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INTERVIEW

2022.10.07

【インタビュー】高橋李依、新曲『共感されなくてもいいじゃない』インタビュー。「どんなに難しい曲が来ても歌う覚悟」の理由――

【インタビュー】高橋李依、新曲『共感されなくてもいいじゃない』インタビュー。「どんなに難しい曲が来ても歌う覚悟」の理由――

声優アーティストの高橋李依が、TVアニメ『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』で主人公・アイリーン・ローレン・ドートリシュ役を務め、ソロとして初めてアニメのオープニング主題歌を担当する。当初「とても慎重に考えました」と語る彼女が、今は「めちゃくちゃ合ってると思います」と自信を持って答えられるまでには何があったのだろう。アーティストデビュー後の流れを振り返りつつ、楽曲制作で得た想いを聞いた。

「アイリーンに出会った高橋李依の世界観」を主題歌に

――高橋さんは2021年の1st EP「透明な付箋」でデビューされましたが、発売後の手ごたえやファンの方々に届いたことの実感について、改めてお聞かせください。

高橋李依 まず、アーティスト活動はこんなに大変なものだったのかと実感しました。5曲のEPを作るにあたって、いつまでもこだわりたいと思ってしまうほど、やはり音楽活動には正解って存在しないんですね。もちろんそうした中でも、1つの形として、私の記憶に貼ってきた“付箋”をお届けできたかなと思っています。気持ちとしては音楽活動のスピードを高めていきたい思いはあるのですが、それぞれの曲を丁寧に作っていきたいという思いもあるので、発表されたときが今の高橋李依の速度感なのだと感じていただければと思います。

――リリース後の皆さんの反応はいかがでしたか?

高橋 このEPは私が好きなものばかりを詰め込んだのですが、それを皆さんにも好きになってもらえたことが嬉しかったですね。アップテンポでレンジが広くて、ピアノとベースの成分が多い曲という、かなり好みがハッキリしているんです。それで固めているにも関わらず、こんなにも好きになってくれるなんて、もう運命共同体なのではないかと(笑)。5曲の中では「不健康社会」が思いきり刺さったとおっしゃる方もいれば、ちょっと疲れたときに聴いたので、怖くて涙が出てしまいましたというお手紙もいただいたり。芝居だけではなく、音楽活動においても、感情を詰め込むと、それは聴いた方に涙を与える可能性もある。これは声を使って表現をする者としての1つの学びでした。その方の涙を拭いてあげたい思いです。

――それをきちんとお手紙で届けてくれるファンの方もありがたい存在ですね。

高橋 はい。とても嬉しいです。いただいたお手紙はスキャンしてクラウドに置いているので、いつでも皆さんの言葉を読んで励ましてもらえる状況にあります。これからもお便りをお待ちしています(笑)。

――さて、新曲「共感されなくてもいいじゃない」はTVアニメ『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』(以下、『悪ラス』)のオープニング主題歌です。高橋さんは主演も務められていて、そうしたなかでソロアーティストとして初めてアニメのオープニング主題歌を担当されることについて、どんな思いですか?

高橋 主人公のアイリーン役はオーディションで、そちらが先に決まったんです。そこから1ヶ月くらい経った頃に、このオープニング主題歌のお話をいただいたのですが、作品にとっても私にとっても良い効果をもたらさなければ、これはお引き受けするべきではないと思い、とても慎重に考えました。というのも、この作品に対して私はアイリーンの声として携わろうとしていたわけで、そこにソロアーティストの高橋李依という存在は邪魔ではなかろうかと。ただ、色々と考えていくなかで「高橋李依がアイリーンと出会ったこと」を歌ったら、もしかしたら落とし込めるんじゃないかと。そして音作りにおいても、「高橋李依の好きな音楽とこの作品に親和性はあるのでしょうか?」と伺ったところ、「疾走感やピアノの上品な感じがハマるのではないか」とお答えいただいたので、決断に至りました。今は胸を張って、絶対に親和性があると思っています。

――アイリーンという人物を演じるにあたりどのように解釈しましたか?

高橋 オーディションでいただいた資料やシーンから、とても憧れる主人公だなと思いました。もちろんヒロインではあるのですが、いわゆるヒロインというよりも主人公という言葉が一番ぴったり似合うような人物で、自分で切り開いていくたくましさがありつつも、決して令嬢であることを忘れない凛とした美しさもあって、こういった人になりたいなと感じました。演じさせていただけたことが光栄で、アイリーンでいられる時間が楽しくて幸せでたまらなかったです。本当にあの世界に没入して生きさせていただいたなという思いです。

――タイトルには“悪役令嬢”とありますが、その点はいかがでしょうか?

高橋 原作を読みながらハッとしたのですが、彼女の口から「(性格が)いいとは思っていないけれど」と言っていて。“悪役令嬢”という役どころや やり方ともきちんと持ち合わせているんだろうなと。そこも含めて、かっこいいなと思いました。

――「透明な付箋」の中で高橋さんはネガティブな歌詞であっても感情を臆することなく露出されていて、ある意味で“悪役”を担っていたのかなと振り返って感じました。

高橋 たしかに、「不健康社会」ではダークサイドみたいな気持ちを歌ってしまいましたね(笑)。ただ、音楽の凄いところって、そうした気持ちを歌っても大丈夫なところ。
もっと言ってしまえば、オチがなくても良くて、一方的に「こういう気持ちが言いたかっただけなんですよ」でも成立するんだなと。「共感されなくてもいいじゃない」もある種そうですね。こうした表現の在り方は音楽ならではだなと、歌を作るなかで初めてわかりました。

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