リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2023.01.24

『スパイ教室』チーム・灯に火をつける王道OPテーマ完成。nonoc、自身作詞で届ける挑戦作「灯火」を語る

『スパイ教室』チーム・灯に火をつける王道OPテーマ完成。nonoc、自身作詞で届ける挑戦作「灯火」を語る

第32回ファンタジア文庫大賞に選ばれたライトノベルが原作のTVアニメ『スパイ教室』が、2023年1月5日より放送をスタートした。オープニングを飾るのは、『Re:ゼロから始める異世界生活』シリーズや『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』など数々のアニメ主題歌を担当しているnonocの「灯火」。サウンドクリエイターfu_mouが作曲を手がけたアップテンポなナンバーだ。

本作では、自身のアニメ主題歌としては初めて作詞も担当。喜びと同時にプレッシャーもあったそうだが、作品と丁寧に寄り添った詞や歌唱からは、アニソンシンガー・nonocならではの矜持を感じさせる内容となった。初のワンマンライブがあった昨年のことを振り返ってもらいながら、6thシングル「灯火」が生まれた経緯を探っていった。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

「歌がやっぱり大好き」と再確認できた1年

――今回は年が明けてすぐのインタビューとなりましたが、2022年はnonocさんにとってどのような1年でしたか?

nonoc 念願のワンマンライブ(2022年10月29日/東京・代官山UNITにて開催)ができたことで、自分の知らない自分に出会うことができたような気がしています。それまでコロナ禍ということもあって、イベントをあまり経験できないまま2年くらい過ぎてしまっていたので、自分にとって大きな経験になりました。

――自分自身の知らない自分、ですか?

nonoc 例えば……意外と自分は煽ることが好きなんだなと(笑)。

――(笑)。それはワンマンライブじゃないと気づかなかった自分ですね。

nonoc 自分では気づいていなかったんですが、意外とオラオラ系でした(笑)。これまでもイベントに出させていただく前は必ずイメージトレーニングをしていくんですが、ステージって生き物なんだなと改めて感じます。元々自分は暗い人間だと思うんですけど、ライブをやらせていただけるとすごく楽しくて。「音楽って楽しいな」と再確認しました。

――今、ご自身のことを暗い人間だとおっしゃいましたけど、だからこそ、nonocさん自身も歌に救われてきたご経験というのがあったのでしょうね。

nonoc そのとおりだと思います。歌に悩まされることもあるけど、歌がやっぱり大好きで、自分にとって欠かせないものだなと、改めて感じました。去年は久しぶりのイベントに出させてもらう機会も多かったんですよね。ステージに立って「これこれ!」っていう感覚を思い出すこともあって。ここ何年かでお話ができる人も増えて、今は前向きです。それこそ音楽をやっていたからこそ、色々な現場で助けられました。

――話が飛んでしまうんですけど、Twitterにアップされていた新年の振袖姿が素敵でした。

nonoc 本当ですか! 嬉しい。(地元である北海道の)歌志内神社の鳥居の色が好きで。成人式で着た振り袖を着ました。実はあの振り袖を着付けてくれたのは97歳のひいおばあちゃんで。私のSNSをおじいちゃんおばあちゃんがいつも見ていて、写真をアップすると喜んでくれるんです(笑)。皆さんにも、そんな幸せのおすそ分けができたらなと思って写真を公開しました。

作詞とともにアニメの世界観を担う喜び、不安、そして責任感

――改めて、新曲の「灯火」についてお聞きしていきたいと思います。(インタビュー時点で)TVアニメ『スパイ教室』の第1話が放送されたばかりですが、ご覧になった感想はいかがでしたか。

nonoc 原作から読ませていただいていた作品ですが、こうして声がついて動いていると、キャラクターのことを繊細に感じ取ることができるので、小説で読んだとき以上に「かっこいい!」「かわいい!」と感じる瞬間がありました。色々な伏線を感じることもできる内容で、今後が楽しみになりました。

――本作のOPテーマをご担当することが決まったときはどのような心境でしたか?

nonoc まずは「オープニング、やった!嬉しい!」でした(笑)。しかも今回は作詞も任せてもらえるということで、すごく嬉しくて。「本当に良いんですか?」という感じでした。『スパイ教室』という作品タイトルからはミステリー的なイメージを思い浮かべていたんですが、原作を読んでみると、頭脳戦的なトリックを仕掛けることが主題というより、「スパイであること」が重要なのかなと。物語を読みつつ、曲を作っていただくのと並行して歌詞を書いていきました。

――アニメタイアップの楽曲でご自身が作詞を手がけられるのは初ということで、喜びと同時にプレッシャーのようなものもあったのでしょうか。

nonoc ありました。今は、アニメ放送が決まると同時にOP&EDの情報も解禁されるじゃないですか? 自分は作詞家ではないから「アニメを見てくださる方に、自分が作詞者としてクレジットされていることを受け止めてもらえるのかな」と不安でした。なんとなくあるじゃないですか?「この方の名前が出たら大丈夫」、みたいな……。私はそういう土台がないところからのスタートだったので、責任感もありました。責任というのは、こういったインタビューでも感じています。タイアップ楽曲はアニメがあってこそで。作品に対しての想いはすごくあるんですけど、自分が作ったものではないからこそ、どうやって寄り添えるかとか、物語の進み方を決めつけるような形になってもいけないな、とか、自分なりの塩梅を考えていました。

――nonocさんはこれまでのタイアップ楽曲を歌われる際も、そういったことを意識しながら寄り添われている印象があります。アニソンシンガーならではの矜持を感じるというか。

nonoc そうですね。アニソンシンガーである限り、そこは忘れたくないなと思っていて。正解がない中で正解を紡いでいかなければいけないので、そういったことはいつも考えていますね。でもいっぱい考えても、それが実際にできるタイプではなくて。考えつつも、考えすぎず、というバランスを大切にしています。レコーディングでも、何も考えずにバッと歌った最初のテイクが良いことがあるんですよね。

――「灯火」のレコーディングはfu_mouさんも立ち会っていたのでしょうか。

nonoc そうですね。プリプロからすべて立ち会ってくれています。曲にすごくこだわりのある方なので「ここはもう少し力強く」とか、細かい部分までディレクションをいただいていました。

――この曲の歌詞では、“溢れ出す感情が 見つけ出した確かな居場所”という言葉に、より感情がこもっているように感じました。nonocさんの「居場所」というと、やはり音楽にまつわるものになりますか。

nonoc ステージ……と言いたいんですけど、ライブ後にファンの方と対話する時間は特に「居場所」を感じますね。お渡し会とかもそうなんですが、「◯◯(曲)から聴いています!」「◯◯のときから応援してます!」とか、そういった言葉をもらえることが嬉しくて。何かのきっかけで私の曲を聴いてくれて、会いに来てくれることが、歌手として本当に嬉しいです。コロナ禍もあって、より人と会える大切さを感じました。あとは、意図していなかったところを褒めてくださったり、新曲の感想をくださったりすることもありがたいです。「えへへ」となるというか(笑)。今まさにインタビューで歌詞のことを聞いてくださったのも嬉しくて、自分の音源を聴きたくなりました(笑)。

次ページ:「灯」のメンバーみんなに火をつけられる曲に

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP