――カップリング曲の「Firewood」についても教えてもらえますか?
栗林 この曲をいただいたとき、すごく幅広いシングルになりそうだと感じました。「WITH」とは全然違うことができると思ったので。だから、どういう感じで歌を録るかディレクターと話したんですけど、私がすごくイメージしたのは「WITH」が100の力で歌うとしたら、「Firewood」は50か60ぐらいの力くらいでやる、ということで。なので、そこからスタートしてサラッと歌ったあと、「1番はもうちょっと棒読みみたいにしましょうか」という感じで、少しずつ仕上げていきましたね。
――伊根さんにお願いすることになった経緯は?
栗林 ディレクターさんから、ボカロPの方はどうかという提案があったんですよ。私もボカロPの方たちにはすごく興味があったんですけど今まで関わることはなくて。今回はいい機会だと思ったので、ぜひお願いしますとお返事しました。そのあと、候補の方のリストをいただいて、私が作品を聴いて感想を返して、最終的に伊根さんに決まりました。
――栗林さんが伊根さんをいいと思ったところは?
栗林 どの曲もすごく個性があったんですよね。自分だけの世界観というか。伊根さんの曲を聴いたとき、スタッフさんと「すごくいい曲だよね」ってやりとりはありましたね。
――「Firewood」が届いたときの印象は覚えていますか?
栗林 リズムがすごく面白くて、早く頭の中に入れたいと思いました。で、練習したんですけど、自然に歌えるようになるんですよ。そこがすごいと思いました。聴いたときは頭の中で瞬間的に譜面にはできない、だけど心地いいんですよ。作りは複雑なのに、というところがすごいですよね。なので、自分が今回やりたかったところも、あくまでも自然に歌うんだけどすごい曲、みたいなところで。それがすごく面白かったです。
――どのあたりで一番面白さを感じましたか?
栗林 やっぱり前半ですね。今までは声を出さずに表現するということをあまりやってこなかったので、ヘッドホンからも聴いたことのない自分の声が聴こえてくるんですよ。それが新しかったというか。そういう意味では私はシンガーっぽくないのかもしれないですけど。
――いやいや(笑)。確かにこれまでは、OP主題歌アーティストの王道といった楽曲をオファーされることが多く、力を抜いた歌を盤に収める機会は少なかったかもしれないですね。ジャズテイストというか。
栗林 あ、そうですね。それは確かに。
――ちなみにレコーディングの日の体調は?
栗林 完璧でした(笑)。
――では、「Firewood」はどういうイメージで歌われましたか?
栗林 伊根さんは『魔王さま』を1期から全話見てくださったらしいんですよ。なので、私の頭の中にも『魔王さま』のキャラクターたちがいました。皆が火を囲んでいるような光景が浮かんでいましたね。
――EDアニメーション的な。でも、伊根さんには『魔王さま!!』をイメージした曲をお願いしたわけではないですよね。
栗林 ないですね。なのであくまで私の中で、勝手にそういう曲にしていました。
――特に好きな個所はありますか?
栗林 Bメロかな。Bメロは1番も2番もすごく素敵なメロディーと歌詞の重なりだと思いました。
――伊根さんはまだ若い方だと思いますが、歌詞の言葉選びなどの感覚は違うと感じますか?
栗林 全然違うと思いました。これくらい年が離れた人の歌を歌うのは初めてだと思います。あと、男の人が書いた歌詞(を歌ったこと)もないかも……。そうですね。初めてだ。今気づきました。
――「いい機会」とさきほど仰いましたが、いい経験になりましたね。
栗林 そうですね。全てが新しかったですね。
――シングル全体として、価値ある1枚になりましたね。
栗林 そうですね。自分の代表曲の一つといえる「ZERO!!」に対して、もう一度アプローチできたことも、いろいろな意味で記念になりましたし、すごくありがたい気持ちですね。しかも、これは40枚目のシングルになるので。
――40枚目ということを意識しながらの制作期間だったんですか?
栗林 頭の中には常にありました。だからやれることをやっておきたいと思っていました。なのに風邪を引くという(笑)。でも、ずっと続けているといつも体調がいいわけではないので、その中で何ができるかというところではあるんですけど。ベストを尽くしたとは思います。
――40枚目を意識することで何か変化はありましたか?
栗林 自分の中での感慨深さだけですね。でも、数字の右側が「0」(ゼロ)になることって頻繁にあることではないので。そこに対する感謝の気持ちは常にありました。誰もができることではないという思いがすごく強くて、20年活動したとしてもシングルの数がそこに至るかというと難しいことですよね。そこがめちゃくちゃ感謝の部分ですね。
――B’zだって20年で45枚ですからね。
栗林 (笑)。そうなんですね。
――では、いつも感謝の気持ちを口にされているのであえては聞かなかったですが、コロナ禍もありましたし、もしもファンに何か気持ちを伝えるとすれば?
栗林 やっぱり、ファンの方と曲を通してつながっていくということが、自分の人生の中で一番中心に置いていることなので。そういう時間をこれからも過ごしていけたら、ということはすごく感じています。そのために、いろいろなことを一つ一つ大切に頑張っていきたいとあらためて思っています。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
●リリース情報
TVアニメ『はたらく魔王さま!!』OPテーマ
栗林みな実 40thシングル
「WITH」
7月20日発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:LACM-34279
価格:¥2,200+税
【通常盤(CD)】
品番:LACM-24279
価格:¥1,200+税
<CD>
01. WITH
作詞:栗林みな実 作曲・編曲:中土智博
02. Firewood
作詞・作曲・編曲:伊根
03. WITH (OFF VOCAL)
04. Firewood (OFF VOCAL)
<BD>
1.WITH (MUSIC CLIP)
2.Making of WITH
●作品情報
TVアニメ『はたらく魔王さま!!』
放送中
【CAST】
魔王サタン/真奥貞夫:逢坂良太
勇者エミリア/遊佐恵美:日笠陽子
佐々木千穂:東山奈央
悪魔大元帥アルシエル/芦屋四郎:小野友樹
悪魔大元帥ルシフェル/漆原半蔵:下野紘
クレスティア・ベル/鎌月鈴乃:伊藤かな恵
アラス・ラムス:木野日菜
<栗林みな実 プロフィール>
2001年に発売されたPCゲーム『君が望む永遠』OP主題歌「Rumbling hearts」でデビュー。 のちに、 TVアニメ『君が望む永遠』OP主題歌「Precious Memories」でアニソンシンガーとしての歴史がスタート。 これをきっかけとして数々のTVアニメ・ゲーム主題歌を続々と担当し、 海外でのライブなどにも精力的に活動。 多くの作品で作詞・作曲を担当し、 作家としてもその才能を発揮している。 2021年には歌手デビュー20周年、 2023年にはアニソンシンガーとして20周年を迎え今後もまだまだアニソン界の女神として進化し続けていく。
(C)2021 和ヶ原聡司/KADOKAWA/MAOUSAMA Project
栗林みな実Lantis公式ページ
https://www.lantis.jp/artist/kuribayashiminami/
栗林みな実オフィシャルサイト
http://kuribayashi-minami.jp
TVアニメ『はたらく魔王さま!!』公式サイト
https://maousama.jp/
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