2幕目となりステージ上は南條の部屋からライブステージへ。ギター、ベース、キーボード、パーカッションが置かれたシンプルな構成で、メンバーが「飛ぶサカナ」のイントロを鳴らすと、1幕目とは打って変わってカラフルな衣装に身を包んだ南條がステージ登場。アコースティックながら八木のパーカッションのビートと佐々木のピアノが引っ張る骨太なサウンドに南條のボーカルが心地良く響く。思えば、コロナ以前のライブもアコースティックツアーとバースデーアコースティックライブだったし、コロナ禍のなかでリリースされたアルバムも『Acoustic for you.』だったことを考えると、久々の単独ライブがアコースティックというのも何か縁が繋がっているものを感じる。いては星野のアコースティックギターの硬質なストロークも心地良い「黄昏のスタアライト」へ。改めて、アコースティカルなサウンドのなかでもこの曲の南條のエモーショナルな歌唱は素晴らしいの一言。アッパーな楽曲ながら音にゆったり酔いしれる、アットホームなセットのならではの至福の時間が過ぎていく。
最初のMCでは「なんか、急に私の誕生日に集まってくれているみたいでどうもありがとう」と会場に詰めかけた(テイの)観客に礼を言う南條。改めて「かいちょーこと南條愛乃です!」と自己紹介しつつ、久々のFCイベントに感慨もひとしおという様子だった。「ご時世がご時世なので(開催が)どうなるかなってドキドキだったんですけど、感染対策を気をつけて来てくださったり応援してくださったり、今年もこうやって38歳の誕生日をみんなと迎えることができて嬉しいし、幸せだと思います。ありがとうございます!」と改めてごきんじょのみんなに礼を述べた。
そして続いてのブロックは、ごきんじょるので事前に募っていた「好きな曲はなんですか?」というアンケートから、上位2曲を披露。まずはステージの左右に移動しながらキュートな振付も見せる「idc」、爽やかなムードがアコースティックによく合う「Simple feelings」と続けて心地良いボーカルを聴かせた。南條がハイチェアーに腰をかけると、「今回みんなと会ってこうやってFCイベントやるのも久々だし、会える機会もなかったので、久々にこの曲をやりたいと思いました」と語ったあと、今回のイベントのグッズの1つであるプレートライトを持ち出す。「みんな好きな色で」と告げて始まったのは「繋がりの歌」だ。キタムラがベースをアップライトに持ち替えて柔らかなサウンドが奏でられるなか、“元気にしていたかい? 久しぶりだね 少し変わったかな?”と歌い出す。のちのMCでも語られていたが、この曲が収録されたのはアルバム『LIVE A LIFE』がリリースされたコロナ禍前の2019年。しかしこの曲で語られているのはまるで、南條がこの2年間を経て再会を果たしたごきんじょのみんなに向けたもののようで、それを含んだような南條の歌声がまた沁みるし、そんな南條のメッセージを受け取ったファンたちの、それこそ様々な想いを彼女に伝えるかのようなカラフルなペンライトを灯す光景は感動的なものだった。そのまま披露された「and I」また同様に、南條のファンへの想いが溢れたかのような優しい歌声が佐々木のピアノとともに響きわたる、あまりに美しいシーンが展開される。この2曲はまさにこの日のハイライトの1つであろう。
最後には「アコースティックライブでまだやっていない曲をやろうと思います」と言って、昨年リリースされた「EVOLUTiON:」へ。オリジナルのアッパーなサウンドに対して、低音を効かせたリズム隊とエレガントなピアノとアコギが印象的なアレンジに、凛々しいボーカルの南條が実にかっこいい仕上がりだ。新たな楽曲の新たなアレンジという、まさにタイトル通りの進化を最後に見せて、ライブセットは万雷の拍手のなか幕を閉じた。
そのあとはごきんじょの皆さんからの誕生日を祝う写真を含むエンドロール with 南條のコメンタリーを経て、今回のイベントTシャツをリメイクした衣装に身を包んだ南條が再び登場し、観客にサイン入りポスターなどをプレゼントする”ごきんじょるの大抽選会”へ。最後には「本当に今日はみんな、暑いなか来てくれて本当にありがとうございます! 私も久々のこういったイベントで、どういった空気感になるんだろう?とドキドキしていたんですけど、声は出せずとも皆さんのおかげで楽しい時間を過ごせました」と会場の隅々まで手を振って感謝を表した。そして、「また皆さんとお会いできる機会がいっぱいありそうなので、それを楽しみにしています。またお会いしましょう、気をつけて帰ってね。またね!」と再会を約束してステージを去っていった。
2022年に入って、待望のごきんじょとの再会を果たした南條愛乃。止まっていた時が動き出したかのように、このあと7月31日には京都にて初のオーケストラコンサート“Ani Love KYOTO presents 南條愛乃オーケストラコンサート『花奏歌~Kanade Uta~』”が、そして9月からは久々のツアーとなる“南條愛乃 Live Tour 2022 ~A Tiny Winter Story~ supported by animelo mix”が続く。そして、12月12日にはソロデビュー作『カタルモア』から10年を数えることとなる。ソロデビュー10周年というアニバーサリーも含めて、また新しいステージが幕を開けた彼女と、そしてファンそれぞれの様々な想いが詰まった一夜だった。
なお、この日の模様はアフタートークも加えたディレイ配信が7月30日よりFC会員向けに配信される。会場に来られなかったごきんじょの皆さんも含めてぜひチェックしよう。
PHOTOGRAPHY BY 東 美樹
TEXT BY 澄川龍一
南條愛乃 オフィシャルサイト
https://nbcuni-music.com/yoshino_nanjo/
南條愛乃 Twitter
https://twitter.com/nanjolno
南條愛乃 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCFJORT2GGeNsKKLCf3BqSEQ
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