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INTERVIEW

2023.03.07

『お隣の天使様』に、『グリッドマン ユニバース』に応えた作品愛とその熱量! オーイシマサヨシ、New EP「ギフト」を語る

『お隣の天使様』に、『グリッドマン ユニバース』に応えた作品愛とその熱量! オーイシマサヨシ、New EP「ギフト」を語る

アニソンシンガーのオーイシマサヨシが、TVアニメ『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』のOPテーマ「ギフト」を含むEPをリリースする。本人をして「これはミニアルバムである」と言わしめる濃密な1枚には、表題曲のほかに劇場版『グリッドマン ユニバース』主題歌「uni-verse」、「アズールレーン」5周年記念ソング「碧い砲撃」も収録。今回はこれら3つの新曲と、その制作過程を辿る熱い話を聞かせてもらった。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

「毎週観ている僕ら自身が、真昼ちゃんに骨抜きにされていく感覚」がポイントだった

──2023年最初の1曲として「ギフト」が1月8日にデジタルリリースされてしばらく経ちますが、今年の幕開けはどんな時間でしたか?

オーイシマサヨシ 年明けから制作をしたり、人狼ゲームをしたりと楽しい始まりでした。僕は1月5日が誕生日なのですが、本当にたくさんの皆さんに祝っていただきましたし、自分でも個人配信をしてたくさんの人に見ていただいて、みんなに囲まれた素敵な43歳を迎えることができました。直後には『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』も放送開始となりましたし、年始から本当に楽しい日々が続いているなぁと。

──その『お隣の天使様』のOP主題歌となっているのが「ギフト」です。この楽曲のオーダーにあたってはどのようなキーワードがあったのでしょうか。

オーイシ 「多幸感」ですね。ラブコメの楽曲はこれまでにも何曲かやらせてもらったことがあるのですが、その中でも特に「君じゃなきゃダメみたい」とか「オトモダチフィルム」のような、「聴いたら胸が弾んだり心が弾んだりして、幸せになれるような曲にしたいんです」とのことだったんですね。『お隣の天使様』は主人公の藤宮 周くんが自堕落な生活をしている中で天使様(=椎名真昼)と出会って変わっていくお話ですが、そんな情けない……まではいかないまでも、愚にもつかない感じの男の前に天使が現れたらどうなるのか、ということを、オーイシさんなりに表現してもらいたい、といったオーダーから制作を始めた1曲です。

──この曲で音色についてはどのようにこだわっていかれたのでしょうか。

オーイシ 「幸せ」を音で表現するときには色んな形があるなって思っていて。その中で僕がよく使っているのはチューブラベルなんです。「キンコンカンコン」といった音ですね。あとはファンクなホーンセクション。それで否が応にも聴けば胸が弾む、というのはあると思うのですが、今回はピアノとストリングスの構成の中で、ちょっとゴスペルっぽいコーラスワークが入ってきて、祝福感という意味合いでの多幸感をサウンドでも演出してみました。

──ピアノが前面に出てくる感じも含め、生音感の強い1曲ですよね。

オーイシ ストリングスも生でレコーディングさせてもらいましたから。人の血が通っている感じの音源ではあると思います。

──制作の依頼にあたって歌詞の要望などはありましたか?

オーイシ 「主人公だけではなく視聴者の、ファン側の視点も入れてほしい」というのがありました。要は毎週観ている僕ら自身が、ヒロインである真昼ちゃんに骨抜きにされていく感覚ですね。その辺りの視点を自分のドキュメントとして入れつつ、「それはもう恋じゃない?」とか「付き合っちゃえよ!」「じれったいな」とツッコみたくなる感じも合いの手として入れられたら、作品としてもより奥行きが出るのかなと思って。歌詞の方でもそういったワードを散りばめていきました。

「ギフト」天使盤ジャケット

「思いつく限りの天使様を考えた」MV制作の舞台裏

──アニメのOPテーマは作品の顔だったり名刺代わりであることが大事だと思いますが、この曲を聴くと『お隣の天使様』の世界観がそのままに説明されているような印象です。

オーイシ 周くんも真昼ちゃんもテンションが高いわけではないですし、物語自体は意外と淡々と進んでいくのですが、2人以外のサブキャラが囃し立てたり、お母さんが出てきてしっちゃかめっちゃかになったりはするんですけど、どちらかというと「ラブ要素が7」:「コメディ要素が3」みたいな分量感の作品ですよね。だから、初めてOPテーマを聴いた方々は、僕の歌声に作品とのテンション感の違いを感じてびっくりされるかもしれません。「なんでお前だけ張り切ってるねん、オーイシ!」みたいな(笑)。でも、いや待て、と。みんなもそうじゃない?って。毎週観ていて、僕は常に「真昼ぅ!ワァオ!」なんですよ。

──わかる気がします。

オーイシ 回を追うごとに、その感覚がクセになっていくような楽曲になっていけばいいなぁって思っていて。みんなで最終話のゴールを迎えるときには「この主題歌じゃないと『お隣の天使様』は語れないよね」というところまでいけたらいいなぁと思っています。今回、僕はこの曲でいい意味での違和感を狙っていたのもあって。

──それはどのような?

オーイシ 『お隣の天使様』の原作を読んだとき、初めに「僕ができることはなんだろうな」って思ったんです。こういう甘々でじれったい原作なら、主題歌でもヒロインがフィーチャーされるべきだと思うし、例えば透明感のある女性ボーカリストや声優さんが歌った方が効果的なんじゃないかという考えもあって。そんな中で自分が任されたからには何をしたらいいかと考えたときに、多少の違和感やギャップをあえて残したり、爪痕が残るようなOPテーマにした方がいいのではないか、というところに行き着いたんです。

──先ほどのお話の中でも「ワァオ!」という声が漏れましたが、ファンクっぽいフェイクも含めてテンション感の高いボーカルスタイルの1曲ですよね。トラック自体のテンションもあると思いますが、クリエイターとして、ボーカリストであるご自身にはどんなディレクションをされたのでしょうか。

オーイシ 透明感のある作品なので、Aメロやサビの頭ではちゃんとボーカリストとして作品に着地できるような、ある種の爽やかさのあるトーンで歌いたいと思っていました。いつもよりは落ち着きながら着地をさせようとしている感じはあるかもしれないです。ただ場面展開の多い曲でもあるので、Aメロが静かだったとしてもBメロはジャズとラップの融合で、サビに行く前にも「それってもはや恋じゃない?」って別のパートがあって、サビがあってアウトロ、Dメロが用意されていて。その場面場面で自分がどうあたふたしているか、どういう気持ちになっているかをボーカルで表現できるように……というのはあったと思います。

──「ギフト」はダンスが話題のMVも制作されています。かつて「オトモダチフィルム」のMVで共演されたモデルのウーリャさんのご出演が嬉しいですね。

オーイシ 「こういう楽曲だし、踊りたいな」「ミュージカルっぽい感じでやりたいな」って個人的な思いつきがきっかけでした。ここに天使様のような登場人物も必要だろうなってときに、普通のタレントさんには「天使様として一緒に歌って踊ってください」とはハードルが高すぎて言えないと思ったんですね。でもそこで「オトモダチフィルム」からの流れでストーリーがあるウーリャちゃんがいて。一緒に踊ることによって、あのときも天使だったけど、さらに大きく成長して美しくなって「やっぱり天使だったんだ」というストーリーも乗せられるような……こちら側が思いつく限りの天使様を考えて、ウーリャちゃんにオファーをさせていただきました。

──久しぶりの再会はいかがでしたか?

オーイシ 前回ご一緒したとき小学生だったのが16歳になって、身長もそろそろ僕のことを追い越すんじゃないかなってくらいに伸びていて、親戚のおじさんのような気分になりました(笑)。なによりも1日、撮影をしていた時間が楽しくて。ずっと笑っていた記憶しかありません。それもあって、すごくいいMVになったなと思います。

次ページ:楽曲が繋ぐ『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』の“宇宙”

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