――そんなこの回を演じるなかで、今井さんが気をつけられたポイントは、どんなところでしたか?
今井 千枝ちゃんって明確な気持ちを言葉にできる子ではないので、息や「はい」の一言のような少しのセリフの中に“戸惑い”みたいなものや“悲しい”とか“切ない”、あとは「どうしよう?」みたいな、言葉そのものとは違った気持ちを混ぜていくような作業が多いんです。そのバランスには、特に気を配りました。
――そのニュアンスの塩梅も、例えば「お手伝いさせてください!」と(桐生)つかさに言う前後ではかなり変わってくるわけですよね。
今井 そうですね。特に前半では、「頑張ります」と言っていてもシンプルに「100%頑張ろう」という気持ちではなくて、「頑張らなくちゃいけない」とか「こう言わなくちゃいけないんじゃないか?」みたいなニュアンスが多いんです。でも後半は、千枝ちゃんにしては気持ちをすごく言葉にしているんですよね。ベンチに座ってプロデューサーさんと話すシーンやつかささんに「お手伝いさせてください!」と言うシーンだったり、最後には舞台袖でプロデューサーさんに「千枝のこと、ずっと見ててくれますか?」と言っていたり……。
――そのベンチのシーンは、千枝が一歩踏み出す特に大きなきっかけになったもののように感じました。
今井 千枝ちゃんって「思っても言えない」か、「言えても、思い切れてない」みたいなことが多くて、あれだけはっきりと「やりたいです」と言うことってほぼほぼなかったんです。だから、相手に対して大きな声で気持ちを伝えるということが新鮮でしたし、その勢いで後半ではいつも以上の意志の強さが出たように思っています。ただ、その力加減も、実際アフレコしていくなかで想定から変わっていった部分がありまして。
――どんな変化があったんですか?
今井 例えば、その舞台袖のシーンは監督さんとも話し合って、「結構吹っ切れた感じで、かなり明るいところまで持っていきましょう」と決めて収録が始まったんです。でも、いざやってみると「そこまで行くと、果たして千枝ちゃんらしいのか?」というお話になってもう少し抑えることになったりと、「言えるけど、全部は言えない」みたいなバランスもすごく繊細に考える必要がありました。
――成長が見える回ではあるけど、100%まで成長するわけではない、という。
今井 はい。「U149」の中には「私たち、まだまだ成長中!」みたいなテーマがあると思うので、ここで成長しきらないというか。でも「これからこの子たちは、どんどん羽ばたいていけそうだな」というきっかけは、すごく見えるお話なんですよね。第8話は、千枝ちゃんのその“兆し”が見えたお話だったと感じています。
――そうやって勇気を出した千枝の姿を大人として見守る方だけではなく、同じように過剰に謙虚になってしまいがちな方は、共感の目で観ているかもしれないとも感じました。
今井 そうですよね。「千枝ちゃんもやろうよ」と言われてようやく「うん」って言えるけど、今回の(赤城)みりあちゃんみたいに手を差し伸べてくれる友達がいなかったら、「頑張ります」の一言も言えなかったわけで……だから、「私はいいよ」が口癖の方はきっと共感してくれるんじゃないでしょうか?と思っていて。そういうふうに断ってから後悔するのって、やっぱり「でも本当は、頑張りたい」という気持ちがあるからだと思うので、その後悔と向き合って「今からでも頑張れるよ」ということを、千枝ちゃんは教えてくれるんだと思います。
――実際、勇気を出して踏み出してからの千枝は「そりゃ、つかさ欲しがるよなぁ」と思うくらいでしたし。
今井 頼り甲斐がありますよね(笑)。きっと、本当は色々できることがあるのに自制してしまっている子なんでしょうね。そこに色んな方が手を差し伸べてくれて、少しずつできることを増やしていける子なんだと思うんですけども。だから今回のお話を通じて、自分を開放してためらわずにチャレンジできれば、千枝ちゃんにもできることがたくさんあるんだな……と、感じてもらえたら嬉しいですね。
――そんなお話をEDテーマとして締め括ったのが、千枝のソロ曲「あこがれステッチ」でした。
今井 物語自体はつかささんのソロ曲とともに終わるので、そのあと「あこがれステッチ」を聴いていただくことで、今回のお話を通じて成長した千枝ちゃんの姿をもう1回リフレインしていただけられたらと思います。
――楽曲自体は今回のお話ができる前に生まれたものではありますが、内容と結びつくポイントもたくさんあって。
今井 そうなんですよ。今までの千枝ちゃんって「うさぎさんが好き」みたいなほかの要素が注目されることが多くて、特技のお裁縫がフィーチャーされたことがそこまでなかったんですよ。でも今回はそれが物語でも歌でも一気にクローズアップされていたので、そこもとても新鮮でしたし、それを改めて皆さんにお伝えすることができたと思うとすごく嬉しいです。
――そんな第8話は、今井さんにとってどんな回になったと思いますか?
今井 自分に軸にしてきた千枝ちゃんを、皆さんにお披露目できた回になったかなと思いますね。繰り返しになって申し訳ないんですけど……千枝ちゃんという子は、色んな側面を持った子で。私が最初にオーディションでもらったイメージのような「U149」の印象とゲームとでも違いますし、そのゲームの中でも、すごく消極的なときもあればかなり積極的なときもあったりと、時期ごとにまったく違う印象のある子なんです。そんな色んな姿のある千枝ちゃんの大元になる、「ここから千枝ちゃんは始まったんだよ」という姿を皆さんに知っていただけた、とても大事な回になりました。
――さて、アニメ「U149」の放送も残り4話。終盤へと差し掛かっていきます。最後に、毎回アイドルたちの成長や活躍を楽しみにされている読者の方々へ、一言メッセージをいただけますでしょうか?
今井 まずは何より、「U149」と第3芸能課を応援していただいてありがとうございます……とお礼をお伝えしたいです。子供たちならではの悩みや葛藤、楽しいだけではない大変な毎日を、みんなで乗り越えて。明るく楽しく……「明日も元気に頑張ろう」という気持ちで一生懸命彼女たちなりに過ごしているので、小さな一歩一歩ずつではありますけど、これからも成長を見届けていただけたら嬉しいです。
●リリース情報
「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 ANIMATION MASTER 01 Shine In The Sky☆」
発売中
品番:COCC-18121
価格:¥1,650 (税込)
CD購入はこちら
https://imas.lnk.to/U149-01-CD
配信はこちら
https://imas-u149.lnk.to/Shine-In-The-Sky
<収録曲>
1.Shine In The Sky☆
歌:U149(橘ありす、櫻井桃華、赤城みりあ、的場梨沙、結城晴、佐々木千枝、龍崎薫、市原仁奈、古賀小春)
2.Shine In The Sky☆ 橘ありす ソロ・リミックス
歌:橘ありす
3.Shine In The Sky☆ 櫻井桃華 ソロ・リミックス
歌:櫻井桃華
4.Shine In The Sky☆ 赤城みりあ ソロ・リミックス
歌:赤城みりあ
5.Shine In The Sky☆ 的場梨沙 ソロ・リミックス
歌:的場梨沙
6.Shine In The Sky☆ 結城晴 ソロ・リミックス
歌:結城晴
7.Shine In The Sky☆ 佐々木千枝 ソロ・リミックス
歌:佐々木千枝
8.Shine In The Sky☆ 龍崎薫 ソロ・リミックス
歌:龍崎薫
9.Shine In The Sky☆ 市原仁奈 ソロ・リミックス
歌:市原仁奈
10.Shine In The Sky☆ 古賀小春 ソロ・リミックス
歌:古賀小春
11.Shine In The Sky☆
(オリジナル・カラオケ)
●作品情報
TV アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」
原作:バンダイナムコエンターテインメント
原案:「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 廾之(サイコミ連載)
【スタッフ】
監督:岡本学
副監督:高嶋宏之
シリーズ構成:村山沖
アニメーションキャラクターデザイン:井川典恵
コンセプトアート:大久保錦一
デザインワークス:
野田 猛 小田崎恵子 中村倫子 渡部尭皓 槙田路子
美術設定:曽野由大
高橋武之 金平和茂
美術監督:井上一宏
色彩設計:土居真紀子
3DCG:石川寛貢 榊正宗 神谷宣幸
撮影監督:関谷能弘
編集:三嶋章紀
音響監督:岡本学
音楽:宮崎誠 川田瑠夏 睦月周平
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:CygamesPictures
【キャスト】
橘ありす:佐藤亜美菜
櫻井桃華:照井春佳
赤城みりあ :黒沢ともよ
的場梨沙:集貝はな
結城晴:小市眞琴
佐々木千枝:今井麻夏
龍崎薫:春瀬なつみ
市原仁奈:久野美咲
古賀小春:小森結梨
プロデューサー:米内佑希
©Bandai Namco Entertainment Inc. /PROJECT U149
TV アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」
公式HP
https://cinderella-u149-anime.idolmaster-official.jp/
公式Twitter
https://twitter.com/u149_anime
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