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INTERVIEW

2023.01.26

TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』OP主題歌「ミュージカル」&3rdアルバム『fruitful spring』を同時リリース!鈴木みのりスペシャルインタビュー Part.2

TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』OP主題歌「ミュージカル」&3rdアルバム『fruitful spring』を同時リリース!鈴木みのりスペシャルインタビュー Part.2

TVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』OP主題歌「ミュージカル」と3rdアルバム『fruitful spring』を1月25日に同時リリースした鈴木みのり。ロングインタビューPart.2は、3rdアルバム『fruitful spring』編。北川勝利(Round Table)や坂本真綾、江口亮に滝澤俊輔、ボカロPであるいよわ、そして尾崎雄貴(Galileo Galilei、BBHF)と、鈴木みのりを知る者ならばクリエイターの布陣に彼女の息吹を感じとれるだろう。過去と現在を凝縮させた先には鈴木みのりというシンガーの未来が現れ、その歌声と表現力が生み出した極上のPopsは属性を飛び越えて多くの人を魅了すると確信させる。そんなアルバムが誕生に至る道を彼女の口から教えてもらう。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)

もっと自分の意志を持って音楽活動に臨まなければという決意

――まずはアルバムコンセプトから教えていただけますか?

鈴木みのり 実はアルバムのためのコンセプト作りがスタート地点ではなくて。今回、フライングドッグの制作陣が大きく変わったんですね。2ndアルバムまでは『マクロスΔ』からお世話になっている福田(正夫)さんがメインのディレクターだったんですけど、今、私を担当してくださっている方は深水(円)さんという方で。その変わるタイミングで私が、25歳になるということを意識しだしたこともあって、「自分はもっと意志を持って音楽活動に取り組まないといけないと思っている」という話をさせていただきました。深水さんも同じ考えで、深水さんが決めたことを私に納得してもらいたいし、私が決めたことならなおさら尊重したい、ということを仰っていただきました。なので、まずはコンセプトを決めず、今までお世話になった方、そしてこれからの鈴木みのりを見せていくためにご一緒したい方に声をかけることになりました。

――たしかに、楽曲を制作したクリエイター陣の名前を見ると、北川勝利さんや坂本真綾さん、Galileo Galilei・BBHFの尾崎雄貴さんなどなど、「鈴木みのり」を強く感じることができます。

鈴木 ただ、(坂本)真綾さんは恐れ多くこちらからお声がけはしていなかったのですが、北川(勝利)さんが気を利かせて「みのりちゃんのアルバムなら」ということで声をかけてくださいました。そこから生まれたのが1曲目の「My Own Story」で。尾崎さんは、自分がずっと一緒にやりたかったけどそれが言えなかった人で。でも歌手活動5周年を迎えた今ならできる気がするということでお声がけさせていただきました。アルバム制作の過程で、「My Own Story」と「夏のばね」ができた時点で、ほかの曲も出来ていたんですけど、私にとっては北川さんと尾崎さんはとても大きい存在なので、お二方からインスピレーションをいただき、アルバムのイメージを膨らませようと思いました。そうしたら真綾さんが書かれた詞に「次の季節へ」というワードがあり、尾崎さんの楽曲タイトルが「夏のばね」だったことから、アルバムを冬に発売し、春になってツアーをし、「次の季節へ」で夏になり、“みのり”の秋を迎える、という意味を込め、タイトルを『fruitful spring』にしました。アルバムタイトルを自分で決めるのは初めてでしたが。といったところがアルバム制作の大きな流れですね。

――「My Own Story」と「夏のばね」がアルバムの核となったということですが、手がけたお二人についてもお聞かせください。まず、北川さんは鈴木さんにとってどのような存在だと感じていますか?

鈴木 北川さんがいなかったら私はこうして音楽活動を続けていなかったかもしれない、と言っても過言ではないくらいで。勿論最初は、北川さんの作る曲が好きで、ご一緒できたときは憧れの存在でしたが、今となっては1番距離の近い作家さんであり、バンドメンバーの一人でもあり、私が入る前のフライングドッグを知っている人でもあり。常に一緒にいる方ではないし、私が立ち止まりそうになったときにぐいぐいと慰めることはせず、そばで気づいて手を差し伸べてくれるような方ですね。あと、北川さんは太陽みたいな人で、私の後ろ向きな気持ちが溶けるくらいに明るい人なんですね。自分はそういう人といる方が居心地良くて。ライブのときも制作でも、色々な意味で、自分のモヤモヤを溶かしてくれる人だとは思います。

――「My Own Story」の歌詞もアルバムコンセプトにつながったということですが、坂本さんの歌詞に対する印象も教えてください。

鈴木 真綾さんには以前も歌詞を書いていただきましたが、「面と向かってお話したことって実は楽屋挨拶くらいしかないのに、こんなに自分のことを理解してくれているなんて」という驚きがまずありますね。北川さんは真綾さんに、歌手活動5周年のお祝いでもあるので聞き手を想像しながらその背中を押すような歌詞を書いてほしい、とお伝えしたらしいのですが、あと少しで光に手が届くというようなニュアンスがありつつ、苦しい時期もあったということが歌詞に込められていたのが嬉しかったですね。北川さんのメロディも爽やかな風が吹くようで。曲も歌詞も、5周年というお祝いのアルバムなら私のキャラクターイメージ的に「おめでとう!やったね」「楽しんで!」という方向に振り切るかと思っていたんですけど、ふたを開けてみたら本当に自分を表す曲をいただけたと思いました。

――前を向く鈴木みのりを表現してもらったとも思いますが、ご自身ではネガティブが強いとはよく仰っていますよね。前向きさや向上心という面では、自身をどのように捉えていますか?

鈴木 向上心はめちゃくちゃあると思います。多分、あるから、向上していない自分を見つけたときにネガが働くんですよね。でも周りの人の色々な話を聞くなかで、自分は「もうできない」って泣きはしないし、諦めもしないので、最近は「意外と肝が座っているのかも」と思うようになりました。

――次は、尾崎さんが鈴木さんにとってどのような存在なのかも教えていただけますか?

鈴木 尾崎さんについては、真綾さんや(やなぎ)なぎさんと同じくらい大好きで。でも、ご縁が繋がってご一緒できた真綾さんやなぎさんと違い、尾崎さんとは多分自分で作りにいかないと一生ご縁が生まれないと思っていました。

――同じに見えて隣の業界ですから。

鈴木 ただ、いくらでもタイミングはあったんですよ。これまでも「誰とやりたいですか?」とは聞かれてきたので。でも、自分のアーティストイメージやお客さんが受け入れてくれるどうかを考えて、ひるんでしまっていました。それが、自分の意見を徐々に作品に反映させることができ、意外にお客さんがどんな自分も受け入れてくれると知った今なら「できるかもしれない」と思いました。尾崎さんの楽曲に恥ずかしくない自分を感じることができたんですね。なので思い切ってラブコールを(笑)。

――決死の思いでしたか?

鈴木 尾崎さんとのやり取りに関しては、1文字も間違えてほしくなかったんですよね。私の思いだ・け・で!送ってほしかったんですよ。つまり、「鈴木がこう言っています」ではなく、「ここからは鈴木の文です」というメールを送ってもらいました。そんなことをしたのは初めて。でも、そういうやり取りをさせてもらったので、尾崎さんの思いも受け取ることができましたね。

――もはや動画を送ったほうが早かったくらいな。

鈴木 「(手を振りながら)尾崎さん、こんにちはー」って? ヤバいのが来たって思われる(笑)。

――(笑)。でも、そういったメールを送ったら情熱は伝わりますね。

鈴木 尾崎さんが引いていたかはわからないですけど、マネージャーさんはすごく喜んでくださっていて。良かったです。

――それだけの想いが込められた「夏のばね」ですが、待望の尾崎さん提供楽曲はどのような気持ちで歌われましたか?

鈴木 本当に全身全霊を込めました。実はレコーディング前日、尾崎さんのソロプロジェクトであるwarbearのライブに行ったんですけど、ライブ中にGalileo Galilei再始動を発表されて。

――ああ、あの日の。ニュースを見ました。

鈴木 「え?こんなことある?」と驚きました。Galileo Galileiを聴いて育った私が、ずっと臆病で言えなかったけどようやく曲を作ってくださいと言えて、そのご縁で尾崎さんのライブを見ているときにGalileo Galilei再始動を知るなんて。しかも次の日がレコーディングで。「……全部を込めなきゃいけない」という気持ちになりました。それに、尾崎さんに曲をお願いするとき、「尾崎さんの曲で次の1歩を踏み出せたら、もう絶対どんなことがあっても大丈夫だと思う」ということをお伝えしていたんです。なのでその決意も乗せたくて。今までで一番、「うーん、これじゃない」「いや、こうじゃない」と言いながらのレコーディングでした。ディレクターさんがハラハラするような態度をずっと取っていたと思います(笑)。

次ページ:日常の出来事に重ね合わせてもらえるように歌いました

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