INTERVIEW
2022.07.01
――2曲目の「Brave?」は、田中さんの「かっこいい曲」というリクエストに応えて作られたとのことですが、実際にすごく勇ましい楽曲になっていますね。
田中 そうなんですよ。私はバンド系のかっこいい曲が大好きなので、この曲のデモをいただいたときは「キター!」と思って(笑)。難しい曲調なのでレコーティングは苦戦しましたが、こういう曲を歌える環境自体がすごく嬉しくて、気合いが入りましたね。今まで積み上げてきたものを経て、「さあ、戦うぜ!」っていう感じの歌詞も自分たちに重なるなと。
村上 NACHERRYは口角を上げて笑顔で歌う曲が多いんですけど、この曲に関しては、目つきがキリッとなるような歌い方が合うんだろうなと思ったんですよ。でも、逆に力み過ぎたみたいで、ディレクションで「もう少し力を抜いて、優しげにふわっと歌ってもいいよ」と言っていただけて。私は口角を上げる系のほうが得意なので苦戦しましたけど、すごくかっこいい曲になりました。この曲は田中の声がバチバチにハマっていて。歌割りも田中から始まるので、世界観を作り上げてくれていて、拍手したい。
田中 嬉しい!歌い方にもメリハリを付けていて。Aメロのところは少し抑えめで、そこからサビで一気に熱くなる感じは、少年マンガ系の主題歌みたいで「好きだわー!」ってなります(笑)。
――この曲を作曲・編曲した山田貴洋さんは、それこそASIAN KUNG-FU GENERATIONとして数々のアニメ作品にも関わってきたわけですからね。一方で岡田マリアさんによる歌詞は、自分自身を鼓舞してくれるような内容になっていて。
田中 私は勇者が1人で旅している姿が浮かんで。
村上 1人なんだ。私はパーティを組んでいるイメージだった。
田中 そう、私の友達も試聴動画でこの曲を聴いてくれたとき、仲間たちと一緒にいる感じだって言ってた。でも、私は1人で雨に打たれながら特訓したり、泣く日もあるけど「でもやってやるぜ!」みたいな、孤高の戦士のイメージなんだよね。
村上 私は勇者と一緒にパーティを組んでいて、勇者に追いつきたくて頑張っている存在だと思ってた。勇者に負けないほど強くなってきたけど「私はどう?Brave?」みたいな。
田中 なるほどね。私は勇者として歌っていたかもしれない。なっちゃんは客観的に、私は主観的に歌っている違いみたいな。
――でも、それなら勇者とその仲間が揃うので、ちょうどいいじゃないですか。
村上 たしかに!それいいかも。(田中に向けて)サポートします。
田中 ありがとう(笑)。色んな解釈ができる歌なので、皆さんはどう捉えるのか、感想を聞いてみたいです。
――続く「MY FIRST DAY」は、THE BAWDIESのTAXMANさんが作編曲したジャングリーなギターポップ(編曲は山森大輔との共作)。
村上 すごくノリやすくて、一度聴くと頭から離れなくなるくらいキャッチーな曲です。歌詞もストレートで、人はいつでも変われるし、「最初の日」になるんだっていうことを歌っていて。「私の居場所はここじゃないのかも」っていう思春期の気持ちも思い出させる歌詞なので、きっと色んな人の共感を得られるんじゃないかと思います。
田中 「Catch me⇄Catch you」はテンション上げたいとき、「Brave?」は気合を入れたいとき、「ナチェリのWa!!」はノリノリになりたいときに合うと思うんですけど、「MY FIRST DAY」は家で洗濯や料理をしているときにふと聴きたくなるような、皆さんの日常に寄り添う曲になればいいなと思っていて。私もメイクをしているときにこの曲を流すと「今日は楽しくなりそう」って思うし、「よし、行くぞ!」というよりかは「なんか行けそう」っていう気持ちにさせてくれる曲なので、常日頃から聴いてもらえたら嬉しいです。
――日々に潤いを与えてくれるような歌ですよね。歌詞もリラックスした雰囲気がありますし。
田中 “365日のMY FIRST DAY”と歌っているので、365日、常に隣にいてくれるような存在の曲になってほしくて。つい鼻歌で歌ってしまう、みたいな。
――コーラスやハモリもたくさん入っていて、歌後自体がすごく気持ちいいです。
村上 レコーティング当日に追加で歌ったパートが多かったので、完成品を聴いたときは「こんな感じになったんだ!」って感動しました。私はラスサビの追っかけみたいなところ、声がどんどん重なっていくところがすごく好きです。
田中 2人だからこそできる歌い方を、今後もどんどんやっていきたいよね。
――そして村上さんの「ラップをやりたい」という希望を受けて作られたのが、HOME MADE 家族のMICROさんが詞曲で関わったロックなラップ曲「ナチェリのWa!!」。
村上 最初にデモを聴いたときは、「こういうのがやりたかった!」と思って本当にブチ上がりました(笑)。もう何回も聴き込んで、歌詞を見なくても歌えるようになって。
田中 ラッパーのハートあるよね。
――一方、田中さんはラップに苦手意識があったとか。
田中 そうですね。だから最初は「マジか……」と思って(苦笑)。
村上 たしかにそういう顔してた(笑)。
田中 ラップには今まで全然触れてこなかったので、自分がラップを歌っているビジョンが全然見えなくて。そもそも技術的にできるかどうかもわからなかったし、もしライブでこの曲をやるとしても体の動かし方がわからないっていう。デモ音源も歌詞はNACHERRYの世界観だけど、仮歌の声がMICROさんだったので、私の頭の中でゲシュタルト崩壊してしまって……(苦笑)。
村上 素晴らしい仮歌でした!
田中 そう、完成されていたので、私はどう歌えばいいのかわからなくなってしまったんです。なのでレコーディングはなっちゃんに先にやってもらって、それを聴いてようやくNACHERRYのラップのイメージが見えてきたんです。
村上 でも、私も結構直したんですよ。最初はMICROさんの仮歌のコピーをやってしまっていたので、MICROさんに「もう少し村上さん自身で大丈夫ですよ」と言っていただいて。それと「かっこよさ」だけでなく「かわいさ」もほしいということで、すごく戸惑ったんですけど、最終的にはNACHERRYらしいラップをすることができました。
田中 なっちゃんが「かわいさ」を表現してくれたおかげで、この曲ではラップに初挑戦する私たちが頑張って歌っている姿を見せたいんだ、ということがだんだんわかってきて。MICROさんも現場で色々アドバイスしてくださったんですけど、すごく優しい方で、とにかく肯定してくれるんです。なので最初はすごく不安だったけど、「私、出来てるんだ!」と思えてきて。もしかしたら一番楽しいレコーディングだったかも。ラップは楽しいっていうことに気づけました。
村上 嬉しい!歌い終わったあとにすごく達成感がある曲だったよね。
――ラップだけでなく合いの手も、しっかりとNACHERRY流になっていて良かったです。「ブルン!ブルン!」とか。
村上 そこもライブではどうしようね。
田中 恥ずかしくて、まだそこの殻は破れないかもしれない(笑)。
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