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INTERVIEW

2023.01.09

アニメ『虚構推理 Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」をリリース!カノエラナに楽曲制作の裏側を聞く

アニメ『虚構推理 Season2』OPテーマ「ヨトギバナシ」をリリース!カノエラナに楽曲制作の裏側を聞く

オファー前に『虚構推理』の主題歌を制作済みだった!?

――そして今回新たにタッグを組むのはアニメ『虚構推理』です。この作品がそもそもお好きだったとのことですが、作品の印象を教えてください。

カノエ わたし、押せ押せな主人公が好きなんです。それも女の子が押せ押せなのが好きで。(岩永)琴子ちゃんを見て「これはハマるだろうな」と思いながら第1話を観て、観終わってそのまま本屋さんに行って原作を全巻購入しました(笑)。今回『虚構推理』のオープニングのオファーがある前に資料は全巻持っていましたし、実はアニメを観終えたあとに既に楽曲も書いていたんです。

――主題歌の話はないけれども……

カノエ ないけれども!わたしがオープニングやエンディングを書くならこんな感じかな、という曲として「ヨトギバナシ」という曲をその時点で作っていたんです。アニメ第1期が放送されていたのが2020年なので、2020年にはこの曲はもう出来上がっていて、今日まで温存というか、ストックされていた状態でした。だからオファーをいただいたときに「そんなことある!?」って驚きましたね。だって誰にもこのことを話したことがなかったですから(笑)。こんな奇跡があるのかなとびっくりして。だから「すみません、もう曲を書いていたんです」と音源を渡しました。元の曲はこれでいいので、ここからブラッシュアップさせてください、というお話をいただいたんです。それで改めてアニメを全話見直して、原作も読み返して、歌詞とメロディを再構築していくという制作になっていったので、これまでにない珍しい形で制作は進んでいきました。

――その『虚構推理』、どんなところがお好きなのでしょうか。

カノエ ちょっと謎があって、毎回はてなマークがついて終わるような作品が好きなんです。もちろんギャグや戦い、日常の描写も好きなんですけど、「あれは伏線だったのかな」とか考えるのが好きなんです。職業柄、ちょっと考えてうんうん唸るみたいなことが好きですし、1話を観たときから自分には合っていると思いました。それに琴子ちゃんも(桜川)九郎先輩というキャラクターも好きですし、物語も好きということでバッチリとハマりました。

――2020年にアニメに衝撃を受けて書き上げた「ヨトギバナシ」。最初に曲を作ったときから変化したのはどんなところですか?

カノエ オーダー的に「紫色から急に真っ白になってください」というものがあったんです。どんよりとした雰囲気からサビでは急に真っ白の世界にいくような展開にしてほしい、というもので。たしかに第1期のOP(嘘とカメレオン「モノノケ・イン・ザ・フィクション」)はそういう感じがあったので、「そういうことか!」と腑に落ちて。そもそもの形だと紫から赤紫に変わるくらいの変化だったので、それを真っ白にしなくてはいけないと言うことでサビを丸々替えたんです。第2期ではどのエピソードがアニメになっていくかわからないけれど、わたしの印象に残ったエピソードを書き足して、サビでは足りなかった気持ちをAメロやBメロにくっつけていく作業を経て再構築しました。紫から白に変えていただければ、あとは好きなように言葉遊びをしていただければ、というオーダーには添うことができたかなと思います。

――どういった視点で描いていったのでしょうか。

カノエ 主人公の岩永琴子ちゃん……おひいさまが大好きなんです。おひいさまが語り部としてちゃんと物語を紡いでいく。真実を隠すこともありながらも語っていく姿を想いながら書かなければいけないなと思いましたし、バトルマンガというよりもちゃんと言葉で説き伏せていくところが印象的でもあったことから、そうした楽曲にしたいと思ったんです。それで一人の人が色々な物語を語り聞かせていくけれど、これはおとぎ話の世界ですよ、と本をぱたりと閉じる、という全体像になっています。妖怪変化たちがおひいさまを慕っているところはすごく可愛いですし、しかもそれをとてもポップに描いている作品だからこその世界観は楽曲にも込めました。

アレンジャーとの「あ・うん」の呼吸がカノエラナサウンドを華やかに開花させる

――物語や絵からのインスピレーションがふんだんに詰まった楽曲ですが、編曲を月蝕會議などで知られるエンドウ.さんにお願いされています。アレンジについておふたりでお話はされたのでしょうか。

カノエ しました。わたしはアコギで音源を作るのですが、アコギのリフも先にわたしが作って送りもしますし、なんとなく「ここはこうして欲しい」というオーダーも伝えてはいるのですが、ちゃんと言葉にしなきゃいけないところでは「ポップなものが欲しいです」とか「あまりにもおどろおどろしいものにはしないようにしたいです」というのは伝えました。あとは「サビは真っ白なイメージです」ともお伝えしました(笑)。紫から急に白です、と。そういったオーダーはさせていただきました。そうした作業自体もすごくスムーズだったんです。第一音源から「これだ!」というもので、何度目かで「これで完成」というものになりました。

――エンドウ.さんのアレンジの魅力はどんなところにあると思われますか?

カノエ すごく自由な感性を持っている人なんですよね。ゴリゴリなところは、本当に深い部分でゴリゴリの質感にしてくださっていますし、例えば2番の頭のAメロのところに「ふざけたコーラスを入れてもいいですか?」とわたしからお話をしたら「いいじゃん!いいじゃん!」って言ってくれますし、ディレクションでも「こうしたら効果的だよね」「これはやめておこう」といった的確な指示をくださるので、めちゃめちゃやりやすかったです。今までそうしたディレクションをあまり受けてこなかったので、すごくありがたかったですし、レコーディングもこれまでとは全然違いました。セッションをしながら制作ができたなと思います。

――楽曲にどんな変化がありましたか?

カノエ 自分では想像もしていなかったようなコーラスワークが印象的です。普通に3度下とか3度上で守っていくというよりもっと違うアプローチなんですよね。「そこで合ってます?」と思うようなハモりを入れてみたり、「後ろでちょっと囁いてみたら、お化けっぽくないですか?」みたいなアイディアをお互いに行き来させることができましたし、Dメロで全然違うボイスを入れてみるなど、セッションをしながら楽曲が想定していたものから変化していって、それがすごく面白いなと感じました。

――そして今回の「ヨトギバナシ」。ジャケットやMVも含めてビジュアルワークも印象的でした。撮影はいかがでしたか?

カノエ 元々和風のものが好きなこともあるのですが、ちゃんとした和装は初めてだったんです。これまで飾りをつけたり、羽織だけをつけたりするようなこともあったのですが、今回はきちんと和装したので、とにかく品があるように振る舞わなければと緊張しました(笑)。MVの撮影のときにはとにかく艶やかに楽しくやりましょうということだったので、それを目指して無心になってやりました。

――ライブで演奏するとまた盛り上がりそうな1曲ですが、どんなふうに見せたいですか?

カノエ サビに向けて急に明るくなる曲はこれまであまり作っていなかったんです。明るい曲は最後まで明るい、という感じだったので、メロの感じが新しいですが、お客さんがどんな反応をされるのかはライブで演奏してみないとわからないのでわたし自身も実験しながらパフォーマンスをしてみたいと思っています。

――2023年はツアー「四年想歌」が控えていますね。

カノエ 4年ぶりの全国弾き語りツアーになります。会場は前回から半分以下になってしまって寂しいですが、最近はなかなか行けていなかった岩手や広島にも久々に行けるので、新規の方でも大丈夫なのでぜひ遊びに来ていただきたいです。弾き語りのライブになるので、どうしても距離感が近いですし、みなさんとおしゃべりをしながらライブが出来るのではじめての方にも優しいライブです。硬くならずに、新しい気持ちで来ていただけるといいのかなと思います。

――では2023年、ご自身が楽しみにしていることを教えてください。

カノエ スケジュールが恐ろしすぎる状況ではあるのですが、小さい頃からずっとそうですし、カノエラナとして活動をはじめた頃からアニメのオープニングとエンディング、挿入歌をやりたいと言い続けてきてようやくその夢が叶っていますし、しかも大好きな作品のタイアップでもあるんですね。アニメのお話をする機会も増えると思いますし、今まで言えていなかったコアな部分や出すのをためらってきた部分もどんどん出していこうかな、と思っています。「ヨトギバナシ」から始まる2023年はそんな自分の種まきをしていく時間になったら嬉しいです。


●配信情報
Digital Single
「ヨトギバナシ」
1月9日配信開始

配信リンクはこちら

■mora
通常/配信リンクはこちら

●ライブ情報
カノエラナ 弾き語りツアー2023「四年想歌(しねんそか)」

4月15日(土) [岩手] 盛岡Club Change OPEN 16:00/ START 16:30
4月22日(土) [広島] Yise OPEN 16:00/ START 16:30
4月23日(日) [岡山] CRAZY MAMA 2nd Room OPEN 16:00/ START 16:30
4月29日(土) [佐賀] GEILS OPEN 16:00/ START 16:30
4月30日(日) [福岡] graf OPEN 16:00/ START 16:30
5月3日(水) [北海道] SOUND CRUE OPEN 16:00/ START 16:30
5月6日(土) [大阪] Music club JANUS OPEN 16:00/ START 16:30
5月7日(日) [愛知] CLUB UPSET OPEN 16:00/ START 16:30
5月13日(土) [石川] 金沢GOLD CREEK OPEN 16:00/ START 16:30
5月14日(日) [東京] 下北沢シャングリラ OPEN 16:00/ START 17:00

チケット料金:¥4,950(税込)+1ドリンク

チケット販売:秘密鹿江俱楽部先行(りっちなプラン)1月12日(木)23:59まで

詳細はこちら

関連リンク

カノエラナオフィシャルサイト
https://www.kanoerana.com

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