REPORT
2022.12.24
12月3日、山野ホールにて声優・諏訪ななかのワンマンライブ“NANAKA SUWA 3rd LIVE~Give Me Fine Emotion!!~”が開催。約1年ぶりのワンマンライブとなったこの公演は、12月という時期も意識しつつ、生のピアノ伴奏とともに歌うパートなど新たな挑戦も盛り込んだものとなった。本稿では、そのうち夜の部の模様をお届けする。
TEXT BY 須永兼次
ステージ上に据えられた大きなクリスマスツリーが輝くなか、グロッケンによる「We Wish a Merry Xmas」をinterludeに諏訪が入場。1曲目「記憶ファンタジック」のイントロが流れるなか、「“Give Me Fine Emotion!!”へようこそー!」と呼びかけてライブの幕開けを飾る。その「記憶ファンタジック」をはじめ、序盤はそんなクリスマスの空気を感じさせるような楽曲を中心に構成。ミラーボールを用いたライトの演出や、観客の白のペンライトに彩られながら、白のドレッシーな衣装に身を包んでピュアさいっぱいの歌声を響かせていく。そのまま続けたポップなナンバー「Holy holiday」は、サビでコンパクトな手フリを中心とするダンスも盛り込みつつ、高音部ではファルセットを用いて美しく聴かせていく。天井から差すライトの色が白とパープルという、この曲と彼女のカラーから構成されるという演出もニクい。
ここからは、タイトルに“みたい”の含まれる楽曲三部作を披露。まず、直前からウキウキ感を引き継いだ「溶けるみたい」では、途中にステージ両側のお立ち台にも登って客席を見渡しながらの歌唱。この日を楽しみにしてきたファンたちと目を合わせてコミュニケーションをとっていくと、「揺れてみたい」ではサビで諏訪の先導にあわせてファンが腕振りやクラップで追随。それが落ちサビでは、自然と会場中を包むように沸き起こる。それを引き出した諏訪のパフォーマンスは、コンパクトかつスムーズな腕を回す振付から、ひょいっと足を上げるポイントまで、とにかくかわいさが立つものだ。そしてもう1曲「ふれてみたい」は、賑やかかつアッパーなサウンドに乗せてにこやかに微笑みながら歌唱。間奏では拳を振り上げてクラップを呼び起こしたりとしっかり盛り上げにもかかったことで、声出しOKのライブが開催された際に、さらに化けそうな予感も抱かせてくれた。
こうして一気に5曲を駆け抜けたところで、諏訪は一旦降壇。グロッケンによる「もろびとこぞりて」が流れるなか、生ピアノ演奏を務めるスペシャルゲスト・松坂康司が登場。「ジングルベル」や「We Wish a Merry Xmas」のようなクリスマスソングから、「Wonderland!!」や「Merlot Tears」をはじめとする松坂の提供曲を中心とした諏訪の楽曲を、メドレー形式で次々に演奏していく。そして衣装チェンジした諏訪が登場すると、しばし松坂のピアノ伴奏に乗せて歌声を届ける中盤戦へ。
その1曲目は、倉木麻衣の「Winter Bells」のカバー。椅子に腰掛け、歌い出しこそやや大事に入ったものの、グルーヴィーさのあるアレンジに合わせるように、サビでは自らもタンバリンを用いてクラップを誘って盛り上げる。そのまま続けた「DATE-ALAMODE」は、軽快なピアノの音色と諏訪の歌声との相性の良好さを特に強く感じさせてくれた1曲。原曲よりややテンポもゆるめのアレンジということもあってか、落ちサビでの歌声の抜き方は不意にドキリとさせられる非常に絶妙な、この日限りのバージョンならではのものだった。そしてもう1曲披露したのは、なんと「So Sweet」。デビュー作のリード曲でありド真ん中のダンス・ポップをこのスタイルで披露するという挑戦を盛り込んできた。この日は踊らない分、歌声にキュートさをほぼ全振り。加えてサビでの手のフリの見せ方と表情で、視覚的な面でもかわいげたっぷりにみせていった。
3曲披露して、ここで一旦松坂とのトークパート。これまで諏訪の楽曲を10曲提供してきた松坂は、デモの時点から自らピアノを演奏したものを提出しているとのことで、リハで生演奏を目にした諏訪が「本当に弾いてるんだ!」と驚いた、とのこぼれ話も。ちなみに諏訪から「一番好きな曲は?」と問われた松坂が挙げたのが、メドレーでも演奏された「My prologue」。レコーディングで自身の好きなフェードアウトに決まったことと「ライブではフェードアウトではない形にしたい」との自身の希望、両方が叶った曲であることを理由に挙げていた。
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