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INTERVIEW

2023.05.24

抱えていた想いをひとつの花束に――早見沙織、ニューアルバム『白と花束』と、これからを歩んでいくための想いを綴る

抱えていた想いをひとつの花束に――早見沙織、ニューアルバム『白と花束』と、これからを歩んでいくための想いを綴る

「この1枚を作れたことが嬉しいし、本当に幸せ」

——リピート再生していると、オープニング曲「Ordinary」でまさに新しい朝が訪れていて。

早見 この曲は、Tomgggさんに書いていただきました。デモをいただく時に「光の中でも、特に朝の雰囲気のイメージで作りました」っていうお話をいただいていて。私も朝のイメージで歌詞を書き始めたんですけど、まさに「はじまりの歌」に通じるところがあって。“今日も地球が回ってる”という歌詞があるんですけど、なんだかんだやっぱり日々が続いていくっていうところからスタートしている。当たり前の日々からスタートしていくアルバムだっていうのがしっくりきました。

——<普通>や<日常>の大切さを歌ってますよね。

早見 “特別じゃなくていい 器用じゃなくていい 何気ない日常を重ねていく”っていうサビの最後と、“変わらない日常 今日も僕ら照らしている 生きることは ままならないけど”の2つのブロックはデモを聞いたときにパンって浮かんで。あ、この曲で私が書こうとする歌詞は、スケールの大きいことではなくて、もっと毎日の中にある、日々がちゃんと続いていくんだっていう光なんだって思ったんですね。だから、別に大きいことが起こらなくてもいい。毎日を続けてることがすごく尊いことだし、素敵なことだっていう意識があって。日々の中に根ざした歌詞にしたいなというところからできた曲から、このアルバムは始まっていくんですね

——Tomgggさんはじめ、新曲の楽曲提供は作家性のある素敵なアーティストの方達に参加していただいてますね。

早見 Tomgggさんはコロナ禍に行われたリモート音楽フェスティバルで、私のミニアルバム『シスターシティーズ』に入ってる「ザラメ」をリミックスで披露してくださっていたんですよ。それを聞いて、すごくいいな、ぜひ一緒にやらせていただけないかなとか思っていて。そういう前々からの想いがある方でした。

——ボカロPのいよわさんはいかがでしたか?

早見 元々リスナーとして聞いてましたし、いよわさんにしか出せない確固たる世界観があって。ファンの方がいよわさんの手がける歌詞やMusicVideoを考察したりしてるんですね。そういう独自のフィールドを築き上げてらっしゃる方に、このアルバムの中で想像が膨らむような楽曲をぜひ提供していただけないだろうかとお願いして、「残滓」が生まれたんです。

——色々な音が乱舞してますね。

早見 いよわさんの曲で、ピアノの音がくるくるくるくるって鳴ってるのが好きです!という話を打ち合わせのときにお伝えいたしました。あがったデモを聴かせていただいて、このキュートでポップな曲にかわいいだけのボーカルをのせるのは合わないなと思い、1番と2番と3番でそれぞれ変化をつけていきたいなと思いながらレコーディングをしていたんですけど、いよわさんからも、こんなふうに歌ってみてくださいという言葉をいただけて。1番は“過去”の思い出に浸って懐かしみながら微笑むような感じで、2番は“今”の不安に対して悲しげに歌って、3番は“未来”に目を向けて、しっかりと前を向いて進んでいく。希望がある、明るいイメージっていう。1つの曲の中にもドラマがある楽曲だったので、細かい歌い方やニュアンスはかなり試行錯誤しました。

——諭吉佳作/menさんによる「エメラルド」は、早見さんの誕生月、5月の誕生石であるエメラルドがタイトルとなっています。

早見 多分、諭吉さんが意識して作ってくださったんだと思います。私はすごく諭吉さんの曲が大好きなんです。NHKの音楽番組「ワンルームミュージック」のナレーションをやってたときに諭吉さんが出てらっしゃって。物作りの過程や特集をナレーション当てさせてもらったんですが、素敵だなと思っていました。諭吉さんの曲の中には自由の精神があるんですよね。芯はしっかりとあるけれど、何にも捉われないような感覚がある。そういう風合いがとても好きなので、このアルバムの中で、自分は自由なんだ、自由に生きていけるんだという意味を持ってくれる曲があったら、アルバムとしても力強いものになるかなと思って、お願いしました。

——エメラルドは「希望」や「新たな始まり」という石言葉を持ってるので、アルバムのテーマにもぴったりだなと思いました。そして、清 竜人さん提供の「ここでここで」はとてもポップな曲になっていますね。

早見 清さんの音楽もよく聴かせていただいていて。例えば、堀江由衣さんにたくさん提供されている曲がすごく好きなんですけど、ありとあらゆるジャンルの音楽を手がけていらっしゃる方だから、清さんにお願いするときは、決めたり、絞りすぎずに、清さんが感じるものを作ってくださいとお伝えしました。

——ロマンチックな映画の主題歌のようなラブソングになっています。

早見 私もそんなイメージで歌っていました。かわいらしいし、いじらしいし、すごく情景が想像しやすい言葉がたくさん置いてあって。解釈は色々あると思うんですけどでも、私の中では決して、この先がお先真っ暗みたいなイメージじゃない。先の未来に素敵な想像ができるみたいなイメージで歌いましたし、これまでにない、新しい扉を開いてもらったような感覚もありますね。

——全12曲が揃って、アルバムのタイトルはどんな想いでつけましたか? 

早見 光と闇のどちらも意識しながら、最終的には色んな光が集まって、光の集合体が白くなるように……白色になっていくというのを表せたらいいなと思って。楽曲1つ1つには様々な色の光が宿っている。それが、別に明るくなくても、ささやかでも暗くてもいいんですけど、そういう光が集まって、「白」っていう色になる。それと、花束というのは、今回のアルバムはすごく個性的な楽曲がたくさん揃っているということをイメージしました。満開に咲いてる花もあれば、枯れた花もある。それを1つ1つ束ねて、1枚のアルバムにしたっていう両面を入れたかったのと、私がこのアルバムの前に作ったミニアルバムがあるんですけど……。

——「GARDEN」というタイトルでした!そこからも繋がってるんですね。

早見 まさにコロナ禍で作ったもので、表題曲の「garden」では、どんなことがあっても自分の心の中に帰ってこられる自分だけの庭のような場所のことを歌っていて。そういう庭があることで、色んなところに出かけられるし、帰ってこられるし、強くなれる。そんな場所があったらいいなっていう気持ちで作ったんです。そのときのジャケットはCGで作られた現実にはない心象風景みたいなイメージだったんですけど、今回はあえて、自分の手で触れる、具体化した現実的な花々をモチーフに入れたいということで、このタイトルに決めました。

——心の中の花園を出て、自分で摘んだ花と、多くの人から手渡された個性的な花をまとめた花束を作ったことで、何かこの先の未来は見えましたか?

早見 5年前だったら生まれてないですし、今だからできた1枚かなと感じてますね。このアルバムの中で、自分が1個1個の花を手に取っていけたんだ、みたいな感覚は、やっぱり今じゃなかったら持っていなかった気がします。このタイミングだから生まれた1枚だと思っていますし、自分自身もとても気に入っていて。もちろん、全部の作品が好きなんですけど、この1枚を作れたことが嬉しいし、本当に幸せ、っていう気持ちになれていて。そのぶん、大変だったこともありましたけど、それがあったからこそ生み出すことができたし、『白と花束』があった自分を経て、また歩んでいきたいなっていう気持ちは強くありますね。

——集大成とは言いましたけれど、ゴールではないですもんね。

早見 そうですね。テーマで言ってきたことは突然生まれた想いというよりは、ずっと抱えてきた想いだし、きっとそれはこれからも自分の心の中に在り続けると思います。

——そして、7月からは全国ホールツアー(HAYAMI SAORI Tour 2023 “白と花束”)も決定しています。どんなツアーになりそうですか?

早見 久しぶりのツアーで、有観客で皆さんと楽しめるので、本当にワクワクしています。今、ちょうど構成を練ったり、考えたりしてる段階なんですよ。このアルバムの曲が軸になっていくのは間違いなくて、これらの曲を生で味わっていただくと、「白と花束」の魅力がぐんと広がるような気がしてるんですね。だから、ライブにもぜひ来ていただきたいなと思っています。お楽しみに!


●リリース情報
早見沙織 3rdアルバム
『白と花束』
5月24日(水)発売

■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら

【CD+Blu-ray盤】

品番:1000827906
価格:¥7,480(税込)
※ブックレット(24P)/フォトブック(24P)/アウターケース仕様

【通常盤】

価格:¥3,300(税込)
品番:1000827911
※ブックレット(24P)

<CD>
1. Ordinary
作詞:早見沙織 作曲・編曲:Tomggg
2. Abyss
作詞・作曲:早見沙織 編曲:渡辺拓也
3. 残滓
作詞・作曲・編曲:いよわ
4. ここでここで
作詞・作曲・編曲:清 竜人
5. Tear of Will
作詞:早見沙織 作曲・編曲:Kevin Penkin
6. Awake
作詞:早見沙織 作曲・編曲:TK
7. フロレセンス
作詞・作曲:早見沙織 編曲:倉内達矢
8. 透明シンガー
作詞:早見沙織 作曲・編曲:ぷす(fromツユ)
9. エメラルド
作詞・作曲・編曲:諭吉佳作/men
10.Guide
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:大久保 薫
11.視紅
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:渡辺拓也
12.はじまりの歌
作詞・作曲:早見沙織 編曲:大久保 薫

<Blu-ray>
「Hayami Saori Special Live 2023 Before Dawn -夜明けに君と」2023年1月2日@ TOKYO DOME CITY HALL ライブ映像

<フォトブック>
・「Hayami Saori Special Live 2023 Before Dawn -夜明けに君と」2023年1月2日@ TOKYO DOME CITY HALL ライブフォト

初回生産分封入特典:「HAYAMI SAORI Tour 2023 ” 白と花束」チケット先行購入権 抽選申込券

●ライブ情報
HAYAMI SAORI Tour 2023 “白と花束”

■公演日時・場所
2023年7月22日(土)
場所:北海道・道新ホール

2023年8月5日(土)
場所:石川・金沢市文化ホール

2023年8月12日(土)
場所:宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)

2023年9月3日(日)
場所:福岡・キャナルシティ劇場

2023年9月10日(日)
場所:大阪・グランキューブ大阪

2023年9月18日(月・祝)
場所:東京・東京国際フォーラム ホールA

■チケット
5月24日(水)発売「早見沙織/白と花束 <CD+Blu-ray盤>」「早見沙織/白と花束 <通常盤>」初回生産分にチケット先行購入権抽選申込券を封入

関連リンク

早見沙織オフィシャルサイト
https://hayamisaoriofficial.com

早見沙織Official Twitter
https://twitter.com/hayami_official

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