【ライブレポート】この2時間半が、彼女が描いてきた10年間の“軌跡”そのもの！ “Machico 10th Annivesary Live ～Trajectory～”レポート

“エピソード0”から未来への挑戦まで――描かれ続けるMachicoという軌跡

一気に4曲、激しい曲を中心に立て続けに歌ってきたMachico。ここから本編ラストまでの2曲はバラードで構成してきた。曲明け一瞬だけ間を空けてのミドルバラード「Everlasting Glory」では、直前までの連続披露による歌声への疲れはまったく表れず、1フレーズ1フレーズに想いを乗せて力をぐっと込めて、歌声の力一本で観客を惹き込んでいく。そして最初に登場した2階ステージに上がり、「これからももっともっと、声でみんなの背中を押せるように頑張りたいと思います」と宣言してから、歌い始めたのは「ENISHI」。たゆたうようでもあり曲が進むにつれどんどん壮大さを増していく楽曲ではあるが、それに負けるどころか一段上ゆくおおらかさと強さのある歌声で、会場中のファンを魅了。それが尻すぼみになるのではなく、ラストまでどんどん尻上がりになっていくのもまた素晴らしいポイント。そこから生まれる凄みを余韻として残したまま、本編は幕を下ろした。

もちろん客席からは、拍手に続いてアンコールを求めるクラップが響きわたると、それに応えてMachicoがステージに。1曲目として歌ったのはカバー曲、「only my railgun」。少々ロック寄りのアレンジとなったこの曲を、原曲キーで歌いこなしていく。そもそもこの曲を原曲キーで普通に歌うことだけでも高難度なはずだが、歌い手にさらにパワーが要求されるアレンジになっても見事に歌い上げてみせているのだ。本編の安定ぶりもあって自然に感じられていたことなのかもしれないが、ここもまた、改めて注目してほしいポイントだ。

ちなみにこの曲は、彼女がデビューするきっかけとなったホリプロタレントスカウトキャラバンのファイナルで歌った曲。MCではアンコールの1曲目ということで、「エピソード0」としてこの曲を組み込んだとの裏話を明かした。そのほかにも久々のワンマンライブにあたっての緊張からプライベートにまつわるエピソードまでしばしゆるりとしたテンションでトークを展開すると、今度は「エピソード0に続く曲」ということで、初めて作詞を手がけた曲「ミライロケット」の披露へ。この曲が発表されてから早7年。空へと突き抜けていくような爽快感のある歌声という、リリース当時からの彼女の変わらぬ魅力を最大限に生かしたナンバーで、もしこの日初めて聴いたファンも一発で気に入るであろう1曲だ。しかもそのオンリーワンの爽快感は、やはり年々増し続けている――と、このタイミングでの披露で再認識させられたファンも、きっと多かったことだろう。

歌唱後にはまちこ隊を送り出すと、ライブ当日・5月22日は、彼女が演じた『ライフル・イズ・ビューティフル』のキャラクター・小倉ひかりの誕生日当日であることを口にする。開催前にその偶然に気づいたMachicoは、各所への相談の結果キャラソン歌唱にゴーが出た……との経緯を明かし、「ひかりちゃんにおめでとうの気持ちを届けてください！」と呼びかけてから、ひかりのキャラソン「Everything’s OK」へ。土台となるスキルに確固たるものを感じさせつつも、歌声は完全にキャラクターとしてのもので、感情込めてセリフに近いように歌うパートも。2サビ明けの間奏では「小倉ひかりちゃん誕生日おめでとー！」とシャウトすると、大サビでは逆にひかりとして「最高の誕生日になったよ！ありがとー！」と自身とファンからの想いへの返事を届けて、ステージを降りた。

だが、その後も響き続けるファンからのクラップ。それを受けてMachicoとまちこ隊の面々がステージへと戻る。Wアンコールに臨める喜びもこぼしつつ、ラストナンバー前に10周年を迎える心境を、自分の言葉で語るMachico。周囲と比較して自身の歩みの遅さにもどかしさを感じていた時期についての想いも語りつつ、「先輩からの『いかに腐らずにいられるかが続けていく秘訣だから』の言葉のおかげで自分の武器を信じてこられたし、ずっと応援してくれているみんながいたからこそ歩んでこられた10年でした」と感謝を述べる。

その10周年を記念した、7月20日リリースのベストアルバム『10th Anniversary Album -Trajectory-』に収録される「Shall we…？」が、この日の本当のラストナンバー。自身が大好きなバンド・シドの御恵明希から楽曲提供を受け自ら歌詞を書いたこの曲は、従来のMachicoのイメージとはうって変わって、ジャジーかつクールな曲。披露前に自ら語っていた、曲に引っ張られたおかげで生まれたという今まで出てこなかったような歌詞のフレーズも相まって、歌い方のアプローチからステージパフォーマンスに至るまで、すべてなめらかかつ艶やかなものに。そのうえでメロディの決め所には少々トリッキーさもあるので、初披露の時点で完璧に仕上がっていたことに、感心の念さえ覚えた。こうして10年間の軌跡を辿るライブの最後に、未来の軌跡への期待を抱かせたまま、記念すべきライブは大成功のうちに幕を下ろした。

……と思ったらここでまたもサプライズ！この新曲「Shall we…？」のMVが早速ライブ翌日0時に公開されたり、2023年5月に故郷・広島県呉市での凱旋ライブの開催が発表されると、会場をこの日一番の拍手が包む。その余韻残るなか、「Shall we…？」のMVが公開に先駆けてひと足早く上映され、これまでとは違う側面を通じてファンを魅了していったのだった。

MCで自ら語っていたようなセットリストの構成のほかにも、Machicoが10年間日々積み重ねてきた軌跡が結実した、大充実のライブだったように思う。先輩からの金言も念頭に置きつつ研鑽を積み重ねてきたからこそ、目の前に訪れたチャンスを掴むことができ、彼女はアーティスト活動10周年を迎えることができたのだ。加えて、彼女のハングリー精神もチラチラと顔を覗かせるライブとなったのも、また嬉しいポイント。従来のイメージから大きく離れた新曲「Shall we…？」への挑戦はもちろんのこと、ライブ終盤のMCで語った「全部に全力でぶつかるような後輩の姿から刺激を受けて、逆に自分も先輩として背中を見せられるような存在になりたい」という言葉からは、彼女の向上心の高さを感じさせられた。その向上心が原動力となって描き続ける軌跡は、きっと輝かしいものに違いない――この日のライブはそんな確信を与えてくれた、最高の記念すべき一夜となった。

TEXT BY 須永兼次

“Machico 10th Annivesary Live ～Trajectory～”
2022.05.22＠昭和女子大学人見記念講堂

【SET LIST】
M1. Magical Happy Show!
M2. 青春オーバードライブ
M3. thread a needle
M4. メドレー
（恋しさとせつなさと心強さと～ハッピー☆マテリアル～オレンジ～INVOKE）
M5. 星屑プリンス
M6. 花音
M7. fantastic dreamer
M8. 1ミリ Symphony
M9. 勇気のつばさ
M10. コレカラ
M11. TOMORROW
M12. Soul Believer
M13. ミラクルっと♥LinkRing！
M14. ピンクトルマリン
M15. ソノサキヘ
M16. It’s so fine!
M17. 向こう見ずFORWARD
M18. Happy Magic
M19. Everlasting Glory
M20. ENISHI

-ENCORE-
EN01. Only my railgun
EN02. ミライロケット
EN03. Everything’s OK
WEN01.Shall we…？（※初披露）

●リリース情報
Machico
『10th Anniversary Album -Trajectory-』
7月20日（水）発売

【初回限定盤（CD＋Blu-ray）】
品番：COZX-1930～1
価格：￥4,400（税込）

【通常盤（CD）】
品番：COCX-41809
価格：￥3,300（税込）

＜CD収録内容＞
・アーティストデビュー10周年記念楽曲
「Shall we…？」
作詞：Machico／作曲・編曲：御恵明希（シド）
他、未定

＜Blu-ray収録内容＞
「Shall we…？」ミュージックビデオ+メイキング映像　予定

購入者特典情報
下記店舗にて、Machico「10th Anniversary Album -Trajectory-」
（COZX-1930～1、COCX-41809）をお買上げの方に特典をプレゼント!!
※特典は先着順となっており、無くなり次第終了となります。ご了承ください。
※一部お取扱いの無い店舗もございます。予めご了承ください。
※購入や詳細は、各販売サイトをご確認ください。

オリジナル特典対象店舗
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・ゲーマーズ：ブロマイド2枚セット
・とらのあな：ブロマイド
・ソフマップ・アニメガ：ブロマイド
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・タワーレコード：ブロマイド
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・TSUTAYA：ブロマイド
・コロムビアミュージックショップ：ブロマイド
・その他拠点店：ブロマイド
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