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INTERVIEW

2022.10.12

【スペシャル対談】担当プロデューサーから見る鬼頭明里の成長、魅力とは――?2ndアルバム『Luminous』リリース記念、鬼頭明里×椿本康雄(制作プロデューサー)インタビュー

【スペシャル対談】担当プロデューサーから見る鬼頭明里の成長、魅力とは――?2ndアルバム『Luminous』リリース記念、鬼頭明里×椿本康雄(制作プロデューサー)インタビュー

鬼頭明里の2ndアルバム『Luminous』が完成した。本作は「昼と夜」をテーマに、大人っぽさを感じる曲やお洒落な雰囲気の曲が増え、より鬼頭の表現の幅が広がったように感じる。そういう意味では、ロックテイストの1stアルバム『STYLE』からの変化や成長が感じ取れるかもしれない――。
アルバムについて、新曲を中心に、鬼頭明里と制作プロデューサーである椿本康雄に話を聞いた。

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成長を感じさせる歌の表現の数々

――『Luminous』というタイトルは、「輝く」や「光る」という意味ですが、素敵なタイトルですね。

鬼頭明里 実は、タイトルは椿本さんが考えてくれたんです。

椿本康雄(制作プロデューサー) 私が付けました(笑)。こういうタイトル、どう?って。今回のアルバムを作るに当たって、鬼頭さんから「昼と夜」というテーマをもらっていたんです。アルバム制作前には打ち合わせもして、そのなかで、昼の光や夜の光といった話も出たので『Luminous』というタイトルを考えたら、一発OKをもらいまして。

鬼頭 「良いですね」と(笑)。お洒落ですし、私が出したテーマとも合っていると思ったので、「これで!」とお願いしました。

――打ち合わせでは、どのようなことを話したのですか?

鬼頭 ジャケット写真の話などもしていたのですが、昼と夜の2パターンを作りたいと提案して、そこからどんなジャケットにするのかという話をデザイナーも交えて打ち合わせたりしていました。なので、ジャケットは2種類作るけれど、歌詞カードを裏返すと昼と夜が逆転するリバーシブルの仕様になっていたりするんです。曲に関しても、どんな曲がいいのかというところでは、私からも参考曲などを出して、そこから曲を集めていただきました。

椿本 「みちくさ」では作詞に参加してもらったので、今後のアーティスト活動では鬼頭さん自身を出してもらいながら、一緒に作っていきたいと思っていたんです。そこでリファレンスの曲を出してもらったり、テーマについても結構長く打ち合わせをしていましたね。

――鬼頭さん的にも、もっと自分の内面を出していこうという感じだったのですか?

鬼頭 自分の内面を出すというよりは、今までふわっとしていたものを、しっかりと考えるようになったという感じです。ふと音楽を聴いて、こういう曲良いなと思ったら、すぐに伝えるようになりましたね。

――アルバムのOPナンバー「BYERONY」はギターロックでしたが、これは造語ですか?

椿本 造語です。「バイバイ」と「皮肉」という意味のアイロニーを合わせたものになっています。

鬼頭 収録されている既存曲は昼のイメージが強いので、新曲は夜の曲が多めになるんですけど、そのなかでも色んなシチュエーションで聴ける曲を入れてもらっているんです。この曲は、夜だからこそ余計なことを考えてしまい、モヤモヤしているような……自分の中での葛藤みたいなものを表現している感じかなと解釈して歌っています。なので、歌も吐き捨てるような感じというか。

椿本 集まった曲の中から鬼頭さんに選んでもらっているんですけど、この曲はどちらかというと音先行で、音色と雰囲気で選んだ曲ではありました。この楽曲を作ってくれた大熊淳生(Arte Refact)さんは「深夜センチメンタル」も担当してくださっていて、両曲ともテーマは似ているんです。今回はアグレッシブにモヤモヤしている感じ(笑)。

鬼頭 曲を選ぶときは、聴いた感じで、歌うのが楽しそうだなって思った曲を選んでいた気がします。

――「深夜センチメンタル」もですが、イントロで持っていかれる曲ですよね。続く「DEAD or CALL MY NAME」はブギ、スウィングジャズのような、大人の雰囲気漂う曲でした。

鬼頭 この曲は「難しい曲を歌いたい」と言ってお願いしたんです(笑)。それこそ椎名林檎さんの曲などを出したりして。難しい曲は歌い甲斐があるし、実際歌いたいなと思う確率も高いんです。なので、そういう難しい曲を集めてもらったなかから選んだのですが、結果歌いやすかったです……(笑)。やっぱり普段からこういうタイプの楽曲を聴いていて、プライベートでもよく歌っているから歌いやすいんだと思うんです。でもソロでもキャラソンでも出していなかった感じの楽曲なので、今回作ることができて良かったです。

椿本 リファレンスとして椎名林檎さんが挙がっていましたが、そうなりすぎないようにとお願いしつつ曲を集めていきました。僕としても結構大変な曲だぞ!と思っていたのですが、すんなり歌っていましたね……(笑)。

鬼頭 一番すんなり歌えたかもしれません(笑)。

椿本 そうだね。ブースから出てくるときも「歌いやすかった~」って。

――歌詞に合わせて、声の雰囲気を変えていますが、それもご自身で考えて?

鬼頭 最初に聴いたときに、こういう風に歌おうというイメージが浮かんできたので、その通りに歌いました。

椿本 レコーディングでも細かく切って録っていたわけではなく結構まとめて録ったのですが、さすが役者さんだなぁと思いましたね。フレーズごとにニュアンスを変えてきたので、自分はびっくりしながら聴いていました。だから、何が鬼頭さんにとっての「難しい」なのかがもうわからないです(笑)。

――いつか難しいと言わせたいですね(笑)。「Oxidation」はピアノのメロディやベースラインが素敵な曲でした。

鬼頭 この曲も歌うのが楽しそうだなぁと思ったところから選んでいて。聴いていて耳心地が良いんです。

――ボーカルも、サビでは切迫感がある張った声というのが印象的でした。

鬼頭 これも夜の曲で、陰と陽があれば陰の歌詞ではあるので、少し苦しんでいるような歌い方はしています。

椿本 この曲は特に難しくしようと思って作っているわけではなかったのですが、改めて既存曲を聴きながらミックスしているときに鬼頭さんの成長を感じたというか。陰の中にも、優しめのトーンがちゃんと裏で出せるようになっているなというのはすごく感じました。

――最後のロングトーンのところも切迫感を出しながら、そのあとファルセットで締め括る、みたいなところはすごくかっこいいですよね。

鬼頭 ありがとうございます。

椿本 鬼頭さんは元々ロングトーンはとても得意だったので、真っ直ぐ伸びるロングトーンの曲も多かったんですが、今回はただ伸ばすだけではない表現がたくさん出せている曲なのかなと思います。

次ページ:今だからこそ歌える楽曲が詰まったアルバムに

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