INTERVIEW
2022.03.01
TikToker・あかせあかり。彼女が、コスプレをテーマにしたTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』のEDテーマ「恋ノ行方」でメジャーデビューを果たす。
ここではコスプレの魅力から、コスプレにこだわりまくって撮影したというMV、さらには彼女のこだわりが詰まった楽曲についてたっぷりと語ってもらった。特にMVの完成度は秀逸なので、何度も繰り返し観てほしい。
――1stシングル「恋ノ行方」でメジャーデビューとなりますが、決まったときは驚いたのではないですか?
あかせあかり 歌自体は元々好きだったのですが、「好き」というところからメジャーデビューをすることになるとは思ってもいなかったです。好きなことをさせていただけることはもちろん嬉しいのですが、デビュー曲からアニメのEDテーマということで、今までに感じたことがない緊張がありました……。
――いきなりのタイアップで、しかも人気原作ですからね。ただ、あかせさんもコスプレイヤーですし、作品自体は知っていたんですよね?
あかせ はい。元々原作は読ませていただいていて好きな作品だったので、(タイアップの知らせを)聞いた瞬間は「え!」って。動揺がすごかったですし、心が追いついていなかったですね。
――あかせさんはコスプレイヤーで、女優業やTikTokでも活躍されています。また1つ項目が増えましたね。
あかせ 小さい頃の夢が女優さんで、中学生までに事務所に入れなかったら諦めてと母に言われていたんです。結構母が厳しくて、コスプレをしたいと相談したときも「ダメだよ、やめてね」と言われてしまいました。でも、どうして夢を諦めて、コスプレもダメだと言われるんだろうって思っていたんですよね……。
――そうだったんですね。コスプレをやりたいと思ったきっかけはあったのですか?
あかせ 高校生のときにアニメ好きな人が教室内にもいて、そこで友達ができて。その友達とアニメを調べていたらコスプレイヤーさんが出てきて、それがきっかけでコスプレをやりたいと思ったんです。でも反対されたので最初は従順に我慢していたんですけど、やりたい思いが強かったので衣装を買ってしまい、着てみたらメイクもしたい、ウィッグを被ってみたい……という想いが強まってきて、始めました。
――それは時期的にいつ頃だったのですか?
あかせ コスプレは高校2年生の終わりくらいから始めました。今となっては母も理解してくれているんですけど、当時は全然でした(笑)。
――でも、それがきっかけになって夢であった女優業にも繋がったんですよね?
あかせ そうですね。コスプレイヤーの友達から勧められ、会話ツールレベルの感覚でTikTokを始めて、それがきっかけで事務所さんにも声を掛けていただいたので、TikTokをやっていなかったら女優にもなっていなかったと思います。
――夢を一度諦めても、巡り巡って叶うこともあるんですね。人生が変わったという意味では、コスプレをやって良かったですね。ちなみにどんなコスプレが好きなのでしょうか?
あかせ ゲーム作品やCDコンテンツのものが好きで、初めてやったコスプレも男装でした。あとは少年マンガのキャラクターですね。ただ、なぜか少年誌のマンガだと、女の子のほうを好きになるんです。かっこいい女の子が好きなので、そういうコスプレをやりがちでした。
――『その着せ替え人形は恋をする』でも男装の話がありましたけど、原作マンガを読んで共感するところもあったのではないですか?
あかせ コスプレで共感することは多いのですが、アニメの1話でもあった自分で作ったボロボロの衣装なんかは、自分も通った道なんですよ(笑)。服を購入する前に一度自分で作ってみるのですが、初めは裏地とかわからないじゃないですか。それで検索もせずに自分の知恵だけでミシンを使ってみたのですが、キャラクターと見合わせると、なんでこの布はこんなにペラペラなんだろう?とか、形にはなっているけど形が良くないとか、かけ離れていたんですよね。だから五条(新菜)くんの言葉が痛かったというか(笑)。昔の自分に言われているみたいで、こんなこと言われたら泣いちゃうよって思いました。
――実際、主人公の(喜多川)海夢も涙目でしたけどね(笑)。
あかせ 「それは泣くよね!」っていう気持ちになりました(笑)。
――参考の本があるのに、なんでできなかったんですか?みたいなことも言われていましたよね。
あかせ さすがに私はそのあとに本を買って、衣装は少しずつ作れるようになりましたが、独学では限界もあるのでまだまだです。
――五条くんみたいな人がいると、コスプレもしやすいですよね。
あかせ そうですが、私は結局自分で作ったかもしれないです。今回の「恋ノ行方」のMVの衣装はお願いして作っていただいたものなのですが、ウィッグやカラコンは全部自分で選んでいるんです。選ぶところから自分でやりたくなってしまうんですよね……。好きなキャラクターに近づける、好きなキャラクターの衣装が手元にあることが嬉しくて。あと、ウィッグをセットしているときに一度洗ったりするのですが、それを乾かしているときに「今、好きなキャラクターの髪を乾かしてる!」って気持ちになるんです(笑)。自分で作る魅力を知ってしまったため、自分で作りたい!と思ってしまうんですよね。
――原作でも言っていましたが、コスプレってやはり究極の愛なんですね。
あかせ 愛ですね!愛がないとできないですし、そのキャラクターを何度も何度も追いかけて見ているからこそできる仕草や表情もあると思うので。
――MVの話をしてしまうと、(黒江)雫たんのコスをしているときの眉毛の角度が完璧で、最高でした。
あかせ 仕事上眉毛を全部剃ることができないので、最初は相談して眉潰しをしようということになったのですが、映像だと粗が目立ってしまうということでずっと困り眉をして撮っていたんです(笑)。自分でコスプレの撮影をするときは、眉を潰して角度を変えたりするのですが、映像は勝手が違うこともあり、雫たんの眉毛には苦労しました。
――あれは気合いの賜物だったんですね。そのほかにもかなりこだわりが感じられるコスプレMVでしたよね。
あかせ MVでは、ウィッグは色々なメーカーさんから取り寄せて、海夢ちゃんだけで6個以上のウィッグを取り寄せ、より地毛っぽいもの、人間らしいものを選びました。キャラクターというよりは3次元に寄せるためのカラーリングにして、生え際もちゃんと人工頭皮にしているので、かなり人間味がある感じに仕上げています。カラコンも発色が良すぎないもので、色が完全に付いているものとほんのり付いているものがあるんですけど、ほんのり付いているものを選びました。ほかの2人は完全にコスプレをするときと同じウィッグのメーカーさんから取り寄せて、カラコンも発色がよく、海夢のコスのときよりも目のミリ幅が大きめのものを使っているので、そういうところにもこだわっています。
――コスプレをするキャラをコスプレするって面白いと思いながら見ていましたが、そういうこだわりがあったのですね。
あかせ そうですね。海夢ちゃんは3次元寄りに、キャラクターのコスプレのときは2次元寄りにするという区別をしっかり付けたかったんです。
――ちなみに海夢ちゃんのコスプレよりマニアックなポイントはありますか?
あかせ 海夢ちゃんは、つけまつげを自分で付けられないというキャラクターなのですが、さすがに二次元のバサバサまつ毛はできないと思いましたし、まつエクをすると雫たんが下がりまつ毛になるのでほかのコスプレにも影響してしまうと思い、つけまつげを付けました。ただ、まつ毛バチバチのギャルメイクにはしたけれど、コスプレメイクにしすぎない仕上げにしているので、本当にこういうギャルがいるんじゃないかな?と思う仕上がりになっていると思います。
――本当にいそうだなと思いました。MVは反応も良かったんじゃないですか?
あかせ 私の中で限りなく正解に近い出来であったとしても、様々な解釈があるので、少し心配な気持ちはありました。ほかの方のコスプレを見て、私大丈夫かな?と思ったりはしました。でもいざMVが公開され、コスプレを見ていただいたらとても良いという声をいただいたので安心しましたし、こだわって良かったなと思いました。色んなメーカーさんから取り寄せたり、カラコンを何度も付け直したり、メイクを直して肌が荒れたりしますが、やっぱりそれが楽しいんですよね。改めて好きなキャラクターに近づける楽しさも実感した瞬間でした(笑)。
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