――そして本作を締め括る「世界でいちばん愛しい音」は、牧野さんが作曲を手がけられています。こちらは、ご出産されたことがきっかけになったとのことですが。
牧野 はい。この曲を作ったときは、出産という素敵な経験をしたなかで、初めて考えたり感じることが多かった時期だったんです。「こうやって私の命も、未来に繋がっていくんだなぁ」となんとなく感じたり、「こうやって人って生きてるんだなぁ」って人類を大きく捉えて考えたり……(笑)。それを特に曲に反映しようとは思っていなかったんですけど、そういうことを感じながら作っていたのがこの曲で。なので、私が幼い頃からずーっと側で成長を見守ってくれていた、ある意味お父さんみたいな存在の映画監督の岩井俊二さんに、歌詞で世界を描いていただいたんです。
――小さな頃から、劇伴のピアノ演奏で作品に参加されていましたからね。
牧野 そうなんです。そんな岩井さんの世界の中で歌ってみることも夢だったので、曲を作っていたときの気持ちやタイトルをお伝えして、「繋がっていく命」をテーマに世界を描いていただきました。
――しかも編曲は、大学時代からの学友でもある滝澤俊輔さんが担当されて。
牧野 そうなんです。本当に気心の知れた(笑)。曲を書いている時点からプライベートでも話す機会が多かったので、「もし煮詰まってしまったら、ちょっとアドバイスもらえたりするかな?」という話をしていたんです。それで曲が出来上がったときに、11月のライブでバンマスをしてもらう予定もあったので、お願いすることに決めました。
――そんな繋がりの深い方々と一緒に作ったこの曲では、歌声から強い温かさや、そこに込められた愛のようなものを感じました。
牧野 ありがとうございます。娘が生まれたときに、「何か残してあげられるものってあるんだろうか?」と色々考えたんですけど、こういうふうに曲が出来上がってみると、「自分にできることをすべて使ったもの、という形で残してあげられたら、それはそれですごく素敵なのかな」と思いまして。
――まさにタイトルどおり、「世界でいちばん愛しい音」になった曲というか。
牧野 そうですね(笑)。元々この曲は、ボイスメモに入れた鼻歌が始まりになっていて。その音の中に、まだ生後1ヵ月にもなっていない娘の「うぅ~」っていう声が(笑)、ずーっと入っていたんですよね。だから、そういう雰囲気みたいなものも曲の中に残せたらな……と思って。曲の終盤、「どんな夢を叶えるんだろう」と歌ったあとにもう一回しあるんですけど、そこを鼻歌にして。曲を原点回帰させたといいますか。
――原点の気持ちや感覚も、曲に残したかった。
牧野 そうですね。実はその部分も歌詞をいただいていたんですけど、自分のやりたいイメージに沿ってカットさせていただいて。そもそも2~3稿くらいいただいていたのに、「1稿のときのこれが好きなので、これで歌っていいですか?」みたいに言った部分もあったり……思い返せば、失礼なお願いをたくさんしました(笑)。でも今回のように自分で曲を作っているからこそ、色んなイメージをすぐにどんどん反映できたというか。制作においてのフットワークの軽さみたいなものを存分に楽しめたように思っています。
――そして本作のリリース後、11月13日(日)にはビルボードライブ横浜、11月23日(水・祝)にはビルボードライブ大阪で“牧野由依 Billboard Live2022 ~あなたとわたしを繋ぐもの~”を開催されます。
牧野 はい。ライブも去年4月以来なので久しぶりなんですけど、滝澤くんをはじめ、その去年4月のライブにドラムで入っていただいた山本真央樹くんとか、朗読で入らせていただいたWEAVERのビルボードでのライブにバイオリンで入られていた雨宮麻未子さんとか、本当に大好きな方々にサポートしていただきながら久しぶりのライブができるということはすごく嬉しいですし、自分の身体的にもすごく大きな変化のあった1年だったので、心強いなぁという部分もあります。
――お身体の変化というお話もありましたが、今回以前の曲と合わせて聞かせていただいたなかで、歌声が長年本当に変わらないなぁと感じていて。
牧野 本当ですか?
――喉を壊された時期もありましたけど、それを経てなお……と思います。
牧野 あのときは「終わった」って思いましたから(笑)。でもそう言っていただけるのは、本当にすごく嬉しいです。今回は曲の雰囲気などにも原点回帰みたいな部分もあったりするので、昔から応援してくださっている方や一時離れていた方だったり……17年間歌わせていただいているので、色んな方がいらっしゃるはずなんです。でもこのアルバムで「おかえり」と言えたらいいなという気持ちで、レコーディングを進めていったんですよ。
――その「おかえり」を受けて、11月にビルボードライブに来てくれる方もきっといらっしゃるでしょうし。
牧野 ぜひ、いらしていただきたいです!ライブってエンターテインメントなので、ライブの中でヤマを作るみたいなストーリー性みたいなことも必要だとは思うんですけど、ビルボードだからこそ許されるセットリストというものもあるはずなので、それをフルに活用したいですね。
――ということは、構想はすでにかなり具体化されている?
牧野 これから詰めていく部分もありますけど、だいたいの概要は話し始めています。今回のライブに合わせて、どんなアレンジするかとか、やり取りを重ねていて、ここでしか聴けないものというのも、恐らくあると思います。あと、その前にリリースイベントもあるので、そこで初めて聴いていただけるアルバム曲もあるでしょうし。なのでぜひ、ライブにもイベントにもご参加いただけたら嬉しいですね。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
●リリース情報
牧野由依 ミニアルバム
『あなたとわたしを繋ぐもの』
10月5日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【初回限定盤A(BD付)】
品番:VTZL-215
価格:¥4,400(税込)
【初回限定盤B(Photo Book付)】
品番:VTZL-216
価格:¥3,740(税込)
【通常盤】
品番:VTCL-60565
価格:¥2,750(税込)
<収録曲>
1. Touch of Hope
作詞:岩里祐穂 作曲・編曲:椿山日南子
2. エスペーロ
作詞:松浦有希 作曲・編曲:窪田ミナ
3. 幸せのメロディ
作詞:北川勝利、藤村鼓乃美 作曲・編曲:北川勝利
ストリングスアレンジ:Tansa
4. Tale of Blue
作詞・作曲:新居昭乃 編曲:保刈久明
5. 私と世界
作詞:森雪之丞 作曲:さかいゆう 編曲:冨田恵一(冨田ラボ)
6. ウンディーネ~2021 edizione~
作詞:河井英里 作曲・編曲:窪田ミナ
7. 世界でいちばん愛しい音
作詞:岩井俊二 作曲:牧野由依
編曲:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
<Blu-ray>
牧野由依 あなたとわたしを繋ぐもの Special Blu-ray
☆動画コンテンツ
・「Touch of Hope」 Music Video
・「エスペーロ」 Music Video
☆音声コンテンツ
・Dolby Atmos Album「あなたとわたしを繋ぐもの」
※再生環境に合わせ【STEREO】、【Dolby Atmos】を選択できます。
※Dolby、ドルビー、Dolby Atmos、およびダブルD記号は、アメリカ合衆国とまたは
その他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。
<フォトブックレット>
撮り下ろしフォト満載のスペシャルブックレット
●ライブ情報
牧野由依 Billboard Live2022 ~あなたとわたしを繋ぐもの~
<2022年11月13日(日)>
会場:会場:ビルボードライブ横浜
1stステージ 開場14:00 開演15:00
2ndステージ 開場17:00 開演18:00
サービスエリア¥8,500
カジュアルエリア¥8,000 (1ドリンク付き)
バンドメンバー
滝澤俊輔(Key)山本真央樹(Dr)海老沼崇史(Ba)睦月周平(Gt)雨宮麻未子(Vn)
チケット受付中
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13622&shop=4
[お問い合わせ先] ビルボードライブ横浜 ☎0570-05-6565
<2022年11月23日(水・祝)>
会場:ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場14:00 開演15:00
2ndステージ 開場17:00 開演18:00
サービスエリア¥8,500
カジュアルエリア¥8,000 (1ドリンク付き)
バンドメンバー
滝澤俊輔(Key) 山本真央樹(Dr) ヤノアツシ(Ba) 睦月周平(Gt) 雨宮麻未子(Vn)
本公演のご予約はビルボードライブWEBサイト、およびプレイガイドにて行います。
Club BBL会員先行=2022/10/10(月祝)12:00正午より
一般予約受付開始=2022/10/17(月)12:00正午より
[お問い合わせ先] ビルボードライブ大阪 ☎06-6347-5495
牧野由依オフィシャルサイト
https://www.yuiyuimakino.com/
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