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INTERVIEW

2023.01.18

PENGUIN RESEARCH、約3年半ぶりとなるニューシングル「変幻自在」リリース! 新たな表現を詰め込んだ本作に迫る

PENGUIN RESEARCH、約3年半ぶりとなるニューシングル「変幻自在」リリース! 新たな表現を詰め込んだ本作に迫る

“負けがいのある人生を唄うバンド・PENGUIN RESEARCHの約3年半ぶりとなるニューシングル「変幻自在」の表題曲は、TVアニメ『アルスの巨獣』OPテーマ。運命に挑み、大切にすべき願いを守り抜く人々を描いたアニメの世界観とリンクしながら、メンバー全員の個性とセンスがさく裂するロックチューンに仕上がっている。新たな表現へと進んだ本作について、メンバー5人に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之

原点に立ち返ったPENGUIN RESEARCHの2022年

――2022年8月に東京・LINE CUBE SHIBUYAでワンマンライブ<PENGUIN RESEARCH LIVE 2022“FIVE STAR JOURNEY”>を開催。新曲「千夜祭」を配信リリースするなど、バンドとしての活動がようやく戻ってきた1年だったと思います。皆さんの手ごたえはどうですか?

堀江晶太 ライブがまったくできない状況に比べれば、ステージの上でファンと顔を合わせて音楽をやる機会が増えて。活動が思うようにいかない時期に考えたこと、試してきたことを発散できているし、そのことに喜びを感じています。シンプルに「バンドをやることが自分を構成する大切な要素なんだな」と思ったし、音楽っていいな、ライブっていいなという原点に立ち返れた1年でしたね。

生田鷹司 ライブ自体は去年から少しずつ再開してたんですけど、ちょっとリハビリみたいな感覚もあったんですよ。今年の春の東名阪ツアーも、その延長線上なのかなと思ってたら、すごく楽しくて。2019年まではプレッシャーも感じていたし、純粋に音楽に向き合うことがあまりできないこともあって……。でも、今年のライブは音楽に真摯に向き合えていたし、メンバーとの関係もフラットというか、いい雰囲気だったんですよね。この2年はただの空白ではなかったんだな、と。

新保恵大 ようやく動き出したと実感できたのは、LINE CUBE SHIBUYAのライブだったんですよ。コロナ禍を経て、メンバーそれぞれの考え方や演奏がちょっとずつ変わってきて。それがライブにも出ているし、以前よりもいい方向に進んでいると思います。

神田ジョン 自分の話になっちゃうんですけど、バンドで音を出すこと自体が好きだし、もちろんライブは特別な場所で。俺にとってバンド活動は生命維持装置みたいなものなんだなって実感しましたね。

柴﨑洋輔 PENGUIN RESEARCHとして演奏できる喜びもそうだし、お客さんが楽しんでくれてることが何より嬉しくて。同時に「もっと伸ばせるな」という部分だったり、挑戦したいことも見つかったし、次に繋がっているのも良かったのかなと。

メンバー全員のかっこ良さをストレートに打ち出したアッパーチューン「変幻自在」

――今のPENGUIN RESEARCHのテンションの良さは、今作「変幻自在」からも伝わってきました。TVアニメ『アルスの巨獣』OPテーマですが、どんなイメージで制作したんですか?

堀江 「変幻自在」は以前からあったデモが元になっているんです。『アルスの巨獣』のOPテーマのお話をいただいて、まず、作品の世界観やストーリーについてじっくり考えて。「自らの使命に立ち向かう主人公たちの姿を表現したい」という気持ちがまずあって、いくつか曲を書いたんですが、「どの曲が相応しいだろう?」と話し合うなかで、候補として入れておいた「変幻自在」の原型が採用されたんですよ。「こういうバンドでありたい」「こういう音楽をやりたい」という思いだけで作った曲だったんですけど、それが今のバンドの状況だったり、『アルスの巨獣』のメッセージと引かれ合ったというか。

――なるほど。「変幻自在」は、メンバー全員のプレイヤーとしての個性も発揮されていて。

堀江 ライブが出来ない時期に作ったんですけど、メンバー一人一人の鋭くてかっこいいところを見せたいと強く思っていたんですよね。結果、今までの真っ直ぐなロックとは違うアプローチの曲になったんじゃないかな、と。

――ベースラインも暴れまくっていて。

堀江 ベースの話になるとは思ってなかった(笑)。バンドを続けてきて、いつの間にか「ベース然としていよう」と思っていたフシがあって。楽曲の魅力、鷹司の良さを際立たせるために、ベースはなるべくシンプルにしていたというか。「変幻自在」はそういうアプローチではないので、反動もあって弾きまくってます。

――神田さんのギターサウンドもめちゃくちゃアグレッシブですね。

神田 ありがとうございます。音に関して言えることがあるとしたら、間奏の“ボカン!”という音ですね。テープエコーというアナログの機材を買って、それを初めて使ったんですよ。爆発音から始まるディレイも気に入ってるし、満足しています。

新保 このシングルは3曲ともそうなんですけど、ライブを意識しながらアレンジしていて。以前はもっとフレーズを詰め込んでいたんですけど、今回はよりライブを意識してフレージングしました。

柴﨑 自分の楽器のことでいうと、これまでのPENGUIN RESEARCHにはなかったスムースジャズ的なフレーズを取り入れていて。僕だけじゃなくて、各々の個性が出た曲になっていると思います。

――すごく刺激的なミクスチャーですよね。

堀江 そうですね。無心だったんですけど、バンドのかっこ良さ、楽器のかっこ良さを打ち出そうとしたことで、実験的なアプローチに繋がったのかなと。

生田 これまでは歌い上げるロックが多かったんですが、「変幻自在」は色々なテイストが入っていて、デモを聴いた段階で「これは新しいかっこ良さだな」と思いました。ただ、サビのトップの音は相変わらず高くて。今までの最高音はD(レ)だったんですけど、この曲はE(ミ)なんですよ。

神田 いや、F(ファ)じゃない?

堀江 うん。ラスサビはFまで使ってるね。

生田 え、そんな高いの!?発声をアップグレードしないと歌えないないなと思ったし、ノドを繊細に使って。結果、ちょっと中性的な声になったんじゃないかなと。こういうチャレンジも懐かしいですね。

――歌詞に関してはどんな印象がありますか?

生田 歌うたびに認識や表現が変わるので、あまり決めつけたくないんですよね。ただ、人が生きていくうえで――僕自身もそうなんですけど――八方美人というか、色んな仮面をまとうことは誰にでもあると思うんですよ。ただ、2020年以降に色んなことが起きるなかで、「どこで誰といても、どんなキャラクターを演じていても、自分は変わらない」という思いが強くなってきて。怒りでも楽しさでも、最初の感情は変わらないじゃないですか。そのことに気づいてから、より自分の気持ちを大事にしようと思って。「変幻自在」のサビに“本当の顔は誰にも奪えやしない”という歌詞があるんですが、それは自分が考えていたことともシンクロしていますね。

次ページ:シンプルなギターロック「大脱走」、ノスタルジックな雰囲気の「ホームカミング」から伝わる“新しいかっこ良さ”

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