INTERVIEW
2022.10.20
9月に結成12周年を迎えたGARNiDELiAの勢いが止まらない──。それぞれソロの活動にも注力しているなか、2ヵ月連続でデジタルシングルをリリースした。9月に解禁されたTVアニメ『うちの師匠はしっぽがない』のOPテーマ「幻愛遊戯」に続き、10月19日に発表される「謳歌爛漫」は、“踊っちゃってみた”動画シリーズの最新楽曲であり、集大成。コレオグラファーとしても活躍するみうめがステージから引退することを受け、MARiA、みうめ、217の3人で有終の美を飾る“はなむけ”の作品となる。
さらに10月21日(金)には毎年恒例で行っているハロウィンパーティ、12月には大阪・東京でワンマンライブを開催。ほかにも公開されていない情報がたくさんあるようだ。我が道を突き進む2人は、明るく華やかに、オンリーワンの音楽を届け続ける。
――9月に発表されたデジタルシングル「幻愛遊戯」に続き、「謳歌爛漫」を10月19日に配信されます。2ヵ月連続でデジタルシングルをリリースされることになった経緯についてお伺いさせてください。
MARiA 2ヵ月連続になったのは偶然だったんです。「幻愛遊戯」がTVアニメ『うちの師匠はしっぽがない』のOPテーマということで、放送開始日に合わせての配信リリースです。で、「謳歌爛漫」は10月いっぱいにみうめが卒業するということで、みうめ・217の3人での作品を卒業前に作りたいなと。それで連続リリースになったという経緯です。時期的にタイミングがあったというか。
toku うん、そんな感じだね。
MARiA 実は「幻愛遊戯」に関しては去年に制作していたんですよ。タイアップ作品の場合は、制作・納期が早くて。一方の「謳歌爛漫」は、ものすごいスピード感で作りました。8月末に入ってから作ったのかな。
――でもMARiAさんは夏にはソロライブもあり、舞台もあり。さらに10月16日にはソロ活動の一環で、小室哲哉さんとのコラボレーション作品もリリースされました。tokuさんも舞台への楽曲提供などもありましたよね。
MARiA そうなんです。だからかなりギリギリ(笑)。ありがたいことに、しっちゃかめっちゃかのスケジュールだったんです。実は「謳歌爛漫」の歌詞は5時間くらいで書きあげました。
――「謳歌爛漫」の制作経緯についてもお伺いしたいです。
toku まず、アニメのプロデューサーからオーダーをいただいて。その参考曲が前回のデジタルシングル「オトメの心得」(TVアニメ『大正オトメ御伽話』OPテーマ)だったんですね。
MARiA 大正時代のアニメ繋がり、という感じで。「オトメの心得」は元々「ビックバンド風の、オープニングらしい派手で華やかな感じで」といったオーダーだったんです。今回もほぼ同じで「同じやん!」って(笑)。しかも参考曲が「オトメの心得」だったので、自分たちの曲!?って。
――参考曲が自分たちの曲って初めて聞きました。インタビューなどでお話を伺っていると、洋楽や別ジャンルの曲を提示されることが多いように思います。
MARiA そうですね。だから自分たちがライバルっていう(笑)。自分たちを超える曲を書かなくては、と気合いが入りました。
toku オファーをいただいてから『うちの師匠はしっぽがない』の原作を読ませていただいたところ、ストレートな真面目さに着目したんです。
MARiA ちょっとエグさもあるんだよね。『大正オトメ御伽話』は純愛なラブストーリーだったからピュアな華やかさがあって。だから太陽が似合うようなイメージでした。一方の『うちの師匠はしっぽがない』は、キャラクターたちはポップでかわいらしいんですけど、芸事の裏の世界に対して毒づいていたり、「こんなことアニメで言ってしまっていいんだ」っていう闇の部分を言っていたりと、夜の世界のギラついた感じがあって。私の中では「キラキラ」が「ギラギラ」に変わったイメージ。だから同じオーダーではあったけど、言いたいことも変わりましたね。改めて「GARNiDELiAがこの曲をやるならどうするか」という観点で考え、自分との共通点を見つけ、芸事に対する愛を疑似恋愛のように書きました。豆狸の少女・まめだは、落語という芸事に恋をして、それを極めていく。私は歌という芸事を愛して、ステージに居続けている。私は20年この道を歩んでいるので、自分の「芸を極めていくぞ」という決意に、まめだ、師匠たちの思いをリンクさせて作ったのがこの曲です。
――私も音楽への恋文のようだなと感じていて。また、ライブに誘われる曲にもなっているように思いました。
MARiA そうなんです!最初の“ちょいとそこのヒト おいでなさい”というのは、落語の世界の「寄席」に呼び込むことを意識した言葉でもあるのですが、私達からすると「ライブに来てね!」というダブルミーニング。実はもうすでにこの曲はライブで2回やらせてもらっているんです。放送開始前でしたが、めちゃくちゃ盛り上がって、この曲の力を感じました。これからさらに育っていくんだろうなと思うと楽しみです。
――4つ打ちに絡む、ラテントランペットもこの曲の特徴ですね。
toku ブラスやリズムのスピード感を意識していて。和メロで、王道なコード進行ではあるんですけど、何か新しい感じを出せたらいいなと思ってハイブリットなことをやりましたね。サビにメロディを増やすことでさらにスピード感を強調していますし、最後のキメの一行が、歌謡曲王道感に繋がったらなと思っていました。いつも先に僕が曲を作って、それを(MARiAに)渡すというやり方なんですけど、最後の歌詞は相当悩んだようで。あれは難儀だったと思います。
MARiA ラストの“ワタシのしっぽは掴ませない♡”はかなり悩みました。あの波のあるメロディラインがめちゃくちゃ難しい。でもここをキメられないと、この曲がダサくなってしまうなと思って。私は歌詞を書くとき、いつもAメロから順番に書いていくんですが、最後がかっこ良くキマらないと、それまでの流れも崩れてしまう。だから、最後のフレーズをずっと考えていて……。
toku 昔のアニメソングって、最後に必殺技の名前やタイトルを叫んでいたじゃないですか。あの感覚を入れたいなと思っていたんですよね。
MARiA きっとそうなんだろうなと思って。
――そういったことは意思疎通のみで?
MARiA この曲に関してはあまり話していないんです。でもこの曲が届いたときに「これ、絶対そういう感じだよな」って(笑)。だから“しっぽ”っていうワードは絶対にここに入れたいと思っていました。だけど、“しっぽ”という言葉を入れるとかわいらしいイメージになってしまう。かわいい曲にはしたくなかったので「どうしたら良いんだ!」としっぽにつく慣用句をずっと思い浮かべていました。そのなかで「そういえば、逃げるときに“しっぽを掴ませない”って言うな」と。それでこの一行を入れたらドンピシャにハマって「これだ!」と。ゴシックなムードもあるし「私のしっぽは絶対に掴ませませんよ♡てへぺろ」みたいな(笑)、キュートでセクシーな女の子ゾーンも思い浮かんで。この一行が決まったので、Aメロに戻り、ストーリーを考えていきました。原作を読み込んだうえで書いたので、キャラのセリフもピックアップしています。原作ファンの方が聴いたときに「これ、あの子が言ってたセリフだな」と感じてもらえるのではないかなと思います。すべてのキャラクターたちにハマるところがあると思っています。
――tokuさんにお伺いしたいのですが、なぜ今、昔のアニソンを意識されたのでしょうか。
toku キャッチーさを出したいなと思っていたんです。最近ってかっこいいアニソンがめちゃくちゃ増えてるじゃないですか(笑)。ジャンルも多岐に渡っている。でもアニソンの歴史に立ち返ったときに、昔のアニソンはキャッチーなエッセンスが散りばめられていたんですよね。
MARiA 今、もはやアニソンシンガーの概念がなくなっている気がする。
toku 今までのガルニデでもやってきた部分もあるんですけど、原点回帰的な感じで「アニメ主題歌といえばこうじゃないか」っていうものをやってみたいなと。かつ、ガルニデがやることでかっこ良くなるような曲になればいいなと思っていました。
MARiA ガルニデと言えばデジタルロックで、BPMが早くて、強くて……というイメージを持たれている方が多いと思うんですけど“踊っちゃってみた”、四字熟語シリーズのラインはキャッチーで。「幻愛遊戯」はそこの間の子(笑)。アニメ主題歌でもあり、四字熟語シリーズでもあり。主題歌のほうに、そのラインを持ってこられるようになった。それくらいのブランドになれたんだなというのは、わたしたち的にはすごく嬉しいです。
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