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INTERVIEW

2023.05.31

Poppin’Partyの原点回帰と挑戦――ミニアルバム『青春 To Be Continued』とともに愛美、大塚紗英が見据える煌めくバンドの未来とは?

Poppin’Partyの原点回帰と挑戦――ミニアルバム『青春 To Be Continued』とともに愛美、大塚紗英が見据える煌めくバンドの未来とは?

BanG Dream!」プロジェクト(以下、「バンドリ!」)で先陣を切って走り続けてきたガールズバンド、Poppin’Party(以下、ポピパ)。結成から8年の間には、18枚のシングルと2枚のアルバムなど数々の楽曲をリリースし、単独・合同・フェスを問わず幾度もライブを重ねてきた。リリースとしては約半年ぶりとなり、ミニアルバムとしては2枚目となる今作『青春 To Be Continued』は、ポピパ誕生時の煌めきと高揚感を聴く者に喚起させる。原点回帰と果敢な挑戦が混在する6曲に触れ、ポピパメンバーとして戸山香澄(Gt.&Vo.)と花園たえ(Gt.)をそれぞれ演じ、バンドの中でキャラクターと共に成長し続けてきた愛美と大塚紗英は、バンドにどのような未来を見出したのだろうか。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

自分以外にも目を向けられる視野を持つバンドへと成長

――今回のミニアルバム全体を通して、ポピパの原点回帰を強く感じさせました。そのリード曲として特にワクワク感に満ちた「青春 To Be Continued」について、お二人はどのように捉えていますか?

愛美 「青春 To Be Continued」は、なんでもない1日であっても毎日がキラキラドキドキしている特別な日、というところを描いていて。「それってポピパの原点だよな」と思いました。春にステップを踏みたくなるような、小躍りしたくなる曲ですね。

大塚紗英 私がこのミニアルバムを聴いたとき、高校生がとりあえず仲良い友達同士で集まってバンドを始める初期衝動感みたいなものを感じたんですよ。コピーしたくなるような、バンドスコアが欲しくなるような6曲だと思いました。私たちがまだPoppin’Partyという名前がつく前に行った1st LIVEも、タイトルは「春、バンド始めました!」でした。そこに通じるものがある1枚だと個人的には感じていて。歌詞に注目しても、「大好き!」の言葉がサビの大事な瞬間に何度も使われていて、一貫してポピパ楽曲で作詞されてきた中村航先生がその言葉をテーマの1つとして掲げているような気がしたんです。「青春」って学生時代の甘酸っぱかったり輝かしかったりという思い出が浮かびますけど、ポピパの場合は大好きや愛おしいという表現が入ってくるところも、お互いを大切に思うポピパらしいと感じました。

――ライブでやるイメージも湧きましたか?

愛美 歌詞に“回れ!”とあるので、みんなで腕を回したり、楽しそうなライブパフォーマンスができそうだと考えながらレコーディングしました。演奏は難しそうですけど(笑)。リズムはテクニカルですし。でも今の私たちなら楽しんでできるんじゃないかな、とも思います。

大塚 1枚を通して、の話になりますけど、バンドサウンドに特化した感じがしますね。バンドで演奏したらかっこいい、そんな細かいフレーズが多いですね。ギターリフももう、楽にかっこよく弾けるという配慮はされていないんですよ。クラシカルな運指や情動的に弾くこと、シンプルにバンドとしてのかっこよさが求められている気がしました。

愛美

愛美

大塚紗英

大塚紗英

――「今の私たちなら」という言葉もありましたが、バンドとしての成長について、どのように感じていますか?

愛美 最初に集まって(音を)合わせ始めたときはバラバラでも(笑)、本番ではキメてくれる、という信頼があります。むしろみんなで「これ、ヤバいヤバい」って言いながら練習するのも楽しい、みたいな領域に入っています!

――バンドとしての余裕みたいな?

愛美 余裕なのかな?でも、ライブが終わったあとの感覚は変わりました。ミスや反省点はもちろんあるんですけど、「良いライブだったね」とメンバー間で言えるようになりました。

大塚 そうですね。ポピパは、声優でありながらバンドというところが特殊で、キャラクターを演じつつ楽器の演奏も磨いてきたんですよ。その結果、エンタテインメントの部分で引き出しをたくさん持つようになったし、完成された存在が5人いるような状態だと思うんです。最近は声優さんのバンドも増えましたけど、その先駆けということで、俯瞰で見られる冷静さ、視野の広さがあると思っています。多分、(結成から)6年くらい経ったときに峠を越えた感覚があるんですよね。

愛美 たしかに2年くらい前から大きく何かが。

大塚 変わりましたよね。

愛美 変わりました。言葉にしがたい感じなんですけど。

大塚 わかります。これまでは越えてきたハードルや課題を言葉で説明できるところがあったんですけど……なんだか、唯一無二の存在になれた感覚があるかもしれないです。

愛美 良いこと言う!

大塚 ホントですか(笑)?

愛美 うん、言葉にできない存在になれたとは思いますね。

――見ていても、キャラクターとの同化が増すと同時に、バンドとして自然体で一体感もまとっていると感じます。

愛美 それから、コロナ禍でライブができなくなったとき、ライブ映像を自分たちも視聴しながら感想を言い合う配信、みたいなことをやったんですよ。

大塚 やった、やった。iPadや機材を送ってもらって、5人がそれぞれの自分の家から自分たちのライブを応援する、みたいな。

愛美 結構それが大きく働いていると思うんですよね。というのも、それまでは振り返る余裕もなく、課題と向かい合いながら未来だけを見続けていたのが、立ち止まって振り返る機会になったんですよ。多分、メンバー全員が自分の足りない部分を感じていたんですけど、過去の自分を認められた気がしますし、現在進行形で頑張っていることが未来に繋がると実感できたとも思います。メンバーをより尊敬できるようにもなったので、そこは大きかったですね。視界が広がった感覚がありました。

大塚 たしかにコロナは1つの大きな節目でしたね。私としては、1つ1つのライブが貴重な機会になったからこそ、スタッフさんの顔が見えるようにもなったと思います。良いところを伸ばしてダメなところも見つめて、もっと自分たちをブラッシュアップしようという覇気が現場に満ちていましたし、私もそれに引っ張ってもらいました。特に私は、声優でもなければギターを始めたのもポピパからだったので、何者でもない自分に自信がなかったんです。でも、だからこそスタッフさんに後押ししてもらいながら、(コロナ禍で)かなり課題に取り組んでいました。

――課題というのは?

大塚 自分にとっての一番の課題はギターのサウンドだと思っていて。サウンドのレベルを上げることがキャラクターや「バンドリ!」という作品をさらに良くできると思ってはいるんです。だから、ギターのEQやエフェクターといった音作りなどを色々と勉強したんですけど、(解決法は)練習で上がる技量だけではないと気付きました。それで、スタッフさんとのコミュニケーションが増え、そのなかで自分のことを言語化できるようにもなりました。そうするとさらに視野も広がるんですよね。昔は、「ギタリストでもないのに生意気と思われるかな?」と怖かったんですけど、ギターのテックチームやESPさんやギターの先生から色々なアイデアをいただけたことで、「みんなも良くしたかったんだ」みたいな気持ちになれたんです。

――課題をチームで背負う感覚が持てたんですね。

大塚 だから怖くなくなったんですよ。「自分ができるセクションで頑張ろう」「やるだけやったらしょうがない」という前向きさを得られた気がします。

――「Future Place」はどんな印象を受けた曲でしたか?

愛美 この曲は、香澄が大学進学を見据えて学祭に遊びに行くイベント(「Campus Beat!!」)の楽曲で。香澄はもし大学に進学しても楽しそうだな、って思いました(笑)。

大塚 (笑)。

愛美 この曲を聴いていると、香澄はどんな場所でも楽しく生きられる子だと強く感じられて、めちゃめちゃ羨ましくなったし、改めて大好きだとも思えました。

――羨ましいですか?

愛美 羨ましいですよ!人付き合いに関して言うと誰にでも相性だったり得意、不得意はあると思うんですけど。でも香澄は人を選ばないというか。

――そうですね、場所も選ばなそうな。

愛美 そう、人も場所も選ばないから、毎日が輝いていると思うし、そんな子になりたいと思っています。

――でも、愛美さんもポピパを引っ張ってきた存在では?

愛美 いやいやいや。むしろ、ポピパはありのままの自分でいられる場所だから本当にありがたいんですよ。香澄を演じている時は元気でいられるんですけれど、通常の愛美は特別元気なわけではなく。でも仕事柄、特別元気スイッチを押すときもありますし。それが辛いわけではないですけど、ポピパってすごく居心地が良いので嬉しいですね。

大塚 たしかに最初の5年くらいを今振り返ると、愛美さんはめちゃくちゃ気負っていたんだろうと思います。

愛美 特別元気スイッチを。

――押しっぱなしな。

愛美 押しっぱなしでしたね。

大塚 曲に関しては、長く続いたコンテンツならではの未来が描かれているところが新鮮でした。演じながらキャラクターの未来に想いを馳せることもあるんですけど、実際にその機会が現れたというところにドキッとしました。でも、「今しかない」というのはいつでも一緒なんですよね。自分も最近よく思うんですけど、年を重ねるほどにタイムリミット感が強まっているんですよ。「バンドリ!」という作品を応援してくださってる方もきっと共感できる歌詞だと思います。個人的な話ではあるんですけど、私自身、去年くらいから環境が変わったので新しく何かに着手していくときの怖さと楽しさを実感していて、すごく心に響きました。ちょうどおたえが(台詞の)投げ込みを一緒に歌っていることもあり、自分と親和性を感じる曲でもありましたね。

――「大好き!」についても教えてください。

大塚 「作曲:上松範康 編曲:岩橋星実」って(市ヶ谷)有咲曲の最強布陣だと思っているんですよ。ピアノのフレーズもキラキラしているし、マイナースケールとメジャースケールが入り組んでいるし、ナチュラルだけどドキッとするような転調が散りばめられているのは有咲のキャラソンを思い出すし。ギターとピアノを行き来するソロフレーズもポヒパらしいのでぜひ聴いてほしいです。

愛美 有咲とおばあちゃんのイベント(「某月某日、空は快晴。」)楽曲だったんですよね。普段、素直じゃない有咲だからこそ、ストレートな歌詞にキュンキュンします。「今」って本当に一瞬で過ぎ去っていくものだから、伝えたいことはどんどん言葉にしていったほうがいいんですよね。「照れ臭さがあるし、言うまでもないかな」という気持ちになってしまいますけど、ポジティブな言葉ならなおさら言葉に出すべきだ、とストーリーを通して思いました。

こんなに楽しませてくれるバンドはない!

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