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INTERVIEW

2023.03.08

奥井雅美が語るデビューからの30年と、80歳まで“歌う”ことへの想い――30周年ベストアルバム発売記念インタビュー

奥井雅美が語るデビューからの30年と、80歳まで“歌う”ことへの想い――30周年ベストアルバム発売記念インタビュー

“奥井雅美”というアニソンシンガー

――その“当時のサウンド”について伺いたいことがあります。今の奥井さんのイメージを決定づけた曲は先ほども触れていただいた「REINCARNATION」からだと思います。あの曲のような、奥井さんや林原さんらが歌っていた当時のスターチャイルド楽曲の曲調はどこからきたものなのでしょうか?

奥井 矢吹さんと当時のチームのキーボードだった大平 勉さんが、大月さんに「好きにアレンジしていいよ」と言われて、当時の流行りや洋楽も含めて彼らが聴いてきたサウンドをアニソンに取り入れたからでしょうね。「REINCARNATION」は1994年の曲ですけど、制作当時はB’zさんが売れてTK(小室哲哉さん)サウンドも流行り始めた頃だったので、当時のアニソンでは珍しいそういったテイストの入ったモノにしたんです。彼らは林原さんのアレンジもたまにしていたので、それがスタチャの色になったんじゃないでしょうか。

――海外アーティストの参加の話などでも感じるのですが、当時のチームには本格派志向みたいなものがあったのでしょうか?

奥井 いや、単にファンなだけじゃないですか?(笑)。ミュージシャンやアーティストにとって海外の人とやるのは夢だろうし、矢吹さんも少しお金に余裕が生まれたしパイプもできたのでやってみたかったのかな?と。

――というのも奥井さんがアニソン系のライブでは最初にダンサーやコーラスを取り入れたという話を以前どこかで拝見したので、「アニソンでも本格的なものを」みたいな考えがあったのかなと以前から思っていて。

奥井 これは矢吹さんの考えですけど、本格的というよりはあの当時「アニメファンは普通のアーティストのライブに行かないんじゃないか。だからアニソンのステージでもそういうライブでやっているようなことを見せてあげたらどうかな」くらいの感じでした。ライブでタオルを使うようにしたのもアニメ界では多分私が最初ですけど、それも矢沢永吉ファンの矢吹さんの提案だったし。

――奥井さん自身はそうした演出をどう感じていましたか?

奥井 私はユーミン(松任谷由実)のところで踊りながら歌っていたから、踊ったりダンサーを入れたりすることに違和感はなかったし、楽しかったです。ただ「ちょっと人数多すぎない?」とは思ってましたけど(笑)。矢吹さんの演出自体が派手すぎたから、逆にシンプルなものもやりたくなったんですよ。それは音楽的にもですけど。だから先ほど話した10周年の前くらいは、色々とシンプルな方向に自分が変わっていった時期でした。

――ベストアルバムに話を戻します。ボーナストラックで「Get along」「ONENESS」の2曲をセルフカバーしていますが、この選曲には悩みましたか?

奥井 いえ、ほかの人気のデュエット曲「MASK」は過去にカバーしていたし、「セルフカバーするならこれかな」という曲は絞られていました。ソロでの「Get along」はライブで歌うことはあっても音源はなかったから、「キングさんとめぐちゃんが『いいよ』と言ってくれたらカバーしよう」という感じですぐ決まって。「ONENESS」はアニサマ初年度と2014年度のテーマソングですけど、30年の活動の中であのイベントの立ち上げに関われたことはすごく大きいことだったし頑張った時期だったので選びました。

――「Get along」は曲の印象も大きく変わっていますね。

奥井 めぐちゃんとデュエットしたときは歌謡曲っぽく軽く歌ったんですけど、今回は自分のカラーで歌いたくてロック色を強めたかったんです。だからアレンジはそのままなんですけど、リズム系を前面に出したりギターを少し大きくしたりしてトラックダウンし直して。それと当時のコーラスも私が入れたんですけど、「ここもあったほうがいいんじゃないか」っていう部分は少し足して。そして歌い方も変えたおかげで自分らしい「Get along」になりましたね。

――「ONENESS」は元々大勢が歌っていた曲だから、ソロとして歌うのは大変だったのでは?

奥井 はい。歌う人がどんどん変わる前提の曲だから息継ぎする間もないくらいで、1人で歌うのは大変でした。あと自分が何回もオリジナルを聴いているので、ちょっとモノマネしちゃうんですよ。お奈々(水樹奈々)さんのとこはお奈々さんぽくなったり、(栗林)みな実ちゃんのモノマネしちゃったり。それを自分らしく歌うのに時間がかかって。難しかったけど、ちゃんと納得のいくものが録れました。

――ありがとうございます。それではベストアルバムから離れての質問です。30周年を迎えた今の奥井雅美というアニソンシンガーを、客観的にどう見ますか?

奥井 自分ではそんなに大したもんじゃないと思うんですけど(笑)。客観視するのは難しいな……よく歳下の同業者からは「背中を見てますからね」と言われるんです。というのも、演技もできる声優さんと違ってアニソンシンガーって歌うことしか仕事がないじゃないですか。最近では歌詞や曲を書くのも当たり前みたいになってきましたけど、そういうこともできないとなかなか長くはいられない世界だし。そういう世界にいる女性がどういう生き方をしていくのか、仕事以外のことも含めて先々のことを不安に思っている人がこの業界でも他の職業と同じようにいらっしゃいます。あとみな実ちゃんからは「奥井さんが私たちの仕事を作ってくれたんですよ」みたいなこともよく言われて。そういうことを言われる人間としては、不安がっている同業者たちに、反面教師でもいいから、背中を見てもらえるようなシンガーでありたいと思っています。そのためには、それこそ“潔く カッコ良く 生きて行こう”って「輪舞-revolution」の歌詞の通り、かっこ悪くは生きられないですよね。

 

――この先の活動も注目させてください。最後に「生涯現役、80歳まで歌う」という奥井さんがずっと言われている目標に向けての意気込みをお聞かせください。

奥井 それも矢吹さんが好きな矢沢永吉さんが「生涯現役、云十歳までやる」と言ってたから、若い頃の私も調子に乗って「80歳まで」って言っちゃっただけなんですよ(笑)。ただ現実的に考えると、今歌ってる楽曲やロックとかは年齢的にこれまでと同じように歌えるかは難しいかもしれません。だから音楽性は変わっていくかもしれませんが、歌を歌って、音楽に関わっていきたいです。

――そのためには健康第一で。

奥井 その通りですよ。水木(一郎)のアニキも空に帰ってしまいましたし。アニキも気が若い人だったので、まだまだ長生きしそうな雰囲気だったじゃないですか。だから今でもその辺にいるような気がしますけど……私も健康に気を付けながら、80歳まで歌えるかどうかはわかりませんけど、そこを目標に『生涯現役』を目指して頑張ります。


●リリース情報
奥井雅美 30周年ベストアルバム
『Mas”ami Okui”terpiece』
2023年3月8日(水)リリース

■mora
ハイレゾ/配信リンクはこちら

品番:LACA-9954~9956(CD3枚組)
価格:¥7,700(税込)

<INDEX>
Disc1
1.誰よりもずっと…
2.REINCARNATION
3.邪魔はさせない
4.輪舞-revolution
5.そうだ、ぜったい。
6.Birth
7.太陽の花
8.朱 -AKA-
9.Key
10.天使の休息
11.only one, No.1
12.TURNING POINT
13.空にかける橋
14.女神になりたい〜for a yours〜
15.Shuffle
16.DEPORTATION〜but, never too late〜

Disc2
1.Olive
2.TRUST
3.蜜-mitsu-
4.God Speed
5.zero-G-
6.WILD SPICE
7.SOLDIER 〜Love Battlefield〜
8.Remote Viewing
9.It’s my life
10.-w-
11.RING
12.紫音-sion-
13.INSANITY
14.LOVE SHIELD
15.Flower
16.宝箱 -TREASURE BOX-

Disc3
1.Good-bye crisis
2.Dive To Future
3.リアル☆Starter
4.ソラノウタ
5.WOLF〜FINAL, THE LAST GOLD〜
6.ヒカリノハナ
7.静ノ炎
8.SYMBOLIC BRIDE〜Rebellion of Valkyrie〜
9.イノセントバブル
10.ソフィア
11.炎〜闇ノ飛翔〜HIKAGE
12.Blood Blade -光と闇の彼方に-
13.希望の翼
14.曖昧さ、幸福論
15.Get along (Self Cover)
16.ONENESS (Self Cover)

関連リンク

奥井雅美 official website
http://makusonia.com/

奥井雅美 公式Twitter
https://twitter.com/LoveLoveDragon

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