもらったんです。結果として、僕自身もアイドルたちのことをより知れましたし、そのうえでキャストの方たちからもこれまでの積み重ねと愛情の深さをより知ることができたので、プロデューサーさん的にはより満足度の高い時間をお届けできてよかったんじゃないかなと思っています。
――それに加えて、プロデューサー役として各アイドルに接している米内さんから見た愛すべきポイントを聞いて共感できる……という楽しみもあるように思います。
米内 あはは(笑)。ただ、プロデューサーさんごとに自分の担当アイドル像というものがあるでしょうし、それは揺るぎないものであって、それぞれが持っていていいものだと思うんです。だから僕としては、そのアイドルの土台の部分を「売りはここですよ!」と最低限お届けしているだけで。逆に「それ以外のことは、たくさん教えてください!」といったスタンスでいるからこそ、皆さんあまり抵抗なく受け入れてくださっているのかな、と思っています。
――さて、続いてはOPテーマ「Shine In The Sky☆」についても、率直な感想をお聞きできますでしょうか。
米内 王道のアイドルソングでもあるのに、彼女たちの個性や子供らしさもちゃんと垣間見える、すごく絶妙で素敵な楽曲ですよね。ただ僕は最初に聴いたときから……変な意味じゃなく「これ、聴いたことなかったっけ!?」と思ったくらい、馴染みが良すぎて(笑)。というのも僕、今までの人生の中で何度かデジャヴ体験のようなことを経験したことがあって、まさにその感覚だったというか……それぐらい「『U149』のOPって、これだよね!」と素直にスッと入ってきたんですよ。
――ということは、それまでの収録やシナリオを通じて培った作品のイメージと、ぴったりリンクしていたということですもんね。
米内 はい。それに、1話ごとに全然内容やアイドルのフィーチャーされる側面も違ってくるのにどのアイドルの回にも合っているし、その反面同じ歌なのにどこか違う曲のようにも聴こえるんですよね。きっとそれは、ストーリーがちゃんとこの1曲に包まれているからこそだと思うので……本当に「お見事」という言葉しか出てきません。
――しかもこの曲、各アイドルのソロバージョンもありますから。
米内 そうなんですよ!僕はまだソロバージョンを聴けていないので、具体的には何とも言えないんですけど……それぞれが間違いないものではありつつ、全然違う曲になるだろうなと思うんです。全員バージョンを聴いていても、それぞれの声が際立つ部分って出てくるじゃないですか?それがソロだと如実に全部に現れてくると思うんです。そうなると、アイドルごとの歌い方や想いの込め方がよりはっきりと伝わってくるでしょうし、何度でも繰り返し楽しめるはずだから……お話をしながら「一刻も早く全部聴きたい!」という気持ちになってきました (笑)。
――ソロならではの発見も、きっとあるでしょうし。
米内 絶対にあると思います。もしかしたら自分の理想のパート割を考えて、自分でリミックスするような方も出てくるかもしれませんね(笑)。全員分のソロバージョンが出たことで、やろうと思えばできてしまうわけですから。
――なんだか、それも新しいプロデュースの形みたいですね(笑)。
米内 いや、でも絶対面白いと思いますよ。それぞれのプロデューサーが思い描く自分のベスト「Shine In The Sky☆」……機会があったら聴いてみたいです(笑)。
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