INTERVIEW
2022.09.28
新世代メディアミックスプロジェクト『テクノロイド』の公式サポーターズクラブである「TECH-LOVE」。テクノロイド愛を確かめ合う“てく民”(「テクノロイド」ファンの通称)が心の通ったコミュニケーションの場としてみんなの力でコンテンツを盛り上げていこうという、毎日が文化祭の学校のような場所である。この「TECH-LOVE」内で、田中宏幸プロデューサーとキャストがゲーム制作の裏側の話や近況、さらにコンテンツをより深く楽しむ配信番組「P-ch」では、KNoCCのネオンを演じるkaytoが月に一度登場し、『テクノロイド 軽音楽部』として弾き語りを聴かせつつ、楽曲への想いやコンテンツのことなどを余すことなく話している。
今回リスアニ!では、コンテンツの裏側を紹介するこの番組の、さらに裏側に密着。放送開始前のメインパーソナリティ・田中プロデューサーと月1ゲストのkaytoへのインタビュー、そして番組レポートをお送りする。
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――「TECH-LOVE」内の番組「P-ch」への出演依頼を受けたときはどんな気持ちがありましたか?
kayto 僕の場合はアコースティックギターでの弾き語り込みでお話をいただいたので、仮歌で自分が歌っている曲を、実際に表に出て皆さんに届けられることに対して「本当にいいんですか?」という喜びがありました。その反面、テクノミュージックを弾き語りでどう表現していこうかな、という部分もあって。それは自分の中でも冒険だな、と思ったんです。ネガティブな意味ではなく、これから音楽的な冒険の旅に出るんだ、ミュージシャンとしても1つ皮が剥けるな、というワクワク感もありました。(kaytoは『テクノロイド』のほぼ全曲の仮歌歌唱を担当している。)
――弾き語りのアレンジはご自身でやっていらっしゃるんですか?
kayto はい。全部自分で。
――Elements Gardenの方とお話をするようなことも?
kayto ないです。でも最初に「コードなど、僕なりにアレンジしても大丈夫ですか?」というのを確認させていただきました。そのときには「メロディさえ変えなければ大丈夫だよ」と言ってもらえたので、kayto風にしてしまおう!と思い、今は存分にアレンジしております。
――そもそもエレクトロで構成された楽曲を、弾き語りというアナログな手法へと振り切る。音色としても人間味のあるものに変化する、ということがあると思いますが、挑戦のし甲斐があるのはどんなところですか?
kayto ビートやノリの部分って、アコギ1本で出すのは難しいんです。叩きながらの奏法をする人にはできると思うんですが、僕は弾き語りという形でやってきたので、自分の音楽で育ってきたフィールドにテクノをどう融合させていこうかなっていう部分は難しいですが、そのぶんやり甲斐も感じています。なるべくビートではなく、聴いてもらうメロディの良さを受け取ってもらって、「この曲にはこんな一面があるんだ」と発見をしてもらえるような、新たな魅力を見つけてもらうぞ!という気持ちでやっています。
――仮歌で向き合っているときとは、それぞれの楽曲の印象も変わってきそうですね。
kayto 全然違いますね。仮歌はやっぱりビートとノリを、仮ではありますがなるべくそれぞれのユニットを想像できるように歌っているんですね。「P-ch」で歌っているときは、そういうところではなく、聴いてくれている人が「良い曲だな」と改めて感じてくれるように。楽曲に対してどうアプローチしていこうかを考えているので、役割も全然違うような気がしています。
――田中さんはそもそも弾き語りの企画はどうしてやろうと思われたのでしょうか。
田中宏幸 元々この「P-ch」という番組は、プロデューサーが「TECH-LOVE」の中で裏話を毎週配信するということを目的にやっているものなんですね。その番組内で思い付いちゃったんです。kaytoさんはネオンのオーディションに受かる前から仮歌もうたっていて、それでキャストに合格したことで仮歌をやっている人が声優としてもデビューすることにもなり、……それなら弾き語りで歌ってもらおう!と思い付いたので、番組内でkaytoさんに凸電しました(笑)その思いついたきっかけも、ファンの人のコメントからだったので、本当に「やれたら面白いね」が、今に至っています。
――アレンジされたものを聴いて、いかがですか?
田中 毎回、感動です。毎回僕は隣で、生で聴いていますからね。
kayto 嬉しいです。
田中 仮歌で聴いているのとは違って、ギター1本での表現にアレンジされているし、kayto流になっていることでこういう解釈もあるのか、と発見もあるんです。なによりメロディが良ければ、どんなアレンジになっても良い曲はその力を発揮するんだということを改めて感じますし、Elements Gardenの曲は良いなぁと再確認できますよね。
――楽曲の違う面が見られることは、ユーザーにとっても嬉しいですよね。
kayto せっかくサポーターズクラブに入ってくださっていますし、自分がアレンジを手がけるからには、なるべくどの角度から見ても特別な時間になるように、と思っています。この放送では歌詞ありバージョンと歌詞なしバージョンの2回演奏をするのですが、歌詞ありのときにはなるべく皆さんが聞き馴染みある原曲のキーで歌って、歌詞と一緒に楽しんでもらえたらなと思っているのですが、その前に披露する1回目の、歌詞なしバージョンはどうしようかなと思ったときに、この時間だけの、原曲とは違う1つ2つ上げた状態の自分の得意なキーで届けられたら、というのはこだわっています。
――ユーザーを意識しているからこそ難しいところはありますか?
kayto 皆さん、原曲をめちゃめちゃ聴き込んでいるので、そこに対してのイメージを壊さないだろうかという恐怖も少しあったりして。なるべく違う一面の良さを届けたいので、そこだけはいつもどこか不安がありますね。ちゃんと届けられているのだろうか、と自分の能力的な部分でも心配はしています。
――でもkaytoさんじゃなければできないことですよね。
田中 説得力がありますよね。仮歌さんということだけではできないし、声を担当している声優さんというだけでもできないことですから。それに、その場でお客さんからのコメントとして、反応があるのは良いよね。
kayto 嬉しいですよね。ライブでも生の声を“その瞬間”には聞けないですから。そういう意味では気持ちはライブよりも近いんじゃないかと思います。
田中 そもそも『テクノロイド』はまだライブをやっていないしね。
kayto そうなんですよね。
田中 つまりはここでしか聴けないライブなんです。
kayto 本当のライブより先にやらせていただいています(笑)。
――「今月はこの曲にしましょう」みたいなことは、事前に打ち合わせされているのでしょうか。
田中 これはkaytoさんがやりたいものでお願いしています。
kayto 「来月はこの曲でいきましょう」とお話をして、アレンジに取り掛かっています。
田中 やっぱりアコースティックのアレンジは、ご本人がある程度見えていないと、やれないですしね。
kayto そうですね。
田中 曲によっては結構大胆にアレンジをしてくれていますし。
――特にどういう曲を弾き語りアレンジしたくなりますか?アコースティックアレンジをしたくなるような曲はありますか?
kayto パッとアレンジが浮かぶ曲のタイトルを言っているかもしれないです。まだ浮かんでこないなぁ、という曲は避けているというか。少しずつ調整しながら試して、試して。「この曲はイケるかも!」と突破口が見えたときに「この曲もいけます」と提案させていただいています。
田中 基本的に上松(範康)さんも菊田(大介)さんもピアノの人だから。ギターで作られていないから、難しいよね?
kayto そうなんです。結構、曲中に何回も転調する曲とかもあって。ギターだと転調や演奏も変わるので、そういった曲はアレンジに挑戦しながらも何度も呼吸を置いてしまいます。今日やる曲(KNoCCの「Pleasant Presents」)も転調がすごく多いので、大きな冒険になります。
――番組放送前の打ち合わせではどんなことをお話しているんですか?
田中 打ち合わせはほとんどしていないです。
kayto そうですね(笑)。
田中 アフレコもやっていますし、プロモーションもあり、コミュニケーションは普段から取らせてもらっていますから。一応台本はありますが、話はあっちこっちに飛びますしね。
kayto 事前には軽く世間話をしています(笑)。
田中 ゲストの声優さんどなたが来ても、基本的にはそんな感じです。この作品は、それくらいスタッフとキャストの距離が近いんです。
――仮歌もされて、キャラクターも演じられて、番組では楽曲と改めて向き合われている。そういった活動はアフレコやKNoCCとしての活動に還元されている感はありますか?
kayto 自然とされているんじゃないでしょうか。ほかのユニットの楽曲を歌うときには、不思議な感覚になったりもするんです。自分たちの曲を歌うときもそうなんですが、メンバーのパートを歌うことになるんですよね。メンバーの歌ったところを聴いて、自分が歌う。仮歌のときには、なるべくみんなが覚えやすいように、「ここは自分のパートだ」とわかるようにそれぞれのキャストに寄せて歌っているんですけど、いざ自分が表現する、と向き合ったときに、想像以上に「僕ならこうやってやる」というものをメンバーはこういうふうに表現をしたのかと気づきがあるんですね。メンバーそれぞれがキャラクターとして捉えた気持ちと、対1人の自分として捉えたときの違いも発見して。そこがネオンとして歌うときに「こういう感じでパスをくれていたのか」とか、そんな発見があります。とにかくメンバー間の空気がすごく良いので、その発見はネオンへの気持ちだけではなく、メンバーへの気持ちとしても還っているように思います。
――KNoCCの仲の良さは、リスアニ!WEBの連載でご登場いただいたときにも感じました。
kayto そうですよね、表も裏もないくらいずっと仲良しです。今はアフレコの現場も一緒に経験させてもらっていることもあって、より絆は深まっています。物語と一緒に自分たちも成長していく過程で、キャラクターと一緒に演じている僕たちも絆が深まっている感覚があって。ブースの中はエモみがありますね。
田中 助け合っているよね。
kayto 助け合っています。空気感が本当に良いんですよ。
田中 お当番回があると、フォーカスが当たっている人に注目がいくけれど、周りの人たちが場を和やかにするような空気にしてくれたり、バランスを取ってくれたりもするんですよね。その空気感はスタッフとしても助かります。
kayto 「あ!どうしよう!」と思う場面があったとしても、後ろからメンバーの「いいよ!いいよ!」っていう声が飛んでくると、安心できるんです。
――その仲の良さは番組からも伝わってきますよね。
kayto マンスリーMC制でゲスト声優は変わるのですが、メンバー間でのパスもあったりもしますし。渋谷 慧くんがすごくパンチのあるボケを毎回入れていたので、それに対して次の峯田大夢くんの「ワシはどうしたらいいんだ」という感じもすごく面白かったですし。僕たちも違う視点で注目していました(笑)。KNoCCはどんなパスを放るのか!みたいな。放送が終わればみんなで「ああだったね」「こうだったね」と語り合いますし。渋谷くんの魅力は番組に出るまで、表には出ていなかったですから(笑)。
田中 あんなに変わった奴だとは思っていなかったよね(笑)。
kayto 実は一番ボケたがりますし……なんだったらKNoCCはボケしかいないんです(笑)。
――番組を見ている皆さんに、どんな姿を一番届けたいと思われていますか?
kayto 僕は『テクノロイド』の中の軽音楽部みたいな感じでもあるので、『テクノロイド』の音楽の良さを改めて届けられたらいいなぁ、と思っています。僕の弾き語りで改めて原曲を聴いてもらえるような、また魅力を発見してもらえたら、アコースティック版と本アレンジ版とで常に曲の良さを発信していきたいと思っています。「こんなに良い曲なんだよ!」と伝えることが、軽音楽部部長としての使命なのかなと思っています。
――田中さんが『テクノロイド』軽音楽部に期待していることはなんでしょうか。
田中 すべての曲が素敵な楽曲なので、それを届けてもらいたいのと、『テクノロイド』のファンの中でもこの番組を見てくださっている皆さんは本当に熱いファンの方々なので、そんな皆さんに盛り上がってもらって、『テクノロイド』についての会話をもっと外に広げてもらうきっかけになればいいなぁ、と思っています。作品の裏側や楽しさ、空気感などが伝わればいいですね。
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