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INTERVIEW

2022.11.25

『チェンソーマン』第7話“ゲロチュー”回に捧げる奇跡のEDテーマ。anoが語る「ちゅ、多様性。」かわいい×カオスの突破力

『チェンソーマン』第7話“ゲロチュー”回に捧げる奇跡のEDテーマ。anoが語る「ちゅ、多様性。」かわいい×カオスの突破力

音楽活動だけにとどまらず、タレント、俳優、モデルなど多彩な分野で活動する「あの」。2020年9月から「ano」名義でソロアーティスト活動をスタートさせ、自身の音楽表現を拡張し続けている彼女が、TVアニメ『チェンソーマン』第7話のEDテーマを担当した。ex.相対性理論の真部脩一とともに制作した書き下ろし楽曲「ちゅ、多様性。」は、これまでのanoにはないポップでキュートな曲調と、彼女が元来持ち合わせるダークでカオスな詞世界が融合した楽曲に仕上がった。彼女はどんな心境のもと制作に向き合ったのだろうか。じっくりと話を訊いた。

INTERVIEW & TEXT BY 沖さやこ

『TIGER & BUNNY 2』での経験を経て、『チェンソーマン』へ

――あのさんは2020年9月にano名義で初のデジタルシングル「デリート」をリリースし、ソロアーティストとして活動を開始しました。これまでもタレント活動やモデル、演技など様々な活動をしていらっしゃいましたが、やはりご自身の表現活動の軸は音楽に置きたかったのでしょうか?

ano グループを卒業して何もしていなかった時期に「何か表現をしたい」と思うようになって、頭に浮かんだのが音楽でした。歌っている自分を客観視したときに、一番自分らしくて素直に気持ちを出せているなと思ったんです。やっぱりテレビのお仕事だけだと、僕は充実を感じられなくて。でも音楽をやっている時間はひたすら自分と向き合うことになるので、それだけだと逃げ場がなくて心がしんどくなって、気持ちが落ちすぎちゃうことも多くて。

――確かに音楽制作は、自分を削っていく側面が大きいですものね。

ano だから外からの刺激を受けられるタレントやモデルのお仕事と、自分にひたすら向き合って表現をする音楽という、まったく違う活動ができるから充実を感じられるというか。僕はどっちか1つだけじゃだめなんだなと思います。

――音楽も、anoとしてのソロ活動と、4人組バンド・I’sのギターボーカルとしての活動、どちらも必要ということでしょうか。

ano ソロはTAKU INOUEさんの力を借りて、色んなジャンルの音楽や、生楽器では表現できない音も入れてもらうことで自分の頭の中にある世界観を大っきく広げられて。あと僕のことを面白がってくれるアーティストさんが料理してくれるというパターンもあって、自分にないものも表現できる場所になっています。バンドのほうはインディーズだから、本当にメンバー4人でやりたいことだけやっていて。4人の意志から生まれている音楽です。だからちょっとしたケンカや意見のすれ違いもあるし、欠けている部分も成長過程として届けられていると思います。

――おっしゃっていただいている通り、ano名義でのソロ活動もご自身の深いところが正直に表現されているものもあれば、新しい要素を取り入れている楽曲も増えてきていて、広がりを見せていると思います。

ano 僕のことをバラエティ番組とかで知ってくれる人が多くなっているので、ソロでは音楽にもうちょっとエンターテインメントの要素を合体させて、ステージでそれを大きく表現したい、発信したいと思っています。ただ、自分の言いたいことや死生観は昔から一貫して変わっていないし、大切にしてる部分で。だから今は、それを面白く伝えていきたいという思いがあります。

――TVアニメ『チェンソーマン』の第7話EDテーマ「ちゅ、多様性。」もその文脈に乗るものではないでしょうか。anoさんにとってアニメタイアップ曲の書き下ろしは『TIGER & BUNNY 2』EDテーマの「AIDA」以来2度目ですが、こういった楽曲制作にはどのような面白さを感じていますか?

ano 「AIDA」は僕にとって初めてアニメのテーマソングの書き下ろしだったので、ワクワクしながら作りました。『タイバニ』を見ないと出てこない言葉もたくさん出てきて……“愛だ”とか“何にでもなれるよ”、“何だってできるよ”と歌っている自分は今も違和感があるんです(笑)。でも自分らしさはなくしたくなかったから、アニメ制作サイドの方々とも細かく話し合いを重ねて、“役に立たなくなった空”という言葉を使ったり、サビで“二人はきっと馬鹿さ”と歌ったり、僕が『タイバニ』を観て純粋に感じたことをいっぱい言葉に出せた実感があります。

――「AIDA」のときは、テーマソングを担当するうえでのプレッシャーなどはあまりなかったそうですね。

ano 『TIGER & BUNNY 2』のファンの方にどう受け止めてもらえるかなという不安はあったんですけど、それ以上に「僕のことは誰も知らないだろうし、そんなに期待もされていないだろうな」という気持ちが大きくて、そういう意味でプレッシャーを感じなかったというか。でも今回の『チェンソーマン』は、12組のアーティストが週替わりにEDテーマを書き下ろすという、過去に例を見ない話で……。「これだけのアーティストさんが揃っているなかで、自分が第7話に対してできる音楽はなんだろう?」とめちゃくちゃ考えました。

次ページ:第7話の衝撃シーンを踏まえて「完全に振り切った」楽曲に

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