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2022.02.11

【特集】“バーチャルアーティスト”という題材を最大限に活かす新しい映像表現を――アニメプロジェクト「ステージ・バイ・ステージ」というコンテンツを、楽曲やアニメーションMVを元に紐解く

【特集】“バーチャルアーティスト”という題材を最大限に活かす新しい映像表現を――アニメプロジェクト「ステージ・バイ・ステージ」というコンテンツを、楽曲やアニメーションMVを元に紐解く

VR(仮想現実)や3DCGなどの技術が長足の進歩を遂げ、それらの要素を採り入れたアニメーションMVやライブ演出が大きく注目を集めている昨今。それによりアニメと音楽の関係性も変化し、次々と目新しいコンテンツが登場しているわけだが、そのなかでもとりわけ面白い取り組みを行っているのが、パチンコスロット店「アイランド」と、アニメーション制作会社「Production I.G」によるコラボレーションアニメプロジェクト「ステージ・バイ・ステージ」だ。アニメ監督、声優、アーティスト――様々な分野のフレッシュな才能が集結する本作の魅力について紹介する。

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“バーチャルアーティスト”として活動する3人の姿を描く物語

「ステージ・バイ・ステージ」は、我々が現在過ごしている時代より少し先の未来、バーチャルライブなどの技術が今よりも発達し、バーチャルでのアーティスト活動が文化として定着した世界を舞台にした物語。設定上は、アイランドのマスコットキャラクター・アイラが活躍するTVアニメ『でびどる!』(2018年)の未来にあたるとのことだが、本作でフォーカスが当てられるのは、アイラたち『でびどる!』の登場キャラクターではなく、それぞれの想いを胸にバーチャルアーティストとして活動を行う3人の女の子たちだ。

杏道リア(CV:夏吉ゆうこ)は18歳のフリーター。過去のとある出来事が原因で、何事に対しても途中で熱が覚めてしまい、心から熱意を注ぐことのできるものを探しているなか、ネットメディアでアルバイトを始めたことをきっかけに、バーチャルアーティストの存在を強く意識するようになる。

杏道リア

井伊嶋美沙(CV:mido/THE BINARY)は貿易会社に勤務する25歳のOL。学生時代は勉学に勤しみ、「手のかからない優秀な子供」として生きてきたが、実は生粋のバーチャルオタク。就職するも慣れない環境に疲弊し、改めて自分の人生を見つめ直すことで、それまで抑えていたバーチャルアーティストへの憧れを形にしていく。

井伊嶋美沙

府良わらび(CV:あかまる/THE BINARY)は15歳の中学3年生。超内向的な性格だが、小学生の頃からネット上で匿名のアーティストとして活動を行っており、その筋ではある程度は知られた存在に。だが、自分の表現に行き詰まりを感じ始めていたところ、バーチャルアーティストのことを知り、そこに新たな可能性を見出していく。

府良わらび

年齢から性格まで三者三様で、バーチャルアーティストになった経緯もバラバラの3人。その成長物語こそが「ステージ・バイ・ステージ」の中核となっているわけだが、いわゆるストーリー仕立てのアニメ―ションでそれを描くのではなく、音楽と最新鋭の映像技術との融合によるアニメーションMVで表現されているのが本作の最も特筆すべきポイントだ。

MVの制作を手がけたのは、Production I.G所属の大城丈宗。これまで『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』『Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season』といった人気作のOP/ED映像を制作してきた気鋭のクリエイターで、「ステージ・バイ・ステージ」にはMVの監督、原案、絵コンテ、演出、3DCG、撮影、編集で関わっている。キャラクターの大まかな設定も彼のアイデアを形にしたものとのことで、本作の世界観を構築した人物と言っていいだろう。

次ページ:作品を彩る楽曲、映像作品を意識したアニメーションMV

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