「アイドルマスター」シリーズの合同ライブ“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”DAY1が2023年2月11日、東京ドームにて開催された。
DAY1は「アイドルマスター 765プロオールスターズ」から天海春香役の中村繪里子、如月千早役の今井麻美、星井美希役の長谷川明子、萩原雪歩役の浅倉杏美、高槻やよい役の仁後真耶子、菊地 真役の平田宏美、水瀬伊織役の釘宮理恵、秋月律子役の若林直美、双海亜美・真美役の下田麻美、我那覇 響役の沼倉愛美が出演。
「アイドルマスター シンデレラガールズ」からは“Triad Primus”渋谷 凛役の福原綾香、神谷奈緒役の松井恵理子、北条加蓮役の渕上 舞、“エルドリッチ・ロアテラー”松永 涼役の千菅春香、白坂小梅役の桜咲千依、“サイバーグラス”上条春菜役の長島光那、荒木比奈役の田辺留依、“フォーリンシーサイド”川島瑞樹役の東山奈央、村上巴役の花井美春、『U149』より佐々木千枝役の今井麻夏、赤城みりあ役の黒沢ともよ、的場梨沙役の集貝はなが出演。
「アイドルマスター ミリオンライブ!」からは“ストロベリーポップムーン”春日未来役の山崎はるか、最上静香役の田所あずさ、伊吹 翼役のMachico、“TIntMe!”大神 環役の稲川英里、中谷育役の原嶋あかり、周防桃子役の渡部恵子、“花咲夜”エミリー スチュアート役の郁原ゆう、白石紬役の南 早紀、天空橋朋花役の小岩井ことり、“Cleasky”島原エレナ役の角元明日香、宮尾美也役の桐谷蝶々が出演。
「アイドルマスター SideM」からは“DRAMATIC STARS”天道 輝役の仲村宗悟、“Jupiter”天ヶ瀬冬馬役の寺島拓篤、伊集院北斗役の神原大地、“Beit”ピエール役の堀江瞬、渡辺みのり役の高塚智人、“もふもふえん”岡村直央役の矢野奨吾、橘 志狼役の古畑恵介、“C.FIRST”天峰 秀役の伊瀬結陸、花園百々人役の宮﨑雅也、眉見鋭心役の大塚剛央が出演。
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」からは“放課後クライマックスガールズ”小宮果穂役の河野ひより、園田智代子役の白石晴香、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、“ストレイライト”芹沢あさひ役の田中有紀、黛 冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、“ノクチル”浅倉 透役の和久井優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保が出演。
以上56役55名のアイドルが登場。「アイドルマスター」シリーズ単独では初となる東京ドーム公演で、現行5ブランドが揃う合同ライブとなった。
TEXT BY 中里キリ
▼“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”東京ドーム公演DAY2レポートはこちら
「アイドルマスター」という作品にとって、ドームという会場は特別な場所だ。アーケードゲームからスタートした本作中で、アイドルの1人である天海春香がドームライブに辿り着いて発した「プロデューサーさんっ!ドームですよっ!ドームっっ!」という台詞はあまりにも有名だ。ゲーム本編以上に、ゲームセンターなどで繰り返し流されたPVの決め台詞として印象に残っている人も多いだろう。
コンテンツとしての「アイドルマスター」自体やライブが小規模だった最初期は、ライブのキーフレーズとして「ドームですよ、ドーム!」が使われていた。だが、だんだんと作品としての規模が成長するとともに、そのフレーズは「アイマスですよ、アイマス!」に変わっていった。もしかしたら、いつか本当に東京ドームでライブができる日が来るかもしれない。そんなあまりにも途方もない夢のような期待が、その言葉を大切に仕舞いこませた。
アーケードゲーム「アイドルマスター」が正式に世に出たのは2005年7月末の嵐の日。それから18年後、その日はついにやってきた。今や現行5ブランドとなった「アイドルマスター」が合同で迎える、「アイドルマスター」だけのドームライブの日だ。「プロデューサーさんっ!ドームですよっ!ドームっっ!」。天海春香役の中村繪里子によるその言葉は、ライブの幕を上げるオープニングワードとして放たれた。あるいは、もっと重く、クライマックスのテンションでこのワードを印象付けることもできたかもしれない。しかし、その言葉は深い想いを感じさせながらも、軽やかだった。ドームライブは到達点ではなく、通過点。その先に、その場所で魅せるものこそが大切なのだというチーム全体の意志を感じさせた。
オープニングブロックは765プロの、そして「アイドルマスター」の始まりの楽曲である「THE IDOLM@STER」からスタート。「シンデレラガールズ」の「Shine!!」、「ミリオンライブ!」の「Glow Map」、「SideM」の「DRIVE A LIVE」、「シャイニーカラーズ」の「Resonance+」と、各ブランドを代表する楽曲をそれぞれのブランドのメンバーが歌い継いでいく。今
回のライブではシャッフルや助っ人出演の演出が多用されたが、だからこそ最初はストレートな自己紹介代わりの1曲となった。思い出すのは前回の「M@STERS OF IDOL WORLD!!2015」で、休憩中のBGMに「DRIVE A LIVE」が流れて大歓声が上がったこと。当時は出演できなかった「SideM」、そしてまだ生まれていなかった「シャイニーカラーズ」を含めた5ブランドが揃ったことを改めて実感する立ち上がりだ。
最初のブロックの切り込み隊長は、放課後クライマックスガールズの「ビーチブレイバー」!河野ひよりの「プロデューサーさん、声聴かせてください!!」の全力の叫び声にドームいっぱいの歓声が応える。「シャニマス」にとっては本当に久しぶりの有歓声ライブで、その場所に放クラの5人が揃って歌っていることは決して当たり前の光景ではない。曲途中からは沼倉愛美、東山奈央、黒沢ともよ、堀江 瞬、高塚智人が助っ人として登場。「ビーチブレイバー」に響(沼倉)を投入するのは天才のアイデア。「シャニマス」のユニット曲の中で男性アイドルとしての第一声を放った高塚の姿はたしかに新しい扉を開いた感じがした。
「U149」の「ドレミファクトリー!」には仁後真耶子、下田麻美、稲川英里、原嶋あかり、渡部恵子、矢野奨吾、古畑恵介、河野ひよりが参加。「U149」はコミック「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」から生まれたチームで、主な出演アイドル(キャラクター)が身長149cm以下の小学生であることが特徴。今回のコラボでは各ブランドの149cm以下&小学生のアイドルが登場した。原曲キーに自然に混ざっているもふもふえん組は流石の一言で、性別を超えてユニットを繋ぐ存在になっていた。
もふもふえんの「はるかぜバトン」には、お返しとしてCleaskyの角元明日香と桐谷蝶々が参加。2つのユニットを繋いだのは“卒業式”のモチーフだろうか。桐谷の珍しめな低音が新鮮で、この4人の並びで低いところを彼女が歌うのかと印象に残った。
Cleasky組はステージに残って、ノクチルの和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保と共に歌うは「shiny smile」!765プロの名曲を歌う2組の共通項は透明感か。眩しい笑顔の歌を、いつもの流儀の笑顔レスで歌う土屋(樋口)というチョイスもおかしみがある。間奏部ではユニットの枠を超えた笑顔のハイタッチがかわされるなか、田嶌と角元のハイタッチを腕組みして微笑ましく見つめる土屋の姿が印象的だった。
SideMの「夏時間グラフィティ」は、ストロベリーポップムーンと放課後クライマックスガールズの意外なコラボがカバー。8人が軽快に踊りながらセンターステージに登場すると、山崎はるかが「夏にしますよ~!」と明るくシャウト。学生ユニットチームで輝かしい夏の時間を元気いっぱいに表現してみせると、8人揃っての思い出の記念撮影ショットでキメた。
そしてブロック締めは、765プロオールスターズによる「Reason!!」!!アニメ「アイドルマスター SideM」を象徴する楽曲をまさかのカバーだ。一塁側と三塁側のトロッコに分乗した765ASが、女性キーで歌い始めると会場は割れんばかりの大歓声だ。“READY”“CHANGE”“輝きの向こう側へ”といった元祖765プロに対するリスペクトで織り込まれた歌詞を彼女たちが歌うのはいわば逆輸入で、765プロとSideM、そしてJupiterが一緒に歩んできた歴史があればこそ成立する1曲だった。
第2ブロックはCleaskyの「虹色letters」からスタート。助っ人参加は白石晴香と田嶌紗蘭で、仲間との別離のエピソードからの連想だろうか。間奏では白石と田嶌も手を繋ぎ、4人で並んでラインダンスを踊る姿は合同ライブならではの光景だ。
ノクチルの和久井 優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保は「僕らだけの未来の空」を披露。ノクチルにとっては有歓声のライブはこれが初めてだ。二番からはステージ上段にTriad Primusの福原綾香、松井恵理子、渕上 舞が登場。まさにドームクラスの助っ人だが、この3人で歌うパートでは勇壮で壮大な別の楽曲のように響くのが面白い。逆に言えばTriad Primusはほとんど歌わないタイプの楽曲であり、「シンデレラガールズ」のプロデューサー/ファンにとってもレアな光景になった。
「秘密のメモリーズ」は浅倉杏美、平田宏美、松井恵理子、渕上 舞、永井真里子、涼本あきほが歌唱。6人でというよりは、765プロAS、シンデレラガールズ、シャイニーカラーズ、それぞれの作品からパートナー感、カップル感のある2人ずつを選抜したイメージだ。間奏でお互いの背を支えながら走る浅倉&平田、スキップするような足取りの浅倉の姿がエモーショナル。たしかこの曲をライブで最後に見たのは6年前の台北だったと思うが、まさかそれをドームでこんな組み合わせで見ることになるとは予想だにしなかった。
稲川英里、原嶋あかり、渡部恵子のユニットTIntMe!は「Arrive You ~それが運命でも~」を披露。子供なのに、子供だから表現できる大人っぽさに溢れたナンバーで、ダンスのソリッドさと稲川の楽しそうな笑顔のギャップが楽しい。そして、子供なのに大人の魅力……といえば、個人的に真っ先に思い出すのが今井麻夏演じる佐々木千枝。曲途中からは多くのプロデューサーの期待通りU149の今井麻夏、黒沢ともよ、集貝はなが参戦!黒いジャケットのTIntMe!と白が基調のU149のコントラストがいい。台詞っぽく歌い継ぐパートでは、黒沢と今井がワンフレーズの説得力で場をさらっていた。
郁原ゆう、南 早紀、小岩井ことりの花咲夜は、「百花は月下に散りぬるを」をロングイントロバージョンで披露。ゴージャスな衣装と揃いの扇子、ステージにゆらり立ち上る炎が幻妖のステージを現出させた。そして間奏で駆け込んできたのは、花井美春と丸岡和佳奈!舞台上に和のテイストのユニットとアイドルが勢揃いした。アイドルが持つ属性による繋がりはちょっと予備知識が必要なところだが、花井は民謡で鍛え上げた喉と歌声で、丸岡はその佇まいと表情でこれが“和”のコラボであることを伝えきっているのが素晴らしかった。
東山奈央と花井美春のフォーリンシーサイドは「Gaze and Gaze」を歌唱。初披露は3年前の京セラドーム大阪という、つくづくドームに縁のある楽曲だ。途中からは助っ人として和久井 優、土屋李央のノクチルコンビが参加。東山と花井の歌唱がとにかく“強い”からこそ、和久井の伸びやかな歌声が入ってくるとぱっと清涼なイメージになって新鮮だ。“Gaze”といえば凝視、強い想いをこめて見つめること。和久井と土屋の組み合わせはライブ中に向かい合って見つめあって歌うイメージが強く納得の人選だ。
「エージェント夜を往く」は765プロ、中でも菊地 真(平田宏美)のイメージが強い楽曲だが、流れてきたのは低いキーでアレンジされたイントロ。トロッコに分乗して登場したのはSideMチームだ。765AS楽曲の中でももっとも低い音域の楽曲を、それぞれに工夫を凝らした男性ボーカルで歌うのがとても新鮮。カメラをズバッと指さして絵になるポーズをキメる仲村宗悟や、手すりにもたれかかってキュートさとセクシーさを同居させる古畑恵介など、男性Pの心も虜にするようなパフォーマンスだった。
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