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INTERVIEW

2023.05.31

超ハイテンションアンセム爆誕!!夏のツアーはこの曲がワンターンで制圧!?――15thシングル発売記念!TrySailロングインタビュー

超ハイテンションアンセム爆誕!!夏のツアーはこの曲がワンターンで制圧!?――15thシングル発売記念!TrySailロングインタビュー

TrySailの15thシングル「華麗ワンターン/Follow You!」は、TVアニメ『異世界ワンターンキル姉さん~姉同伴の異世界生活はじめました~』の主題歌2曲を収めた非常にハイテンションな新作となった。
片や一聴して異端な楽曲、片やよく聴くと王道なテイストの中に隠れた不思議さと、正反対の個性を持った2曲に、TrySailはどう挑み、どう歌いこなしたのか。ワンターンでは終わらぬ丁々発止のインタビューをたっぷりとお届けしよう。

INTERVIEW BY 青木佑磨(学園祭学園)
TEXT BY 市川太一(学園祭学園)

クラスで目立たない人が本気出したときの強さ

――ニューシングル「華麗ワンターン/Follow You!」から、まずは「華麗ワンターン」について伺います。非常にハイテンションな新曲ですが、最初に楽曲を聴いてどう思われましたか?

夏川椎菜 あの……聴きながら「ちょっと待って、待って待って……1回待とう?」、「いやいやいや、バカバカバカ!」みたいな(笑)。でもなんとなく、こういう曲が来る予感はしてました。「WANTED GIRL」辺りからTrySailのちょっと早口な曲がお客さんにも好まれるし、私たちもライブでやっていて楽しいし、最近もそこの流れを汲んで曲を作ったりしていたので。みんなの中でTrySailの得意とする曲のジャンルの1つとして、こういう方向性は期待されているのかなと思ってたので、すごくタイミング良くというか、『異世界ワンターンキル姉さん』のテイストと、こういうTrySailが今押し出していきたいジャンルがマッチしたんだなというのは感じましたね。

麻倉もも 私はまずいただいた歌詞から見るんですけど、歌詞だけでも伝わるごった煮感があって、そこから曲を聴いて「お、やってんなぁー」って(笑)。初期の私たち、それこそ「whiz」とか「オリジナル。」みたいなキラキラ爽やか曲を歌ってたTrySailから成長して、振り幅というかこんな方向の曲もいけるようになったんだなって思います。

雨宮天 自分たちが言うのもどうかと思うんですけど、TrySailも8年やってきてだいぶ中堅感が出てきたなっていうね(笑)。さっきナンちゃん(夏川)が言ったようにこういう早口な曲とか賑やかな曲が増えてきたなとは思ってたんですけど、それをタイアップで求められるということは、私たちのコミカルな曲でのパフォーマンスが評価されてるんだなっていうのはすごく感じて。確かに大きいイベントでも盛り上げ役を任されることが増えてきたところだったので、その流れに乗るタイミングなのかなと思いますね。

――確かにデビュー当時から追ってきてる人でも、雨宮さんが言ったようなパフォーマンが評価され、求められるグループになると予想できた人は少ない気がします。

雨宮 なんか最近そんな感じはするよね。

夏川 するする。応援してくださってる方々の中には、やっぱりTrySailはライブが楽しいって言ってくださる方が多くて。ライブだと「adrenaline!!!」だったりイントロから楽しくなる楽曲が好まれるので、そういう意味でも私たちに求められてる1ジャンルではあるのかな。私たちの性質にも合ってるんだと思います。普段からこういうふうにふざけていたりするし、ライブになるとちょっとね、あの……培ってきたテクニックを使って好きに暴れるみたいな(笑)。

雨宮 なんか私たちのライブって、普段クラスで目立たないタイプの人が本気出したときの強さみたいなとこあるじゃない?内に秘めた強さというか、日頃抑えてたものを爆発させるというか。エネルギーの出し方としてそっち系だと思うんですよ。全員なりふり構わず、明日のことも気にしないみたいなところが我々のライブにはあるし、それが我々の良さだと私は思ってます。

――確かに。これは「華麗ワンターン」も含めて感じたんですけど、普段からこういうテンションな人が表現するこういう曲だったら聴いていてしんどいと思うんですよ。ちゃんと特別な日の特別な発散だからノれるというか。

夏川 それはありますね。ライブでもブンブン手を振ったりするし、全力で汗をかくし、そこに対して自分の見え方とかそういう部分じゃなくて、なんというかちゃんとハートで伝えなきゃみたいな、結構アツいところがみんなあるというか。割とみんなスポ根体質なんですよ。

――そこは共有してる感覚なんですね。

夏川 話したことはないですけど自然とそうなっていたし、みんな元々そういうタイプが集まったんだろうし、もっというとうちの事務所が好むタイプの人間だったのかもしれない。そもそもオーディションで我々が選ばれたのってそういうところを感じ取ってもらえたのかなとは思います。

――以前「はなれない距離」のインタビューをしたときに、「私たちもこういう曲がテクニックでできるようになりまして」という話をされていて、「華麗ワンターン」も色々なテクニックが使われたうえでのハイテンションのように聞こえました。それぞれ意図や意識した点はどこでしょう?

夏川 まさにその通りで、テンション一本鎗で挑んで乗り切れる楽曲ではないんですよ。場面転換が多いし、音も忙しく動くし、そもそもテンポが速くてリズム取りが難しいですし。その中でお芝居的な要素だったりとか、各々のさじ加減でいくらでも遊べるような余白が与えられている楽曲なので、我々も8年やってきたからこその経験をふまえつつ、自由にやれる部分と、ここはきっと3人でユニゾンだからちゃんと秩序を持ってやらなきゃみたいな部分の切り分けはレコーディング時にかなり意識しました。

麻倉 この曲は試せることがすごく多かったですし、自分で「ここどうしよう?」と考えるよりも、もう歌詞の文字から「こうしてください」って言われているような感じがして、私はやりやすかったです。もちろん頭で色々考えつつも、この文章を読んでるように歌ったら自然とこうなるよなっていうフレーズが多かったので、だいぶ心のままに歌った覚えがあります。

――歌詞の時点で感情やテンションの方向は既に定まってて、あとは力の加減次第みたいな。

麻倉 そうですね。最初は薄味でやってみて、その後はここをもうちょい詰めてみようとか、同じ部分をだいたい3回から5回くらいずつ録っていくんですけど、自分で聴いて確認して、ここはこうしようかなと調整しながら歌っていきました。

――その作業って絶対に声優の技量と関係しますよね。歌詞の文字から「なるほどこの感情ね」みたいな意図を素早く汲めるのって役者のスキルでしょうし。

麻倉 そうですね。歌いながらそれを切り替えてやっていくとかだと、確かに声優の経験がある方が得意なのかも。

――不安もあまりなかったですか?

麻倉 不安もなかったですし、現場でもディレクターさんと意見はだいたい一致していて、すごく話し合ったりとか戸惑ったりすることはなかったです。

――雨宮さんと夏川さんも「そうだよね」みたいな感じで頷いてますが、声優ではない人間から見て、この歌詞に対して「迷うところは別にないです」っていうのはだいぶ驚くべきことですよ。ヘンと言ってしまってもいい。

雨宮 なるほど……うーん、そうなんだな(笑)。

夏川 むしろやったるぜ!くらいの感じだったよね。

雨宮 きましたか、いっちょやったりますか!みたいな。

麻倉 「ここ欲しいんでしょ?」みたいなね(笑)。

――「adrenaline!!!」や「WANTED GIRL」はある程度の感情の流れみたいなものが見出せるかもしれませんが、「華麗ワンターン」は似た路線のようで感情が非常にブレるというか。

雨宮 4つくらいの全然違う作品をかき混ぜたみたいなところがありますね。でも、それこそが得意分野というか。ユニットを組んで8年、声優としても10年近くやらせてもらっている引き出しがあったので、むしろテイクを重ねるたびにお芝居的な表情感の崩し方とか、あえてテンポを無視して歌ってみるとか、「ここはこうやるのもアリだな」みたいな案がたくさん出てきて、取捨選択に時間がかかりましたね。

――そういうときってある程度完成系を組み立てて現場に持っていくんですか?

雨宮 事前に「私はこういきます!」ではないですね。マイクの前で曲が流れてる最中に、「あ、こうしたら面白いんじゃないか?」みたいに突然閃いてそのままやったりして、いくつかのテイクの中で自分的に確実にこれだなっていうのが録れたらそれは伝えますし、でもほかの2人の歌い分けとの組み合わせもあるので、決めきれなければ選んでもらいますね。

――ちょっと演劇的ですね。瞬間的に音が入ってきての閃きとか、テンションがその場で決まる感じるとか。

雨宮 だから家であまり作り込みすぎると、融通がきかなくなっちゃうんです。ある程度の譜割りとかは気にしつつも、ラフに構えて出てきたものを出すみたいな。なので自分で言うかっていう感じなんですけど、歌いながら「私こんなに引き出し増えてたんだ」と感じることもできて、そういう意味でも楽しかったですね。こういうことができるのは多分コメディっぽい曲だからこそだと思います。ある意味何をやっても許される雰囲気があるから。

夏川 これだ!っていう正解がない印象はいつもより強かったね。例えばかわいい系の曲だと「かわいい」の引き出しの中からどれを選ぶかみたいなところなので。

雨宮 この曲だとかわいくやってもいいし、言ってしまえばちょっと下品にやってもいいし、泣いてもいいし、めっちゃ怒ってもいいからね。

夏川 私は録っている時から「これライブでやるのか……」と思っていて(笑)。レコーディングっていくらでも録り直せるし、ここの一行だけ録るとかもできるので成果としてベストな音源が作れるんですけど、そのベストな音源を聴いたお客さんはきっとライブでもそれが聴けるって期待するじゃないですか。だからライブではその自己ベストを超えなきゃいけないという意識があって、この曲はテンポも速くて、歌の切り替えとかもだいぶレベルの高いことをやっている意識はあったので、千本ノックをやるくらいの気持ちでワンコーラスはつるっと通して録った記憶があります。

――この曲をワンコーラスつるっとはだいぶチャレンジですね。

夏川 私は割とどの曲でもですが、たとえ3人での歌い分けがなくても自分だけで成立させるくらいの完成度で歌い切りたいなという気持ちがあるので、この曲も長めに回して録りました。次の日に腹筋が筋肉痛で大変でしたけど……。

――レコーディングの良さって、1行目と2行目で真逆のテンションにすることも編集によってはできるわけですが、それだとライブで再現しにくくなってしまうと。

夏川 そうですね。再現できるならいいんですけど、私は聴き手としては、レコーディングで作られたものはライブでも聴きたいって思っちゃうんです。「華麗ワンターン」はTrySailの楽曲だから、最終的に3人で歌い分けるんだなと頭では思っていましたけど。でもやっぱりAメロをかっこ良く歌った後にすかさずBメロの「ストレス大敵!」を幼児ボイスで歌わなきゃと思ったので、自分の中で納得のいく、ライブでもこれなら絶対に無理なくいけるぞっていう再現性の高い幼児ボイスを探してましたね。

雨宮 再現性の高い幼児ボイス!(笑)。

――マイクの前で「ちょっと1分ください」って幼児になってちゃ間に合わないと。

夏川 その幼児になるために声出しが必要だったら意味がない。自分の普段歌ってる声の出し方と、お芝居での声の出し方はやっぱりまだ距離が遠いなと思うので、この曲を歌ってみて、なんというか歌の表現のレンジがすごく広がったなって感じましたね。

――ちなみに、皆さん完成したほかのメンバーの歌唱を聴いてどう思いましたか?

夏川 よりカラフルになって、めちゃくちゃ聴き応えがあるなと思いましたが、それと同時に「お、やってんね!」って(笑)。私は録ったのが最後だったので、ラフ状態で2人のソロミックスも聴いたんですよ。最終的には歌い分けで採用されてない部分まで聴けたんですけど、ああ、このパートは絶対もちさん(麻倉)だなとか。あーここは絶対天さんだわって、もう録る前から負けを認めざるを得ない……みたいな部分もあったりしました。

――この分野であなたにそれをやられたら勝てないよ、と。

夏川 あの、「おーわらんらんらんらんらん」の後ろでもちさんが大絶叫してるとことか(笑)。

――あのパートの担当は麻倉さんなんですか!?

麻倉 楽しくなっちゃったんでしょうね(笑)。皆さんに言われます、あれ麻倉さんだったの!?って。

夏川 そんなきれいな絶叫ある?って声がラフミックス音源に入っていて、「ええ!?」ってなって(笑)。

麻倉 こういうガヤみたいな声って全部歌い終わって最後に録るんですよ。多分この曲を何時間も歌って、なんかハイテンションで変なスイッチが入っちゃってて、ガヤはもう好き勝手にやってましたね。結構色んなところに細かく入ってるので、誰と誰がどういう感じでやってるのかとか、そこも注目して聞いてほしいですね。

夏川 叫んでない2人はおーわらんらんらんらんって歌ってます。

――なるほど。ちゃんと歌割りになってると。

夏川 そうです。ライブでやれちゃうんですよ。

麻倉 実は2月に初披露した時にも「絶叫の部分も再現しようよ」という話になったんですけど、さすがに初披露だから……。

――その時点ではお客さんは音源を聴いていないわけですもんね。

麻倉 そうです。だから「突然どうした!?」ってなっちゃうだろうと。でもみんなが音源を聴いて、ライブとかでも馴染んできたら叫びたいなって気持ちはあります。

雨宮 もちさんだけ別枠のステージとか立って欲しいもんね。高いとことかと昇ってもらって、ピンスポがカッ!って。

麻倉 いいね。気持ち良さそうですね。その後すぐサビが来るから……。

雨宮 まあ最悪途中から入ってくれば。いやでも「ここは歌詞的にも歌い分けはこの人だろうな」とか、ここは得意分野だからいけるか?みたいな予想もしてたんですが、あの悲鳴の部分をあんなに本気で取りに来るメンバーがいるとは(笑)。

――しかも最初の1人目のレコーディングであれをやってるわけですよね。

夏川 私も1人目があれだったから「ディレクションどうなってんの!?」って(笑)。

雨宮 なんかもうちょっと綺麗な「きゃー!」くらいかと思ってたら、本気のホラー映画みたいな「ぎゃあああーーーー!」で(笑)。

――ちなみに先ほどの、ライブで叫び声のところは高所でピンスポでみたいな提案って、昔だったら却下されてたと思いますか?

夏川 アイデアがあったとして、言ってみることはあったかもしれないけど、やっぱり実際にやるにはちょっと無理あるねってなってたかもしれないですね。でもだんだん自分たちで実現可能なことの範囲が広がってきたっていう意味で、今のほうがどんどん言えるようになってきたかなと思います。

――今ならそのアイデアありそうだなって普通に思いますね。

夏川 やれるだろうなと思いましたけど、スタッフさんからやめてって言われそうだなと思いました。「お願いだから、麻倉さんのイメージとかあるから」って(笑)。私的はもうあの、漫☆画太郎先生くらいの迫真のタッチで叫んでほしいんですが。

次ページ:王道でありながらも不思議な恋の歌

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