DJをテーマに、アニメ、ゲーム、ライブなど様々なメディアミックス展開を行うプロジェクト「D4DJ」。そのTVアニメ2期『D4DJ All Mix』が、2023年1月から放送をスタートした。個性豊かな音楽性と魅力を持った6ユニットの活躍が描かれる本アニメを、リスアニ!では連載企画「Diggin’『D4DJ All Mix』」として徹底特集!
連載第2回では、『D4DJ All Mix』のストーリーの主軸を担い、アニメ第3話でキュートかつ雅なステージを見せたお嬢様学校に通う高校生ユニット・Lyrical Lily(通称:リリリリ)のキャストより、反田葉月(桜田美夢役)、渡瀬結月(竹下みいこ役)と、同ユニットの音楽プロデューサーを務める小説家・中村 航との対談を敢行。OPテーマ「Maihime」や第3話で初披露となった新曲「春とショコラ」についてはもちろん、ユニットのこれまでとこれからについても存分に語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
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――新曲のお話の前に、これまでの振り返りからお聞きできればと思います。中村さんはLyrical Lilyを音楽プロデューサーとして見守るなかで、メンバーの皆さんの成長をどのように感じてきましたか?
中村 航 最初のオーディションから見ていますが、個々としてもユニットとしても、目覚ましい成長を遂げていて……Lyrical Lilyって実は“個の力”のユニットという側面もあるので、比較的に歌割りが均等なのですが、そのなかで「このパートはこの人に任せておけば大丈夫」という塩梅もわかってきましたし、“プロ”として成長する4人に我々もついていかなければ……という気持ちです。
反田葉月 わぁ……プロだって!
渡瀬結月 ねぇ!嬉しい……!
中村 特に成長を感じたのは、1年くらい前からかな? 歌の面でもキャラクターとしての演技でも驚いた瞬間は何度もありましたし、今なんてレコーディングが終わると感心して、チームで「すごかったね」とか「ここがいいよね」という話をすることも多いんですよ。
――成長を感じられたのは、特にどんな部分でしたか?
中村 まず渡瀬さんは、基本すごく頑張ってくれるんです。コーラスは渡瀬さんに頼ることが多いのですが、準備をしっかりしてくれる。そのうえで、さっきお話ししたように、1年ぐらい前に「掴んだのかな?」と感じた瞬間があったんですよ。「なのラップ」(※「ねむり姫」の渡瀬担当のラップパート)なんて、この3年間で最大級の無茶振りだったはずなのに(笑)、そういうところもすごく頑張ってくれたからこそ成長を感じるんでしょうね。
渡瀬 ありがとうございます……! 私、周りからは「頑張り屋さんだね」とよく言ってもらえるのですが、逆に自分自身では怠惰なほうだと思っていたので(笑)、「そうだったんだ!」って思いました。あと私、実は「なのラップ」もそんなに無茶振りだと思っていなくて。ライブで歌うとなると息継ぎが大変そうとは思いましたけど、レコーディングは楽しみでした!
中村 で、反田さんは、まず歌以外のセリフを入れるときに、こちらがまだ辿り着いていない答えを、いつも出してくれるんですよ。例えば「ライム畑でつかまえて」の最後の“つかまっちゃった”もそうですが、僕が文字として書いたものをちゃんと形にしてくれるんです。あと、2ndライブの頃から「頑張ってる姿を見せていいんだ」と思うようになったと感じたんだけど。
反田 あ、そうなんです!
中村 やっぱりそうだったんだ。Lyrical Lilyって、最初の頃は先行する他グループのかわいい妹分みたいなポジションで、少し遠慮していた感じがしたんですね。でも成長していくなかで「“もっと成長したい”とか“こういうことを頑張りたい”という気持ちを、素直に見せよう!」と変わった気がして。それを反田さんが、うまく先導してくれた気がするな。
反田 それが中村先生にバレていたのは、本当にびっくりです!私たち、毎回ライブごとに目標を立てているんですけど……メンバーみんな、本当に不器用な努力家さんというか、表に出さない頑張り屋さんなんですよ。でも、私はそんなメンバーが本当に大好きだから、その頑張りをディグラー(※「D4DJ」ファンの総称)の皆さんはもちろん、周りのスタッフの方たちにも知ってもらいたいんです。それに、若さから出せるガムシャラ感というのはLyrical Lilyの強みだと思うので、それをもっと色んな人に伝えられるように表に出していこうと思ったのが、2ndライブのときだったんです。
――中村さんがそれに気づかれたのも、ちゃんと見てくださっているからこそですよね。
反田 そうですね、嬉しくて心がぽかぽかしちゃいます。ふふふ(笑)。
中村 ……じゃあ逆に、今度は2人の思う、僕のいいところを……。
反田・渡瀬 ああっ、そうでした!(笑)。
中村 嘘です、言わなくていいです(笑)。
反田 いやぁ、中村先生はすごくユニークな方ですよ!
渡瀬 そう。ユニークだなぁって思う。
反田 歌詞もですけど、レコーディングのときに先生からもらう曲中のセリフが、「ごきげんYo!」みたいに毎度毎度ユニークなんですよ。
渡瀬 それと本当に優しくて。
反田 うん。あと……。
中村 わかりましたわかりました!僕のいいところはユニークで優しいところですね!ありがとうございます!(照)。
――続いて反田さんと渡瀬さんに、Lyrical Lilyの楽曲の魅力がどういうところにあると思われているのかをお聞きしたいのですが。
反田 文学的で、懐メロ的な要素がすごく多いところです。しかも、ちょっとかっこよかったり、もっとポップだったり、ラップがあったり……色んな顔を見られる文学的少女たち、というところが魅力だと思います。
渡瀬 今、はーちゃん(反田)が言ってくれたラップやポエトリーの要素が、だんだん増えてきたんですよ。私はラップなんて本当に未経験だったし、それをまさかLyrical Lilyでやるなんて想像もしてなかったですけど、最近はそこも新しい魅力なのかな、と思うようになりました。
――中村さんはLyrical Lilyの楽曲制作では、どういうことを一番大事にされていますか?
中村 まず“かわいい”という言葉は忘れないようにしています。「かっこいい曲でも、どこかかわいい」というような。音楽のジャンルとしては割と色んなことをやっていて、ど真ん中のEDMということではなく、生楽器を使ったり、ダンス曲であってもフューチャーベース的な曲を増やしていったり……色んな要素を取り入れるようにしています。あとは歌詞の面で、何かしらの文学作品をモチーフにしているところですね。
――そういった様々な“かわいい”を表現されるために、メンバーのお二人はステージ上でどんな部分を大事にされていますか?
渡瀬 とにかく「自分ではなく、キャラクターが歌って踊っている」ということを、一番意識しています。それと楽曲によってメインになるキャラクターや曲調が変わるので、それに合わせて「この曲では、ここでこの子を目立たせよう」みたいな意識もあるかもしれない。あとは……表情とか?
反田 確かに。Lyrical Lilyはそういうところもみんなで話し合って、「ここはこうしたいよね」という意見を出し合いながら、ライブに向けてカバーもオリジナル曲も作っているんです。例えば去年の“ブシロード15周年記念ライブ(in ベルーナドーム)”みたいなフェスのときも、みんなで「このキャラだったら、ここのMCでは何を言うだろう?」とか、「ここは〇〇ちゃんが話したほうがいいんじゃないかな?」みたいに。
――ちなみに、その“15周年ライブ”では観客の声出しが解禁されたので、Lyrical Lilyとして初めて歓声を受けたライブでした。そのときの感覚は、どのようなものでしたか?
反田 自分がすごく小さく思えました!今までは「準備はよろしくって?」と問いかけたら拍手が返ってきたのですが、あのときは四方八方から「よろしくってよー!」という大きな声が聴こえてきたので。
渡瀬 しかも今まで経験したどの会場よりも大きかったので、返ってきた声も予想以上の大きさだったんですよ!それに歓声以外にも、皆さんピンクのペンライトをつけてくれて、一面ピンクに染まっていたのには本当に感動しました。
反田 感動したよね。きっとLyrical Lilyのことを知らない方も、たくさんいらっしゃったはずなのに。ライブの後も、SNSでもたくさんLyrical Lilyのことをつぶやいてくださったり、曲を聴いてくださったりしているみたいで……すごく嬉しかったです。
――中村さんはそのステージをご覧になって、どんなことを感じられましたか?
中村 僕も、彼女たちが初めて歓声を受けたことについてはすごく感慨深いです。それは、皆さんと仕事を始めたときが、まさにコロナ禍の初期だったからで。しかも“15周年ライブ”は、その時期に作った曲を多く歌っていたので、その意味でもすごく感慨深いライブでした。
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