リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2023.01.09

アニメ『虚構推理 Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」をリリース!カノエラナに楽曲制作の裏側を聞く

アニメ『虚構推理 Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」をリリース!カノエラナに楽曲制作の裏側を聞く

ギターを掻き鳴らし、飾らないまっすぐな言葉で等身大の想いを歌うカノエラナ。実はアニメが大好きで、様々なアニメ作品からの影響が楽曲にも滲む。アニメのカバーアルバム『「尊い」~解き放たれし二次元歌集~』や想像上のアニメ作品主題歌を作ったコンセプトアルバム『歌楽的イノセンス』でアニメへの愛を放ってきた彼女が、今期注目のアニメ『虚構推理 Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」を歌う。その楽曲について話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

カノエラナの音楽の源流にあるものは―――

――自他ともに認めるアニメ好きのカノエラナさん。ご自身に衝撃や影響を与えたアニメ作品を教えてください。

カノエラナ そもそも父の影響で物心つくかつかないかという頃からアニメを観てきています。小さな頃から、父が借りてきたアニメを一緒に観てきたので、そのアニメの主題歌は体に沁み込んでいます。例えば『うる星やつら』や『ルパン三世』、『頭文字D』に『SLAM DUNK』、『るろうに剣心』あたりからスタートしていますが、わたし自身は『しましまとらのしまじろう』を観て育ってきたので、しまじろうの「ハッピー・ジャムジャム」がものすごく好きですし、そこにあるしまじろうのソウルみたいなものは自分の根底にあると思います。この曲はカバーをするときにも迷わず入れました。

――『「尊い」~解き放たれし二次元歌集~』に収録されていましたね。

カノエ そうなんです。カバーアルバムに収録された楽曲はどれも、わたしにとって音楽に携わりたいという想いを強めた曲ばかりなんです。アニメ作品自体も好きですし、アニソンだけが好きな場合やアニメ自体は知らなくても楽曲は知っているというものもありましたが、『「尊い」~解き放たれし二次元歌集~』に収録されている楽曲の幅広さと同じように、ここまで本当に自由な形でアニソンに触れてきましたね。

――そんなアニソンの魅力はどんなところにあると思いますか?

カノエ とにかく自由であることです。やっぱりJ-POPはコード感やAメロBメロからサビがくるというように展開や構成がある程度決まっているところがあるんですが、アニソンやキャラソンでは途中でキーチェンジが起こったり、テンポが全然変わったり、後ろの楽器隊が全然違うものになったりするんですよね。そういう部分は歌っていて楽しいですし、魅力だなとも思います。

――そのカノエさんが音楽を始めたきっかけはどういったものだったのでしょうか。

カノエ 物心つかないくらいから祖母の家にあったピアノを触っていて、聴いたことのあるアニメソングやCMソングを指一本で弾いていたそうなんです。小学校3年生でピアノを習いはじめたところから音楽にちゃんと触れるようになったのですが、実はわたし自身はピアノを習いたいというよりも歌をうたいたかったんです。でも恥ずかしくてそのことを言えずにいたのですが、中学2年生のときに地元で開催された音楽の大会に同級生7人くらいで応募をしたんです。結果、わたしは本戦に進むことになって、EGO-WRAPPIN’の「くちばしにチェリー」をカバーして歌ったことで賞をいただいたんです。それをきっかけに音楽スクールに入って、シンガーソングライターとして本格的に勉強をするようになりました。

――そうして培ったものから生まれるのが「カノエラナ」の音楽。ご自身の音楽制作の中で大事にしていることを教えてください。

カノエ 言葉遊びみたいなものも大好きですし、「それは歌詞にしないでしょう」と言われるような言葉を直接的に書くことも好きです。そうした言葉を「敢えて隠さない」ことが、音楽制作の中で大事にしていることだなと思います。自分が思ったことに対してカッコつける必要もないですし、ストレートな気持ちを常に書いておくことが一番大事だなと思います。

アニメソングが好きだからこそ見えるその魅力

――ご自身の楽曲制作もされるなか、アニソンカバーも数多くされています。アニソンをカバーすることで気づくことや発見はありましたか?

カノエ ずっと自分の曲を作っているので、メロディにどうしても自分の匂いが乗るんです。でも好きなアニソンを改めてカバーしてレコーディングもするとなると「サビに行く前にこのコードを使っているから切なさが出るんだ!」といった気づきがあります。そのたびに「今度、取り入れてみよう」と思いますし、そこでの気づきは自分の楽曲にも昇華しています。

――言葉選びについてはどうですか?アニソンならではのものはあると感じますか?

カノエ わりとしゃべり口調が多いですよね。お話口調の歌詞や表現は現代ならではですし、キャラクターっぽいおしゃべりの雰囲気も自分の歌詞にも取り入れているつもりです。そのへんはあまりJ-POPにはないところなのかなと思います。

――2022年は長編アニメ『永遠の831』のオープニング曲「キンギョバチ」で念願のアニメタイアップをされました。作品というモチーフがあっての楽曲制作になりますが、作業はいかがでしたか?

カノエ すごく好きなやり方ですね。なにかお題があるほうが、楽曲を書きあげる過程も好きなんです。自分自身が自由な状態で書きあげる楽曲もありますが、それよりもなにか元となっていることに対して自分自身が思ったことを書くほうが好きなので、作り方に対して馴染んだなって思いました。

――ほかにも藍井エイルさんやニノミヤユイさんにも楽曲提供をされていますが、そうしたほかのアーティストさんへの楽曲提供の際はいかがですか?

カノエ お話をした印象や、例えば打合せをした際の雑談などでの言葉尻をメモしたり記憶したりして、あとからそのことを歌詞にすることもあります。だから「あのときの会話じゃない?」というものも結構、織り交ぜられていると思います(笑)。

――作家業をやってみての感想をお聞かせください。

カノエ 「テーマに対して書きあげる」ことがすごく好きですし、自分自身が自分の曲を歌わなくてはならない、という決まりもこだわりもないので、誰かに対して曲を作って、「歌って欲しいな」という気持ちを書く作業はすごく楽しいなって思いました。

――2022年には“カノエラナ的アニメオープニング主題歌集”といったコンセプトアルバム『歌楽的イノセンス』を制作されていましたが、実際にそのコンセプトで楽曲制作をされたからこそ感じた「アニメのオープニング曲とはこういうもの」というイメージを教えてください。

カノエ 掴み、ですね。必ず作品の顔になるもの。アニメと言われて、もちろんキャラクターの顔も浮かぶと思うのですが、それと一緒にオープニングやエンディングが耳には鳴っているはずなんです。映像がないのに鳴っているという状況はまずもってすごいことですし、例えそのアニメを観ていなかったとしても主題歌やキャラソンを知っていることだってある。入口として大事なものなので、門番とか窓口のような存在という印象があります。

――逆にまだご自身で制作はされていないアニメのEDテーマはどんな存在だと思われますか?

カノエ 感想だと思っています。Aパート、Bパートと本編があって、その最後にエンディングが来たときに「旅路を辿ってきた今の感想です」というふうに捉えています。エンディングっぽい曲を書きたいなと思ったときには、必ずアニメを一本観終わったあとの、わたしが感じた気持ちをわーっと書いた感想として曲にしています。そういう気持ちがエンディングになるといいなぁって思うんです。もちろんアニメの特色や曲調もあるとは思いますが、オープニングが騒がしかったらエンディングは静かでもいいなとかバランスを考えて、自分で全体像を見て「ここに収まるならどういう曲がいいかな」とブロックを積み上げながら考えることが好きかもしれないです。

次ページ:オファー前に「虚構推理」の主題歌を制作済みだった!?

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP