「BanG Dream!(バンドリ!)」プロジェクト発の“現実(リアル)”と”仮想(キャラクター)”が同期するバンド、MyGO!!!!!。2022年に本格始動して以来、キャスト名を伏せた形で活動を行ってきた彼女たちが、先日4月9日に行われたワンマンライブ“MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」”でついにキャスト情報などの詳細を解禁。今夏にアニメの放送も決定し、大きな注目を集めている。
リスアニ!では、そんな彼女たちの動向を1st LIVEの頃から追いかけてきたわけだが、今回、待望のキャストインタビューが実現。高松 燈(Vo)役の羊宮妃那、千早愛音(Gt)役の立石 凛、要 楽奈(Gt)役の青木陽菜、長崎そよ(Ba)役の小日向美香、椎名立希(Dr)役の林 鼓子に、バンド活動やキャラクターとの向き合い方、4月12日(水)にリリースされる2ndシングル「音一会」、そしてアニメに向けての期待についてたっぷりと話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子
――今回は初インタビューということで、改めて皆さんがMyGO!!!!!のキャストに決まったときのことからお話を伺いたく。当時はどんなお気持ちでしたか?
羊宮妃那 私はオーディションで参加させていただいたのですが、(高松)燈ちゃんには今までにない声質で臨んだんです。そのときの台本に描かれていた、とあるシーンを読んで、なんとしても受かりたいと思っていたので、合格の報告をいただいたときは本当に嬉しかったですし、そのときの胸の鼓動は今でも鮮明に覚えています。
――役柄的にステージでの歌唱が前提条件だったと思うのですが、歌に関してはいかがでしたか?
羊宮 元々歌うことは好きで、趣味で作詞や曲作りのようなこともやっていまして。ただ、燈ちゃんとして歌っていくにあたっては、自分の地声だけではどうにもならない音域がたくさんあったので、そこに臨む上での壁は多かったです。
――なるほど。立石さんはいかがでしょうか。
立石 凛 まだ声優として右も左もわからない状態のなかで、アニメ好きなら誰でも知っている「バンドリ!」というコンテンツの一員にならせていただけることに、嬉しさと同時に不安もありました。ただ、私のお姉ちゃんが昔軽音楽部でバンドをやっていて、私もバンドに対しての憧れがあったので、本格的にバンド活動できることは嬉しかったです。
――お話が決まった時点でギターの経験は?
立石 お姉ちゃんの影響で私もアコースティックギターを趣味程度でやっていたのですが、エレキギターはほとんど触れたことがなかったので、エレキはMyGO!!!!!をきっかけに先生に習いながら練習しました。
――続いて青木さん。
青木陽菜 私は高校と大学でクラシック音楽を学んでいたのですが、今の声優事務所(響)への所属が決まって、自分はこれから声優として頑張っていこうと思っていたんです。MyGO!!!!!への参加が決まり、(大学を)卒業をしたあとも音楽を続けられることがすごく嬉しかったです。
――プロフィールの特技の欄にも「ピアノ、歌」と書かれていますものね。
青木 はい、5歳の頃からクラシックピアノをやっていて。MyGO!!!!!でのパートはギターですが、私はロックバンドが好きでライブもよく観に行っていたので、エレキギターにも憧れがあったんです。ギターも、アコギなら中学生の頃に独学で始めて、超でたらめなコードでジャカジャカ弾くくらいのことはできました(笑)。
――小日向さんはいかがですか?
小日向美香 私は以前から「バンドリ!」が大好きで、実は「バンドリ!」に影響を受けてベースを始めたところがあるんです。キャストに決まったときは、もちろん嬉しさもありつつ、「私にそれをこなせるのか?」という不安もあったのですが、事務所(S)の先輩たちも「バンドリ!」のバンドで活躍されているので、私もそれに続ける人間になれるように頑張ろうと思いました。
――「バンドリ!」きっかけでベースを始めたんですね。
小日向 はい、最初に練習した楽曲は「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」(Poppin’Party)で、初心者向けの本にルート弾きのやり方が載っていたので、それをひたすら練習するところから始めました。なのでMyGO!!!!!に参加することができて本当にありがたいです。
――そして林さん。
林 鼓子 当時の私は上手くいかないことが続いて気分が落ち込んでいて、そのことをマネージャーさんにも相談していたんです。それで「じゃあ少しお話をしましょう」と事務所に呼ばれて行ってみたら、「実はMyGO!!!!!のドラムの話が決まりました」と言われて「えーーっっ!!」となってしまって(笑)。そこで一気に道が開けたように思いました。
――悩みも吹き飛んだと(笑)。以前からロックが好きで、ドラムも特技とおっしゃっていましたものね。
林 そうなんです。兄がバンドをやっていた影響で昔から邦ロックが好きで、兄から「こういうバンドを聴け!」と言われながら育ってきたのもありますし、学校の吹奏楽部で打楽器を担当していて、ポップスやジャズのドラムを叩く機会もあったので。最初は部活で始めたドラムが、こうしてお仕事に繋がったのは良いご縁だなと思いました。
――羊宮さんも自分で曲を作るのが趣味ということは、楽器もできるのですか?
羊宮 一応アコースティックギターは弾けますが、ギュインギュインみたいなのはできなくて。曲作りも私の場合、最初に自分の頭の中で言葉が浮かんで、それがメロディになって、ワンフレーズになっていく。で、「これを音に乗せてみたい」となったときに、アコギを使ったり、DTMソフトを借りて作ってみる程度で、何にもわかっていないんですけど……。
――いやいや、十分すごいです! それでは次の質問、皆さんが担当されているキャラクターの印象や共感ポイントを教えてください。
羊宮 燈ちゃんは、当初のイラストのデザインが今と少し違って凛々しい表情でした。でも性格は今と変わらず内に籠りがちな子だったので、どんな声質がいいのかなと思って。でも今はまた印象が変わって、皆さんが感じられている印象がそのまま私の印象でもあると思っています。
――自分の印象をお伝えすると、燈は引っ込み思案かもしれないけど、内に色んな想いを持っているんだろうなと思いました。
羊宮 まさにその通りだと思います。で、自分と似通っている点でいうと、私もお話するのがあまり得意ではなく、どちらかというと言葉を箇条書きにしたりするほうが良くて。これは曲作りのときもそうなのですが、自分の心を整理したいときも、自分が本当は何を思っていて、どういう感情になって、だから今はこういう状態になっている、みたいなことを書き出して、自分を落ち着かせたりしています。
――こうしてお話を聞いていると、羊宮さんは雰囲気も含め燈とかなり似ていますよね。
羊宮 私も似ていないところがないくらいだと思います。燈ちゃんは石を収集するのが好きなんですけど、私も実は小学生の頃に石の収集をしていたんです。よく運動場の端とかで石を拾ったりしていました。
林 燈だ……!
羊宮 今でも自分が良いなと思うものは集めてしまうタイプで。今ハマっているのはシール集めです。なので燈ちゃんとはほぼほぼ似通っているというか、演じていて共感しなかったことは何もないくらいです。
――運命的な出会いじゃないですか。
羊宮 本当にそうです! 今、燈ちゃんと日々を過ごせていること、みんなとバンドをできていることが本当に幸せです。
――立石さんが担当する千早愛音はいかがですか?
立石 愛音ちゃんは無邪気な明るさや、みんなを強引に引っ張っていくような力がある子なのですが、私は普段みんなに引っ張ってもらっている自覚があるし、口数もそれほど多くないタイプなのでどうやって愛音ちゃんを演じていくか悩むことが多くて。でも、演じていくうちに、実は根本的な性格は似ているんじゃないかなと思うようになりました。私は素のままで生きていますけど(笑)、愛音ちゃんはもっと賢くて色んなことを考えているから、今の愛音ちゃんの生き方になっているんだと思います。
――アニメが始まったら、そういう一面も見ることができそうです。青木さんはいかがでしょうか? 要 楽奈はかなりマイペースで特徴のあるキャラクターですが。
青木 楽奈は性格的にはおとなしめなんですけど、知れば知るほど、すごく自由な子なんです。好きなものに対してすごく素直で、やりたいことをやっている生き方を見ていると、「楽奈ちゃん素敵だなあ、羨ましいなあ」と思うようになって。ギターの腕前はすごいので、私も楽奈ちゃんみたいに弾けるようになりたいです。
――でも、ライブを拝見すると、青木さんはすごく楽しそうにギターを弾いていますよね。
青木 ありがとうございます! 多分彼女もステージの上では楽しく弾くと思いますし、私も別にそれを演じているのではなく本当に楽しく弾いているので、ライブ中は楽奈ちゃんと一体化できているように思います。
――そして小日向さん演じる長崎そよは、YouTubeなどに上がっているショートアニメを観る限り、みんなのまとめ役のようなキャラクターです。
小日向 最初の印象のお話をすると……オーディションの資料をいただいたら、それまで自分の声質には合っていないと思って避けてきた「お姉さんキャラ」だったので、必死にお姉さんっぽい声の出し方を練習してオーディションに臨んだんです。その後、合格して、最初にボイスを録ったときに、「大人っぽく聞こえる」というご指摘をいただいてしまって。なので、もう少しはしゃいでいる気持ちがあってもいいのかなと思い、元々作っていた声質よりも高め、少しキャピっとしている感じの声を監督さんとも相談しながら作っていきました。
――最後は林さんが演じる椎名立希です。
林 立希は、私自身のパーソナリティとは違うところにいる子で、今まで演じたことがないタイプという印象でした。私は元気な役が多くて、声質も歌も含めて高音が得意なので、低音ボイスのいわゆる「イケメン女子」の役をいただけたことが、すごく嬉しくて(笑)。でも、内面を知っていくと、立希は実はとてもかわいい女の子なんです! 本人は自分のことをとても不器用だと思っていて、感情を表に出すのが苦手だし、表に出す前に諦めてしまうところもあるのですが、実はそんなことはなくて、もうダダ洩れなんです(笑)。立希はずっとかわいい!
――熱弁ありがとうございます(笑)。さて、皆さんはこれまで各々のキャラクターを背負いながら実際にバンド活動も行ってきたわけですが、バンドならではの結束感を感じた瞬間はありましたか?
林 やっぱり1人で練習するのと、みんなで合わせて練習するのとでは全然違いますし、このバンド特有のタイム感みたいなものを揃えていくところからがバンドなんだなと思って。そのなかでも特に印象に残っているのが、“1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」”のリハーサルのときです。私は事情があって本番は最後の数曲だけの出演だったので、サポートのmika先生がリハにも参加して叩いてくださったのですが、そのときにようちゃん(羊宮)が「なんかいつもと違います」って言ったんです。その言葉を聞いたときに「MyGO!!!!!のグルーヴはもう出来上がっているんだ」と思いましたし、私は1st LIVEにフルで出演できないことに後ろめたさを感じていたのですが、もうこの5人の絆はできているんだと思って……「この先も、大丈夫じゃん」と思えたんです。
――素敵な話じゃないですか。羊宮さんはそのとき、実際に違いを感じたわけですか?
羊宮 違いましたね。最初は「何だろう?」と思いながら手探りで歌っていたんですけど、回を重ねるごとに「いや、これはやっぱり何かが違う」と思って。
小日向 1st LIVEでは、「二息歩行(Reloaded)」をmika先生の演奏と、アンコールでの鼓子ちゃんの演奏の合計2回披露したのですが、ベースレッスンのときにベースの先生と一緒にその音源を聴いたら、mika先生との演奏では音数の関係なのかAメロがズレているけど、鼓子ちゃんとの演奏ではバチッとハマっていたので、先生にも「鼓子ちゃんのドラムのタイム感で覚えているんだね」と言われたんです。そのときに私も、鼓子ちゃんのドラムじゃないとベースが合わないんだなと思いました。練習のときも、誰か1人いないだけで弾きづらくなるし、誰一人欠けてもMyGO!!!!!の音楽は成り立たないんだなと思います。
林 mika先生と私はドラマーとして、月とスッポン、雲泥の差じゃないですか(笑)。なので私からしたら、mika先生に叩いてもらったほうがみんなも演奏しやすいと思っていたんです。だから今の話はすごく嬉しいし、MyGO!!!!!で良かったなあと感じました。
羊宮 よく「音楽で繋がり合える」という言葉を聞きますが、多分こういうこともその1つなのかなと思いました。
――ギターのお二人はいかがですか?
立石 最初はそれこそ弾くことだけで精一杯でしたが、ひなちゃんと一緒に弾くところで、「こう動こう」とか「ここで目を合わせよう」みたいに、ちょっとしたパフォーマンスを決めて動けるようになるにつれて、よりバンド感みたいなものが出るようになったな、と。たまにひなちゃんが練習お休みだったりすると、今日は目を合わせる人がいなくて寂しいなあって思います(照)。
青木 嬉しい(笑)。それこそ1st LIVEのときは、ツインギターで合同レッスンの機会も設けていただいて、ギターの先生たちにアドバイスをいただきながら相談してパフォーマンスを決めていったんです。でも、それ以降は合同レッスンをしなくても自然と目が合うようになりましたし、あらかじめ決めなくてもそういうことができるようになったのは、バンド感が増したからなのかなって。
――そこはやはりライブを重ねたことによる経験値も大きいんでしょうね。
小日向 私、“2nd LIVE「そのままを抱きしめて」”まではかなり必死で、実は少し心残りな部分があったんです。それでみんなと話し合いたい気持ちがあったのですが、なかなか言い出せなくて。でも、そのあとのベルーナドームでのライブ(“BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022” “ブシロード15周年記念ライブ in ベルーナドーム”)でオープニングアクトをやらせていただいたときに、大きいステージを乗り越えたからなのか、みんなとの絆が深まった気がしたんです。“3rd LIVE「声を抱えて生きる」”の前には、情勢的にも落ち着いてきたのもあって、みんなでご飯にも行くことができて。それもあってか、3rd LIVEではみんなの気持ちが通った状態でライブができたように思います。
青木 そのご飯会のときは別にバンドの音楽性みたいな話はしなくて、本当にたわいもない話をしていたのですが、それってすごく大事なことだと思うんです。それこそ「バンドリ!」のアニメでも、練習後にみんなでファミレスに行ってしゃべるシーンがあるじゃないですか。そういう時間をみんなで過ごすことがバンド力にも関わってくることを実感しました。今振り返ってもすごく楽しかったなあと思うので。
立石 私もめっちゃ楽しかった。
小日向 それまでみんなでしっかりと話す機会があまりなかったから、「ああ、こういう気持ちを持った人たちなんだ!」っていう新しい発見もあって。何て言えばいいのかな……より信頼できる人たちだなあと思った(笑)。
林 アハハ(笑)。でもわかる。たしかにみんなの信頼度が上がったよね。
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