REPORT
2022.06.10
Roseliaにはコニファーフォレストがよく似合う。初の単独野外ライブでいきなり2Daysを開催した2019年夏。観客のリアクション手段が歓声から拍手に変わって初めて、開催自体に緊張感を持って臨んだ2020年の夏。 9th☆LIVEでPoppin’Partyとの熱いツーマンを行なった2021年夏。1つ1つの公演に意味付けが伴うのがこの会場だ。そして2022年の春、自ら「過去最高難易度」と語る新作ミニアルバム『ROZEN HORIZON』を引っ提げての2DAYS公演『Episode of Roselia』。2日目はそれぞれのテーマに沿ったセットリストで構成され、「これまでのRoselia」を掲げた『DAY1 : Weißklee』と、「これからのRoselia」を掲げた『DAY2 : Rose』の形で開催された。本稿ではDAY2の模様をお届けする。
5月中旬の爽やかな風が吹く富士急ハイランド。上空は厚い雲に覆われているが、雨の心配は前日に追い払った。ピアノのSEが鳴り響くなか、ステージには志崎樺音(Key./白金燐子役)、櫻川めぐ(Dr./宇田川あこ役)、中島由貴(Ba./今井リサ役)、工藤晴香(Gt./氷川紗夜役)、相羽あいな(Vo./湊友希那役)の順に登場すると大きな拍手が送られ、メンバーはクールに一礼。荘厳なSEとともにバンドロゴがスクリーンに映し出され、この日のライブは「Sing Alive」で幕を開けた。
スピードナンバーらしい力強いドラミングにクランチなサウンドのギターがリフを刻み相羽が高らかに歌い上げる。間奏のリリカルなピアノの調べからのミドルな展開と大サビのハイトーン、アウトロのギターソロから最後に相羽が指で四角を作り隙間から目を覗かせる様子まで、Roseliaの存在感を存分に見せつける。続く「BLACK SHOUT」は頭サビのコーラスワークを美しく決めた直後、ヘビーなリフに「盛り上がっていくわよ!」と叫び、親しみやすいメロディに乗せて相羽の力強いボーカルとメンバーの優しいコーラスで進行していく。途中、相羽と工藤の背中合わせやお立ち台に立ってのベースの聴かせやギターソロなど、目でも楽しませるパフォーマンスだ。
MCではRoseliaのキャラクターそのままクールに進行していたが、オーディエンスに向けて「初めてRoseliaのライブに来た人」に挙手を促すと率直に喜んだ表情を見せ、続けて圧倒的多数が2日連続参戦を示すと、メンバーは驚いた様子を見せる。ここで、この日のテーマである「これから」を示すため、相羽が「昔の私たちがあるから今のRoseliaがある」と語り、キラーチューンの「FIRE BIRD」を歌い始めると全オーディエンスがどよめく。後にMCで語ったように、この曲が3曲目に投下されるのはセット上の大きなサプライズと言える。タイトルの通り赤いライティングに照らされてメロディックスピードメタルの王道で進行し、サビに入った瞬間にパイロから炎が立ち上り大きく盛り上がる。
この演出こそ野外ステージの醍醐味だ。楽器隊のパートも存分に聴かせ、メンバー間のコーラスを回し、相羽が決意の表情で「羽撃こう…頂点の夢へと」とセリフを述べると、櫻川のドラミングに合わせパイロが連射され会場が赤く染まる。続けて中島のベースソロから始まる「R」へノンストップでなだれ込む。相羽のロングトーンで圧倒したあと、メンバー間でリリカルに繋ぎ、攻めるボーカルワーク。志崎のシンセサウンドがリードしつつ、2番ではバキバキのサウンドが展開し、中島のベースが唸りを上げる。ソロパートでも魅せるプレイで続けて工藤がタッピングを交えたギターソロを披露。パワフルなプレイスタイルの楽曲にもかかわらず、メンバーからは笑顔が溢れていた。
相羽が「Roseliaという帰る場所を思い出してほしい」と語り、背景にMVを流しつつ、「Sprechchor」をドロップ。いよいよ「Roseliaのこれから」を見せるこの日のテーマの芯に迫っていく。鼓動のようなバスドラが刻むミドルテンポで一歩ずつ歩み進め“変わり続けることで 始まってゆく”のあとのメンバーのハモリ、繰り返されるサビのリフ、ギターとキーボードがハモる間奏部分まですべてがのエモーショナルだ。続く「約束」はメッセージ性の高い歌詞をしっかりと聴かせ、テンポアップし美しいコーラスを響かせる。2番からはリズム隊の音を際立たせ、オルタネイトピッキングのギターソロを存分に聴かせる。相羽はステージを大きく動いて見せつつ、メンバー同士はコーラスに加えの目線の遣り取りを示し力強い結束力を見せていた。
ここでRoseliaは一旦ステージから退場しスクリーンにはバラエティ企画「キャラ設定を崩しちゃいけない!!“これまで”と“これから”」(略称:「キャラくず」)が上映され、5人は衣装替えののち再びステージへ登る。ここで披露されたのは『ROZEN HORIZON』に収録された新曲「閃光」。Eveが提供したスタイリッシュなナンバーにオーディエンスが新鮮な反応を見せると、それをメンバーも楽しんでいるかのよう。グルービーなベースラインが唸り、プレイヤーたちも普段では使わない音色をライブスピーカーから発することに手ごたえを覚えている様子だ。演奏後には工藤からも「新鮮」という感想も飛び出した。続いて相羽がスタンドマイクをセットして歌い始めたのは名曲「Neo-Aspect」。タイトなリフにキラキラのキーボード、美しいハモリ。相羽が歌詞に沿って瞳を隠したあと、パワフルなハイトーンをキメるさまは何度味わっても心を震わせられる。全編に渡る美しいメロディと最後まで繰り返されるWo wo wow…のコーラスで中盤の盛り上がりを彩った。さらに続く「熱色スターマイン」でもゴシックな美メロとハードなサウンドを引き継ぎ、強いアタックで攻めていく。ステージングで煽ったりとエモさ溢れる楽曲を存分に見せていった。
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