REPORT
2023.03.27
「今日という日も、もう少しで終わってしまう」と惜しみながらも、武道館ワンマンの翌々日に控えていた2ndアルバム『HUMAN』のリリースとそれに伴う5月からのツアー、そして2023年4-5月に放送となる新曲 NHKみんなのうた「地球が一枚の板だったら」といったこの先の予定について語り、「また未来であなたに逢えますように」と願うReoNa。彼女は再びアコギを手にすると、この時点ではリリース前だった2ndアルバムの表題曲「HUMAN」を歌い始めた。スクリーンには彼女のこれまでの活動の軌跡を捉えた写真や映像、彼女が自らのお歌を通して出会ってきたたくさんの人たちとの思い出が映し出される。そこにはおそらくデビュー前のライブの様子や、普段のステージでは見せないような素の表情を浮かべたReoNaの姿もある。そのすべての出会いと別れが、今の彼女という人間を形作っているのだ。ReoNaは2ndアルバムのインタビューで「自分のことを“人間未満”だと思ってきた」と語っていたが、誰よりもたくさんの絶望と向き合い、その先にいるたくさんの絶望を抱えた人たちのことを思ってお歌を紡いできた彼女は、どうしようもなく人間らしい。完璧な人間なんてものはこの世には存在せず、絶望に悩みもがきながらそれでも一歩ずつ成長していくのが、人間という存在なのだから。
その感動的なパフォーマンスのあと、ReoNaは「“終わってしまう”って、寂しいね」と語り、この特別な日がそろそろ終わりに近づいていることを暗に示す。だが、彼女は「ここで終わりじゃない」「きみと、きみと、また逢えますか?」と新たな約束を交わすと、「まだ終わってほしくない物語たちがあります。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、私たちが愛するすべての物語。ReoNaはお歌で紡いでいきます。背負っていきます」と、改めて絶望系アニソンシンガーとしての矜持を口にする。
そして彼女は今年1月に配信リリースされたばかりの「VITA」をパフォーマンス。『ソードアート・オンライン(SAO)』シリーズに長く深く寄り添ってきたReoNaが、10月5日に発売予定の家庭用ゲーム「ソードアート・オンライン ラスト リコレクション」の主題歌として発表した命の歌だ。「Scar/let」「ANIMA」「forget-me-not」など彼女がこれまでに歌唱してきた『SAO』シリーズのフレーズも盛り込まれており、作品を自らのお歌で背負っていく覚悟と気迫が、そのパワフルな歌声と演奏からもひしひしと伝わってくる。さらにスクリーンには『SAO』シリーズの名シーンや新作ゲームからの映像を交えたリリックビデオが流され、会場の熱狂は最高潮に達する。
だが、ここでその興奮をさらに上回る、驚愕の展開が待ち構えていた。続いて披露された『SAO』の原作小説刊行10周年テーマソング「Till the End」で、ステージ後ろの大黒幕が開かれると、そこにはなんと120人におよぶコーラス隊がスタンバイしていたのだ。そのクワイアが見た目的にも音圧的にも圧巻の世界を武道館に広げるなか、ReoNaはそれにも負けないくらいの魂に響く歌声で、“それでも生きていけ”と、終わりの先にある未来を指し示す。その記憶の奥底にまでに刻み込まれるような圧倒的な体験に、オーディエンスは万雷の拍手で応えた。
そしてついに終わりのときがやってきた。ReoNaのライブにアンコールはない。正真正銘、初の武道館ライブの最後に歌う楽曲として、彼女が選んだのは「Rea(s)oN」。TVアニメ『GGO』の最終話、神崎エルザがシークレットライブにてアコギの弾き語りで披露した楽曲だ。ReoNaはそのアニメでエルザが手にしていたのと同じ、指板に猫のあしらいをデザインした愛用のギターを弾きながら、優しく静かに歌い始める。スタンドマイクの前でピンライトに照らされて歌うその姿は、アニメでのエルザの佇まいそのままのようにも見える。2番からはバンドとストリングス隊の演奏も加わり、最後にはクワイアも隣と手を繋ぎながら合唱して、その瞬間に立ち会ったすべての人との出会いと命の輝きを祝福しながら、ReoNaの初武道館ワンマンは大団円を迎えた。
彼女は「Rea(s)oN」を歌う前のMCで、“ここに生きるReason それはあなたでした”という歌詞になぞらえて、「私にとっての“あなた”はお歌です、ってずっと言ってきたけど、でも、それだけじゃないと思える今があります」と語っていた。振り返れば、彼女は神崎エルザ starring ReoNa名義で歌手としての道を歩み始めたときから、ずっと“ここに生きる”ことの理由(=Reason)を探し求めて、自らのお歌を紡いできたように思える。それが彼女のアニメ好きというパーソナルや根幹の部分と結び付くことで、絶望系アニソンシンガーとしての輪郭が象られていったのだろうが、たくさんの人たちとの出会いを経て武道館公演を成功させた今、彼女は“ここに生きる”新たな理由を、見出し始めているのではないだろうか。
これまでの代表的なタイアップ曲を中心に、まるでこの5年の活動の集大成のようなセットリストで構成された本公演の先、5月には2ndアルバム『HUMAN』を引っ提げたツアーの開催が控えている。きっとそこで、『HUMAN』の制作で“生きていく”ことに深く向き合った彼女の、一回り大きくなった新しいお歌に出会えることだろう。
<セットリスト>
01. ピルグリム
02. 怪物の詩
03. forget-me-not
04. SWEET HURT
05. ANIMA
06. 生命線
07. Alive
08. ないない
09. シャル・ウィ・ダンス?
10. トウシンダイ
11. 虹の彼方に
12. Lost
13. Someday
14. HUMAN
15. VITA
16. Till the End
17. Rea(s)oN
ReoNa オフィシャルサイト
https://www.reona-reona.com/
ReoNaオフィシャルTwitter
https://twitter.com/xoxleoxox
ReoNaオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCyUhtF50BuUjr2jOhxF3IjQ
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