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INTERVIEW

2022.08.26

【インタビュー】angela、新曲リリース&約3年ぶりのツアー9月開催!二人は“何を”引っ提げて臨む?

【インタビュー】angela、新曲リリース&約3年ぶりのツアー9月開催!二人は“何を”引っ提げて臨む?

angelaが9月に約3年ぶりのツアーを開催するに先立ちオリジナルソング2曲を配信リリースした。それぞれがこのタイミングだからこそ生まれた背景を持っており、後に振り返ったときにこの時代を刻印する楽曲として仕上げられた。これらの楽曲が生まれた背景と、久々の公開有観客ライブに向けて今、溜め込んだ力を解き放とうとするangelaのライブの魅力をたっぷりと語ってもらった。

angelaがオリジナルソングを作るときのアーティスト衝動とは?

――この度、2ヵ月連続デジタルシングルをリリースされました。angelaはアニソンアーティストとして知られていますが、こうしたオリジナルソングを作られたきっかけを教えてください。

atsuko 5月21日にデビュー19周年を迎えたのですが、その日がちょうどファンクラブツアーの初日だったんです。そこでファンの皆様に新曲を届けたいなと思ったのが1枚目の「Alone」です。1年くらい前からアコースティックギターを始めていたので、せっかくだからギターで作ってみようと、KATSUさんと2人でアコギを持って2人でジャカジャカコードを鳴らしながら作っていきました。そしたら切なげな楽曲が完成したので、それに合わせて歌詞を書いたところ、失恋の曲ができ上がりました。デビュー記念日ですから「みんながいてくれたからこの日を迎えられたよ。ありがとうー!」みたいな楽曲にすればいいのに、そこであえてズラした曲を披露するのもまたangelaらしいかなと(笑)。

――挿入歌など、アニメのドラマ性と重ねて作った切ない曲はこれまでもありましたが、今回オリジナルソングとして作るのはいかがでしたか?

atsuko 正直、恋愛の曲を作るのは苦手なんです。でも、「苦手なことを避けて通ってはいけない」と思って、100回くらい書き直して、やっと出来ました。ただ、振り返ってみるとデビュー前に路上ライブをしていた頃は恋愛の曲ばかり歌っていたんですよね。そのときを思い出しながら作っていった感じはありますね。

KATSU アニソンだとテーマや趣旨といったものが明確にあるので、オリジナルで作ろうとすると何をやったらいいのかを改めて考え込んでしまいました。ただそこで、もし今からangelaが路上ライブをやるとしたらどういう感じの曲になるかを考えて、道行く人の足を止められるような音楽を今、再現してみたかったという思いもあります。来年でデビュー20周年になりますが、アニメという要素を外すと、angelaってやっぱりストリートミュージシャンなんだなと自分たちでも思いました。

――atsukoさんがアコースティックギターを始めたきっかけは?

atsuko コロナ禍がきっかけといえばきっかけですね。コロナ禍の間に高橋洋子さんや日髙のり子さん、milktubのbambooさんといった皆さんが本を書かれていて、その間私は何もしてこなかったなと思って。そこでいい加減動き出そうと、これまで何度も挫折してきたアコースティックギターに挑戦したというわけです。今回はもう意地でも続けようと、家と事務所に1本ずつ置いて必ず触るようにして、それで段々と簡単なコードを押さえられるようになりました。まだまだ全然上手くないんですけど、自分のスキルが少しでも上がったことに気づけたのが嬉しかったですね。別にソロ活動を始めようという気はまったくないのですが(笑)、自分のスキルが上がるということはangela自体のスキルが上がるということだと思うので、そういう意味で良かったなと思っています。

――そうして作られた楽曲ですが、収録はいかがでしたか?

KATSU 4月にatsukoさんが新型コロナに感染してしまって、治ったあともまだ少し喉に違和感がある状態だったのですが、それでもレコーディングを進めなくてはならないタイミングでした。そこで事務所のスタジオで仮に録ってみたところ、抑えながら歌うニュアンスがちょうどこの曲に合っていたんです。普段だったら張り上げて歌うところを、60~70%ぐらいの力で喉をかばうようにして歌うようすが、曲調と相まってとても雰囲気がありました。本人は辛かったかもしれないけれども、結果的にこの歌の特徴になったと思います。

atsuko コロナは早々に治ったものの、そのあと1ヵ月くらい喉が痛くて困っていたのですが、KATSUさんが「治ったらこの切ない感じが出せないから、すぐに録りたい」と言うんです。まったく酷い話です(笑)。でも私は普段、抑えて歌うのが苦手なので、これもまた偶然の巡り合わせということで、面白い経験でしたね。

KATSU スタジオに入るとどうしても気合いが入っちゃうんですよね。でも「Alone」にはその頑張っているニュアンスはいらなかったので、「辛くなったらいつでもやめよう」ぐらいのスタンスでレコーディングをしました。この先何年か経って音源を聴いたときに、「この歌い方ってどうしてこうなったんだっけ?」と笑い話として語られたら良いなと思います。

――続いて「アロハTraveling」制作の模様を聞かせてください。

atsuko これは9月のツアーに向けた楽曲です。今回のツアーのコンセプトが“旅”なので、それをテーマにした楽曲を作りたいというところから始めました。単純に楽しい楽曲であればこれまでも数多く作っているので、どうせなら「こんなのアリ?」みたいな曲にしようと考えました。そこで最初に思い浮かんだのが、ディズニーランドの、「イッツ・ア・スモールワールド」。ボートに乗って世界を巡るアトラクションなのですが、地域によって楽曲が様々な形にアレンジされたり、人形たちの衣装が変わることで、終わる頃には世界一周したような気持ちになれるアトラクションです。こういうふうに世界中の音楽のジャンルを採り入れたり、地域ごとの様々な楽器を使って曲を作ったら面白いのではという着想のもと、作り始めました。

――この楽曲は「10カ国14ジャンル+1惑星」と銘打たれていますが、最初はどのくらいの規模感だったんですか?

KATSU これはスタジオの帰りにツアーでみんなが手拍子で参加できるような曲を作ろうとフラッシュアイデアで思いついたので、最初から14ジャンルで作ろうと思っていたわけではありませんでした。まだ詰め込みたいアイデアはあったのですが、長すぎると聴いてもらえないかもと思い、できるだけコンパクトに世界観を伝えられるように絞っていきました。

atsuko カリビアンだったり、サンバだったり、お祭り感があるものから、サビを演歌調にしたりと、そういうところでも国が変わった感じが出せればと思いました。

KATSU Aメロで様々な国を表現し、そのあとに共通のサビが来るこの曲の展開のさせ方は「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」と同じなんですけど(笑)。これも最終的なイメージがあって作り進めていったわけではなく、作りながら進めていく形だったので、起承転結が上手くできるかどうかもわからずに最後まで進めていきました。

――今回angelaとして初めて作ったジャンルはありますか?

KATSU ヨーデルは今までありそうでなかったジャンルですね。「明日へのbrilliant road」でデビューしたときに、「ヨーデルみたいな歌い方をする新人が出てきた」みたいなことを書かれて、自分たちで「そうだったのか」と思いましたが(笑)。今回はスイスの民謡として、atsuko自身が意識して歌ったらどうなるのか。実際にはスイスなんて行ったことがないんですけど(笑)。

atsuko スイスに行ったことがないうえに、フレーズ自体が短いのでどうやって、その国「っぽい」を出すかと考えた結果、「アルプスの少女ハイジ」に行き着きました(笑)。

KATSU 今までangelaはずっと人が真似できない曲や歌を目標にしてきたのですが、今回は楽器やフレーズをちょっと聴いたら「あの国、あのジャンルだね」とすぐにわかることを目指したので、意識としては真反対でしたね。あと、後半のほうのサビで出てくる「1惑星」の部分は、あっちゃん星(angelaの事務所の後輩・アイドルあっちゃんの故郷)なのですが、angelaファンの間では皆の中にアイドルあっちゃん像があって、そこに音だけで連れて行けるのがやっぱり音楽のすごいところだなと思います。

atsuko ここは最初、普通に歌っていたのですが、レコーディング終わって帰ってから、KATSUさんが「やっぱりここはあっちゃん星で、あっちゃんで歌おう」と提案してきて、後日このためだけに録り直しました。ディレクションとしては「上手く歌うな」って(笑)。

――抑えて歌うとか、上手く歌わないとか、今回は一味違った収録になりましたね。これはもちろんツアーで披露されるわけですが、ライブでの聴かせどころは?

atsuko 今回ツアーではまだ観客の皆さんは声が出せないので、グッズでカスタネットを作って、「アロハTraveling」のなかでもカスタネットを使ってリズムを取っていただければと思っています。各曲ごとにリズムが変わっているのですが、KATSUさんが練習用の動画を撮ったので、それを見て練習してライブに臨んでいただければと思います。

――このカスタネットのリズムを取るのは難しいんですか?

KATSU めちゃくちゃ簡単です。ジャンルごとにそれを象徴するリズムというものがあって、手拍子1つで表現できるんです。例えばフラメンコであれば、あのタタタタンというリズムがありますし、演歌でリズムを取るときの揉み手だって立派なノリの形です。沖縄音楽のカチャーシーは踊りながら叩くと楽しいですし、ジャズではフィンガースナップを弾くといった形で、世界の音楽のリズムを体感してほしいですね。やってみると意外と簡単だったので、曲を知ってないとキマらないように難度をちょっと上げています。そこも含めてライブでみんなと楽しめたらと思っています。

次ページ:atsukoが見つけた、angelaが目指す背中は「あの大御所」

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