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INTERVIEW

2022.07.21

【連載】テクノロイド 徹底解剖! ~MUSIC LABO~ 第5回目:KNoCC(浦 和希、渋谷 慧、峯田 大夢、kayto) 撮りおろしロングインタビュー

【連載】テクノロイド 徹底解剖! ~MUSIC LABO~ 第5回目:KNoCC(浦 和希、渋谷 慧、峯田 大夢、kayto) 撮りおろしロングインタビュー

「テクノロイド」の音楽の魅力とは

――この「テクノロイド」の原案、そして音楽の総監督でもある上松範康さん。そんな上松さんとElements Gardenの音楽についてはご存知でしたか?

峯田 僕は知っていました。

 僕は音楽にあまり詳しいほうではないのですが、それでも上松さんのことは別作品で存じ上げていたので、「すごい方だ」という気持ちでお会いしました。実際、自分たち……KNoCCに対して曲を提供していただいたことで、歌唱するうえでそのすごさをより肌で感じました。

渋谷 僕は、高校生のときに『うたプリ」や『神姫絶唱シンフォギア』がとても流行っていたこともあって、そこでどっぷりElements Gardenさんの音楽に触れていましたから、お会いしたときには「この人が神か」という想いがありました。

kayto 「神」!なるほど!

渋谷 それも相まってこういうコンテンツに関わって、まさか自分がElements Gardenさんのコンテンツに関われると思っていなかったので、とても光栄だし、頑張りたいという想いがありました。

峯田 上松さんとお会いしたときに、みんなで自己紹介をしていったんです。僕が趣味のところでアクションや殺陣をやることをお話したときに、とても興味を持ってくださったのが印象的で、どうやら上松さんはアクション映画や特撮もお好きだということで親近感が湧きました。

 たしかに僕らからすれば殿上人くらいの印象だったから、共通点を見つけると嬉しいよね。

kayto 僕は事務所(株式会社S/Elements Gardenが所属するアリア・エンターテインメントのグループ会社)に入ってから、音楽を含めてElements Gardenに触れていくなかで「この人は本当にすごい人なんだ」ということを実感してきたんです。それまではアニメやゲームについての知識がそれほど深いところまではなかったですし、人間の部分から知っていった感覚なので、どこかでお父さんのような感覚が強かったのですが、作品に触れていくなかで圧倒的なものを感じるようになって。やっと自分が、その人が手がけている作品の中に参加できていることが堪らなく嬉しいです。感謝の想いがありますし、幸せです。

――ではこのコンテンツの生みの親であるRUCCAさんについてはどんな印象をお持ちですか?

kayto 本当に良い人!

 わかる!

峯田 本当にそう。

 ちょこちょこ、ご飯に行ったりするんです。一緒に。

渋谷 僕たち+RUCCAさんとかね。

 それこそ上松さんは「大先生」という立ち位置で見ているところがあるのですが、RUCCAさんは原作の方として、アンドロイドたちに対してお話をしてくださる機会も多いので、ご一緒することも多くて。親近感がすごくある方です。もちろん上松さんと同じように尊敬していますし、偉大な方ですが、僕らにすごく寄り添ってくださるのを感じ取れて、僕らも嬉しくなる存在です。

渋谷 まず優しい。物腰も柔らかですし、KNoCCとしての4人を見守ってくださるんです。KNoCCって、『テクノロイド』の中でも新世代ユニットみたいな立ち位置でやっていってほしいと言われているのですが、だからこそ親のような目線で見守ってくださっているんだなと感じます。RUCCAさんが描く歌詞でも、それぞれのキャラクターのことを理解した内容になっていますし、楽曲のこともすごく考えて作ってくださっているので、僕たちもそんなRUCCAさんの描くKNoCCの深いところまで大事にしながら表現して、応えていきたいと思っています。

峯田 本業が作詞家さんなので、みんなが考えつかないような言葉選びだったり、耳で聴いて心地良い感じはもちろん、実際に文字で見たときの表記での言葉遊びもたくさんあって、そういう部分での発見があるたびに「RUCCAさんの頭の中は一体どうなっているんだろう」って思います。ご本人にも実際に聞いたこともあるほどです、「どんなことを考えながら言葉を出していくんですか?」って。そうしたら「なんか、出てきちゃいます」っておっしゃるんです。「とりあえずお酒を飲んだら出てきます」って(笑)。本当に気さくに僕らとお話をしてくださる方です。

kayto 話していて感じるのは、どこまでも嘘のない人。こちらに投げかけてくれる言葉の1つ1つに含みがないんです。あれだけ歌詞に色々な含みを持たせているのに!

 たしかかに、複雑に作り込まれているのに!

kayto それなのに僕らに掛けてくれる言葉はすごく真っ直ぐで。そういう面では不思議な人だな、という印象も同時に持っています。

――こうして生まれたKNoCCの音楽。キャラクターで歌う際に最も意識していることを教えてください。

 最初に楽曲をいただいて、家やカラオケで練習しているときには、それこそコバルト全開で。コバルトらしさをひたすら求めていたんですけど、実際に4人の歌声で合わせていったときに4人のバランスが大切だということをディレクションでいただいたんです。例えば、コバルトがコバルトらしさ全開でやれば良い歌になるのかと言うとそうではなくて。KNoCCの一員のコバルトとして歌うのが正解なんですね。だから「コバルトならきっとこの曲ではこういうふうに歌うな」ということをひたすら考えています。コバルト全開の歌から一段階、二段階、と表現の熱量を下げながら、ほかのメンバーの声を想像して歌うようにしています。そうやって僕が提案していく歌声の中で、ディレクターさんが親和性の高いものを選ばれることが多くて。それは4人でやっているからこそ。ソロではないところが如実に出ていて、楽しいなぁって思います。

――シナリオを開いていきながら楽曲が解放されていく『テクノロイド』なので、『kokoro』が成長した過程での歌なのかとも感じますが、その辺りについてのディレクションはあるのでしょうか。

 実際にあります。みんなもそうだと思いますが、楽曲もストーリーに合わせてレコーディングをしていくんですね。この曲があるからこそ次の曲がある、といった繋がりも含めて、最初に手配をしてくださっていて。「この話の流れの中の曲なので、こういう感情を乗せてください」といったディレクションをいただきます。でも曲自体のメッセージ性も強いので、それに沿って身を委ねていると自然と出てくる歌声でもあるので、楽曲にすごく助けられています。

――クロム、ケイ、ネオンはいかがですか?

渋谷 クロム自身は、彼の気質的に楽譜に書かれているものに忠実だと思うんです。楽譜に書かれている音程に一致する音を出すことを意識するキャラクターだと思っているので、最初は音符位置に合わせて歌うことが第一だったんですけど、ストーリーが進むにつれてkokoroが発達していく、となったときに音符通りなだけではないんだって知っていくと思うんです。楽譜を追うだけでは『kokoro』は伝えきれない、という面が絶対に出てくる。「KNOCKIN’ON×LOCKIN’ON」が最初だったと思いますが、それはまず『kokoro』が発達していない状態だったので、彼の歌い方としてもピッチ感やリズムを意識して歌ったのですが、どんどんストーリーや楽曲が進むにつれてピッチだけじゃない表現を増やすようにしています。ただ最初のストーリーだと、ライブで負けちゃうんですよね。負けも積み重ねていくなかでの表現も考えました。あとはクロムとしてはほかのキャラクターの声を邪魔するような歌い方はしないんじゃないかなと思いまして。溶け込むような、支えるような歌声を念頭に置いて歌っています。

峯田 全般的に意識していたことは、コバルトとは別の形で先陣を切っていく勢いと圧ですね。みんなが言っている通り、ストーリーが進んでいくと『kokoro』が成長して曲ごとに込める感情も変わっていくので、その感情に合わせた表現の仕方で歌っていくのですが、終盤になるにつれて『kokoro』が育ってきて、人間らしさが出てくるんです。「人間らしさ」を意識して、完璧すぎないピッチ感だけどそこにちゃんと辿り着くような人間らしいちょっとした「揺らぎ」みたいなところは意識してきたことかなと思います。

kayto ネオンの歌声は結構苦戦しました。アーティスト気質な人って、勝手なイメージではあるんですが喋り声と歌が違っていて……歌うときには“歌声”になると思っているんです。それならどう作っていこうか、と考えていったのですが、そこにkokoroの成長もリンクしていって、成長するなかでKNoCCの4人の中での彼の立ち位置もきっと独特なところにあるんだろうと思ったんです。向いている方向は3人と一緒なんですけど、立っている位置が1人だけ個性的な位置にいるようなイメージで作っていったり、曲によってはガチっと1つになるようにしたり、歌声での遊びもアーティスティックに作っていけたらいいなと思って。そして曲のストーリーや『kokoro』の成長があって、また3人の歌声がこう混ざってくるんだろうと想像しながら歌いました。大体僕はレコーディングがトップバッターでみんなの歌声がない状態から作っていくので、「それならここにいよう」みたいな想いで立ち位置を決めて歌っていました。そうやってネオンの歌を録っていった気がします。

――だとするとKNoCCの曲は、ネオンの歌声が指針を作っているんですね。

 そうですね。それは間違いないと思います。

――そのお話を伺ったうえで楽曲を聴くと、聴き方も変わりそうです。ここまで歌ってこられた楽曲の中で、会心の歌唱ができた、苦戦したなど、特に思い入れの強いご自身の中でのベストチューンをレコメンドしてください。

kayto 僕、個人として一番好きな曲は「IDempty」です。全員が同じ道ではなく、それぞれのパートを1つになって突き進む感じがすごくKNoCCっぽいなと思っていて。パートとしてはメイン寄りの部分をネオンが歌っているということもめちゃくちゃプレッシャーもありました。「僕がしっかりやらなきゃ!」というところで録り始めたんですが、完成したときにこの4人だからこそこの迫力とこのエネルギーになったと思えたので、すごく好きです。でも、ネオンとしては最新イベント曲の「エクサペタサマー」ですね。仲の良さや表情が一番出ている楽曲だなと。KNoCCの僕ら自身が仲良くなっているからこそ「こういう表情で録っているんだろうな」というのが見える気がしたんです。レコーディング時のキャッチボールもあったんだろうなというイメージもできて……すみません!2曲出しちゃいました!

峯田 僕も「IDempty」は結構思い入れがあるんです。ゲームの中でも最初のほうに実装された曲でもあるし、なんだったら歌うのが一番難しいんじゃないかってくらいの曲ですし……最初のほうに収録した曲だからこそ苦労した思い出もあります。みんながそれぞれの道をいっているので、その歌声が合わさったときの衝撃も大きくて。僕も完成版を聴いたときには「うぉー!」となりましたね。四声、4人別々のパートを歌うのか!と驚きましたし、そういった曲を歌ったことがなかったので。今後「IDempty」を歌う機会があれば、それぞれのタイミングによって「IDempty」の色って変わってくるんだろうなって思うと楽しみな気持ちも含めて、この曲を推したいと思います。

――Elements Gardenさんの作品はライブがありますしね。

峯田 でもあの曲はすごく難しい!誰かにつられないようにしなきゃいけないですから。

 しかも大部分が4線だしね。

kayto それにキーも高い。クロムに関しては一番高いところから一番低いところまである。

渋谷 頑張らないと出ないところですよね。

――楽しみですね。では渋谷さんはいかがですか?

渋谷 「IDempty」についてはすべてを言ってくれたので、僕は「KNOCKIN’ON×LOCKIN’ON」をあげたいです。この曲はオーディションのときに歌った曲で、始まりの曲でもあるのでずっと聴いていましたし、音楽が流れてくると気持ちもノってくるんですよね。「ここから始まったんだな」っていう想いがすごくあるので。サビに入る前のタメの部分が長い曲なんですが、そのタメのところで「逃さない」ってセリフがあってサビへと突入していくんです。あそこがすごくかっこ良くて好きです。歌うときにも「ここ!ここ!」ってテンションがアガりますね。

峯田 出だしもしっかりキメたいよね。

 「We are KNoCC!」ってね。

渋谷 コンテンツを象徴するような曲ですし、歌うのも楽しいし聴くのも楽しい曲です。

――浦さんはいかがでしょうか。

 僕も「KNOCKIN’ON×LOCKIN’ON」です。僕達にとって特別な曲なんですよね。オーディションでも歌わせてもらった曲ですし、僕は歌う経験がそれまでほとんどなかったこともあって思い入れが強いくて。いわゆる歌モノコンテンツをあまりやってこなかったので、これまでオーディションで歌を録ることもほぼなかったんです。だからまずは自分がスタジオに行って、どうすればいいのかを悩んだ記憶もすごくあって。正直、付け焼き刃で歌が上手くなるわけでもないしテクニックがあがるわけでもないから、ひたすら楽曲を覚えていこうと思ったんです。覚えることこそが僕なりの誠意の見せ方だなと思いましたから。実際にスタジオオーディションでこの曲を歌うときに「自分のパート以外も歌っていいですよ」と言われて、全部を覚えていたので「よっしゃ!きた!気持ちだけでも見せよう!」と思いましたね。歌の出来については正直合格点ではないだろうという気持ちはあるのんですが、良い曲ですし、歌詞もすっと入ってくる感覚があったので、歌っていてすごく楽しかったんです。そして実際にオーディションに受かって、自分が歌わせてもらうことになったときには今までにない嬉しさがありました。努力したぶんだけ報われた経験になって。それもあって「KNOCKIN’ON×LOCKIN’ON」は自分の中でも一生離れないだろうなっていうくらいに大好きな曲です。

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