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INTERVIEW

2023.03.02

ロックバンドがアニソンを歌う。その土台を築き上げたFLOW、そしてその開かれた道を突き進むBURNOUT SYNDROMESの2組によるスペシャル対談が実現!

ロックバンドがアニソンを歌う。その土台を築き上げたFLOW、そしてその開かれた道を突き進むBURNOUT SYNDROMESの2組によるスペシャル対談が実現!

BURNOUT SYNDROMESFLOW。方や2016年にTVアニメ『ハイキュー!!』のOPテーマでデビューを果たして以来数々のアニメとのコラボレーションを重ね、方や今年デビュー20周年を迎え、TVアニメ『NARUTO -ナルト-』をはじめとした数多くのアニメとコラボをし、世界を駆けるバンド。世代を超え、多くのファンに愛される2バンドが互いのカラーを掛け合わせ生み出したコラボソング「I Don’t Wanna Die in the Paradise」を配信リリース。尖るロックサウンドの中でサムライ魂が躍動するナンバーについてメンバーが語り尽くす。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

中学生の頃に聴いた「GO!!!」。FLOWは実在した!?

――まずはお互いの印象をお聞かせください。

熊谷和海 最初にお会いしたのは新宿BLAZEでの対バン(2019年11月)だったのですが、それ以前の印象でいうと、我々にとっては自分たちの世代のバンドなんですよね。『NARUTO -ナルト-』の「GO!!!」がど真ん中だった世代で。むしろ現実味のない人たちというか。テレビの中の存在のようなイメージでした。

KEIGO・KOHSHI・TAKE あはははは(笑)。

熊谷 今もちょっとそんな感じです。

KEIGO まだかい!(笑)。

石川大裕 TAKEさんにもお話をしたことがあるのですが、FLOWさんの楽曲を聴いていてふと思ったことが「FLOWさんっぽいバンドって後にも先にもいないな」ってことだったんです。歌謡曲な感じとロックな感じがあって、それは誰に真似できないからこそたくさんのアニメとのコラボレーションが成されるんだなって。それをTAKEさんにお伝えしたところ「そう言ってくれて嬉しいよ」と言っていただけたので、僕も嬉しかったです。

TAKE どうも。唯一無二です。

廣瀬拓哉 僕も『NARUTO -ナルト-』をずっと観ていたので、「FLOWって実在していたんだ!」っていう想いが、初めて新宿でお会いしたときの印象でした。中学の頃、「GO!!!」をコピーしていたんですよ。対バンのときに、その「GO!!!」を叩くIWASAKIさんを見ながら「そうだ、ここはこうだった!」と蘇ってもきました。

――続いてFLOWから見たBURNOUT SYNDROMESの印象はいかがですか?

KOHSHI 特にこちらはボーカルなので、熊谷くんの骨太な歌声が割と印象的でした。アニソンをやっていると聞いてはいたのですが、こういう声色のアニソンはあまり聴いたことがなかったので、新鮮でした。

KEIGO 新宿で会う前までは、曲を聴いたうえでの勝手な印象として、すごく硬派なバンドなのかなと思っていたんです。ライブでもあまりしゃべらないのかなって。そしたら180度違うライブをしていて(笑)。すごくエンターテインメントしているバンドだな、と実際に会ったことで印象がガラっと変わりました。

TAKE 個人的にはもちろん以前から名前や楽曲は知っていましたが、TVアニメ『Dr.STONE』が個人的に好きで、「Good Morning World!」を聴いていたので、本当にこの人たちは実在するのかなぁって思っていて……。

熊谷 それはおかしいでしょ(笑)。

KEIGO 実在返し(笑)。

――FLOWはまだロックバンドがアニメとのタイアップが今のように盛んではなかった時期から積極的に関わってきたバンド。今はアニメソングに対して抵抗のない世代のバンドがメインストリームで音楽を放っていますが、そのシーンをどのようにご覧になっていますか?

TAKE KANA-BOONとか、アニメの曲がやりたくてメジャーシーンを目指すバンドというのも出てきて。それこそBURNOUT SYNDROMES世代でもあると思うけど、本当にやめてほしいと思っていましたね。我々がやっとの想いで築いてきたものを、揺るがす存在がたくさん出てきた(笑)。というのは冗談ですけど、その中で新しいカルチャーとしての音楽も生まれてきたから、より融合していったほうがいいなということは個人的に思っていて。“Animelo Summer Live”のような日本のアニメフェスにどんどん日本のバンドが入っていくとより活性化されるように思っています。

KEIGO 僕らは当時からアニメに対しても変な抵抗はなくて、「やってみよう」精神が強いバンドだったんです。FLOWはそうやって関わってきましたが、タイアップといえばあの時代はドラマや映画が主流でしたし、その時代から今ではアニメにとって代わった感は強いですね。しかもアニメに関わらせてもらってから海外でのライブにも呼ばれるようになりましたが、海外で初めてライブをした2006年くらいって、海外でライブをする日本のバンドはそこまで多くはなかったんですよね。アニソンを歌うレジェンドの人たちは行っていたけれど、今ではアニメのタイアップをするバンドも増えて、海外のアニメフェスも増えた印象がありますし、そういったところに出かけてライブをする日本のバンドも増えたので、やっぱり状況は大きく変わったなと思います。

――アニメによって世界と繋がっていくことについても、FLOWは先駆者的な存在でしたね。

KOHSHI 海外の状況なんて日本にいると全然わからないので、初めてのアメリカでのライブで、お客さんたちがみんな日本語で歌ってくれていることが衝撃だったし、なんでこの人たちは僕らのことを知っているんだろう?と不思議で。それで、そこで日本のアニメの存在感を初めて感じたんですね。そのときのことは忘れられないです。

――先駆者の話を聞いて今、どんなことを感じますか?

石川 FLOWさんは2006年から海外でライブをしていたとなると、僕らが中学生の頃からなんですよね。僕はあちこちのインタビューでも「アニソン界の野茂英雄」と呼ばせていただいていますが……。

KEIGO 世代として響かない層も多いよ(笑)。

KOHSHI 若い子はわからないでしょ(笑)。

石川 いやいや。でもみんな、「なるほどね」ってなるので、僕はこれを広げていきたいです。

――実際に海外でライブをされて、どんなことを感じましたか?

廣瀬 僕らは『ハイキュー!! 』の曲でデビューさせていだいているので、やっぱりその曲をやったときの反応がすごくて。最初はフランスだったのですが、「ヒカリアレ」の大合唱は今も忘れられないです。こんなに日本語で歌ってくれるのか!って。普段使う言語は違うのに。あと毎回、驚くのはどの国の会場でもいつもFLOWさんの曲が流れていることです。

熊谷 絶対に流れているよね。

TAKE それはありがたい。

――熊谷さんは今、FLOWさんの言葉を聞いてどんなことを感じますか?

熊谷 さっきKEIGOさんが、ロックバンドがアニソンをやることを躊躇していた時代があったとお話をされていましたが、我々からするとそれってもはや神話の世界ですよね。古代の話というか、そんなことがあったのか!という感覚で。そう考えると、現在に繋がる価値観を築いたのがFLOWさんなんだと改めて思いました。我々からしたら、まったく抵抗なんてないですし、見ていて「アニメーションと楽曲がマッチしているのは本当にかっこいいな」と思ったし「いいな、自分もやりたいな」というところから始まっていると思いますから。そんな先輩方のやってきたことの上を我々は走っているんだなって。我々も、ここから先の価値観というか、もっとこうしていくといいんじゃないか、ということを提案していくべきだし、それが我々世代の義務なんじゃないかなと思います。

コラボのオファーで受け取ったのは、双方のカラーに寄らない第三の音楽

――そんな2バンドがコラボしての楽曲制作が行われ、完成した「I Don’t Wanna Die in The Paradise」です。これはBURNOUT SYNDROMESの熊谷さん発信だったと伺いましたが、どういった経緯でコラボを考えたのでしょうか。

熊谷 これまで曲提供などもやらせてもらってきて、今年からはコラボをやってみようと思って。それでチームとその話をしたときに真っ先に浮かんだのがFLOWさんだったんです。新宿で一度お会いしていましたし、ボーカルが2人いらっしゃるということはボーカル3人で歌うことができる。3人で歌う曲というのが自分でも想像できなかったのですが、FLOWさんに対してもカウンターになるような曲を作ったら面白そうだなと思って。それで最初に名前を挙げさせていただいたレジェンドバンドでした。そうと決まってからはすぐに楽曲を書いて、企画案を持っていきました。

――曲はもう完成していた!?

熊谷 はい、作っていきましたね。「この曲をみんなで歌いたいんですけど」って言って。1コーラスだけですが。

――そのオファーを受けたときにはどんな心境でしたか?

TAKE びっくりしましたよ。もう曲あるんかーい!って(笑)。でも両方のバンドのカラーとも違う、第三の感じが出ていたんですよね。単純に、曲を聴いて「面白そうだ」と思いました。

――コラボに関してはFLOWさんから声をかけることが多いので、オファーを受けられるのは珍しいですよね。

KEIGO だからびっくりしましたよね。最初は「なんで僕たちなんだろう」って。単純に、どうしてこのタイミングで声をかけてくれたのかな?とは思いましたが、熊谷くんからの熱いメールとばっちり出来ている楽曲への衝撃は印象的でした。その前にやっていたORANGE RANGEとのコラボはゼロからみんなで作った曲だったから、また違った感じでのお話だし、しっかりとした楽曲に熊谷くんのイメージもしっかりと書かれていたことで、新鮮な気持ちでコラボさせてもらいました。

KOHSHI これまでのコラボではFLOWっぽさを出したがるんですけど、そうでは全然ない、むしろ僕がやりたかったようなサウンドだったり、面白みがあったんですよね。「FLOWにオファーしたらFLOWっぽいことやりたいじゃん!」っていう感じではないのがすごく面白くて。歌詞も出来ているし、ラップもあるから、これは僕らがやることはないなって思ったくらいで。それも含めて良かったですね。

――コラボの構想を聞いたときにはどんな感想でしたか?

石川 実は話を聞いたときの楽曲は今のものとはバージョンが違っていたんです。FLOWさんが1番から出るバージョンと2番からのバージョンとあって、結果として2番からのパターンになったんです。でも1番からのバージョンもかっこ良かったので、幻のトラックとして取っておきたいですね。

廣瀬 いつかライブでやるんだろうな、と思いました。そのときの景色を想像してみたときに、とんでもない会場の盛り上がりがあるんだろうなって。ステージの熱さみたいなものもあるだろうと感じていて、楽曲を聴いたときには「これはライブでは楽しさがヤバいことになるな」と確信しました。

形骸化したイメージを壊し、世界で勝負するという気概と意識込めた歌

――その楽曲を作るのにあたってはどんなことを意識されたのでしょうか。

熊谷 今の皆さんのお話を聞いていて、FLOWらしさを求めるのが常識だったのかな、と今さらのように思ってしまいました……熊谷の常識のなさがここで露呈してしまいましたね(笑)。ただ私としてはFLOWらしさを破壊したかったんです。「らしさ」と言えばやっぱりそれは「声」だと思っているんです。FLOWのお二人が歌いさえすればそれはすなわちFLOWらしさに繋がると思っているので、逆に楽曲としてはちょっとぶっ飛んだ感じにしたいと思っていました。FLOWさんは何年も前から海外でライブをされていて、我々も海外に行くようになって、FLOWさんの曲が海外のあらゆるところで流れているのを聴いて、海外で通用する何かがあるような気がしたんです。それをさらにブーストできる気がしたんです。あまりロックロックしていなくて、打ち込みっぽくて低音しっかり気味の曲で、地球の裏側の人が聴いてもノれるようなものを目指したつもりです。ただ編曲にTAKEさんが入ってくださっているので、そこでFLOWらしさは出せたんじゃないかと思っています。

――編曲についてはどんなことを意識されましたか?

TAKE 熊さん(熊谷)の中で「海外に通用する、海外音楽マーケットに届くようなものを」という明確なイメージがあって、それはすごくわかりやすかったんですよね。単純に言うとヒップホップR&Bエレクトロみたいな曲の切り口なんですけど、確かに2020年に世界で一番聴かれていたのがBTSの「Dynamite」とビリー・アイリッシュ。2021年もザ・ウィークエンドが一番聴かれていて、あとはデュア・リパさんとか。そういうのが主流なんですよね。バンド不在の時代が続くなかで、世界で唯一生ドラム、ディストーションギターが鳴っていたのがアニソンだったと思うんです。今回、FLOWとBURNOUT SYNDROMESの融合だからこそそういう要素も入れつつ、そこにプラスして熊さんがイメージしている世界基準のサウンドというものが出たら面白いんじゃないかなってことで聴いてもらったのが、エド・シーランとブリング・ミー・ザ・ホライズンがコラボしてやっていた「Bad Habits」。この辺りを目指すのがいいんじゃないかって提案をさせていただきました。

――それを受けた熊谷さんはどのような反応を?

熊谷 そもそも最初に送らせてもらったデモにはディストーションギターは一切入っていなかったんですよ。そうしたら翌日届いたTAKEさんからのデモはディストーションギターがバキバキに入っていたので、急遽ミーティングを開いて「TAKEさん、ディストーションギター入れたくないです」って(笑)。オンラインでミーティングしたのですが、そのときのTAKEさんの背後にはキャンプファイアーが(笑)。

――キャンプ中でしたか!

TAKE あははは。

熊谷 「ディストーションギターは古臭くなるから入れたくないです」って言いました。でもTAKEさんからは「ディストーションギターは逆に日本ならではの楽器だ」というか。逆に世界にはないからこそ提案していくのが日本人アーティストとしての役目なんじゃないかって話をしてくださって。それは100利あるなって思ったことで、ディストーションギターがバキバキに入るアレンジになったんですけど、完成品を聴いて、結果としてそれは正しかったなという気がしています。本当に日本人だけだなっていう感じが今も昔もしているのですが、ディストーションギターをいかに古臭くなく使うかがこれからの課題なんじゃないかなと思って。そのギターの使い方に関しても、TAKEさんとは何度もやり取りをしまして。「ここはもっと音を伸ばさない感じにしたいです」とか「パーカッションみたいな感じにしたいです」と色々と相談をして、古臭くないディストーションギターの使い方を目指しました。

――意見のセッションはあったんですね。

熊谷 そうですね。ほぼほぼTAKEさんの圧勝でしたけど。

KEIGO 対決じゃないから(笑)。

熊谷 100利あるなって。

TAKE FALL OUT BOYの新曲を聴いたんだけど、バッキバキにソリッドなギター入ってたよ?

熊谷 そうなんですか!?

TAKE 3月に発売なんだけど、完全にバンドサウンドに振り切った感じなのね。戻ってきた感はあると思うし、そういう意味でも早めにやったほうがいい。先取り。まぁ、僕らはずっとやっているんですけどね?

熊谷 戻ってくるにしてもひと癖かませている気はします。今までの通りということではなくその先の道筋を作ることができたのならディストーションギターも面白いのかなとは思います。

TAKE 掛け算だよね。エレクトロサウンドとの融合とかね。2000年代前半にエンター・シカリ然り、そういったアーティストの台頭もあったけど、また次の世代によるサウンド作りは始まっているよね。

既存のラップにない熊谷のラップと「これぞラップ!」というFLOWの2人のリリック

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