物語は終局へ─『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』新OPが目指した世界観とは？ sana (sajou no hana)×菅野祐悟 スペシャル対談

レコーディング後の疲労感はすごくて、まるで戦った後みたいな感じでした（sana）

――レコーディングで歌ってみた感触はいかがでした？　sanaさんにとって比較的得意なところで攻められたのか、それとも結構ご苦労もあったのか。

sana　パワーのある歌い方は、自分の中でずっと温めてきたというか、挑戦し続けてきたものだったんです。普段は違うけれど、歌うときはいつでも最強でありたい……という気持ちがあって。それで『ジョジョ』の、それも『ストーンオーシャン』のオープニングということは、「最強中の最強」を目指すべきじゃないですか。そこにチャレンジできることは、とても興奮しましたね。

――じゃあもう、前のめりに、得意なところで勝負を。

sana　……でも、やっぱり大変でした（笑）。力強さもですけど、結構、静けさもある曲だったんですよね。めらめらと燃え滾る感じが求められているのに、静かな部分もあるから、歌っているとどこかで落ち着いてしまいそうになる。歌の中に抜け感を作ってしまったりもして。でも、それだと『ストーンオーシャン』のクライマックスのイメージには合わないじゃないですか。そこはプリプロ（本番レコーディング前）の段階でも言われていたことで、静かな部分もかなり力を込めて、緊張感を絶対に途切れさせないように歌ったんですが、それはもう、とにかく疲れました。レコーディング後の疲労感はすごくて、まるで戦った後みたいな感じでした。

菅野　そうなんだ。レコーディングは結構スムーズにいったと僕は思っていたんだけど（笑）。ちょっと難しい曲ではあるけど、歌いづらいというか、どうしてもうまくいかなくて、さて、どうしよう……みたいな瞬間はなかったじゃない？　当日までにかなり仕上げてきてくれたなって、こちらとしては思っていました。

sana　そんなそんな……。

菅野　特に英語版のときは、完璧な仕上がりでした。日本語版のレコーディングのときは、初対面だからお互いに様子をうかがうところがどうしてもあるというか。お互いのイメージしているゴールをすり合わせる作業みたいなものもあったけれど。

――それは具体的にはどういうことですか？

菅野　どのくらいのテンションで、どのくらいの音の圧で、どれくらいの表現をしたら、この歌が『ジョジョ』の世界観に合うのか？　そこはお互い、探り合っているところがあったんです。でも、割とすぐに「ここだよね！」ってところが見つかった気がしていて。だからそんなに、鬼のように細かいことを言った記憶はないんだけど、どうでした？（笑）。

sana　そういう意味での細かい大変さはなかったですね。普段の（sajou no hanaの）バンド活動のときだと、「呼吸だけ録る」とか「この音だけ録る」みたいな刻んだ収録もしたりするんですけど、菅野さんとのレコーディングは通して録る、一本録りで。生っぽさや荒々しさを引き出していただけた感じがして、そこがまた『ジョジョ』っぽいなと思ってもいましたね。

菅野　1人の血の通ったボーカリストとしてのsanaさんの歌を録りたかったのもあって、そういうやり方を選んだところもあったんです。まさにその狙いを的確に受け止めて、素敵に歌って、徐倫の感じを表現してくださったと思っています。

sana　よかった……。今はこうして言葉にできていますけど、歌っているときは録るのに夢中すぎて、あまり考えられていなかったところもあったんです。菅野さんの求めていたものを掴めていたのかと、今この場でわかって、改めて安心しています（笑）。菅野さんにもですし、世の中のファンの皆さんにも受け入れてもらえるのか、曲が発表されるまでは恐怖や不安の気持ちが80％だったんですよ。

菅野　その気持ちはよくわかります。『ジョジョ』って作品自体が、日本を代表する、世界に誇る文化というか、エンターテインメントであり、芸術作品だと思うんですよ。そのOPテーマというのは、ある意味で作品の顔、あるいは作品の入口みたいなところもある。日本中、世界中の人が最初に注目する場所だと思うから、そこで結果を出せなかったらどうしようとか、考えてしまう。世界中から日本の作品のレベルを測られる作品だと思うんですよね。初めから、注目されることが100％決定している状態で舞台に立たされる場。そこで突然歌わなきゃいけないわけだから、怖さは当然ありますよね。

sana　そうなんです……。

菅野　ともあれ、そんなステージに立てるとなったとき、ドキドキするのは多分正常なこと。そして、そのドキドキも含めて面白さですよね。

sana　たしかに、そうですね。レコーディングのとき、ぎりぎりまで原作第6部の最終巻をずっと読んでいたんです。徐倫の圧倒的な困難に立ち向かう覚悟を見ていると、自分の悩みなんてすごくちっぽけに思えてくる。そういう意味では、プレッシャーとの戦いには、原作にも力をいただいた気がします。改めて『ジョジョ』という、ただ大きなタイトルというだけでなく、精神的に成長できる機会をいただけたことに感謝したいです。

＜予告＞
sana (sajou no hana)×菅野祐悟　リスアニ！スペシャル対談・第2弾の掲載が決定!!
『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』の物語の結末にも触れる内容をお届けします。WEBにて後日公開予定につき、詳細告知までしばらくお待ちください！

●リリース情報
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』
新OPテーマ「Heaven’s falling down 」
デジタル配信中
https://nex-tone.link/A00107807

歌：sana (sajou no hana)
作詞：藤林聖子
作曲・編曲：菅野祐悟

リスアニ！『ジョジョの奇妙な冒険 The Animation』音楽大全
発売中

定価：￥1,650（本体：￥1,500＋税10％）
発行・発売：株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ

【内容】
・巻頭特集『ストーンオーシャン』キャストインタビュー
ファイルーズあい×小野大輔／田村睦心×伊瀬茉莉也×種﨑敦美／梅原裕一郎×浪川大輔
・歴代主題歌シンガーインタビュー＆コメント
富永TOMMY弘明／Coda／橋本仁／THE DU／batta／青木カレン／ハセガワダイスケ／ichigo from 岸田教団&THE明星ロケッツ
・主題歌＆劇伴音楽作曲家インタビュー
田中公平／大森俊之／松尾早人／岩崎琢／菅野祐悟
・アニメスタッフインタビュー
鈴木健一／ソエジマヤスフミ／木村泰大／水﨑淳平（神風動画）／森田純正（FIREWORKS）／岩浪美和／山口貴之／小山恭正／大森啓幸（ワーナーブラザースジャパン）／土肥範子（ワーナーブラザースジャパン）
・アニメ歴代キャストに聞く！最も忘れられない“胸熱ッ”シーン
興津和幸／子安武人／杉田智和／佐藤拓也／小野大輔／三宅健太／小野友樹／梶裕貴／櫻井孝宏／小野賢章／中村悠一
・JOJO’s ENDING THEME GUIDE
・『ジョジョの奇妙な冒険 The Animation』ALL DISCガイド
・『ジョジョの奇妙な冒険 The Animation』HISTORY 2012-2022
・アニメ全シリーズ　放送データ
ほか

（▼本誌ページの試し読みなど、詳細はこちらに掲載中！）

●作品情報
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』

＜放送情報＞
第25話～最終話第38話
TOKYO MX：毎週金曜日24:30～
MBS：毎週金曜日26:55～
BS11：毎週金曜日24:30～
ABEMA：毎週金曜日24:30～
アニマックス：1月14日（土）より毎週土曜日21:30～

＜配信情報＞
Netflixにて第25話～最終話第38話まで全世界独占先行配信中

＜あらすじ＞
「天国」を求めたDIOの遺志を継ぐプッチ神父は「場所」と「時」を目指し、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所を後にした。それを追って空条徐倫と仲間のエルメェス・コステロ、エンポリオ・アルニーニョも刑務所から脱獄。さらに、ウェザー・リポート、ナルシソ・アナスイも各々の目的を胸に終着の地を目指すのだった。
「場所」はケープ・カナベラル。「時」は6日後、次の「新月」。徐倫の脱獄を知ったプッチ神父の元に、運命の糸に引き寄せられたDIOの息子達が集う。彼らは刺客となり、スタンド能力を武器に徐倫たちに襲い掛かる。そして、「天国」へと近づくプッチ神父に異変が起こり始める……。
100年以上に及ぶジョースター家の誇りとDIOの野望、そして人類の「運命」を賭けた、徐倫とプッチ神父の最後の戦いについに決着の時が――終わりなき物語の最終章がいま幕を開ける！！