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2023.05.01

桃華の内なる想い―アイドルとして求められるものと本当の自分って?【TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」第3芸能課観察記録03】

桃華の内なる想い―アイドルとして求められるものと本当の自分って?【TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」第3芸能課観察記録03】

TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(以下、「U149」)の第4話「羽が折れているのに飛んでいくもの、なに?」が放送された。本コラムでは「U149」の物語や音楽、アイドルたちの魅力を追いかけていく。

【特集】TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」が彩る夢のステージを紐解く!

【特集】TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」が彩る夢のステージを紐解く!

TEXT BY 中里キリ

熱い紅茶と冷たいペットボトルの対比

第3話のラストは、櫻井桃華に“バンジージャンプ?”の指名の仕事がやってくるというものだった。「シンデレラガールズ」でバンジージャンプというと2015年放送のアニメ「シンデレラガールズ」を含めて、アイドル・輿水幸子の存在を思い出す人も多いはず。第4話では冒頭のお仕事説明VTRに、道明寺歌鈴のバンジー挑戦をドヤ顔で見守る幸子という形で彼女が登場するファンサービスもあった。サイコミで公開中のコミック版「U149」(38話以降)では歌鈴や幸子と一緒に仕事する桃華を見ることができるので、アニメと見比べてみるのも楽しいだろう。

なぜ桃華にバンジージャンプ?といぶかしむありすたちに、「あえてバンジーとは無縁そうな子に飛んでほしいって先方のオーダーでさ!」と力説するプロデューサーだったが、時折アイドルたちから目線をそらしたりとやましいところがある様子。オファーをかけてきた番組のスポンサーが“SAKURAI GROUP”(桃華の実家の企業体?)だったりと、社内事情も含めて裏のあるオファーだったようだ。

ロケ当日を迎えると、現場責任者のディレクターは桃華には熱い紅茶とお菓子、プロデューサーや見学のありすにはペットボトルの水を渡したりと、特別扱いを隠すこともない様子。しかし季節は蝉が鳴く暑い盛り、雑に淹れたホットの紅茶は決して嬉しいものではなかったはず。このディレクターは桃華のお嬢様キャラ(役)を過剰に強調した台本を用意したりと一癖ある感じだ。

ロケ本番ではフリフリのドレスにクマのぬいぐるみ、「好きな食べ物は子羊のテリーヌ」「趣味はリムジンから庶民の皆様を眺めることですの」と、用意された過剰なお嬢様キャラを演じる桃華。しかし本番を迎えた桃華からは先ほどまでの汗がひいて、要求されたお嬢様像を完璧に演じ切っているのが女優としての非凡さを感じさせるシーンだ。そんな“作った”役を見事にこなす桃華だったが、ディレクターからの「(バンジー)本番は思いっきり怖がってね!」と“普通の子供のようなふるまい”を求められた途端に悩み始めるのが奥深くて面白い。アイドルという仕事の中で、求められるキャラクターに応えるのと、本当の自分を見せることのどちらが正しいのかは簡単に答えが出る問題ではない。

しかし超高所からのバンジーチャレンジのプレッシャーに追い詰められたことで、桃華の素の表情が少し垣間見える。休憩中にペットボトルの水を(桃華基準でははしたなく?)飲み干してみせたように、桃華自身も少なからず無理をしているのだ。なぜか自分がバンジー志願するプロデューサーにはありすならずともツッコミを入れるところだが、自分が体験したことだからこそ「大人だって怖いものは怖い」という芯を食った発言ができるのはこのプロデューサーらしい。「櫻井さんは櫻井さんらしく飛べばいい」という同じような台詞でも、込められた心情ややり取りによってまったく違うように響き、相手に届くのが面白い。

「無重力シャトル」が桃華ソロで登場!

プロデューサーやありすとのやり取りで迷いが晴れて、いざバンジーに挑戦……というタイミングで入った挿入歌はまさかの桃華ソロの「無重力シャトル」!ポップな楽曲を桃華が楽しそうに歌う様子と、重力やしがらみから解き放たれて飛ぶ桃華の姿がマッチして選曲の妙という感じだ。

本当の自分を見せたうえで、その鮮やかさでその場にいる人たちをみんな納得させるという、アイドル・櫻井桃華にしかできない回答。飛び終えた桃華は汗だくで髪もぼさぼさだったが、開放感で笑いながら「怖かった!」とこぼす姿は、考えてもわからなかった“普通の女の子の桃華らしさ”そのものだった。そのあとなぜか自分もバンジーで飛んでいるありす、すっかり距離の縮まった桃華とありす含めて、心が温かくなる結末だった。

EDテーマは各話でメインにフォーカスされたアイドルの最初のソロ曲というのがここまでのパターンだったが、第4話では「ラヴィアンローズ」ではなく、ソロ2曲目の「愛の讃歌」を持ってきた。本当の自分を見せることで小さなファンをはじめとした観衆を魅了して、自分の愛でみんなをいっぱいにすることこそが櫻井桃華のアイドルとしての道と自覚したタイミングならばこその選曲だろうか。同曲はソロCD「CINDERELLA MASTER」シリーズではなく、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 29 クレイジークレイジー」にカップリングとして収録されている。第2話に登場した変なお姉さんたち(一ノ瀬志希と宮本フレデリカ)がタイトルナンバー担当だ。


●作品情報
TV アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」

原作:バンダイナムコエンターテインメント
原案:「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 廾之(サイコミ連載)

【スタッフ】
監督:岡本学
副監督:高嶋宏之
シリーズ構成:村山沖
アニメーションキャラクターデザイン:井川典恵
コンセプトアート:大久保錦一
デザインワークス:
野田 猛 小田崎恵子 中村倫子 渡部尭皓 槙田路子
美術設定:曽野由大
高橋武之 金平和茂
美術監督:井上一宏
色彩設計:土居真紀子
3DCG:石川寛貢 榊正宗 神谷宣幸
撮影監督:関谷能弘
編集:三嶋章紀
音響監督:岡本学
音楽:宮崎誠 川田瑠夏 睦月周平
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:CygamesPictures

【キャスト】
橘ありす:佐藤亜美菜
櫻井桃華:照井春佳
赤城みりあ :黒沢ともよ
的場梨沙:集貝はな
結城晴:小市眞琴
佐々木千枝:今井麻夏
龍崎薫:春瀬なつみ
市原仁奈:久野美咲
古賀小春:小森結梨
プロデューサー:米内佑希

©Bandai Namco Entertainment Inc. /PROJECT U149

関連リンク

TV アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』
公式HP
https://cinderella-u149-anime.idolmaster-official.jp/

公式Twitter
https://twitter.com/u149_anime

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