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INTERVIEW

2022.11.04

死生観、愛、衝動…『チェンソーマン』第4話EDテーマ「錠剤」に託したそのすべて、TOOBOEに聞く

死生観、愛、衝動…『チェンソーマン』第4話EDテーマ「錠剤」に託したそのすべて、TOOBOEに聞く

「死生観」と「愛」とデンジへのシンパシー

――『チェンソーマン』の世界をなぞりながらも、歌詞にはTOOBOEさんの持つ死生観や愛に対する考え方も反映されているように感じました。

TOOBOE 死生観はクリエイティブにおいてすごく大事にしていますね。僕が好きな小説に「物事は死ななきゃ全部成功」という考え方を持った登場人物がいて。そのファニーな感じも含めて、ものすごく腑に落ちたんです。もともと自分は失敗を恐れるタイプというか、誰かと会話をして家に帰ったら「あの言い方は良くなかったんじゃないか」とか色々考えて1人反省会をしちゃうタイプで。でもその小説を読んですごく救われたので、同じような思いを抱えている人にそれを伝えられたらいいなと思っているんです。

――だから、よく「死生観がぶれないように気をつけている」とおっしゃっているんですね。

TOOBOE 「心臓」の“蘇ってしまうよ”という歌詞も、失敗しても諦めても、生きていれば全然修正できるしリベンジできる、という考え方が根底にあって。僕自身、『千秋楽』というアルバムを出した後はやりたいことが全部なくなったんです。いつでも辞めてもいいかなと思うような性分でもあるんですけど、ライブに来てくれた人の声とかを聞いていると「もうちょっと音楽をやってもいいんじゃないかな」と思うようになったので、そういう意味でも蘇ったような感覚があったんですよね。

――なるほど。それもある意味「衝動」ですよね。「愛」に近いものもありそうです。

TOOBOE 僕の書く「愛」は広義な意味での愛情で。人間はみんな、愛されたいという衝動を持っていると思うんです。僕は「渇愛」というテーマがすごく好きで、映画や小説でも「こんなどうしようもない人間でも愛されたい」と言っている姿に惹かれるんですよね。あと、「あ」「い」は僕の声と音の成分とも相性がいい。だからよく使っちゃうんです。

――デンジくんも第1話で、自分のごはんさえままならないほど生活が苦しいのに、それを分け合ってポチタと生活を共にしていて。それはポチタからの愛を失いたくなかったからだなと、今のお話を聞きながら思いました。

TOOBOE ああ、確かにそうですね……。デンジくんはマキマさんに拾われて初めてうどんを食べたり、普通の生活に近づいていくんだけど、さらにまだ幸せになりたがる。そういうところも含めて魅力的だし、シンパシーを感じますね。

――「錠剤」は『チェンソーマン』の第4話をなぞりながらも、しっかり根底にあるものはTOOBOEさんも譲れない芯の部分や積み重ねてきたアーティスト性なのでしょうね。サウンドデザインもVOCALOIDクリエイターならではだと思います。

TOOBOE ほんの一瞬しか出ない楽器を平気で入れたりするのは、デスクトップ(コンピュータ)で音楽を作る人の習性だと思います(笑)。いきなりわけわかんない音が入ったり、音が消えたりと遊び心を入れて自由に音を作っていって、それがパワーちゃんの突拍子もない感じとリンクしたと思います。『チェンソーマン』ファンの方々や藤本先生に喜んでいただけたらうれしいですし、アニメを知らない人が「錠剤」を聴いても「いい」と思ってくれたら尚良しですね。

学生時代に映画や音楽に救われたときの感情を、自分経由で若い子に伝えたい

――TOOBOEさんはご自身で絵も描ける、映像も作れる方ですが、なぜ表現の軸は音楽なのでしょう?

TOOBOE それは単純に僕の集中力の問題です(笑)。マンガ家になりたくてマンガを描いていた時期もあるんですけど、集中力が全然続かなくて。でも音楽だと2分や3分の尺の中に、自分の脳みそにあるものを衝動的に詰め込むことができる。自分に一番向いている表現方法だと思います。

――「衝動」はTOOBOEさんの制作においてキーワードになっていそうですね。おそらく衝動的、感情的なものが湧き上がって、それを理論的にまとめているような。

TOOBOE 多分そんな感じです(笑)。どうしても伝えたい行やフレーズを軸に、それをちゃんと見せるために、どういう線路を敷いて作ろうか?と考えながら作っていくことが多いんですよね。三谷幸喜さんも「ここをメインで見せたいから、そこ目がけて脚本を書いていく」といったことをおっしゃっていたので、僕も映像的な作り方をしているタイプだと思います。

――それこそマンガ的なコミカルな表現、映画や小説のような物語運びなど、TOOBOEさんが親しんできた表現の要素をすべて生かせるのは音楽かもしれませんね。

TOOBOE そうですね。想像する余地を与えてくれるのも、良さの1つだと思います。

――「心臓」というシングルでメジャーデビューを果たし、アーティストとしてよみがえったTOOBOEさんは、まだまだやれることがたくさんありそうですね。

TOOBOE まだ今は詳しく言えないんですが、色んな依頼をいただいていて、インプットがすごく増えているところですね。書き下ろしや楽曲提供をきっかけに「自分だけでずっと作っていたら一生出てこないだろうな」と思う曲が生まれるので楽しいです。あとは学生時代の僕が1人で暗い気持ちを抱えながら、映画を観たり音楽を聴いたりして救われたときのあの感情を、自分経由で若い子に伝えたい。それでいて老若男女問わずどんな人も、みんな口ずさめる曲が1曲でも作れたらなと思うんです。

――それはどんな人にも響く曲が作りたいということでしょうか、それともヒット曲を作りたいということでしょうか。

TOOBOE どちらもできれば最高ですね。どんな人も口ずさめるメロディと歌詞に、毒気の効いた音やアレンジを混ぜるのが今一番やりたい理想の音楽です。そのためにもかっこつけたりせず、「これ歌うの恥ずかしいんじゃないか?」と思ったことも受け入れた、生々しさが大事なんじゃないかと思っていて。それにちょくちょくチャレンジしつつ制作していますね。今後もそれぞれの制作で得た経験を生かして、曲ごとに色んなアプローチができればなと思っています。


●リリース情報
TOOBOE
「錠剤」
デジタル先行配信中
https://tooboe.lnk.to/A6M6UK

■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら

【通常盤/CD】

2022年11月9日発売
品番:SRCL-12282
価格:¥1,200(税込)

<通常盤/CD>
01.錠剤
02.ivory
03.まるで亡霊
04.ヤング

【期間限定盤/CD+BD】

2022年11月9日発売
品番:SRCL-12283-12284
価格:¥1,870(税込)

<期間限定盤/CD>
01.錠剤
02.ivory
03.まるで亡霊
04.ヤング
05.錠剤 -Anime ver.-

<期間限定盤/BD>
TVアニメ『チェンソーマン』ノンクレジットエンディングムービー

【初回生産限定盤/CD+BD】

2022年11月9日発売
品番:SRCL-12280-12281
価格:¥3,520(税込)

<初回生産限定盤/CD>
01.錠剤
02.ivory
03.まるで亡霊
04.ヤング

<初回生産限定盤/BD>
TOOBOE 1st LIVE『解禁』@東京キネマ倶楽部(2022.5.3)
01.視界
02.毒
03.心臓
04.水泡
05.ダーウィン
06.爆弾
07.春嵐
08.紫
09.千秋楽
10.赫い夜

■全形態封入初回仕様:1st EP『錠剤』リリース記念完全招待制プレミアムシークレットライブ

●作品情報
TVアニメ『チェンソーマン』
毎週火曜24:00よりテレビ東京系6局ネットにて放送中
毎週火曜25:00よりPrime Videoにて最速配信中

© 藤本タツキ/集英社・MAPPA

関連リンク

TOOBOE アーティスト公式サイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/tooboe/

john / TOOBOE 公式Twitter
https://twitter.com/casablancalanca

john / TOOBOE 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC9rPALOT-ZVc7VEXATYSNCA

TVアニメ『チェンソーマン』公式サイト
https://chainsawman.dog/

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