INTERVIEW
2022.05.25
“なんかぼくよりも彼氏みたい!”――冒頭のキャッチーでキュートな歌声からは想像のつかないようなスリリングな展開で、聴き手にカラフルな景色を見せてくれる「ハニージェットコースター」。
アニメ『可愛いだけじゃない式守さん』OPテーマを飾るこの曲を歌っているのは、YouTubeチャンネル登録者数36万、TikTokフォロワー17万人を超え、話題のYouTubeシンガーなすお☆。先行配信が好調なチャートアクションを記録しているなか、5月25日(水)に「ハニージェットコースター」を表題にしたシングルをアーティスト盤、アニメ盤、マンガ盤、通常盤の4形態で発売する。曲に込めた想い、そしてこれまでの道のりと“これから”の展望を教えてもらった。
――YouTubeシンガーとして多岐にわたる活動をしてきたなすお☆さん。念願のアニメ主題歌が決まったときはどのような心境でしたか。
なすお☆ ちょうど1年前くらいに、「なすお☆ちゃんの夢って今はなんなの?」と(事務所の)スタッフさんから聞かれたことがあって、「アニメの主題歌を歌うことですかね」と言っていたんです。それまでもアニメは好きだったんですが、アニメや漫画のファン側すぎて……「いつか主題歌を歌いたいな」とは頭の中にはあったんですけど、深く考えられなくて。なので、そのときは漠然としていたんですけど、「じゃあそれに向けて色々やりたいよね」って言ってくれて。そのあと『可愛いだけじゃない式守さん』(以下、『式守さん』)のお話をいただくことができて「私あのときアニメの主題歌を歌いたいって言ったな。夢が叶ったなって」と……運命というか、奇跡的なものがふわっと降りてきたような感覚がありましたし、口に出していくことって大事なんだなって思いました。今でも信じられないです。
――その言葉を口にするまでは、なすお☆さんの中ではどのような夢があったのでしょうか。
なすお☆ 音楽活動の中でライブが一番好きなんです。「チャンネル登録者全員に会いたい」という夢があって、その夢を叶え続けたくてツアーやライブをやっていました。
――元々アニメがお好きだったということでしたが、どのような作品が好きだったのでしょうか。
なすお☆ 一番好きなマンガ作品が『僕のヒーローアカデミア』なんですけど、本当に大好きで、毎週グッズを買いに行ってるんですよ。
――『ヒロアカ好きすぎて勝手に主題歌「エンデヴァー」作ってみた!!!』という企画もありましたよね。
なすお☆ はい!『ヒロアカ』が好きすぎて勝手に主題歌作ってみたんです。いつか主題歌を歌いたいけれど、どうしたらいいかわからなくて。考えてる時間があるなら曲を作ってみようと思い、「主題歌を勝手に作ってみてもいいですか?」と(笑)。それを『式守さん』の担当の方が見てくださったらしいんです。「これはアニメが好きじゃないと書けない歌詞ですね」と言ってもらえて。それも1つのきっかけになったのかなと思っています。
――それはすごい!好きが夢に繋がっていったんですね。なすお☆さんとしては、やはり歌のほうが気持ちを乗せやすいですか?
なすお☆ そうですね。言葉にしちゃうと「ただただ好き」になってしまって(笑)。それ以上は何も言えないんです。
――ちなみに『ヒロアカ』は誰推しなんでしょう?
なすお☆ 爆豪勝己くんです(笑)。かっこいいです、爆豪くんってめちゃくちゃ不器用じゃないですか。
――はい(笑)。
なすお☆ あれだけ不器用なのに絶対を曲げない真っ直ぐさがあって。その葛藤に背中を押されたんです。そんなに葛藤して生きてるんだ、じゃあ私も頑張れるなって。
――『式守さん』の原作はご存知でしたか?
なすお☆ 知ってました!作品に対して、今までにない新鮮な感覚をずっと持っていて。これまで作品を見るときは男の子のキャラのギャップを見ることが多かったんですけど、「私、式守さんと付き合いたいな」「和泉くん羨ましすぎるよ!」って思っていました(笑)。この感覚って今まで男の子キャラに抱いたことないなあと。
――式守さんがイケメンすぎますよね(笑)。「ハニージェットコースター」はどのようなテーマで作ろうと考えられていました?
なすお☆ 私自身、原作の中の印象的なセリフ、場面、キャラクターの名前を歌詞の中に忍ばせるのが好きなんです。どういうところを入れようかなと考えながら改めて原作を読み返しました。曲を作るにあたって一番考えていたことは、聴いてくれる人が式守さんという1人の女の子を感じられる歌にしたいということ。和泉くんから見た式守さんって、ファンの人が見ている式守さんに近いのかなと思っていて。
――たしかに。和泉くんは式守さんの一番のファンでもありますもんね。
なすお☆ そうそう。それで一旦和泉くんの気持ちになりきって歌詞を考えました(笑)。
――作詞を先にされたんですか?
なすお☆ 作曲と同時並行です。
――同時並行だったんですか!作曲を手がけられたまどくんさんとは「じゃんけん恋!」でコラボレーションされていますが、どのように制作されていったのでしょうか。
なすお☆ 2人で曲を作るときはいつも部屋に閉じこもって、まどくんがアコギを持って「こんな感じかな」って弾いたものを受けて、私が作詞をして、そのあとお互いに意見を話し合う、っていうやり方なんです。だから本当に同時に作っていて。「じゃんけん恋!」が初めて一緒に作ったオリジナル曲だったんですが、そういうことを何十曲もやったあとに『式守さん』のお話をいただいたので「じゃあ1回いつも通り作ろうか」って。実はまどくんが式守さんのファンなんですよ。なんなら、まどくんのほうが私より式守さんについて詳しかったくらいで、当日は「もうほとんど決まってるんで」という流れで。
――テンションが上がってほとんどイメージが固まってるという(笑)。
なすお☆ 制作中2人ともテンションがめちゃくちゃ高くて(笑)。私も入れたいワードは決めてきていたので、お互いの中でイメージが完成していたんですよね。だから、一番は2~3時間くらいで出来て、1日でほぼ全部完成しました。
――アニメの主題歌をソロのシンガーが歌う場合、まずアニメ側からのリクエストがあって、曲のコンペがあって、そこから選んで……という工程があることが多いように思うのですが。
なすお☆ 全部その工程を飛ばして(笑)、アコースティックギター1本で完成したものをまず1回聴いてもらいました。実はマネージャーさんの元には(アニメ制作側から)オーダーシートが届いていたそうなのですが、「作品が好きなことはわかってるから、まずは自由に作ってみて」と言ってくれて。
――なすお☆さんのことを信頼しているからこそ、まずは自由にと言ってくれたんですね。
なすお☆ そもそも「イントロから始まってください」というお話だったんですけど、ド頭から声で始まっていて。
――でもそれが通ったということは、アニメサイドもご納得される完成度だったということですよね。今日は事務所スタッフさん、レコード会社スタッフの方も同席されているので裏話も少しお伺いできればと思うのですが……。
レコード会社スタッフ 良いものが届いてしまうと、僕らはもう何も言えないんですよ。オーダーを超えたものが届いてしまうと僕らがそれ以上言うことは何もなくて。
なすお☆事務所スタッフ ケースバイケースだとは思うんですけど、上がってきたものがすべてで。それが音楽の力だと思っています。すごく良いものが上がってきたので、一度これを出してみようと。
――良いエピソードです。なすおさんの人柄もあるとは思うのですが、周りの方に恵まれてるんですね。
なすお☆ 本当にそう思います!
――話が前後してしまうんですが、主題歌のお話をもらったとき、なすお☆さんの中で「まどくんにお願いしよう」と決められていたんですか?
なすお☆ 初の主題歌だし、色々作ってみたいとは思っていたので、実はほかにも曲は作っていたんです。普段は曲先で作っているので、そのトラックに歌詞をのせるような形で。でも同時並行で曲を作ったのはまどくんだけだったので、やっぱり一緒に作っただけあって良いものができるなって感じていました。だから「これだ!」って。
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