INTERVIEW
2022.07.21
2020年12月に1stアルバム『爆誕 -BAKUTAN-』でメジャーデビュー。翌年5月に1stシングル「三大欲求」、12月に2ndアルバム『TRINITY』を発表、今年3月には東京・SHIBUYA CLUB QUATTROでメジャー入り初のワンマンライブを行うなど、怒涛の勢いで活動を続けている3ピースロックバンド・Non Stop Rabbitから、2ndシングル「無自覚の天才」が届けられた。
表題曲「無自覚の天才」、は TV アニメ『転生賢者の異世界ライフ』 OP テーマ。疾走感のあるロックサウンド、ポップで攻撃的なメロディ、“僕ら誰もが秘めたる力を持ったモンスター”という歌詞がぶつかり合うアッパーチューンに仕上がっている。田口達也(g&cho)、矢野晴人(vo&b)、太我(ds)――YouTuberとしても人気を得ている彼らに、バンド結成の経緯、ニューシングル「無自覚の天才」の制作などについて聞いた。
――Non Stop Rabbit(以下、ノンラビ)は2016年に結成。まず、バンドの成り立ちについて教えてもらえますか?
矢野晴人 僕とドラムの太我がバンドをやっていて。たまたま達也くん(田口達也/g、cho)がやっていたバンドと対バンしたのがきっかけですね。お互いのライブに呼んだり、仲良くなって、あるとき「この3人でバンドやったほうがいいんじゃない?」と思って。
田口達也 不倫みたいなもんですね(笑)。
矢野 それぞれバンドを解散してノンラビを組んだので、再婚です(笑)。
太我(ds) ハハハハ(笑)。
――(笑)。メンバーの皆さんの音楽的なルーツは?
矢野 最初はアニメだったんですよ。中学のときに『けいおん!』が流行って、「高校生活、こんなふうに送りたい」と思い、軽音楽部に入ったんです。祖父と祖母がカラオケ屋さんをやっていたり、父が持っていたギターを弾いたり、以前から音楽には親しんでいましたね。歌い始めたのは高校のときです。
田口 歌が上手いことに気づいてなかったんですよ、この人。当時はギターを担当していたんですけど、文化祭のときにボーカルが抜けたので歌ってもらったら、「こいつ、歌上手いな!」ってなったらしくて。
矢野 ギターが好きだったから、ボーカルをやるつもりはなかったんですよ。
田口 そんなかっこいいエピソード、俺もほしい(笑)。俺は中学生のとき、父親に「俺はギターを弾いてたから、昔はモテた」って言われたんですよ。それで「俺もやりたい」ってお願いして、初心者向けのアコギのセットを買ってもらったのがきっかけですね。当時流行っていたYUIさんの曲とかは弾いてたんですけど、実は今、YUIさんの制作に関わっていたプロデューサーと仕事をしていて。父親にその話をしたら、「俺がギターを弾いてたという話は嘘だ」って言い出して(笑)。
――何のためにそんな嘘を?(笑)。ロックは聴いてなかったんですか?
田口 ロックの入り口は、Aqua Timezですね。「ごくせん」世代だし、(ドラマ「ごくせん」の主題歌)「虹」がめっちゃ流行ったので。高校のときはUVERworldやAcid Black Cherry
太我 自分は中学まで音楽に興味がなかったんですけど、中3の給食のときにずっとUVERworldが流れていて。放送係のヤツがUVERworldのファンだったんですけど、自分も「めっちゃかっこいい!」と思って、ギターを始めました。高校のときはサッカー部だったのでギターは趣味で弾く程度で。ドラムを始めたきっかけは、友達に誘われて行ったUVERworldの横浜アリーナでのライブですね。席が前から3列目で、ドラムがステージの一番前に移動してくる演出があったんですけど、目の前で真太郎さんが叩いてる姿を見て、「かっけー!」ってなって。
――曲作りは結成当初から田口さんが担当してたんですか?
田口 はい。作詞・作曲は、ノンラビを組んでから勉強したんですけどね。この2人が「こいつは曲が書けるはず」って思ってたから、つい俺も「書けるよ」って言っちゃって(笑)。そこから急いで勉強しました。まず、毎週オリコンチャートの1位から10位まで全部聴いて、どうして流行っているのかを自分なりに分析して。機材を揃えて、作り始めて……最初はまったくソフトも使えなかったんですけど、なんとかやってきました(笑)。
――曲作りは新たなトライだったんですね。
田口 そうですね。晴人もこのバンドを組んでからベースを弾き始めたんですよ。
矢野 いきなりベース&ボーカルになりました(笑)。
――皆さんはYouTuberとしても活動中。知名度は大きく上がりましたが、ここまで本格的にYouTubeを活用しているバンドはかなり稀ですよね。
田口 まだ出てきてないと思いますね。まずノンラビを組んだときに、ライブハウスに出るのを辞めたんです。俺らは売れるためにバンドを組んだし、お客さんがいないライブハウスでやっていても意味がないと思ったので、「ワンマン以外はやりません」って連絡して。退路を断って、まず路上ライブを始めたんですよ。30万円のスピーカーを買って、ライブハウスと同じような爆音で晴人のボーカルを届ければ、絶対に伝わると思って。まぁでも、音量制限の問題であっという間にやれなくなって。
――爆音の路上ライブはヤバイですよね……。
田口 で、「どうしよう?」と話し合って、「ちょっと遅いけど、YouTuberやってみるか」と。中学の頃からギターの演奏動画をアップしていたので、ある程度やり方はわかっていたし、やるなら本気でふざけてやろうと思って。
矢野 知ってもらえるきっかけになれば、何でも良かったというか。上手くハマったし、自分たちも楽しんでますね。
太我 うん。バンドのドラマーって、どういう人なのかよくわからないことが多いと思うんですよ。YouTuberとしての活動を通して、自分のキャラを伝えられたらいいなと。
田口 それはこのバンドを組んだときから話してましたね。「ボーカルだけが知られているバンドは絶対に嫌だ」って。だって、こいつ(矢野)だけ人気があるとか嫌じゃないですか(笑)。だから3人なんですよ。4人とか5人だとボーカル以外のメンバーに注目が集まりづらいけど、3人にならイケるだろうと。
――そこも計算していたんですね。では、ニューシングル「無自覚の天才」について。表題曲「無自覚の天才」は、TV アニメ『転生賢者の異世界ライフ』 OP テーマになっていますね。
田口 アニメのために書き下ろしました。まず原作マンガを読んだんですけど、めっちゃ面白くて。アニメの主題歌を担当する夢が叶うことの高鳴りを感じたし、「こういう少年マンガ、子供のときに読んでたな」って。この作品に携われることに対しては、ワクワク半分、プレッシャー半分という感じでした。
――このアニメのオープニングにふさわしい曲を作らなくてはいけないというプレッシャー?
田口 そうですね。アニメの曲といえば『NARUTO-ナルト-』の主題歌だったFLOWさんの曲(「GO!!!」)の印象が強いんですけど、そういう曲と同じ場所に立つのかと思ったら、さらにプレッシャーを感じて。(アニメサイドからの)オーダーは特になかったんだけど、余計に難しいじゃないですか(笑)。
矢野 たしかに(笑)。
田口 「無自覚の才能」はサビ(“僕ら誰もが秘めたる力を持ったモンスター”)から作り始めたんですけど、曲が始まって10秒で「バンドがやってる」いうことを伝えたくて。なのでギターから始まって、ドラムもバンバン叩いてるんですよ。
矢野 僕も原作マンガを読ませてもらったんですけど、イントロが始まった瞬間、アニメのOP映像が想像できて。ノンラビらしさもあるし、アニメの色合いともマッチしていて、めっちゃ良いなと思いましたね。
太我 BPM的にも自分が一番得意な速さだし、この曲で勝負できるのは嬉しいですね。
田口 タイアップのために何曲も作るのは好きじゃなくて、今回も「これでお願いします」という感じだったんです。すぐにOKをもらったんですけど、そのあとアニメのスタッフの方から歌詞に関する細かい質問がきて。「ここの歌詞は、原作のどのシーンのことを言ってるんですか?」みたいな話だったんですけど、1つ1つ説明させてもらったら「そんなに読み込んでくれてたんですね」と言ってくれて。そこで初めて「良かった!」って思いました(笑)。
矢野 その質問、OP映像の参考にしたんじゃない?
――そうかも。「無自覚の天才」のMVは田口さんが監督したそうで。メンバー自身が映像ディレクションを担えるのも、ノンラビの強みですよね。
田口 島で撮影したんですけど、“転生”感を出したくて、自然の中で演奏しているシーンと、大きなモニターを使ったデジタル的な演出を組み合わせています。
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