INTERVIEW
2023.06.09
大人気放送中のTVアニメ『マッシュル-MASHLE-』で、主人公のマッシュと学友たちが踊っているエンディングの楽曲を歌っているのは、5人組のアイドルグループ・フィロソフィーのダンス(以下、フィロのス)。マッシュの大好物であるシュークリームと彼女たちの代名詞であるファンクミュージックとコミカルでキュートなダンスを融合させた「シュークリーム・ファンク」を表題にしたメジャー6枚目のシングルをリリースした彼女たちに、有機的なコラボとなった本作に込めた想いを聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
――東名阪ツアー“Brand New Dance TOUR”を終えた感想から聞かせてください。
奥津マリリ まずは安心したっていうのが一番大きな気持ちですね。新体制に向けて、不安な気持ちももちろんあったし、たくさん悩んで考えて作り上げてきたことがやっと1つの形になって完結した、という感覚があって。ここ数年かけて色々と考え続けてきた答えが、すごく良い形で出せたなという気持ちが強いです。
佐藤まりあ もうフィロソフィーのダンスを8年も続けてきましたけど、まだやってないことや新しいことがたくさんあるんだなと思いました。例えば今回だったら、ハルちゃんとマリリがメインになって歌うところで2人の歌の底力をいちメンバーとしても感じて。一公演目は、本番中に2人の歌に聞き惚れて、一歩出遅れちゃいました。
――あははは。「ヒューレスティック・シティ」の歌い出しですね。2人がピンスポでメロウに歌い出すというアレンジになっていました。
佐藤 そうです!ハルちゃんがフェイクして、マリリが歌い出すところで、本当に2人の歌、良いなって。
奥津 ありがとうね。
佐藤 上手いだけじゃなくてちゃんと人に届く歌だなって思ってたら、動き出しのタイミングが見事に出遅れました(笑)。
日向ハル おいおい、しっかりしろ(笑)。
佐藤 私のせいで(木葭)ののも間違えて。でも、東京公演では、ののが「ここで動きます」ってしっかり教えてくれたので間違ええずにできました(笑)。新メンバーの2人はまだ半年なのに、もうずっと一緒にいたみたいな空気感とパフォーマンスで頼もしくて。もう新メンバーとは呼ばせない、間違いなくフィロソフィーのダンスのメンバーだなと感じたし、スピーチの部分もちゃんと自分たちで何度も練り直して、素敵な言葉を聞かせてくれて。<お姉さんズ>は本当に嬉しく思いました。
日向 ふふふ。新メンバーは、私たちメンバー自身が審査員になった「中途採用オーディション」で入ったんですけど、その研修期間が終わったのが、東京公演だったのかなと思って。これはファンの方がツイートしてくださってた言葉なんですけど(笑)。
奥津 あははは。ありがたい!
日向 半年間のファンクラブツアーやリリイベは確かに研修期間という感じで、私達も二人に色々と教えてきて。ライブというのは、「1公演1公演、自由に楽しんで、生きてるっていう感情を伝えることだよ」とか。決められた番号に立って、決められた歌を歌うことだけがライブじゃないっていうことを半年間一緒にステージに立ちながら伝え続けてきて。それが完成したのがThe GARDEN HALL(恵比寿)だったんじゃないかな、と。だから、あんさんも言ったけど、ここからはもう、新メンバーやオリジナルメンバーっていう垣根もなく、5人横並びで、すべての人たちを踊らせていける状態までこれたなと感じました。
木葭のの 私も同じように感じてます。加入当初は楽屋でもオリメン3人と私達、新メン2人がそれぞれ話していることが多かったんですけど。
日向 リアル!
木葭 ふふふ。この半年間でリリイベやライブを重ねてきて、楽屋での会話も5人で喋るようになって。恵比寿で5人が1つになったことを感じることができて、すごく楽しかったです。
香山ななこ 私はこのツアーを通して、スタッフの方に「大阪公演が良かった」って言われたんです。自分では客観的に客席からこの5人のライブを見れないので、どこがどう良かったのか自分なりに色々と考えて……。自分の中での良いライブというのは、自分の気持ちや熱を歌とダンスで表現できることかなと思ったんです。東京公演ではその気持ちをもっと表に出すにはどうしたらいいかということを考えながらできたので、自分でも少し成長できたのかなと思えるツアーでした。
――そのツアーでは、新曲「シュークリーム・ファンク」も披露しました。TVアニメ『マッシュル-MASHLE-』のEDテーマに起用されることが決まったときはどう感じましたか。
日向 本当にいいんですか!?って思ったんですけど、選んでいただいたからには絶対に最高の曲を作るぞ!という気合いが入っていました。
佐藤 制作前にみんなで原作を読ませていただいたんですけど、私は単行本を全部買っちゃいました。ずっとジャンプ作品は好きだったんですけど、『マッシュル-MASHLE-』を読んだことで自分の中のジャンプ熱がまた加熱して。『マッシュル-MASHLE-』は<アブノーマル魔法ファンタジー>って呼ばれているけれども、マッシュは胸に突き刺さる人生の指標となるようなガツンとした一言をくれるし、登場人物も主要キャラクターたちは全員真っ直ぐな優しい心を持っていて。「これだよな、ジャンプって!」と思いましたし、人生の教科書となるような作品に出会えて良かったなと思いました。
奥津 そうだね。私もじいちゃんが襲われたときに、マッシュが「家族は絶対守る」って言ったでしょ。そこで、「マッシュと結婚したい!」と思って。脳筋と呼ばれることもあるけれども、マッシュの信念として人を大切に思う気持ちがあるんだなと思ったら、こういう人と結婚したいっていう。まさかのマッシュガチ恋勢みたいな気持ちが芽生えて、自分でもびっくりでした。
木葭 マッシュは魔法が使えないのに魔法学校に行って。魔法を使う授業があるたびに、魔法は使えないけど、何かしらのことをして解決していて。例えば、箒で飛ぶシーンは足の筋力で飛ぶんですね。できないでしょって思うことも乗り越えている姿を見て、自分の中でもできないと思い込んでることもマッシュのように挑戦していくことが大事なんだなって学びました。
香山 マッシュは理不尽なバトルを仕掛けられても、自分の持ってる筋力でただ返り討ちにするんじゃなくて、改心させようとしていて。そういうところに、真っ直ぐなマッシュの性格を感じて、すごく優しい心を持ってる人だなって思っていました。
――原作を読んだうえで、どんな曲にしようと考えていましたか?
奥津 マッシュの好きなシュークリームと私たちの大切にしている音楽であるファンクを掛け合わせた「シュークリーム・ファンク」という曲を作ろう、というテーマが最初に決まりました。たくさん候補曲を歌ってみて、これが一番良いよねと思えるものを選んで。
佐藤 たった1分半という短いなかで皆さんの耳に残るフレーズがあったらいいなと思っていて。サビは同じフレーズを繰り返しているので、きっと1回聞いたら頭から離れないと思います。この短い時間にインパクトのある、耳残りの良い言葉を詰め込んで。きっと皆さん、第1話から覚えて歌ってくれたんじゃないかなと思っています。
日向 楽曲は超ファンクだけど、『マッシュル-MASHLE-』の世界観に合わせて、歌詞はちょっとコミカルで。冒頭で“カスタード!”“チョコレート!”“シュークリーム!”って言ってるんですけど、人生であんなにかっこよく「シュークリーム!」って叫ぶことがあるなんて思ってませんでした(笑)。
――マリリさんは“チョッコレ~~~ト”とかなりスイートに言っていますね。
奥津 そうなんです(笑)。でも、「やりすぎなくらいやっちゃってください」って言っていただいたので、<セクシーこぶし>をきかせて歌って。こんなにセクシーでいいのかな?と思っていたんですけど、できあがってみるとそれくらいの甘さのパンチが必要だったんだと思って、やり過ぎくらいがちょうどいいんだなと感じました。
木葭 私もファンクでかっこいいんだけど、シュークリームで甘いというギャップを歌でも表現できるように歌いました。
――“ドント・ストップ・ザ・ダンス”というフレーズも入ってます。
日向 メジャーデビューの伏線回収だね。
奥津 ふふふ。コーラスワークも実はかっこいい部分が多いんですよ。ファンクでかっこいいいですし、私たちの大切にしている、みんなを躍らせたいというフレーズも入ってるんですけど、この曲を通して一番伝えたいことは……。
佐藤 シュークリームへのでっかい愛、ただそれだけ。
香山 特にコミカルな歌詞は、『マッシュル-MASHLE-』シーンを思い浮かべながら歌いました。
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