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2022.08.15

【ライブレポート】May’n、約3年ぶりのツアー“May’n Concert Tour 2022「Laugh&Peace」”追加公演で見せた笑顔と涙、そして新たな決意――。

【ライブレポート】May’n、約3年ぶりのツアー“May’n Concert Tour 2022「Laugh&Peace」”追加公演で見せた笑顔と涙、そして新たな決意――。

千葉、福岡、仙台、札幌、金沢、名古屋、新潟、高崎、高松、広島、神戸、浜松。4月23日にスタートして6月12日にゴールしたMay’nのコンサートツアー“May’n Concert Tour 2022「Laugh&Peace」”、その追加公演が7月30日に大阪で、そして8月6日には2023年7月2日で閉館が決まっている中野サンプラザで行われた。ツアー中、何度もMay’nが語っていたように、今回のツアーは2019年に行ったアジアツアー“May’n ASIA TOUR 2019 「KICK IT UP!!」”以来3年ぶりに日本各地を巡るツアーで、それだけに正真正銘のファイナルとなった東京公演は、May’nの胸に万感の思い迫るのが見て取れる一夜となった。

絶やさぬ笑顔、その先に未来が待っていると信じて

暗転した会場に流れるSE。まだ無人のステージ。フロアには、May’nほかツアーメンバーが思い思いに叫んだり唱えたりする「Laugh&Peace」の言葉がBGMとして宙にこだまする。やがてバンドメンバー、ダンサーがステージにそろい、ロックなインストを響かせるとスピーカーから流れる言葉もツアーで巡った各地の都市名に変化する。前述したように、今回の“Laugh&Peace”はMay’nにとって3年ぶりとなる全国ツアーであるが、2020年にもアコースティックツアー“May’n Acoustic Tour 2020 「Hang jam vol.4」”がツアー途中でコロナ禍によって中止の憂き目にも遭っており、自分が出向くこともファンが上京することも叶わず、地方のファンに会う機会を奪われた3年だった。また、ツアー中に感染拡大の第7波が到来してしまったことで、一層、ファンと共に一公演一公演の重みをかみしめるツアーだったことは想像に難くない。

“Laugh&Peace”のツアータイトルに関しても、新曲「あはっててっぺんっ」と共通する、笑顔で幸せを掴み取る、という思いが表れているが、ライブができる喜び、各地を回れる喜びに満ちたオープニングだった。最後に「Laugh&Peace!東京!」と宣誓の声が鳴り響くとついに1曲目に突入、ハードロックな「ViViD」ながらMay’nは笑顔で拳を突き上げ、会場を引っ張っていく。続く楽曲も、May’nが作詞曲した笑顔ソング「Smile:D」。May’nの両側を固めるのは、“May’nダンサーズ”こと、元気なオトコノコ的なオーバーアクションで弾けるTORA、静と動をアクティブに表現していくワイルドなMITSU。そんな2人と並んでMay’nも軽快なステップで曲を届ければ、会場も3人と一緒になって4つ打ちに合わせて体を弾ませ、最後には全員が両手のVサインと笑顔でのLaugh&Peaceポーズをキメた。そして骨太なイントロから激しくも楽しくタオルを振り回す、デジタルロックな面とパーティチューンの二面性を持つ「DOLCE」へ。

3曲を歌い終えるとMay’nは「汗が止まらん」の言葉から一休みのMCタイム。全国ツアーへの感謝や、生中継配信の視聴者への挨拶、そしてダンサーやバンドメンバー[だっち(b)、はやちゃん(ds)、しんちゃん(g)]を紹介し終えてから「楽しく夏を過ごしていきたいと思います」の掛け声を前振りに「ギラギラサマー(^ω^)ノ」へ。今回の追加公演に合わせ、最高の夏ソングを久々に用意してくれていた。多用されるファルセットが夏の爽やかさを思わせる。間奏では「夏らしく!」、フロアとともにウェーブを実行。最後には、両手を上で大きくワイパーしながらジャンプ、拳を斜め右上・右下へと突き出す振付のあと、May’nは満面の笑みで敬礼ポーズ。ファンも一緒にパラダイス感溢れるフィニッシュを決め、夏の思い出が生まれた瞬間だった。続けては「ヤマイダレdarlin’」。すまし顔から笑顔まで表現力豊かな百面相を皆に味わわせると、ライブでのお披露目は今回のツアーが初という曲の1つ「B.H.U.」に。手羽先や英傑行列といった名古屋に関連するワードを盛り込み、全編名古屋弁で歌われるほか、“BUCHO Hands Up!!”(May’nのライブは“ライ部”と称され、自身を部長と位置付けている)というダジャレを盛り込むなどコミカルさを前面に出しているが、楽曲はクールで瀟洒なデジタルヒップホップ。ラストは、名古屋駅前にある6m10cmの巨大マネキン「ナナちゃん人形」のポーズ!静寂のなか、会場の全員が体の横で両手のひらを地面に向けて仁王立ち、という異様な光景にMay’nも思わず「ふわーっ♪」と変な声を出してしまう。そのあとのMCでMay’nは、ナナちゃん人形への愛を熱弁。名古屋におけるハチ公的スポットであり、生まれたときには駅前のシンボルとしてそびえたつナナちゃん人形が、上京してみたら知名度皆無という事実に直面したことから、今回のツアーではナナちゃん侵略化計画を進めてきたことを説明する。不思議な声は期待以上の成果に対する感嘆だったようだ。

MCでは春からのツアーについての振り返り、公演を重ねるたびに「自然と振りを覚えて」いくファンに対して、「音楽を楽しんでくれてる」ことを実感できたと話すMay’n。今夏、復活した“青森ねぶた祭”への参戦が叶わずに悔しい思いをしたことなど、ファンに近況を報告したあとで楽曲パフォーマンスに戻る。歌うのは「Real Lies」。向井太一と作り上げたこの曲は、コロナ禍の3年間で誕生した楽曲群の中でも象徴となる1曲。R&B風楽曲の中、ストーリーを感じさせるダンサーとのフォーメーションで聴覚・視覚を堪能させると、続いての「オレンジ」でもゆったりとした時間が構築され、アーミングとともに奏でられるギターソロが心に響かせる。そして、「ダイアモンド クレバス」へ。誰もが愛してやまないサビでは彼女の歌声、表情、仕草で観客を惹きつけていく。ここまで笑顔で歌ってきたMay’nが、等身大で大人な一面を伝える瞬間――。その流れを受けて「Follow Your Fantasy」に入っていく。まだ出会ったばかりの新曲は、May’nにとっても歌うたびに新鮮な驚きをもたらしてくれるという。ツアー中にファンの前で歌うことで常に感じてきた、今日は「こんな歌い方になったわ」という感覚を最も得られた1曲だったようだ。ある公演では「魂が出て皆に持って帰ってもらう」気持ちにもなったと、ジャケットを脱いで登場した次のMCでも語っていたが、この日も歌いながら気持ちが盛り上がって「腕が勝手に持ち上がる」瞬間があったと話してくれた。

次ページ:コロナとの苦闘の日々を思わせる、こぼれる本心

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