すると今度は、トロッコに乗って上手端から大橋彩香が登場。場内を一周しながら歌った「ダイスキ。」では、トロッコ上とは思えない安定したボーカルワークで、高音部も地声で気持ち良く突き抜けるように歌い上げていく。それを笑顔満開でやりきってしまうというのも、またとんでもないことだ。メインステージに辿り着くと、黒ベースの衣装に早替えしてモードチェンジ。
ハイスピードなデジタルロック「HOWL」を、曲に込められた葛藤を表すように力いっぱいに歌っていくと、「Be My Friend!!!」の歌唱前にはメタルサウンドを響かせるために、なんと地獄からマーティ・フリードマンを召喚!超絶凄腕ギタリストのプレイする姿と真正面から向き合いながら歌ったりと、歌声同様に荒々しく振ったパワフルなステージングで、会場内の熱気をさらに高めるパフォーマンスをみせてくれたのだった。
そして前半戦のトリとして、「JUST COMMUNICATION」のイントロ流れるなかangelaが登場。今年リリースのTWO-MIXのトリビュートアルバムで歌唱した楽曲を、atsuko(vo)らしく効果的に溜めも用いつつ歌唱していく。MCでは「TWO-MIXでーす!」と、こちらも恒例となったボケをかましつつ、相変わらずの軽妙なトークで観客のハートを掴んだところで、メドレー形式で3曲を立て続けに披露。「蒼い春」ではコール部分を活かしてジャンプで観客を盛り上げると、さらに夏らしい曲「全力☆Summer!」ではタオル回しで会場を1つにまとめ、曲題から“Sparkle”にリンクする「キラキラ-go-round」でも、ジャンプやタオル回しの部分を通じてさらに観客のテンションを高めてメドレーを締め括った。
最後に「angela、携わったアニメの主題歌は死ぬまで歌う所存です!」とatsukoが宣言し、10周年を迎えた『K』のOPテーマ「KINGS」の披露へ。大事な1曲であるのと同時に、サビでの振付やステージ前方から後方へのウェーブなど声を出さなくても盛り上がれる要素も満載のこの曲で、前半戦を締め。楽しさとクオリティを両立させた、見事なステージを作り上げた。
後半戦は、まず『ウマ娘 プリティーダービー』による4年ぶりの“アニサマダービー”からスタート。スペシャルステージに実況担当の明坂聡美も登場し、緑に輝くペンライトがきらめくターフを生み出したところで、ファンファーレに続き12人のウマ娘が登場し、ゲームアプリのOP曲「GIRLS’ LEGEND U」でレーススタート。2サビ明けの間奏では、12人を代表して徳井青空(テイエムオペラオー役)がキャラクターとして「始めようじゃないか、最高のアニサマダービーを!」と意気込みを口にする。
そしてそれぞれの自己紹介を挟んでから歌い始められた1周年記念楽曲「We are DREAMERS!!」は、ハイテンポながらもどこかキュンと切ない青春感も兼ね備えたもので、こちらも“Sparkle”というテーマにもピッタリ。この曲では出走メンバーがステージいっぱいに広がって歌唱すると、「うまぴょい伝説」でレースもいよいよ終盤戦へ。イントロでは大きな大きな拍手が場内を包む。また、この曲でも中盤にそれぞれのセリフを一言ずつリレーする部分があり、遠野ひかる(マチカネタンホイザ役)の「えい、えい、むん!」など各キャラらしさを存分に発揮。大サビでは振付の流れから矢野妃菜喜(キタサンブラック役)と立花日菜(サトノダイヤモンド役)の視線が合う瞬間があったりと、“トレーナー”なら胸熱間違いなしの光景も随所に織り交ぜつつ、12人全員、見事ゴールインを果たした。
続いて、ソロで登場した石原夏織は、ベースの映えるキュートなナンバー「Cherish」から出番スタート。イントロではサウンドに合わせて表情を変化させたりと細部にまでこだわった表現をみせれば、今月同時リリースした2枚のシングルの楽曲を続けて披露。「夢想的クロニクル」では衣装のレースもなびかせつつ、ファルセットも用いた美しく切ない歌声で表現。早替えしてから歌唱した「Abracada-Boo」は、ダンサブルで夜好性感のある曲をダンサーとともにスタイリッシュにみせていく。凛としながらも挑発的な表情も時折覗かせドキリとさせて、視覚面でもハートを掴んでいった。
その石原同様、今度はソロでの出番を迎えた伊藤美来は、「青100色」のイントロとともにリフトアップでステージに登場。ボルテージの上がる曲が続いていた後半戦の中において、温かくキュンとするミドルポップは非常に良いアクセント。曲に呼応して青に染まった客席を前に歌声を響かせると、もう1曲披露したアップテンポなナンバー「all yours」ではキュートなパフォーマンスをみせつつ、曲中頻出のクラップ部分を用いて会場に一体感ももたらしてくれた。
そして「PHOENIX PRAYER」から出番をスタートさせた藍井エイルは、自身初となる“アニサマ”でのトロッコに乗りつつの歌唱もありながらも、パワフルな歌声を響かせながら場内を周回。大サビでスペシャルステージに到着してからは、四方八方へと鋭い歌声を響かせていく。さらにスペシャルステージでは、2曲続けてアコースティック編成での歌唱。初披露となる「HELLO HELLO HELLO」は、原曲よりも爽やかさや軽快さを増したアレンジに。サビで「HELLO」のフレーズごとに異なる方向へと笑顔を届け、高音部分もファルセットなども用いて優しくふわりと歌ってみせる。そして最新曲から一転、デビュー曲「MEMORIA」の歌唱へ。頭サビを大事にしっかりと歌い上げると、突き抜ける歌声という特性はそのままに、アコースティックならではの柔らかさを生かして観客の心にスッと着地するような歌声を響かせていった。
その雰囲気を「ANIMA」の頭サビを鋭く歌うことで、良い意味で一気に塗り替えたのがReoNa。その観客の歓喜の反応を感じてか、不敵な笑みも浮かべつつ、胸に迫る歌声で観客のボルテージをさらに上げると、「私に歌う理由を、生きる理由をくれた曲」と紹介し、神崎エルザ starring ReoNaとして発表した「Rea(s)oN」を弾き語りスタイルで歌唱。1コーラス目は丸々自身のギターのみで聴かせてからバンドが加わるという構図は、共に歩む人が増えたという彼女のこれまでの道のりとも重なるようにも感じられた。
そして最新曲「シャル・ウィ・ダンス?」では、MVに出演したRAB(リアルアキバボーイズ)を筆頭に大勢のダンサーを従えて、自身もステップを踏みながらの歌唱。2サビ明けの間奏ではMV同様にタップダンスも披露し、彼女のアーティストとしての可能性の広がりをさらに感じさせた。
それに続くZAQは、まずはハイスピードなロックナンバー「ASEED」で、間奏でのクラップやヘドバンなども含め再び熱く観客を焚きつける。2曲目となる「Dance In The Game」では、自らピアノを演奏しながら歌唱。
歌詞に込めた激しい感情を歌に演奏に乗せて、アコギとともに楽曲のもつダンサブルさをさらに引き出して、会場中のアニソンファンを再び踊らせてみせる。……と、幹葉の「エモーい!」のシャウトとともに、スピラ・スピカがメインステージに登場。寺西とますだがこじらせた中二病を治すため……という体で、『中二病でも恋がしたい!』OPテーマ「Sparkling Daydream」をコラボの形で披露する。実はZAQも、この10月で歌手デビュー10周年。そんなデビュー曲において、ZAQの歌声は声質そのままにパワーアップ。幹葉の瑞々しい歌声もこの曲によくマッチしており、異なる側面からの相性の良さを発揮する2人の歌声が、この曲の輝きをさらに増幅させていたようだった。
その爽やかな空気を、ハードなinterludeを挟み空気を切り替えてからライブを始めたのがGRANRODEO。オリエンタルかつ荒々しいロック「カミモホトケモ」は曲が進むにつれその荒々しさは増し、大サビでは前蹴りを織り交ぜたりとステージ上のKISHOW(vo)のボルテージもどんどん上がっていく。そのまま続けた「Treasure Pleasure」ではアニサマのホーン隊・FIRE HORNSをフィーチャー。お立ち台に立つKISHOWはシャウトも交えつつ、歌声を大会場へと叩きつける。また、楽曲中盤ではe-ZUKA(g)のソロプレイとFIRE HORNSとのバトルも交えられ、ステージは熱さを増すばかり。そんな場内の空気をもう一段高めたのが、「Can Do」。東京オリンピックでバスケットボールの会場となったさいたまスーパーアリーナでこの曲は、とんでもなくアツい。この日はFIRE HORNSも加わったスペシャルバージョンで披露し、リスナーにストレートにエールを届ける。青春まっしぐらな、そして間違いなく誰もがこの日聴きたかったであろう曲で、出番を締め括ってくれた。
そしてDAY2のトリを務めるFLOWが登場。まずは名曲「COLORS」で、天井だったはずの会場のボルテージをさらに引き上げる。その光景を前にしてか、KEIGO(vo)の煽りもいつも以上に力の入ったものに。また「DICE」ではKEIGOとKOHSHI(vo)の歌声の力強さはそのままに、ハモも交えて美しささえも感じるものに。この2曲はともに『コードギアス』関連曲。その始まりの曲と最新曲を続けて歌うことで、名曲を“懐メロ”として愛でるだけでなく進み続ける姿を示しているようにも感じられた。そんななかでのMCではKEIGOが、初めて出演した2013年の“アニサマ”の頃にバンドが周囲からの見られ方を気にしてモヤモヤを抱えていたことを告白し、そして“アニサマ”を通じて「ジャンルとか関係なくて、すごいもんはすごいんだなと教えてもらった」と続け感謝の想いを改めて述べ、トリの担当に幸せを感じていることも語っていた。
さて、ライブもいよいよラストスパート。まず「GO!!!」では恒例・お立ち台からの打点の高い開脚ジャンプやステージ端からのダッシュなど、歌声以外の面でもパワフルさを感じさせると、観客もウェーブでその渦の中に巻き込み、観客もジャンプしまくる楽しすぎる1曲に。そしてラストナンバーは、「GOLD」。尻上がりにパワー感を増す歌声を疾走感あるサウンドに叩きつけて駆け抜ける。ここでも『NARUTO -ナルト-』OPから『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』OPへとつなげたFLOW。それを“アニサマ”のラストナンバーで行なうことで、自身はもちろんシーンや“アニサマ”という最高のフェスを前進させ続けたい、という気概も込めたのかもしれない。
終盤にはDAY2出演アーティストがステージ上に勢揃いし、正真正銘アニサマ一体となってのジャンプ!同時に花火も炸裂して華々しくラストナンバーを飾ると、そのまま“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”のテーマソング「Sparkle」の歌唱へと移り、爽やかな空気のなかDAY2のステージが締め括っていく。歌唱後の降壇時には、3人でのラストステージを終えたスピラ・スピカが改めてワンショットにしっかり収まったり、DIALOGUE+は欠席メンバーのイメージカラー・ピンクと水色のリストバンドをつけてアピールしたりと、最後の最後までエモさも満載の1日だったように思う。
1つのフェスとして出番をリレーしていくのに加え、出演者ごとに見せたい・届けたいものが非常に明確に伝わってきたDAY2のステージ。果たして、この夏のお祭りの最終日には一体どんなとんでもないことが起きるのか。期待のハードルをいくら上げても、きっと心弾ける光景が待っているはず――そう自然と思える充実の1日を、この日の“アニサマ”は私たちにくれた。
TEXT BY 須永兼次
■“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”DAY1 ライブレポート・写真はこちら
■“Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-”DAY3 ライブレポート・写真はこちら
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