――続いては「終電間際、未だ返事はない」です。こちらの楽曲はいかがでしたか?
永塚 正直、驚きました。最初に聴いたときには「パイナップル」という仮タイトルで明るくてノリノリの曲でしたから。そこからかなり歌詞が変化していったんですよね。僕に対するレーベルさんからのリクエストを汲み取ったことで楽曲が変化したのかな、と思います。とても文学的ですが、そこが僕のパーソナリティとの親和性となっているのかなぁ、と思っています。周りから見てのイメージがアーティスト像として反映されたのかな、と客観的に感じた1曲です。
――たしかに文学的な青年というイメージはありますよね。
永塚 本をよく読んでいますしね。文学性みたいなところがアーティストとしての僕のイメージになっていくのかもしれないな、と思わされた1曲でした。
――前作と違い、様々なタイプの楽曲を歌うことで今後のアーティスト像に向けての可能性を広げる2ndミニアルバム、という様相が色濃く出ている曲ですね。
永塚 たしかにそうですね。まだイメージについてはガッチリと固めていないですから。前作はダンサブルな音楽性に寄ったものでしたが、実は「ネオンズナイト」が文学的な1曲だったんです。聴いてくださった皆さんからの評判もすごくよかったですし。それもあって、僕のカラーの1つとして今後持っていくのかな、とも思います。文学的な楽曲とダンサブルな楽曲を突き詰めた先に僕の音楽性は完成していくのかもしれない。前作、今作を通して僕のアーティスト像を深めている最中です。
――続いて「Shooting star」。こちらはMADKIDのLINさんがプロデュースされた曲です。
永塚 LINさんが僕自身をイメージして作ってくださったそうなんです。周りから見ると、僕はこの曲のようなイメージもあるんだなぁ、と発見がありました。単純に、面白い曲だな、と思いました。
――MADKIDらしさと永塚さん像が交差するような、ダンサブルで都会的かつ原色の煌めきのある1曲。
永塚 ダンスミュージックは自分の武器の1つとなっていっているんだと感じます。でも実際に歌うと難しい曲でもありました。リズムの取り方がほかの楽曲にはないタイプですし、キャラソンで求められるスキルとも違っていたので、そういう意味でも僕自身のアーティストならではの表現を求められているとも思いました。
――キャラソンで求められるスキルとはどんなものだと思われますか?
永塚 キャラソンは、キャラクターとして歌うので特殊なリズム感のような楽曲としてのギミックは求められないんです。でもこの「Shooting star」は歌い方に自身のテクニックが必要とされましたし、そのまま歌うこと自体が難しい曲でもあったんです。独特のリズムもそうですが、言葉のはめ方も、楽曲の音程の高低差についてもレンジが広くて、そういった部分での表現の難しさがありました。
――そして最後は「エール」です。こちらの曲はいかがでしたか?
永塚 この曲を受け取ったときには、「この曲が表題曲になるかな」とも思ったんです。ただそうなると、前作との違いが大きく出過ぎてしまうような気もして。永塚拓馬の音楽の幅としても、大きな振れ幅を感じさせてしまうとも思ったので、「Tears Jewel」を表題曲にさせていただいた経緯がありました。でも自分の中の武器を、これまでの歌とはまったく違うところから取れるような出会いのある曲でもありました。前作に収録されている「Do This,Do Thar」もそうですが、ここまで振り幅のある楽曲を歌えることは声優であることのメリットでもあるな、と改めて感じるくらいほかの曲とは雰囲気の違う1曲ですよね。
――ピアノが躍動する、ポップで可愛らしさもある爽快チューンでの応援歌。この曲を歌うときにはどんなことを意識されましたか?
永塚 可愛らしい曲ではあるんですけど、可愛さを全面に出してしまうとキャラクターソングっぽくなってしまうので、それよりも爽やかさや明るさみたいなものを純粋に届けられたらいいなと思って歌いました。聴いてくれる人に寄り添いながらも「一緒に歩こう」という気持ちが詰まっている曲ですよね。前回は孤独な感じだったのですが、今回は手を取り合って一緒に進んでいくような曲で。タイトルのままに「エール」を送る曲ですし、頑張らなきゃいけないときにすごく響くと思います。
――今回5曲を収録していますが、楽曲のセレクトについては参加されたのでしょうか。
永塚 方向性みたいなものはレーベルさんに決めていただいたのですが、僕自身も楽曲を選ぶ段階にも参加させていただいています。中でも「Tears Jewel」と「終電間際、未だ返事はない」は僕の中でも「歌いたい」と選ばせてもらったものです。参加といえば、曲順についても僕が2パターン用意したものを、レーベルさんに選んでいただく形で参加しています。
――曲を並べるときにはどんなことを意識されましたか?
永塚 前作が1つの作品として構成されていたのですが、今回は色んなタイプの楽曲が集まったことで1つにまとまっていくような作品になっているので、同じような雰囲気の曲を続けて並べないようにしようと思いました。バイキングのようにいろいろな味が一度に楽しめるような並びを意識しました。
――「エール」が最後にくることで、起承転結になっているような印象があります。
永塚 今回、表題曲がとてもキラキラしているので、「エール」のような明るくて楽しい曲で締めることでアルバムとしてのまとまりも作れたと思います。
――いよいよファーストイベント、トーク&ミニライブも近づいてきました。今の想いをお聞かせください。
永塚 自分自身のパフォーマンスを見せることへのプレッシャーは大きいです。振り付けもアニメやゲームのタイトルのライブよりも難易度が高いんですね。それをどう自分が表現できるのか、を悩んでもいます。そのためにもさまざまなアーティストさんのライブ映像を見ながら研究もしています。どういうパフォーマンスをしているのか、どう目線を動かすのか、といったところに注目して見ていますし、ダンスのスキルをあげられるように日々精進中です。
――そのミニライブでも聴ける『Jewel』。この1枚にどんな永塚拓馬が込められていると感じますか?
永塚 5曲、それぞれの楽曲に全部違う僕がいます。前回はグラデーションみたいな感じで僕が息づいていたのですが、今回は5曲違う人物像を表現できているので、全然表情の違う5人の僕がいるようなミニアルバムになっています。声優だからこそ表現ができる、それぞれの曲によって変わっていく様を楽しんでもらいたいです。
――では最後に『Jewel』をレコメンドしてください。
永塚 色々な人のニーズに応えられるミニアルバムになっていると思います。ジャンルを限定しない、様々なタイプの楽曲を収録しているので、この1枚を聴けば色んな世界を旅できると思います。僕自身も1曲1曲、声色も歌い方も変化をつけていますし、5色の宝石が詰まったミニアルバムになっています。ぜひ受け取って、いろんな輝きを見ていただきたいですし、聴いていただきたいと思います。
●リリース情報
永塚拓馬 2nd mini Album
『Jewel』
11月9日発売
【初回限定盤(CD+DVD)】
品番:COZX-1946-1947
価格:¥3,740(税込)
【通常盤】
品番:COCX-41840
価格:¥2,750(税込 \2,500)
■mora
通常/配信リンクはこちら
<CD>
1.Tears Jewel
作詞・作曲・編曲:鶴崎輝一
2.風と花
作詞:永塚拓馬 作曲・編曲:江上浩太郎
3.終電間際、未だ返事はない
作詞:鶴崎輝一 作曲・編曲:ミヤジマユースケ
4.Shooting star
作詞・作曲・編曲:LIN(MADKID)
5.エール
作詞:lotta 作曲・編曲:松坂康司
<DVD>
「Tears Jewel」ミュージックビデオ+メイキング映像
永塚拓馬 Official Music Information Site
https://columbia.jp/nagatsukatakuma/
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