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INTERVIEW

2023.02.17

「進化」を続けるTRD(近藤孝行・小野大輔)の現在と未来。『吸血鬼すぐ死ぬ2』EDテーマ「Cozy Crazy PARTY!」リリースインタビュー

「進化」を続けるTRD(近藤孝行・小野大輔)の現在と未来。『吸血鬼すぐ死ぬ2』EDテーマ「Cozy Crazy PARTY!」リリースインタビュー

吸血鬼退治人(バンパイアハンター)・ロナルドとすぐ死んで灰になるザコ吸血鬼・ドラルク。そんな彼らが新横浜を舞台に繰り広げるドタバタの日常を描くTVアニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』のシーズン2のエンディングを、前シリーズに引き続き担当するのはTRD。最強の布陣を持って作り上げた「Cozy Crazy PARTY!」が見せるTRDの現在、そして未来について、近藤孝行&小野大輔に聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

今日までの活動の中でTRDが見せたのは「変化」ではなく「進化」

――2021年6月に1stアルバムをリリースされて音楽シーンへと漕ぎ出したTRD。あれから1年半。TRDとして、クリエイターさんや楽曲との出会い、メジャーシーンで活動を始めたからこその意識の変化などで印象的だったことはありますか?

近藤孝行 ユニットとしての変化というよりは、個人的にどれだけスキルを上げられるんだろう、ということに意識が向いていた時間でしたね。若い頃はダンスなどで魅せることもできていましたが、そこから歌で皆さんにお届けしていくことも意識していきたいということで始めたのがTRDだったこともあり、自分の中で「歌のグレードアップ」という部分が常に頭にありました。ほかのアーティストの方々や声優アーティストさんのパフォーマンスを見て刺激をいただいて、自分なりに落とし込んでバージョンアップさせていく期間だったように思います。

――スキルアップのために一番重要だったのはどんなことでしたか?

近藤 「意識」ですね。僕は今までボイスレッスンを受けたことがなかったのですが、初めてボイトレに通ってみようと思ったんです。TRDとしての活動を始めてからそんなふうに気持ちが前向きになっていって、家に防音室を作り自主的に歌を研究していたのですが、その時間がただただ楽しくて。それがスキルアップに繋がっていけばいいなと思ってやっていました。毎日欠かさず、ジャンルを問わず歌うようにしています。それが変化ですね。そうすることで生まれた僕自身の変化がTRDの変化に繋がっていけばいいなと思って動いています。

――小野さんはいかがですか?

小野大輔 「Strangers」、そして「Cozy Crazy PARTY!」と歌わせてもらって改めて感じたことは、僕らの楽曲がひたすらに希望を歌っている、ということなんです。もっとネガティブなことも含めて楽曲に落とし込んでいくのかなと思っていたら、全然そんなことはなくて。僕ら、ずっとポジティブなんですよ。それは「変化」ではなく「変わらない」ことなんです。そこが僕自身にとっては、TRDの意外なところだったかもしれないです。違った切り口の楽曲もやるのかな、どんなことを曲にして表現していくのかな、と最初の1年は手探りでした。でも一貫して未来に進む曲を僕らは歌っている。それが意外でもあり、でも自分たちの楽曲に背中を押される感覚もあって、ほかでは得られない経験かもしれない。そういう意味でいうと「変化」というよりも「進化」として捉えていることとして「ハーモニー」があります。上達した気がしますし、ハーモニーを奏でることが好きになりました。

――といいますと?

小野 ハーモニーを奏でることは技術的に難しいもので、やっぱり何回やっても慣れない部分があったんです。でもTRDをやって1年半ハーモニーを奏でてきて、ここまでくると気持ちが良いものなんですよね。難しいからこそ、やり遂げたときや高い次元でそれを表現できたときがすごく気持ち良いんです。この期間に僕に起きた1つの変化であり進化したことは、ハーモニーが好きになったことですね。

――お互いのことについても伺いたいです。近藤さんはこの1年半、TRDでの小野さんをご覧になっていてどのようなことを感じますか?

近藤 良い意味で変わってはいないです。とっても真面目なところや妥協がないところ、真摯に向き合っているところを見ていてもそう思いますね。ライブの構成であったり、アルバムの曲順に至るまですごく考えているところはTRDが始動してから今日まで変わっていない。以前のライブ(TRD Visual Live Event2022”)でも見られた光景でもありました。リハの直前まで曲を聴いていたりするところも変わらずにいてくれているなと思います。

小野 ありがたいです、「変わらない」という評価が。変わらないでいることって案外難しかったりするじゃない?近藤くんも変わらずにストイックだなと感じます。近藤くんが僕について語ってくれたけど、それは僕が思ったことでもありますね。直前まで歌を聴きこんで、コンセントレーションを高めて、集中している姿を見ていると「本当にこの人はストイックだな」と思います。ブレないなぁ、と。僕はともするとブレがちなんですよ。ライブでテンションがアガってしまったり、お客さんから声をもらったりすると自分の中で「盛り上げなきゃ」と思うし、自分の中でボルテージが上がってしまって音を外すことも割とあるので、隣で安定してしっかりとブレずにパフォーマンスをしてくれている近藤くんはありがたい存在です。

とにかくハッピーでポジティブなパーティチューン「Cozy Crazy PARTY!」

――そんなTRDが「Strangers」に続き、TRD×アニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』×作詞・畑 亜貴×作編曲・黒須克彦という黄金式で作られた1曲「Cozy Crazy PARTY!」ですが、楽曲を受け取ったときの印象をお聞かせください。

近藤 どこか懐かしい感じも受けましたし、今まで個人的には歌ってきたことのないような曲だったので挑戦でもありました。でも無理やりにというか、否が応にもポジティブになれるのがこの曲の良いところかなと思います。それはレコーディングのときよりもライブのときに強く感じました。歌っていて気持ちが良かったですし、ライブで初披露したときにお客さんもすごく盛り上がってくれたことで確信しましたね。MV撮影のときにも歌っていてものすごく楽しかったです。撮影の思い出も相まって、自分の中では楽しくて思い出深い曲になったかなと思います。

――ラップのパートもありますが、レコーディングもスムーズでしたか?

近藤 ラップは苦労しましたね。歌については、今回の僕は上のハモりだったのですが、それが良かったですね。主メロを歌うのはもちろん気持ちが良いですが、上のハモりもすごく爽快で。今まで歌ったTRDの楽曲の中では一番高いキーでそのキツさはあったのですが、楽しく歌わせていただきました。

――小野さんはいかがでしたか?

小野 受け取ったときには、とにかくハッピーでポジティブなパーティチューンだなと思いました。TRD史上最も明るい楽曲ですね。楽曲の制作にあたって、こんなご時世だからこそ、最後は笑って明るい感覚や幸せに浸れるようなエンディングになるといいね、とお話をしていたのですが、それが音楽になるとまさしく「Cozy Crazy PARTY!」だなって思うんです。暗いニュースも多いから、楽曲くらいは明るくパーティをしようよ、誰でも遊びにおいで、というひたすらにオープンな空間がこの曲には広がっているなと思います。しかも音色にはちょっと懐かしい感じもあって。完全に今の最先端の楽曲というよりは、懐かしい雰囲気のある大人のパーティチューンですね。老若男女問わずここにきて、なにも考えずに楽しもうよ、と歌って、最終的には「また会おうね」と締められる曲です。毎週お送りするテレビアニメシリーズなので、その週の放送が終わったあとに「また来週も会えるよ」と約束をして終わろうという楽曲ですし、古き良きアニメのエンディングの空気感があるのが僕はすごく好きです。作品自体に多幸感がありますよね、理屈抜きの。そんな世界観のある1曲です。

――MVもとても楽しい映像になっていますが、撮影はいかがでしたか?前作に続き、海でのお姿。TRDはビーチの似合うユニットだな、と。

近藤 嘘だ。そんなことないと思う(笑)。

小野 MVは毎回千葉に行くよね(笑)。

近藤 たしかに(笑)。ちなみにMVでは冬服を着ているんですけど、撮影は真夏だったんですよ。

小野 そうだった(笑)。

近藤 その状態で走っている!本当に良い思い出ですよ(笑)。

小野 動物役のエキストラさんたちが、すごくぜぇぜぇいっていたのがかわいそうで。無理しないようにしてねと言っていましたが、彼らの頑張りもあって面白いMVになっています。

近藤 僕はファンタジーな世界観が好きなんですよね。2人でTRD以前にやっていたユニットなどは、かっこ良さやダークな世界観、綺麗なところを見せてきたんですが、TRDはそういったものをとっぱらって、等身大の僕らを見てもらうというコンセプトもあって。さらに今回はコミカルな要素もあって面白かったですし、僕は元々舞台出身なので体で芝居をする感じの懐かしさもあり楽しかったです。もちろん苦しいところもありましたよ?真夏に冬服を着て走るなんて。でもそれも含めて良い思い出になっていますし、その楽しさが画面を通して皆さんにも伝わってくれるといいなぁ、と思います。それに純粋に僕の人生における楽しい思い出が増えました。これって素敵なことですよね。

小野 「Strangers」のときには富津に行ったのですが、今回は九十九里のほうへ出かけまして。内房も外房も攻めるという、かなり千葉にゆかりのあるユニットになりましたが(笑)、東京に住んでいると千葉ってなかなか行かないんですよね。自分たちが普通に声優をやっていて、なかなか行かないような場所にも出かけていけることだけでも嬉しいですし、新しい景色を見ることができて、その土地の発見もありました。すごく暑かったですし、たくさん走ったりしてしんどいところもありましたが、楽しかったですね。それに尽きます。ハッピーなMV収録でした。あとは花火もすごく良かった!花火って多幸感の象徴だと思うんです。それがまたすごく良いなぁ、と思いました。

――多幸感ある本作には、どんなTRDが、お二人が息づいていると感じますか?

近藤 年相応ではない感じというか。本来の年齢を考えるともっと落ち着いた感じを目指すべきかもしれないですが、僕たちはこれでいいんだよねっていうありのままのコミカルさが入っていますよね。曲を聴いて、MVを観ていただいて、ハッピーな気持ちになってくれたらいいなぁ、と思います。

――特に「ここにありのままがある」というとどんな場面ですか?

近藤 監督に「寝ているときに人が近づいてきたとして、気づくのはどちらが早いの?」って聞かれて、「僕ですね」と答えたことで割り振られたカメラ割とかもあって、よりパーソナルなものに近い作りになっているなと思います。

小野 改めて聴いていると、僕ら2人の「今を生きている感じ」が息づいていると思います。楽曲にもMVにも。過去を振り返らないし、ひたすら前を向いて、今、今日この瞬間を一緒にいる仲間とどれだけ楽しめるかということに尽力して、それがパフォーマンスになって、楽曲になったらどれほど幸せなんだろうということを体現したのが「Cozy Crazy PARTY!」だと思うんです。僕ら自身もどうやったら上手くいくかを色々と考えるんですけど、この楽曲に関しては結果的にその場で楽しいことだけをやっていた気がします。それが正解なんです。今日を目いっぱい楽しく生きたら、また新しい1日も最高にハッピーなんじゃないかな、と。その想いを、この楽曲を受け取った人たちも感じてくれたら嬉しいです。

次ページ:肩の力の抜けたTRDの、パーソナルに近いカップリング曲「Hope Step」

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