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2023.05.24

20年歩んできたFLOW の5人だからこそ見つけられた想い――“FLOW 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2023「Voy☆☆☆」”ツアーファイナルを独占レポート!

20年歩んできたFLOW の5人だからこそ見つけられた想い――“FLOW 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2023「Voy☆☆☆」”ツアーファイナルを独占レポート!

2003年、シングル「ブラスター」でメジャーデビューしたFLOWにとって今年はデビュー20周年となる。その20周年の想いを、3年ぶりのニューアルバム『Voy☆☆☆』を引っ提げ、それこそ“3年ぶり”に高らかに歌い上げてきた彼らの3ヵ月に及んだ全国ツアーがファイナルを迎えた。大歓声、大合唱に迎えられたFLOWの真の姿をここにレポートする。

TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY @Sugi_Yu7

オーディエンスの歌声が戻ったFLOWの完全体ライブ

3年ぶりとなるニューアルバム『Voy☆☆☆』を引っ提げて全国を巡ってきたツアーのファイナルの日を迎えたFLOW。コロナ禍に突入して以降、フロアから聞こえなくなっていた歓声を浴びながらのライブもアルバムに同じく3年ぶりとあって、各所での熱狂が伝え聞こえてきていたなかで辿り着いた恵比寿LIQUIDROOMには、期待感を隠さず熱気を放ちながら開演を待つオーディエンスの姿が。そのワクワクとドキドキの空気高まる会場に、ニュージーランドのハカを模した「20周年感謝の声」からエレクトロミュージックへと繋がるSEが轟くとライブがスタートした。

会場1階ロビーに貼られた卒業式風の大きなFLOW5人のビジュアルが呼び水だったかのように、ライブの1曲目は「贈る言葉」。MAYSON’s PARTYのトランペットのSAKI、トロンボーンのMOE、テナーサックスのPONの3人を迎えて、スカファンクさながらご機嫌ナンバーで響かせる。海援隊のメンバーもこの曲が生まれて40年を越えて、これだけ多くのオーディエンスの大きな歌声と共に響いていると考えたことはあっただろうか。そして、始まりから一体感と大合唱でヒートアップしたフロアに続くラウドな「Like a Rolling Snow」が席捲する。転がり続けるショウの熱を宿したナンバーで再びステージとフロアの声が1つになり、大きく跳ねる観客が会場を揺らしていく。“これぞFLOWのライブの真骨頂!”を早くも見せつけ、「新世界」へと繋ぐ。TVアニメ『シャドウバース』のOPテーマで広がりあるサウンドとメロディアスさとで紡がれると、フロアで高く挙げられた腕がステージへと熱を送る。

「恵比寿の皆さん、元気ですかー!」とKEIGOが声を上げると、大歓声が迎える。「声が出せるぜ!」と喜びを抑えきれないKEIGO。「今日のライブは俺たちにしか作れないからな!今日しかやれないライブ、やってやろうぜ!」の声で、アルバム『Voy☆☆☆』から「やっぱりシンドバッド」が響く。KEIGOとKOHSHIの怒涛の掛け合いラップとオリエンタルな調べが流れながらのヘビーでラウドな多国籍ロック。砂漠の地に掛かったのだろうか――その先に待っていたのは「虹の空」。天を穿つように挙げられた腕とKOHSHIの声が会場を揺らす。FLOWのデビューと同じくアニメ化から20周年を迎えた『NARUTO -ナルト-』と歩んできた時間をも刻まれたナンバーを満員のオーディエンスと共に歌うFLOWの面々の表情には笑みが見える。そして同じく彼らが共に駆けてきた作品である『コードギアス 反逆のルルーシュ』。その15周年版アニメ『15周年 コードギアス反逆のルルーシュR2』のOPテーマ「DICE」では、皇たる姿が見えるような雄々しい声から始まる。その声がLIQUIDROOM全体から湧き上がるような感覚。「Wow Wow」の声は力強く響いた。

「めちゃめちゃ聞こえますね。皆さんの声が。ありがとうございます!」とKEIGOが満面の笑みで告げると、会場は歓声に包まれる。このツアーファイナルの日、なんと天気は雷雨。落雷によって運転が止まってしまった路線もあり、大混乱の東京都心部となっていた。そんなファイナルだが、ツアーは非常に濃いものになったのだとか。

「声出しOKで、全国のみんなの声を繋いで、ここまでやってきて。体や心に声を響かせてもらって、本当に有意義な3か月でした」とKOHSHIもうなずく。

すべてのライブはFLOWとその日の観客にしか作れない1本。

再びMAYSON’s PARTYのホーン隊が呼び込まれる。そもそもはドラムのIWASAKIがライブに足を運んでいたお気に入りのバンド。「すごくいいホーン隊だから、貸してくれないかなって思って声を掛けました」とIWASAKI。そんな彼らと共にアルバムから「東京ブレーメン」を披露。強大な音楽隊となったFLOWが軽快なスカサウンドをかき鳴らし、SAKI、MOE、PONとスカステップを踏みながら軽やかに楽しくパーティチューンを響かせた。そんなハッピーチューンの後にはFLOWの魅力のもう一面、シリアスで胸に迫るサウンドの最新型とも呼べる「モメント」。「パチスロANEMONE 交響詩篇エウレカセブン HIーEVOLUTION」遊戯機実装曲であり、FLOWが描いてきた「DAYS」「ブレイブルー」の先にあるエウレカの世界を思わせる一曲に体を揺らすオーディエンスは酔いしれた。静かなるメロディの中に熱く強い信念を宿すライブスペクタクル<「NARUTO-ナルト-」~うずまきナルト物語~>のテーマソングである「燈」では突き動かされるように立ち上がっていく拳の木立とその奥で歌声に熱を込めるKEIGOとKOHSHIの姿が印象的だった。

「今回のアルバムの、特に新曲たちは世界五愛陸をイメージして作曲をして、今まで僕らが日本全国はもちろん色んな国へ行かせてもらって、色んな場所でライブをやらせてもらって、見えた景色や覚えたこと、これから先への自分たちの意思を詰め込んだアルバムになっていまして。これ1枚を聴いてくれたら音楽で世界を旅したような感覚になれるアルバムになってくれたらいいなと思っております」とKEIGOが話すと、南米の風を感じさせる「コルコバード」が響きだし、大きな拍手がその爽やかな1曲を迎える。ボサノバ調に柔らかなギターと爽快な歌声とで紡ぐナンバー。KOHSHIの高音が海の音の中、ビーチの感覚で会場を侵食していった。シャンシャン、とジングルベルを思わせる音から始まったのはFLOWが鳴らす「Winter Story」だ。アルバムに収録されたこの曲はNACK5冬のキャンペーンソングであり、クリスマスを感じさせながらもFLOWの音らしく熱が宿り、後半のシンガロングな部分では会場一体となって大きな歌声の塊が生まれた。FLOWのライブ恒例のバンドのセッションで聴かせるインスト「ターミナル1」。アルバム『Voy☆☆☆』では音楽の旅を繋ぐように挿入されていたこのインストの中でもハードにヘビーにラウドにかき鳴らされるライブのマストチューン。バンドの真価を見せつけたあとには2003年リリースのデビュー曲「ブラスター」のイントロでフロアに大歓声が沸く。デビュー20周年を高らかに歌い上げるように、まさに20年歌い続けてきた1曲をオーディエンスと共に歌い上げる。高くジャンプしながら歌う観客の様子に満足気に頷くKOHSHI。続く、何気ない日常を歌で紡ぐような「Melody」は、まさにシンガロングな1曲。世界中で歌ってきたこの曲こそ、音楽が好きな人々が、FLOWのファンが、そしてFLOWが声を出せないエンターテイメントの困難な時間を乗り越えた証のように響く。2006年に生まれたこの曲で温かな歌声が重なり、想いが重なっていくのを感じた。

「このツアーではずっと『Melody』を歌わせてもらっていたんですけど、この歌詞ではないですけど、3年間当たり前だったみんなの声が聴けなくて、みんなも出せなくて。このツアーで改めてみんなの声が聴こえるってすごく嬉しいことなんだって思うし、声を出して自分の気持ちや情熱をぶつけ合えるライブをやれることってこんなに幸せなんだなって想いながら3ヵ月間ツアーを廻らせてもらいました。ファイナルもありがとうございます!」とKEIGOが語り掛けると大きな拍手が湧く。バンドもライブハウスもファンも、音楽を愛するすべての人が諦めなかったからまたこうして会えていることに対して拍手しよう、と笑みを浮かべたKEIGOが「苦しんだぶん、楽しんでやろうぜ!」と声を上げてライブはクライマックスへ。すべてを出しきるようにステージもフロアも勢いを加速させながら全身で響かせた色彩の歌「WORLD END」で灼熱の様相を見せる会場の熱。その熱をさらに上げたのは、今日まで共に戦い続け会場に集まったファイティングドリーマーたちと歌い上げる「GO!!!」。大合唱にウェーブに特大ジャンプに、とFLOWのライブの醍醐味のすべてがこの瞬間に詰まっていた。パワフルに響くギターのリフとアグレッシブなリズムに黄金の色彩感が滲む「HERO~希望の歌~」ではオーディエンスの「Oi!Oi!」の声もリズムの1つとなって会場を震わせていく。「この場にいる俺らにしか作れない1本があるんですよ!その一本の(ライブの)ために俺たちはライブをやってんだよ!」と叫ぶKEIGO。ファイナルの会場・東京の本気を見せろ!と煽ったところで絡み合うようなギターのイントロからナルトの息子の物語『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS』のOPテーマ「GOLD」がフロアへと広がると、全身で声を鳴らすKOHSHI。そのパワーがフロアを席捲し、観客の熱にも火をつけ、螺旋丸さながらに旋風に。そしてこの曲で今日一番のジャンプをしたFLOWとオーディエンスが一体となったのだった。

次ページ:FLOWの旅路。見てきたもの。そして未来。

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