キュートな癒しの歌声と、フレッシュ&パワフルなパフォーマンスで、ファンを増やし続けているhalcaさんが、2022年1月よりマンスリーライブ「halca monthly live [playgood]」を連続開催!毎回本人がコンセプトを決め、“ファンと一緒に作るライブ”を自身の企画で贈る[playgood]シリーズに、リスアニ!WEBが密着!
連載11回目となる今回は、初のゲスト回!halcaさんのデビューから今までを支え続ける最重要スタッフのお一人、ミュージックレインの音楽ディレクター・菅原 拓さんをお迎えし、halcaさんのこれまでの道のりと[playgood]シリーズを経てのアーティストとしての進化、これからの音楽活動への展望を、halcaさんと共に語っていただきました!
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――菅原さんとhalcaさんとの出会いは、halcaさんのデビューのきっかけとなった第1回「ウタカツ!オーディション」の現場だったと伺いました。
菅原 拓 そうですね。「ウタカツ!オーディション」は何段階か審査があるんですが、僕が審査員として参加したのは、最終審査の歌唱オーディションからですね。
halca 私が10人のファイナリストの中に残れて、最後にスタジオで歌ってみる……というときでしたよね?
菅原 そうそう。ファイナリスト10人に大きなレコーディングスタジオに来てもらって、皆さんの歌について評するという(笑)。みんな初めてだから、ガチガチに緊張しちゃってるんですけど、halcaはとても明るくて、やる気に満ち溢れて見えたんです。普通は、緊張して普段通りになんて歌えないものなんですよ。もちろんhalcaも緊張はしていたと思うんですけど、終始すごくニコニコと楽しそうに歌っていた。その印象が強いですね。
halca このオーディションに受かってデビューしない限り、プロが使うスタジオで歌わせてもらえる機会なんて、もう一生ないじゃないですか。だから、この空間を今楽しまねば!と思って。それまではずっと、カラオケみたいに家のパソコンに向かって1人で歌って録音して……とやっていたので、誰かに自分の歌について、リアルタイムで何か言ってもらえるということもなくて。なので一緒にお話しできる方がいてくれるというだけで、すごく楽しくなっちゃいました(笑)。
――halcaさんらしいですね(笑)。
halca あと、菅原さんが私の歌い方について、こういうところがいいとおっしゃってくださったポイントが、私自身が狙って意識してやっていたことでもあったので、そこを理解してもらえたことがすごく嬉しかったのを覚えています。わかってもらえた!って。
――菅原さんが、halcaさんの歌に感じた一番の魅力はどこだったんでしょうか?
菅原 まずは、とても特徴的な声質ですね。リスナーの皆さんからすると、halcaの特徴は“ハイトーンのかわいい声”だとおっしゃる方が多いと思うのですが……スタジオでちゃんと聴くと、ローのほうもすごく出ていてとても幅が広いんですね。しっかりと芯のある太い音の上に、かわいい音が乗っているイメージ。そういう一面的じゃないところが、とても魅力的でした。
halca わー、嬉しいです!
菅原 もう1つは、今本人も言っていたように、歌に対する表現が自分の中にちゃんとあったことです。この曲はこう聴いてほしいから、ここはこう歌っているというのが、ちゃんと聴き手にも伝わってくる。音程やリズムの話ではなく、その1歩先のことが当時からもうできていましたね。
――halcaさんのボーカルスタイルはすでに確立されていた、と。
菅原 そうですね。“halcaの歌”と聞いて、皆さんが思い浮かべる……例えば、良くも悪くも発音の仕方に特徴があって、喉から音が出てから口を動かす歌い方ですとか。
halca はい(笑)。
菅原 これがクラシックの声楽なら直さなきゃいけないクセかもしれませんが、僕は矯正したいとは思わなかった。むしろ、それがhalcaにしかない個性になるので。
halca 私もそこはずっと、直さなきゃいけない!って思っていたんです、実は。滑舌が若干良くないとか、菅原さんが今おっしゃっていた、発音してから口を動かしちゃう歌い方とか。それが直せないとプロになれないんじゃないかな、くらいに思っていたんですけど……最初に歌を聴いていただいたときから、菅原さんはちゃんと理由があって私の歌い方を認めてくださったので自信が持てたし、オーディションでも伸び伸び歌うことができたんです。
――まさに、halcaさんがコンプレックスに感じていた部分を、唯一無二の魅力だと見出してくれたのが菅原さんだった。
halca はい。そして私がミュージックレインに所属させていただいてからは、音楽制作のディレクションからライブの制作から、ありとあらゆることに携わってくださっていて。だから私にとって菅原さんは……halcaチームの“お母さん”ですね!
――え? “お父さん”じゃないんですか?
halca 見た目は“お父さん”に見えるかも知れないけど、普段の関係性からいうと“お母さん”が近い!
菅原 細かいことにうるさいんですよ、僕が。音楽についてだけじゃなく、日常生活の中で目に付いたことは、結構言ってしまうので……(苦笑)。
halca だから“お母さん”なんです!(笑)。
――では音楽面で、halcaチームの音楽ディレクターとして菅原さんがこだわってきたことは何ですか?
菅原 デビュー当初はやはり、作品とのタイアップ曲に関しては、まずは彼女の明るさを前面に出していこうというのはありましたね。本人からも、どうしてもこういうサウンドがいいという強い要望もまだなかったですしね。
halca そうなんです。私もすごくふんわりしてました。これからデビューに向けて走っていくぞ!という気持ちはすごくあったけど、じゃあ実際に何ができるのか?何ができないのか?何が似合うのか?というのも、自分ではわかっていなかったから、最初の頃は本当に、音楽周りもビジュアルも、「スタッフの皆さんにお任せします!」「halcaをなんとかしてください!」と(笑)。
菅原 なので、どういう曲がhalcaに似合うのかを探るためにも、デビュー曲は3~4回はコンペをしていますね。たしか本人にも、10曲ほど歌ってもらっていると思います。
halca そうそう、そうなんです。実際にデビューするまで、何年間か準備期間があったのですが、その間にも、本当にデビューできるかどうかわからないけど、この曲練習してみて!という感じで、ポンポン曲が送られてきてました(笑)。
菅原 で、スタジオに来てもらって、それぞれのコンペ曲のキーチェックをして、いつでもアレンジが進められるような体制は整えていました。ただ、こういうサウンドじゃなきゃダメという考えはなかったんです。halcaなら、どんな曲でも大丈夫だなという確信はありました。ただ、先ほど言ったように、どうしても“かわいい印象”にはなりがちなので、かわいすぎる曲はあえて省いていくというのは意識しました。
――本連載のインタビューでhalcaさんも語っていましたが、あえてロック色の強い楽曲をシングルのカップリングに収録する方針もあったと伺っています。たしかに、いわゆるアイドルソング的なかわいい楽曲は、halcaナンバーにありそうでないんですよね。
菅原 そうなんですよ。「キミの隣」もhalcaが歌うからかわいい感じに聴こえますけど、サウンドだけを聴くとかなりロック色を強めています。ほかの楽曲に関しても、そこは一番こだわっていることですね。
halca 菅原さんにも言われてました。キミはガッツリとかわいらしいことをやると急にダサく見えるから、それだけはやらないですって(苦笑)。私はかっこいいものもかわいい萌え萌えキュン♪なものも両方好きだから、「私、かわいい曲歌っちゃダメなんだ……」って一瞬思いましたけど(笑)、すごく納得したんです。かっこ良くするのは苦手だけど、怖がっちゃいけない。菅原さんが、これが似合うと思うよ!って言ってくれるものなら大丈夫!と思って、信じて頑張って練習しました。
菅原 信じてもらえて嬉しいですね(笑)。だから、衣装も甘くなりすぎないようにこだわりましたし。
halca 覚えてます(笑)。オーディションのときもそうだったんですけど、学生時代から、印象が良く見えそうな当たり障りのないファッション?みたいなのを意識してたんです。でも、そういうのもいいんじゃない?という方もいるし、菅原さんは、それじゃいかんとおっしゃるしで、「どうしよう!?」と悩んだ時期が正直ありました。でも……自分自身が思い切って変われたことで、halcaとしての個性にもできて、今は菅原さんのアドバイスがいただけて、本当に良かったなと思っています!
――これまでの連載インタビューでも、halcaさん自身もデビューから今まで、自分自身の成長をとても感じるとおっしゃっていましたが、菅原さんは、halcaさんの成長をどこに感じていますか?
菅原 もちろんリリースを重ねるたびに成長はしているんですが、明確に変化を感じたのは「キミがいたしるし」ですね。最近になりますけど、あの楽曲はとても大きかったと思います。
halca はい。
菅原 僕も感じましたし、周りのミュージシャンの人たちにも、CDを販売してくれるショップの皆さんからも言われました。完全に変わった、すごく良くなったと言ってもらえまして。ただ、そこに至るまでも布石はあったんです。遡ると「Distortionary」などもそうですね。デビュー以降、halca自身が成長する中で、自分が今後やっていきたい音楽に対して自分なりの考え方も当然、芽生えていきますから、モヤモヤすることもあったんでしょうね。そのモヤモヤをちゃんと言葉にして曲にしよう!と、作詞の宮嶋淳子さんとも話し合いながら作ったのが「Distortionary」だったので。
――たしかに、ハードな曲調に葛藤が伺える歌詞がのった、アグレッシブなナンバーでしたね。
halca あの頃は……自分の中でも上手くいかないことが実は多くて、うわーっ!ってなっていました(苦笑)。
菅原 それも成長過程だからこそ、生まれたものだったと思うんですね。それを一度吐き出して、次に進んでいけたことで、「キミがいたしるし」での変化に繋がったのかなと思いますね。
――そういうhalcaさんの成長や変化を見ていて、菅原さんがhalcaさんに一番大切にして欲しいものというのを言葉にすると、何ですか?
菅原 そうですね……折りに触れて彼女にも伝えていますけど、根本的に彼女が表現したいこと、得意であろうことは何かな?と考えると、halcaというアーティストは、強いメッセージを明確に表に出して伝えるタイプではないと思うんですね。もっと、聴く人の心にデリケートに触れていく。悲しいこと、辛いことを表現するにしても、ここに共感してくれ!と一生懸命訴えるのではなく、ある物事や状況に対して、上手に気持ちに触れていく……そういうアーティストになりなさい、というのはよく言わせてもらっています。
halca その通りだと私も思いました。たしか、菅原さんがF1ドライバーに例えてお話してくれたことがあるんですけど……。
菅原 80年代から90年代にかけて、ナイジェル・マンセルというドライバーがいて、僕は彼が大好きだったんです。気性が激しすぎたり、人間らしい部分がありすぎて優勝を逃したことも多かったので、実力が過小評価されている気がするんですね。それに似たものを、僕はhalcaに感じていたりもします。halcaもとても実力派なんですけど、この声の感じだったり、いつもニコニコしている温かい人柄のほうに先に目が行ってしまうので。その意味でも「キミがいたしるし」で、それまで積み重ねてきたものが、ワンランク上の完成度として花開いたというのは、今後のためにも良かったと思いますね。
halca 私も、それまでと何も変わったことはしていないのに、「キミがいたしるし」を皆さんに褒めていただけて、最初は「なんでかな?」と思っていたんです。「放課後のリバティ」のように、もっと挑戦的な曲もあったしなぁ?って。ただ、「キミがいたしるし」から後は、ライブのパフォーマンスも前より良くなっている実感があるので……自分でも不思議だなって思っています(笑)。
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