2022年10月クールに放送され大きな話題を呼んだTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。劇中に登場する結束バンドのアルバム『結束バンド』は大ヒットを記録し、先月21日にはライブイベント“結束バンドLIVE-恒星-”が開催されるなど、今なお熱い盛り上がりを見せている。そのライブで初披露されたのが、5月24日にリリースされたニューシングル「光の中へ」。スリーピースロックバンド・SAKANAMONの藤森元生(Vo & Gt)が作詞・作曲した、ソリッドかつエモーショナルなロックチューンだ。
本アニメを一冊まるごと特集した別冊「リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション」をはじめ、結束バンドの音楽を徹底紹介してきたリスアニ!では、今回、藤森へのメールインタビューを実施。生粋のバンドマンである彼は、作品や結束バンドの面々からどのような印象を受けて「光の中へ」を書き下ろしたのか。その熱い想いをぜひ受け止めてほしい。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
――今回の楽曲提供のお話を最初にいただいたときの感想を教えてください。その時点で『ぼっち・ざ・ろっく!』のことはご存じでしたか?
藤森元生 話題になっていることは知っていたのですが実際に観たのはアニメ放送が終わった直後でした。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)で全話観終わった数日後にこの話をいただきました。
タイムリーで本当に驚きました!
――『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品に対して、どのような印象をお持ちですか? アニメをご覧になった感想や魅力に感じた部分を教えてください。
藤森 チケットノルマ、ワンドリンク制などインディーズバンド事情が描かれているところが魅力的です。
ライブハウスのモデルになった下北沢SHELTER(STARRY)や新宿LOFT(FOLT)には昔からお世話になっていたので内装の忠実さにテンション上がりました!
「後藤ひとり」の脳内描写する際の演出でタッチが全然違ったり実写やCGを織り交ぜたりしてて表現表情豊かで、感心しながらとても楽しく観させてもらいました。
――アニメをご覧になって共感できたポイントはありますか?
藤森 「後藤ひとり」の思考にはとてもシンパシーを感じます。
むしろ共感しないところがないくらいです。
自意識過剰過ぎて女子とは敬語で「はい」と「いいえ」しかしゃべれなかった自分の高校生時代を思い出させてくれました。
――アニメで特に印象深いシーンやエピソードを挙げるとすれば?
藤森 第4話で後藤ひとりの作詞に山田リョウがアドバイスするシーンが好きです。
作詞家と作曲家が自分の気持ちに嘘をつかない、妥協を許さない作品作りへの姿勢がこのシーンで確立されていて、グッときます!
「個性捨てたら死んでるのと一緒だよ」と言い切ってくれる山田リョウは格好良かったです!大きく頷きました。
――結束バンドの楽曲に対しては、どのような印象をお持ちでしょうか。差し支えなければ、好きな楽曲とその理由についても知りたいです。
藤森 第1話OPで「青春コンプレックス」を聴いたときに「あ、このアニメはロックだ!」って感じとれました。
出だしのリフ、キメでもう心持っていかれます。コードとメロディがシリアスで音に説得力があって、素直に格好良いと思いました!
「忘れてやらない」は第12話の文化祭の演奏を聴いて素敵だと思いました。軽快で爽やかなメロディに後藤ひとりのモラトリアムでいっぱいの歌詞が絶妙なバランスで、MVのような描写に彼女たちの精一杯の青春を感じることができて良かったです!
――今回の楽曲「光の中へ」はどんなイメージで制作されましたか? アニメサイドからはどのようなオーダーがあったのでしょうか。
藤森 作曲に関してはシンプルに「アッパー」「格好良いギターロック」であること。
今作が実際にワンマンライブを行ってそこで発表される楽曲だということがわかっていたので、今回は「結束バンドが大舞台に上がる」ということを意識して「ライブ」を軸にした楽曲テーマで進めていきました。
――結束バンドらしさ、もしくは「作詞:後藤ひとり」らしさを表現するために工夫したポイントは?
藤森 アニメも観返しながらより「後藤ひとり」を理解して感情移入出来るように努力しました。
難しかったのは、心の中で思っていることでもポジティブな言葉を素直に書くことが出来ない「後藤ひとり」だというところでした。
どこまで言葉にする人なのか、歌詞に落とし込む人なのか、という表に心を開き過ぎないギリギリのラインを考察して何度も書き直しました。
――逆に藤森さんらしさが出た部分、「ここは自分だからこそ書くことができた!」と感じるフレーズやメロディはありますか?
藤森 コード進行には僕らしさが出せたと思います!
サビの「爪弾き」という言葉は僕にとって付き合いの長い友達のような言葉なので今回使うことが出来て嬉しいです。
――「光の中へ」の歌詞で、ご自身の感情や体験と重ねられる部分があれば、そちらについてもお伺いしたいです。例えばバンド活動を行うなかで“光の中”にいることを感じた瞬間はありますか?
藤森 コロナ禍でライブが出来ない状況が続いたとき、当たり前だと思っていたことがそうではなかったのだと思い知りました。
バンドが出来ること、ライブが出来ること、すべて1人じゃ出来ないことで、たくさんの人たちに救われて成り立ってるということを見つめなすことが出来て、痛感しました。
僕にとってはメンバーもお客さんも光で。僕のバンドがお客さんにとっての光でありたいです。そう思えてからは演奏しているとき、自分はずっと光の中だと実感するようになりました。
――「光の中へ」の完成音源を聴いた感想を教えてください。三井律郎さんのアレンジや、キャストの皆さんのボーカル/コーラスが加わったことで、どんな化学反応が起こったと感じましたか?
藤森 素直に格好良いと思いました!
僕のデモよりも聴きやすくて、コピーしやすくて、各パートの音の棲み分けもきれいでアレンジャーってすごいと思いました!
元々ラスサビの追っかけコーラスは2声しか入れていませんでしたが後藤ひとりも含め全員参加していて胸熱でした!
高低差の激しくて難しいメロディを作ってしまったので申し訳ない気持ちで心配していたのですが、長谷川育美さんの歌が上手くて、音程の低いところでもちゃんとハリのある声ですごいと思いました!ライブでもそうだったので本物です!素晴らしかったです!
――三井律郎さんのアレンジには細やかな工夫が施されていますが、藤森さんが特にグッときたポイントがあれば教えてください。
藤森 たくさんありますが特に好きなところは、
イントロ出だし10小節の神々しいアレンジ。
2A終わりの間奏のコーラス。
サビ後半からのステップを踏んでいるようなギターリフ4小節。
アウトロ後半のギターリフ。
などです!
自分にはなかった発想でとても楽しく勉強させてもらいました!
――先日行われた結束バンドのライブ“結束バンドLIVE-恒星-”はご覧になりましたか? もしご覧になったのであれば、ライブ全体の印象と「光の中へ」が初披露された際の感想を教えてください。
藤森 滑り込みでライブ参戦させてもらいました。
関係者席をご用意いただいていたのですがあえて2階立ち見でお客さんの熱を感じながら一緒に楽しませてもらいました。
始まりからロックバンドらしい演出で音も格好良くて疎外感をまったく感じずに楽しむことが出来ました。
個人的には青山吉能さんのギターソロが1番グッときました。
一生懸命弾いていて、お客さんもそれを温かく応援していて、とても感動しました!
「光の中へ」の初披露の瞬間はとても緊張しました。
期待と不安で最初は直視できませんでしたがお客さんが音に乗って盛り上がっている姿を観て、とても嬉しく思いました。演奏も歌も最高でした!
――今回の楽曲提供は、ご自身のキャリアにとってどんな体験になりましたか?
藤森 公表されるまでは「僕なんかで大丈夫なのかな?」という不安な気持ちでいっぱいだったのですが、喜んでくれる人たちがたくさんいて今ひと安心しています。
これからも長く愛される楽曲になったら嬉しいです。
楽曲提供は今までもしたことはあるのですが、今回はアニメのスピンアウト作品というところで制作にあたり結束バンド、後藤ひとりが持つ世界観に心を通わせて作り上げる過程は今まで味わったことのない面白さがありました。
とても良い経験をさせてもらえてとても光栄に思います!
――『ぼっち・ざ・ろっく!』を通してバンドシーンやバンド活動に興味を持ったアニメファンの方たちに向けて、バンドマンとして伝えたいメッセージを最後にいただけますでしょうか。
藤森 山田リョウも言っていることですが、バンドは歪(いびつ)であるからこそ楽しいと思います。
違う人間同士で違う楽器で気持ちを通わせたときに生まれる化学反応には驚きや楽しさが詰まっていて、その感動が尽きることは一生ありません!
ライブなんてもっと奇想天外です!
もしこれから楽器を始めたいと思っている方がいるなら、ぜひバンドでしか味わえない毎分毎秒の奇跡を体感して欲しいです。そして音を楽しんで欲しいです。
なんてったって「音楽」ですから。
●リリース情報
結束バンド
「光の中へ」発売中
【初回仕様限定盤】
品番:SVWC-70620
価格:¥1,320(税込)
<収録曲>
1.光の中へ
2.青い春と西の空
3.光の中へ-instrumental-
4.青い春と西の空-instrumental-
初回仕様限定特典:結束バンドLIVE-恒星-パックステージパス風ステッカー
※収録内容や特典は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
※各種店舗特典の詳細はHPでご確認ください。
●書籍情報
「リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション」
発売中
詳細・ご購入はこちら
©はまじあき/芳文社・アニプレックス
TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』公式サイト
https://bocchi.rocks/
TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』公式Twitter
https://twitter.com/BTR_anime
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