自身の誕生日であるクリスマスの日に響かせた“等身大の愛美サウンド”。愛美、ライブツアー“AIMI SOUND”ファイナル公演をレポート

ありのままの愛美をさらけ出したアンコール「愛世界」

そういった等身大のアーティストとしての存在感がある一方で、幕間に登場した神宮寺愛子が象徴するように、独特のユーモアも彼女の大きな魅力の1つ。それを改めて思い出させてくれたのが、アンコールの1曲目「※おこめぞん」だ。トイピアノのイントロが鳴り始めるや、スタンバイしていたバンドメンバーが突然稲穂を手にして左右に振り始め、ステージ袖から愛美が米俵を載せたリアカーを引きながら登場。無類のお米好きである彼女がお米への愛を込めて作詞・作曲したこの楽曲、愛美の子供のような歌い方も含め、童謡のような魅力が備わっているが、サビで彼女も稲穂を手にしてみんなで振る場面は、先ほどの「不完全ドリーマー」との落差も含め、脱力しつつも心温まる光景だった（客席も何人かが稲穂を手にして振っていた）。

歌唱後、どこからともなく農家っぽい風貌をした男性（愛美曰く「私のお米を獲っていく人」）がやってきて、愛美が引いてきたリアカーを運び去っていく寸劇がありつつ、ここでスペシャルなお知らせ。なんと愛美が、2023年4月放送スタートのTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のOPテーマ「MAGICAL DESTROYER」を皮切りに、3クール連続でTVアニメのOPテーマを担当することが発表された。「MAGICAL DESTROYER」は来春にシングルとして発売予定、それ以降のタイアップ作品は追って発表されるという。

そんな嬉しいお知らせも束の間、いよいよ次の楽曲でライブも終わりを迎えることに。だがその前に、愛美は今回のツアーについての感想を述べる。歌うことは好きだが、人前で歌うのは緊張してしまうためコンプレックスがあったという彼女。だがツアーを回り、SNSなどでファンの感想を見ているうちに、自信というよりも「そのままの自分でいいんだ」という安心感を覚え、この東京公演まで歌いきることができたと語る。「これからも、ありのままのみんなと、ありのままの愛美を、お互い預け合って、歌っていければと思います」と、ファンとの絆を改めて言葉で表した愛美。この日の最後に歌われた楽曲「愛世界」は、そんなファンへの感謝とお別れしたくない気持ちを歌詞に込めたもので、彼女はアコギを手にしながら、スタジアムロックのようなスケール感のサウンドにも負けないほどの、強く勇ましい歌を紡ぐ。“そん時はボクが笑ってやる”と歌う頼もしい姿、“キミ無しじゃ多分生きらんないや”という弱い一面。きっとそのどちらもがありのままの愛美なのだ。会場中がクラップや笑顔で1つになり、愛だけが溢れた世界のなか、ツアーは大団円を迎えた。

終演後のMCでも「私は弱虫だし泣き虫なので、これからも皆さんに頼っていいでしょうか？」と語っていたが、そんな弱みもそのままさらけ出してくれるところが彼女の魅力なのだということが、本公演を通じて改めて実感できた。やはり音楽には人間が表れるものだし、特に愛美の場合は、作詞を通じて楽曲に自分自身を投影させる側面がある。『AIMI SOUND』を経ての2023年、3クール連続タイアップも決定している彼女が、今度はどんな愛美サウンドを届けてくれるのか。楽しみに待ちたい。

＜セットリスト＞
01. スターリア
02. ReSTARTING!!
03. ≒
04. 瞬間SummerDay! -AIMI SOUND Ver.-
05. We’re the stars
06. MAYDAY
07. アナグラハイウェイ
08. LIGHTS
09. かかった魔法はアマノジャク
10. いやよいやよもすきのうち
11. フリクホリカ
12. ラブレター
13. エスケープ（新曲）
14. ドレス
15. カザニア
16. 不完全ドリーマー
17. ※おこめぞん
18. 愛世界